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第一部 魔法少女は、ふたつの世界を天翔る
第28話 魔法少女喪失 その一
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リンクスの願いは、かつて失った義妹、デイジーを蘇らせることだった。
そのために適合者である白音を捕らえ、その体を乗っ取るともりだった。
白銀のように輝くデイジーの魔核を、白音の胸元に押し当てようとする。
(そうか、リンクスさんが見つめていたのは私じゃ無かったんだ。義妹さんだったのね)
白音は瞳を閉じた。
……………………。
……………………。
……………………。
どのくらい経ったのか分からない。
永遠とも思えるほど白音はじっと目を閉じていたが、何も起こらなかった。
そっと目を開けると、リンクスも泣いていた。
「俺が情けない奴なのは今でもそうだろうな。俺はいつも他人を犠牲にして自分だけ…………。そして今、それすらもできない」
その時不意に、白音の脳裏に『顔だけ殿下』という言葉が浮かんできた。
『殿下』という高貴な身分の人に対する言葉としては、かなり不敬かもしれない。
でも彼は昔、確かにそう呼ばれていたと思う。
初めて見た時からリンクスのことは気になっていた。
惹かれていたのだとは思うが、それだけではない何か気になるものがずっとあった。
それが今、やっと分かった。
会ったことがあるのだ。それも、とても近しい存在だった…………。
「白音君、すまない。訳の分からないことに巻き込んでしまったね。俺は今、君を殺そうとしたんだ。人族は、俺からすべてを奪った憎い敵のはずだった。だから人族の体を奪って妹を蘇らせるのに、躊躇いなどあろうはずもなかった。なのに俺は、俺は君を…………」
リンクスのその言葉をきっかけに、堰を切るようにして白音の心に記憶が蘇ってきた。
白音の記憶には欠損している部分があって、魔法少女になったことでそれが修復されつつあるとそらからも言われていた。
「俺は君を愛している。…………人間の世界に、長くい過ぎてしまったようだ」
それはリンクスにとって白音との決別の言葉であったのだが、今の白音はすべての想い出を取り戻し、別の答えを得ていた。
白音が唇を一生懸命動かすが、ほとんど声が出せない。
リンクスが耳を傾けて白音の顔に近づける。
「……二度、わたしのことを好きになってくれたんですね」
囁くような告白だった。
白音は動けないままに、またぽろぽろと涙を零した。
リンクスには白音の言わんとしていることが分からず、困惑した表情を浮かべた。
けれど彼は、そっと涙を拭ってくれる。
白音のその涙は、第三者としてデイジーの境遇を思い遣る涙ではなかった。
『かつて、自分はデイジーだった』
記憶が蘇った白音の中には、そう確信がある。
今ある理解力を総動員するならば、『前世の記憶』と言い表せるだろうか。
自分はデイジーの生まれ変わり、なのだと思う。
リンクスに愛されていた……のは知らなかったが、自分はリンクスを密かに慕っていた。
そして今も、白音として慕っている。
白音も二度、リンクスのことを好きになったのだ。
「私です。私がそのデ…………マイラキリーです」
白音は意図せずデイジーという名前を避け、『マイラキリー』という通り名を使った。
こちらの言葉で言えば『白百合』を意味する単語だ。
何故そんなことをしたのか、理由は取り戻した記憶の中にあって、白音は既に知っている。
かつてのデイジーは、戦士としてはかわいすぎる自分の名前を隠したがっていたのだ。
白音はかつて、間違いなくデイジーだった。
名のある魔族を殺す時、人族は必ずその魔核を潰す。
それはリンクスが語ったように、魔核さえ無事なら復活できる可能性があるからだ。
魔族は人族には無い魔核から魔力を得ているため、戦士としては一騎当千の実力を持つ。
その中でも武勇で名を轟かせる強者に、そう何度も蘇られては堪らないだろう。
しかし何故かデイジーは、並ぶ者なしとまで言われた剣技の使い手であるにも拘わらず、その亡骸には無傷の魔核が遺されていた。
だからリンクスは、彼女の復活に一縷の望みを繋いだのだ。
縋ったと言ってもいいだろう。
召喚英雄の血を引くデイジーに適合する体は、こちらの世界でなら見つかると考えられた。
リンクスはデイジーの笑顔を今一度取り戻さんがため、強力な魔道士の助力を得て異世界渡りという難行を成し遂げたのだ。
そしてこの未知の異世界でひたすらに奇跡を信じ、ずっとデイジーに適合する体を探し続けてきた。
デイジーは確かに死んだ。リンクスがその亡骸から手ずから魔核をえぐり出したのだ。
幾夜その夢で目を覚ましたことか。
しかしマイラキリーの呼び名を知っているのは、こちらの世界ではリンクスの他にはいないだろう。
デイジーは自らをマイラキリーと名乗り、そう呼ばれたがっていた。
ピンクや白のかわいらしい花を咲かせる『ひなぎく』の名は、かわいすぎて自分には似合わないと言っていたのをよく覚えている。
ただ実際には、デイジーの思いとは裏腹にその通り名が浸透することはなく、また別の二つ名がついた。
『ゾアヴァイル』、こちらの言葉で血まみれの薔薇と訳せる言葉だ。
その戦う姿の鬼気迫る様子からデイジーは敵味方問わず恐れられ、ゾアヴァイルと呼ばれていた。
リンクスを敵対者から守るため、彼女はいつも返り血にまみれていたからだ。
だからあちらの世界ですら残念ながらマイラキリーの名はほとんど知られていない。
この遠く離れた異世界において、その言葉を誰かから伝え聞いたとは考え難いのだ。
しかしもし本当に本人なら転生者、ということになるのだろうか。
リンクスはこの世界に渡ってからもデイジーを蘇らせるため、様々な研究に手を出しきた。
怪異現象などについてももちろん広く調べているが、転生の実例はついぞ聞いたことがない。
「ゾアヴァイルでは?」
「そ、その名前は…………や」
体が上手く動かない中、必死で絞り出したその言葉が、リンクスには無性にかわいく思えた。
デイジーも「いつもちゃんと綺麗にしているのに、どうして血まみれなんて」とそのあだ名で呼ばれるのを嫌がっていた。
懐かしい想い出だった。
リンクスは確信する。
目の前にいる白音こそがデイジーなのだと。
そしてもう感情が抑えられなくなって白音を抱きしめた。
白音は体中に力が入らないまま力強く抱きしめられたので、息が吸えなくなる。
「く、苦しい……、助け、て……」
「ああっ、すまない!」
リンクスは慌てて身を引く。
「さっき君に施したのは、敗走を続ける中で魔道士長が研究を続けてくれていた秘術なんだ。英雄核を持つ者から力を奪うことができる」
リンクスのいた世界では、人族が後天的に得た魔核を英雄核と呼んでいる。
魔法少女が持つ星石と本質的には同じものだ。
そして魔族が生来に持つ魔核とも、由来が違うだけで性質は何ら変わりがない。
「もう我々の王国は完全に崩壊してしまっていたし、術もまだ未完成で相手が油断してくれないと成功しないような状態だったから、実戦で使う機会はなかったけどね」
リンクスは、いや殿下は普段は冷静沈着なのだが、嬉しくなると周りがやや見えなくなる傾向があったように思う。
そして少し饒舌になる。
懐かしい。
懐かしいのだが今は少し困る。
「む、胸が…………その」
白音が動けない体でほんの少しだけ身もだえすると、ようやくリンクスは気づいてくれたようだった。
胸をはだけたままだった白音の体に、慌てて毛布を掛ける。
そのために適合者である白音を捕らえ、その体を乗っ取るともりだった。
白銀のように輝くデイジーの魔核を、白音の胸元に押し当てようとする。
(そうか、リンクスさんが見つめていたのは私じゃ無かったんだ。義妹さんだったのね)
白音は瞳を閉じた。
……………………。
……………………。
……………………。
どのくらい経ったのか分からない。
永遠とも思えるほど白音はじっと目を閉じていたが、何も起こらなかった。
そっと目を開けると、リンクスも泣いていた。
「俺が情けない奴なのは今でもそうだろうな。俺はいつも他人を犠牲にして自分だけ…………。そして今、それすらもできない」
その時不意に、白音の脳裏に『顔だけ殿下』という言葉が浮かんできた。
『殿下』という高貴な身分の人に対する言葉としては、かなり不敬かもしれない。
でも彼は昔、確かにそう呼ばれていたと思う。
初めて見た時からリンクスのことは気になっていた。
惹かれていたのだとは思うが、それだけではない何か気になるものがずっとあった。
それが今、やっと分かった。
会ったことがあるのだ。それも、とても近しい存在だった…………。
「白音君、すまない。訳の分からないことに巻き込んでしまったね。俺は今、君を殺そうとしたんだ。人族は、俺からすべてを奪った憎い敵のはずだった。だから人族の体を奪って妹を蘇らせるのに、躊躇いなどあろうはずもなかった。なのに俺は、俺は君を…………」
リンクスのその言葉をきっかけに、堰を切るようにして白音の心に記憶が蘇ってきた。
白音の記憶には欠損している部分があって、魔法少女になったことでそれが修復されつつあるとそらからも言われていた。
「俺は君を愛している。…………人間の世界に、長くい過ぎてしまったようだ」
それはリンクスにとって白音との決別の言葉であったのだが、今の白音はすべての想い出を取り戻し、別の答えを得ていた。
白音が唇を一生懸命動かすが、ほとんど声が出せない。
リンクスが耳を傾けて白音の顔に近づける。
「……二度、わたしのことを好きになってくれたんですね」
囁くような告白だった。
白音は動けないままに、またぽろぽろと涙を零した。
リンクスには白音の言わんとしていることが分からず、困惑した表情を浮かべた。
けれど彼は、そっと涙を拭ってくれる。
白音のその涙は、第三者としてデイジーの境遇を思い遣る涙ではなかった。
『かつて、自分はデイジーだった』
記憶が蘇った白音の中には、そう確信がある。
今ある理解力を総動員するならば、『前世の記憶』と言い表せるだろうか。
自分はデイジーの生まれ変わり、なのだと思う。
リンクスに愛されていた……のは知らなかったが、自分はリンクスを密かに慕っていた。
そして今も、白音として慕っている。
白音も二度、リンクスのことを好きになったのだ。
「私です。私がそのデ…………マイラキリーです」
白音は意図せずデイジーという名前を避け、『マイラキリー』という通り名を使った。
こちらの言葉で言えば『白百合』を意味する単語だ。
何故そんなことをしたのか、理由は取り戻した記憶の中にあって、白音は既に知っている。
かつてのデイジーは、戦士としてはかわいすぎる自分の名前を隠したがっていたのだ。
白音はかつて、間違いなくデイジーだった。
名のある魔族を殺す時、人族は必ずその魔核を潰す。
それはリンクスが語ったように、魔核さえ無事なら復活できる可能性があるからだ。
魔族は人族には無い魔核から魔力を得ているため、戦士としては一騎当千の実力を持つ。
その中でも武勇で名を轟かせる強者に、そう何度も蘇られては堪らないだろう。
しかし何故かデイジーは、並ぶ者なしとまで言われた剣技の使い手であるにも拘わらず、その亡骸には無傷の魔核が遺されていた。
だからリンクスは、彼女の復活に一縷の望みを繋いだのだ。
縋ったと言ってもいいだろう。
召喚英雄の血を引くデイジーに適合する体は、こちらの世界でなら見つかると考えられた。
リンクスはデイジーの笑顔を今一度取り戻さんがため、強力な魔道士の助力を得て異世界渡りという難行を成し遂げたのだ。
そしてこの未知の異世界でひたすらに奇跡を信じ、ずっとデイジーに適合する体を探し続けてきた。
デイジーは確かに死んだ。リンクスがその亡骸から手ずから魔核をえぐり出したのだ。
幾夜その夢で目を覚ましたことか。
しかしマイラキリーの呼び名を知っているのは、こちらの世界ではリンクスの他にはいないだろう。
デイジーは自らをマイラキリーと名乗り、そう呼ばれたがっていた。
ピンクや白のかわいらしい花を咲かせる『ひなぎく』の名は、かわいすぎて自分には似合わないと言っていたのをよく覚えている。
ただ実際には、デイジーの思いとは裏腹にその通り名が浸透することはなく、また別の二つ名がついた。
『ゾアヴァイル』、こちらの言葉で血まみれの薔薇と訳せる言葉だ。
その戦う姿の鬼気迫る様子からデイジーは敵味方問わず恐れられ、ゾアヴァイルと呼ばれていた。
リンクスを敵対者から守るため、彼女はいつも返り血にまみれていたからだ。
だからあちらの世界ですら残念ながらマイラキリーの名はほとんど知られていない。
この遠く離れた異世界において、その言葉を誰かから伝え聞いたとは考え難いのだ。
しかしもし本当に本人なら転生者、ということになるのだろうか。
リンクスはこの世界に渡ってからもデイジーを蘇らせるため、様々な研究に手を出しきた。
怪異現象などについてももちろん広く調べているが、転生の実例はついぞ聞いたことがない。
「ゾアヴァイルでは?」
「そ、その名前は…………や」
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デイジーも「いつもちゃんと綺麗にしているのに、どうして血まみれなんて」とそのあだ名で呼ばれるのを嫌がっていた。
懐かしい想い出だった。
リンクスは確信する。
目の前にいる白音こそがデイジーなのだと。
そしてもう感情が抑えられなくなって白音を抱きしめた。
白音は体中に力が入らないまま力強く抱きしめられたので、息が吸えなくなる。
「く、苦しい……、助け、て……」
「ああっ、すまない!」
リンクスは慌てて身を引く。
「さっき君に施したのは、敗走を続ける中で魔道士長が研究を続けてくれていた秘術なんだ。英雄核を持つ者から力を奪うことができる」
リンクスのいた世界では、人族が後天的に得た魔核を英雄核と呼んでいる。
魔法少女が持つ星石と本質的には同じものだ。
そして魔族が生来に持つ魔核とも、由来が違うだけで性質は何ら変わりがない。
「もう我々の王国は完全に崩壊してしまっていたし、術もまだ未完成で相手が油断してくれないと成功しないような状態だったから、実戦で使う機会はなかったけどね」
リンクスは、いや殿下は普段は冷静沈着なのだが、嬉しくなると周りがやや見えなくなる傾向があったように思う。
そして少し饒舌になる。
懐かしい。
懐かしいのだが今は少し困る。
「む、胸が…………その」
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