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第一部 魔法少女は、ふたつの世界を天翔る
第14話 さくら、散る その一
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チーム白音の魔法少女たちが布団を並べて眠ったその翌朝。
白音が目覚めると、何故かそらを抱きかかえていた。
抱き枕にはちょうどいいサイズだった。
温度設定が高めとは言え、エアコンの効いた部屋で寝るのは白音には少々肌寒い。
おかげでそらを快適に抱きしめて目覚められたのだが、いつ潜り込んできたのかまったく気づかなかった。
神がかりのフィット感である。
昼の間はみんなで買い物に出かけたり、勉強会などをして過ごす。
勉強会の方は露骨に嫌がる者が若干名いたが、「この任務が終わったらみんなで羽目を外しましょう」「そのために今のうちに宿題を片付けましょう」と人参をぶら下げると、素直に頑張っていた。
日中はそらも予測したとおり、特には何も起こらなかった。
念のため魔法少女ギルドのギルドマスター、リンクスとビデオ通話で状況の確認をしておく。
しかしそちらにも何も情報は入っておらず、事件も起きてはいないとのことだった。
リンクスはアジトに『チーム白音』が五人とも揃っていることに少々驚いていた。
「君たちの行動力にはいつも感服させられるよ。心強い。よろしく頼む」
◇
その日の夜は、そらがクリームシチューを作ってくれた。
そらが莉美に料理の手ほどきを頼んだので、つきっきりの料理教室が開催されていた。
そらが「基礎から技術を向上させたい」と言うので、白音、佳奈、一恵の三人もほとんど手を出していない。
「これをクリアすると、カレーの段もクリアしたことになるらしいの」
そんな風に言いながら、そらができあがった夕食を食卓に並べていく。
なるほど確かにルゥや香辛料、調味料をアレンジすればカレーやビーフシチュー、肉じゃがも作れるようになるだろう。
どうやら莉美はいい先生だったようだ。
シチューの他にも付け合わせの野菜やスープも用意されている。
野菜の切り方がやや不格好だったりもするが、そらがほとんどひとりで作ったものだと、何故か自慢げに莉美が言った。
食欲をそそる香りに期待感を煽られ、そらの初めての料理をみんなでわくわくして待っていた。
そしてひと口食べて、白音たちは感動した。
とても初めて作ったとは思えないほどの美味しさだった。
そらのような学究肌の人間にとって料理は理科実験のようなもの、と聞いたことがある。
変な自己流アレンジを加えて失敗しないので味が安定している。
さらに家庭料理を母親から叩き込まれている莉美の指導も相まって、初めてにしてもはや完成形と呼べる出来だ。
「パンで食べるシチューも美味しいね」
莉美がすました顔でシチューを味わっている。
「シチューにご飯なのはあんたとわたしだけでしょ。炊き忘れたくせに……。まあでも佳奈んちのバゲットはホント良く合うわ」
「白音、それバゲットじゃなくてパリジャンだよ。攻撃力150しかないだろ。バゲットは200くらいある」
パン屋の娘から訂正が入った。
なるほどそれは、剣術の得意な白音にとって有益な情報かもしれないと思う。
そして白音は、新たなパンの魅力を発見させてくれたことを莉美にも一応感謝する。
◇
夕食を食べ終えて待機任務という名の女子会をしていると、白音のスマホにリンクスから連絡が入った。
緊急時はいつでも出られるように、そちらに連絡して欲しいとお願いしてある。
スピーカーモードに切り替えて全員に聞かせるようにする。
「白音君、出動を要請する。ギルドメンバーの魔法少女から救援要請が来た。要請者は佐々木咲沙。しのび装束のくノ一だ」
「くノ一!」
思わずみんなで声を揃えてオウム返しする。
「みんな、そこ引っかかってる場合じゃない!」
だが白音が急かすまでもなく、全員が次々に魔法少女へと変身していく。
アジトが色とりどりの魔法の輝きに包まれた。
「他の行方不明事件との関連はまだ不明だが、何者かに襲撃されているらしい。位置情報を送った」
「了解しました。一恵ちゃん、行ける?」
一恵が転移ゲートで繋げられるのは、自身が知っていて認識できる場所に限られている。
もし事件の発生した場所が一恵の行けないような場所であれば、一旦もうひとりの転移能力者である桃澤千尋と合流して送ってもらわなければならない。
彼女ならば転移距離は短いものの、位置情報さえあれば転移することが可能だった。
「大丈夫、すぐ近くに飛べるわ!」
一恵は普段からいろんな場所を積極的に歩き、ゲートでカバーできる範囲を増やしている。
送られてきた座標は関東地方のもので、それは一恵のテリトリーとも言えた。
「なお襲撃時、もうひとり魔法少女がいて現在応戦している模様。詳細は不明だが、協力して当たってくれ。……気を付けてな」
「はい!」
現場は東京湾内の埋め立て地、そこにある海浜公園だった。
一恵はそこで野外コンサートをやったことがあるらしい。
さすがはHitoe、というところか。
緊急事態ゆえに目撃者が出ることはやむなし、という方針だった。
夜中に人通りがあまりない場所とは言え、もしゲート付近に誰かいたらさぞや驚いたことだろう。
突然開いた銀色の円盤から、艶やかなコスチュームに身を包んだ五人の魔法少女たちが飛び出して来る。
移動の間にそらが、精神連携で情報を共有してくれた。
佐々木咲沙は隠密行動に特化した能力を持つ魔法少女である。
姿を隠しての戦闘も得意で、A級の判定を受けている。
彼女はその特性を生かして調査、潜入任務を得意としている。
今回はコンテナターミナルでの調査をしていたらしい。
よく短時間でそれだけの情報を引き出してくるものだと白音は感服する。
それにマインドリンクを使うので情報の伝達にも時間は掛からない。
報せを受けて、変身して、海浜公園へ到達する、五分もかかっていないと思うのだが、そらはその間にすべてのことをやってのけていた。
[状況から考えれば、海外への異世界関連技術の持ち出しを調査していたのかも]
そらの言葉が、白音の頭の中へと送り込まれてくる。
[計画的に襲っていたとして、隠密調査してる人の居場所突き止めるなんてどうやって……]
白音の言葉も思考するだけで瞬時にそらへと届いている。
[私が今やったようにやれば、簡単に調べられるの]
[それは……そう、なんだけどね?]
確かにそらには簡単かもしれない。
他にも同じようなことができる魔法少女がいるのだろうか。
情報が漏れているのは確かなようだが、魔法や特殊な能力を勘案すれば、あまり常識に基づいた推理の仕方は意味をなさないのかもしれないと白音は思った。
海浜公園は『公園』と名がつくものの、まだ開発の進んでいない埋め立て地である。
深夜のそんな場所に、人気は皆無だった。
やはり襲撃者の側も、人目を避けられる場所、タイミングを選んで襲っているのだろうと感じられる。
五人で夜の遊歩道を駆けていく。
速度はそらと莉美の全力に合わせている。
相変わらず莉美が黄金色に輝いているので、足下がよく見えて走りやすい。
しかしその分目立ってしょうがない。
誰も見ていないことを願うばかりだ。
救援要請が発信された地点へと近づくと、上空に飛んでいる人影が見えた。
フード付きの黒いローブを身に纏い、ほうきに跨がった魔女が飛んでいる。
羽多瑠奏だった。
人形遣いの時に共闘した魔法少女だ。
襲撃者に応戦している、とリンクスが言っていたのが彼女だろう。
彼女を目印にして駆け寄ると、その直下に人が倒れているのを発見した。
時代劇や漫画で見るような黒い忍び装束を身につけている。
装束のせいで性別までは確認できないが、それが『くノ一』で間違いないだろう。
大量に出血しているらしく周囲には血溜まりができていて、身動きする様子もない。
そのくノ一に巫女装束の魔法少女が近づこうとしていた。
瑠奏はそれを阻止すべく、上空からふたりの間に石弾のようなものを振らせているのだ。
ふと、巫女が立ち止まると、上空を見上げた。
彼女はやはり狐面を付けているので顔を覗うことはできないのだが、瑠奏は不穏な空気を察知したらしく少し高度を上げた。
巫女は、先に邪魔な障害を排除することに決めたようだった。
自分の周囲に氷柱のようなものを大量に発生させ、それを瑠奏目がけて射出した。
「無理無理無理…………!」
自分に迫り来る氷柱の大群を見て、瑠奏は叫び声を上げた。
白音が目覚めると、何故かそらを抱きかかえていた。
抱き枕にはちょうどいいサイズだった。
温度設定が高めとは言え、エアコンの効いた部屋で寝るのは白音には少々肌寒い。
おかげでそらを快適に抱きしめて目覚められたのだが、いつ潜り込んできたのかまったく気づかなかった。
神がかりのフィット感である。
昼の間はみんなで買い物に出かけたり、勉強会などをして過ごす。
勉強会の方は露骨に嫌がる者が若干名いたが、「この任務が終わったらみんなで羽目を外しましょう」「そのために今のうちに宿題を片付けましょう」と人参をぶら下げると、素直に頑張っていた。
日中はそらも予測したとおり、特には何も起こらなかった。
念のため魔法少女ギルドのギルドマスター、リンクスとビデオ通話で状況の確認をしておく。
しかしそちらにも何も情報は入っておらず、事件も起きてはいないとのことだった。
リンクスはアジトに『チーム白音』が五人とも揃っていることに少々驚いていた。
「君たちの行動力にはいつも感服させられるよ。心強い。よろしく頼む」
◇
その日の夜は、そらがクリームシチューを作ってくれた。
そらが莉美に料理の手ほどきを頼んだので、つきっきりの料理教室が開催されていた。
そらが「基礎から技術を向上させたい」と言うので、白音、佳奈、一恵の三人もほとんど手を出していない。
「これをクリアすると、カレーの段もクリアしたことになるらしいの」
そんな風に言いながら、そらができあがった夕食を食卓に並べていく。
なるほど確かにルゥや香辛料、調味料をアレンジすればカレーやビーフシチュー、肉じゃがも作れるようになるだろう。
どうやら莉美はいい先生だったようだ。
シチューの他にも付け合わせの野菜やスープも用意されている。
野菜の切り方がやや不格好だったりもするが、そらがほとんどひとりで作ったものだと、何故か自慢げに莉美が言った。
食欲をそそる香りに期待感を煽られ、そらの初めての料理をみんなでわくわくして待っていた。
そしてひと口食べて、白音たちは感動した。
とても初めて作ったとは思えないほどの美味しさだった。
そらのような学究肌の人間にとって料理は理科実験のようなもの、と聞いたことがある。
変な自己流アレンジを加えて失敗しないので味が安定している。
さらに家庭料理を母親から叩き込まれている莉美の指導も相まって、初めてにしてもはや完成形と呼べる出来だ。
「パンで食べるシチューも美味しいね」
莉美がすました顔でシチューを味わっている。
「シチューにご飯なのはあんたとわたしだけでしょ。炊き忘れたくせに……。まあでも佳奈んちのバゲットはホント良く合うわ」
「白音、それバゲットじゃなくてパリジャンだよ。攻撃力150しかないだろ。バゲットは200くらいある」
パン屋の娘から訂正が入った。
なるほどそれは、剣術の得意な白音にとって有益な情報かもしれないと思う。
そして白音は、新たなパンの魅力を発見させてくれたことを莉美にも一応感謝する。
◇
夕食を食べ終えて待機任務という名の女子会をしていると、白音のスマホにリンクスから連絡が入った。
緊急時はいつでも出られるように、そちらに連絡して欲しいとお願いしてある。
スピーカーモードに切り替えて全員に聞かせるようにする。
「白音君、出動を要請する。ギルドメンバーの魔法少女から救援要請が来た。要請者は佐々木咲沙。しのび装束のくノ一だ」
「くノ一!」
思わずみんなで声を揃えてオウム返しする。
「みんな、そこ引っかかってる場合じゃない!」
だが白音が急かすまでもなく、全員が次々に魔法少女へと変身していく。
アジトが色とりどりの魔法の輝きに包まれた。
「他の行方不明事件との関連はまだ不明だが、何者かに襲撃されているらしい。位置情報を送った」
「了解しました。一恵ちゃん、行ける?」
一恵が転移ゲートで繋げられるのは、自身が知っていて認識できる場所に限られている。
もし事件の発生した場所が一恵の行けないような場所であれば、一旦もうひとりの転移能力者である桃澤千尋と合流して送ってもらわなければならない。
彼女ならば転移距離は短いものの、位置情報さえあれば転移することが可能だった。
「大丈夫、すぐ近くに飛べるわ!」
一恵は普段からいろんな場所を積極的に歩き、ゲートでカバーできる範囲を増やしている。
送られてきた座標は関東地方のもので、それは一恵のテリトリーとも言えた。
「なお襲撃時、もうひとり魔法少女がいて現在応戦している模様。詳細は不明だが、協力して当たってくれ。……気を付けてな」
「はい!」
現場は東京湾内の埋め立て地、そこにある海浜公園だった。
一恵はそこで野外コンサートをやったことがあるらしい。
さすがはHitoe、というところか。
緊急事態ゆえに目撃者が出ることはやむなし、という方針だった。
夜中に人通りがあまりない場所とは言え、もしゲート付近に誰かいたらさぞや驚いたことだろう。
突然開いた銀色の円盤から、艶やかなコスチュームに身を包んだ五人の魔法少女たちが飛び出して来る。
移動の間にそらが、精神連携で情報を共有してくれた。
佐々木咲沙は隠密行動に特化した能力を持つ魔法少女である。
姿を隠しての戦闘も得意で、A級の判定を受けている。
彼女はその特性を生かして調査、潜入任務を得意としている。
今回はコンテナターミナルでの調査をしていたらしい。
よく短時間でそれだけの情報を引き出してくるものだと白音は感服する。
それにマインドリンクを使うので情報の伝達にも時間は掛からない。
報せを受けて、変身して、海浜公園へ到達する、五分もかかっていないと思うのだが、そらはその間にすべてのことをやってのけていた。
[状況から考えれば、海外への異世界関連技術の持ち出しを調査していたのかも]
そらの言葉が、白音の頭の中へと送り込まれてくる。
[計画的に襲っていたとして、隠密調査してる人の居場所突き止めるなんてどうやって……]
白音の言葉も思考するだけで瞬時にそらへと届いている。
[私が今やったようにやれば、簡単に調べられるの]
[それは……そう、なんだけどね?]
確かにそらには簡単かもしれない。
他にも同じようなことができる魔法少女がいるのだろうか。
情報が漏れているのは確かなようだが、魔法や特殊な能力を勘案すれば、あまり常識に基づいた推理の仕方は意味をなさないのかもしれないと白音は思った。
海浜公園は『公園』と名がつくものの、まだ開発の進んでいない埋め立て地である。
深夜のそんな場所に、人気は皆無だった。
やはり襲撃者の側も、人目を避けられる場所、タイミングを選んで襲っているのだろうと感じられる。
五人で夜の遊歩道を駆けていく。
速度はそらと莉美の全力に合わせている。
相変わらず莉美が黄金色に輝いているので、足下がよく見えて走りやすい。
しかしその分目立ってしょうがない。
誰も見ていないことを願うばかりだ。
救援要請が発信された地点へと近づくと、上空に飛んでいる人影が見えた。
フード付きの黒いローブを身に纏い、ほうきに跨がった魔女が飛んでいる。
羽多瑠奏だった。
人形遣いの時に共闘した魔法少女だ。
襲撃者に応戦している、とリンクスが言っていたのが彼女だろう。
彼女を目印にして駆け寄ると、その直下に人が倒れているのを発見した。
時代劇や漫画で見るような黒い忍び装束を身につけている。
装束のせいで性別までは確認できないが、それが『くノ一』で間違いないだろう。
大量に出血しているらしく周囲には血溜まりができていて、身動きする様子もない。
そのくノ一に巫女装束の魔法少女が近づこうとしていた。
瑠奏はそれを阻止すべく、上空からふたりの間に石弾のようなものを振らせているのだ。
ふと、巫女が立ち止まると、上空を見上げた。
彼女はやはり狐面を付けているので顔を覗うことはできないのだが、瑠奏は不穏な空気を察知したらしく少し高度を上げた。
巫女は、先に邪魔な障害を排除することに決めたようだった。
自分の周囲に氷柱のようなものを大量に発生させ、それを瑠奏目がけて射出した。
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