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第2節 悪性に染まる悲惨
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PM 17:10 札幌駅南口 広場
突如として、少女が魔物になりそれの対処にあたる。
ラスティアが、『虚数空間』を展開してくれたおかげで、関係のない人々への被害が出る事はないだろう。
しかし、まさかこんな所でこのようなデカブツと会うなんて、自分でも予想外だ。
「ラスティア。『虚数空間』の解除はどのぐらいだ?」
「持って5分! それまでに倒さないと!」
「そのぐらいなら、行けるっしょ!!」
『虚数空間』は持って5分。それぐらいなら、どうにかなるだろう。
――――――――――――――――
『虚数空間』とは、魔術師が展開することができる現実と隔離された空間だ。
魔術院の誓約で、魔術の行使が激しくなる場合、その二次被害の防止策として、『虚数空間』の展開を命じられているのだ。
けど、自分の事にしか頭にない連中の集まりだが、そもそもこれを貼る奴なんてさほどいないわけだが。
ともかく、これを貼らないと、周囲の非魔術師に被害が出るので、魔術師はこれを貼れないといけない決まりである。
――――――――――――――――
それはともかく、今の私たちはこの魔物を倒さないといけない。
『虚数空間』が貼られている5分間のうちに、なんとかしないと。
明日香とラスティアは各々の魔具を展開し始める。私は、目の前の魔物の解析を開始する。
「蛇の下半身に、女の体……。『蛇怪女』か」
「蛇怪女? なんでこんなのが出てくるわけ?」
「あの女の子が、召喚の触媒にされたとか? だとしても、許されることではないです」
ラスティアは鞘を抜き、冷気を纏った大太刀を携える。蛇怪女は、ラスティアに6本の腕で攻撃する。
ラスティアはそれを避け、刀を振るう。
「『氷花 抜刀壱の方【吹雪】』!!」
フォォォォォ!!
ラスティアは、垂直に刀を振るう。すると、蛇怪女は右腕の辺りが凍りついた。
それと同時に、右腕ごと砕け散った。
「よし! これなら!」
安堵するラスティアだが、砕かれた部位はすぐに再生される。雄叫びをあげながら、蛇怪女は暴れ出す。
『虚数空間』の中は、暴れても現実のものには問題ないが、これ以上暴れられると埒が開かない。
「結構、気性が荒いね! なら、これならどう!?」
明日香は、亜空間から銃を二丁召喚する。そして、蛇怪女に向けて乱射する。
しかし、弾丸は弾かれてしまい、ダメージが効かない。
「こりゃ、ちょいと面倒だな……。魔力耐性がこんなに高いなんてね」
明日香は、蛇怪女の防御力にドン引きする。そして、より一層暴れ回る。
『虚数空間』が解かれるまで、後3分。あの2人でさえ手こずるあれを、どうするか。
「――――――――――!?」
よく観察すると、胸の辺りが光っていることを確認する。どうやら、あの女の子がコアとなって蛇怪女の魔力供給源になっていたようだ。
あそこを壊せば、行けるはずだ。そう思った私はコートに手を置く。
「変換しろ『グラム』!」
魔具を展開し、羽織っていたコートは大振りの剣に変貌する。
蛇怪女は、私の方に向き6本の腕で襲いかかる。一手一手を、私はグラムで受け流す。
これを見た2人は呆れながら見ていた。
「さすが姉さん。あんな攻撃を簡単に受け流すなんて……」
「相変わらずメチャクチャだな……。それならはじめから1人でよかったでしょうよ」
2人は、やれやれと思いながら援護に回る。明日香は銃で足を撃ち、ラスティアは冷気を放出して足元を凍らせる。
その隙を狙い、私は左腕にある『白の色素』を展開し、魔術を唱える。
「『三重術式 上級展開・『白炎』』!」
左に白い炎を宿し、それをグラムに付与する。ラスティアが作った氷の高台に駆け上がる。
そして、蛇怪女の胸部に向けて垂直に斬った。
「明日香! 頼んだ!!」
「OK! 『投影術式 英霊武具召喚 橙『冷艶鋸』』!!」
明日香は、偃月刀を持ち、氷に高台を駆け上り私が斬ったところと同じ箇所を斬る。
亀裂が入った箇所を思いっきり斬り、コアが破壊された。
女の子が落ちていき、それをラスティアが受け止める。それと同時に、蛇怪女が消滅していった。
「ラスティア。その子の容態は?」
「気を失ってるみたい。幸い命に別状は無いと思う」
私たちは、安堵する。それと同時に、『虚数空間』も消えていった。
「お嬢さん! 大丈夫か?」
五十嵐さんと望月さんが駆けつけてきた。どうやら、別の誰かが通報したらしい。
「五十嵐さん。えぇ、なんとか」
「大事には至らなくてよかったですよ。自爆テロの可能性が出てきて焦りました」
「その子が実行犯か?」
「恐らくは、魔術によって操れていた可能性があります。あの学生と同類かと」
私たちが考察をしていると、女の子が目覚めた。すると、目覚めてすぐに、パニックを起こした。
「お願い!! 早く殺して!! じゃないと、爆弾が爆発するの!!」
「どういうこと? 爆弾は壊したからもう大丈夫じゃ」
明日香がそういうと、女の子を首を振った。
「違うの! あれは偽物で、本物は――――――」
五十嵐さんは、何かを察し大声で叫ぶ。
「その子から離れろ!! 今すぐに!!」
私たちは、すぐに離れる。それを聞いた周りの人間も逃げる。
「ラスティア! 壁を!!」
「うん! 『二重術式 造形術式 氷塊造形【城壁】』!!」
女の子の周りを、氷の城壁で囲う。だが、氷の城壁の中に、小さな女の子が取り残されそうになる。
私は、その子を助けに向かう。だが、五十嵐さんは私を押し倒しその子の救出に向かった。
小さな女の子を庇う形で、五十嵐さんはその子を守る。
氷の城壁が周囲を囲ったその時――――――――――――
ドガァァァァァァン!!!
女の子は、爆散してしまった。氷の城壁に付着する肉片と骨の欠片。
そして、噴出する血と散り散りになる臓器。爆風が晴れると、あの女の子だったものと背中が酷い事になってる五十嵐さんが現れる。
「五十嵐さん!!」っと駆け寄る望月さん。氷の城壁は砕け、私も駆け寄る。
疲弊したラスティアを、明日香は寄りかかる。
「もち……づき……。バカ……来るんじゃねぇよ……」
「五十嵐さん!! しっかりしてください!!」
「悪りぃな……。もう俺は……ダメらしい……」
「そんなこと言わないで下さい!! 諦めないでください!!」
望月さんは、泣きながら五十嵐さんの腕を握る。
五十嵐さんは、瀕死のまま私の方を見る。
「お嬢さん……こいつを……後のことを……頼んでいいか……」
「えぇ。後は、私に。五十嵐さんはもう休んで」
「あぁ……。頼んだぞ……」
五十嵐さんの腕は、握る力が無くそのまま地に下がる。
「五十嵐さァァァァァん!!」
望月さんは叫ぶ。私は、五十嵐さんの腕を握ってた手を握る。
煮え切らない怒りと、この時でも涙が出ない自分に、怒りで我を忘れそうになるが、明日香とラスティアが宥める。
その後、救急車で運ばれた病院で、五十嵐さんは帰らぬ人となったのだった。
突如として、少女が魔物になりそれの対処にあたる。
ラスティアが、『虚数空間』を展開してくれたおかげで、関係のない人々への被害が出る事はないだろう。
しかし、まさかこんな所でこのようなデカブツと会うなんて、自分でも予想外だ。
「ラスティア。『虚数空間』の解除はどのぐらいだ?」
「持って5分! それまでに倒さないと!」
「そのぐらいなら、行けるっしょ!!」
『虚数空間』は持って5分。それぐらいなら、どうにかなるだろう。
――――――――――――――――
『虚数空間』とは、魔術師が展開することができる現実と隔離された空間だ。
魔術院の誓約で、魔術の行使が激しくなる場合、その二次被害の防止策として、『虚数空間』の展開を命じられているのだ。
けど、自分の事にしか頭にない連中の集まりだが、そもそもこれを貼る奴なんてさほどいないわけだが。
ともかく、これを貼らないと、周囲の非魔術師に被害が出るので、魔術師はこれを貼れないといけない決まりである。
――――――――――――――――
それはともかく、今の私たちはこの魔物を倒さないといけない。
『虚数空間』が貼られている5分間のうちに、なんとかしないと。
明日香とラスティアは各々の魔具を展開し始める。私は、目の前の魔物の解析を開始する。
「蛇の下半身に、女の体……。『蛇怪女』か」
「蛇怪女? なんでこんなのが出てくるわけ?」
「あの女の子が、召喚の触媒にされたとか? だとしても、許されることではないです」
ラスティアは鞘を抜き、冷気を纏った大太刀を携える。蛇怪女は、ラスティアに6本の腕で攻撃する。
ラスティアはそれを避け、刀を振るう。
「『氷花 抜刀壱の方【吹雪】』!!」
フォォォォォ!!
ラスティアは、垂直に刀を振るう。すると、蛇怪女は右腕の辺りが凍りついた。
それと同時に、右腕ごと砕け散った。
「よし! これなら!」
安堵するラスティアだが、砕かれた部位はすぐに再生される。雄叫びをあげながら、蛇怪女は暴れ出す。
『虚数空間』の中は、暴れても現実のものには問題ないが、これ以上暴れられると埒が開かない。
「結構、気性が荒いね! なら、これならどう!?」
明日香は、亜空間から銃を二丁召喚する。そして、蛇怪女に向けて乱射する。
しかし、弾丸は弾かれてしまい、ダメージが効かない。
「こりゃ、ちょいと面倒だな……。魔力耐性がこんなに高いなんてね」
明日香は、蛇怪女の防御力にドン引きする。そして、より一層暴れ回る。
『虚数空間』が解かれるまで、後3分。あの2人でさえ手こずるあれを、どうするか。
「――――――――――!?」
よく観察すると、胸の辺りが光っていることを確認する。どうやら、あの女の子がコアとなって蛇怪女の魔力供給源になっていたようだ。
あそこを壊せば、行けるはずだ。そう思った私はコートに手を置く。
「変換しろ『グラム』!」
魔具を展開し、羽織っていたコートは大振りの剣に変貌する。
蛇怪女は、私の方に向き6本の腕で襲いかかる。一手一手を、私はグラムで受け流す。
これを見た2人は呆れながら見ていた。
「さすが姉さん。あんな攻撃を簡単に受け流すなんて……」
「相変わらずメチャクチャだな……。それならはじめから1人でよかったでしょうよ」
2人は、やれやれと思いながら援護に回る。明日香は銃で足を撃ち、ラスティアは冷気を放出して足元を凍らせる。
その隙を狙い、私は左腕にある『白の色素』を展開し、魔術を唱える。
「『三重術式 上級展開・『白炎』』!」
左に白い炎を宿し、それをグラムに付与する。ラスティアが作った氷の高台に駆け上がる。
そして、蛇怪女の胸部に向けて垂直に斬った。
「明日香! 頼んだ!!」
「OK! 『投影術式 英霊武具召喚 橙『冷艶鋸』』!!」
明日香は、偃月刀を持ち、氷に高台を駆け上り私が斬ったところと同じ箇所を斬る。
亀裂が入った箇所を思いっきり斬り、コアが破壊された。
女の子が落ちていき、それをラスティアが受け止める。それと同時に、蛇怪女が消滅していった。
「ラスティア。その子の容態は?」
「気を失ってるみたい。幸い命に別状は無いと思う」
私たちは、安堵する。それと同時に、『虚数空間』も消えていった。
「お嬢さん! 大丈夫か?」
五十嵐さんと望月さんが駆けつけてきた。どうやら、別の誰かが通報したらしい。
「五十嵐さん。えぇ、なんとか」
「大事には至らなくてよかったですよ。自爆テロの可能性が出てきて焦りました」
「その子が実行犯か?」
「恐らくは、魔術によって操れていた可能性があります。あの学生と同類かと」
私たちが考察をしていると、女の子が目覚めた。すると、目覚めてすぐに、パニックを起こした。
「お願い!! 早く殺して!! じゃないと、爆弾が爆発するの!!」
「どういうこと? 爆弾は壊したからもう大丈夫じゃ」
明日香がそういうと、女の子を首を振った。
「違うの! あれは偽物で、本物は――――――」
五十嵐さんは、何かを察し大声で叫ぶ。
「その子から離れろ!! 今すぐに!!」
私たちは、すぐに離れる。それを聞いた周りの人間も逃げる。
「ラスティア! 壁を!!」
「うん! 『二重術式 造形術式 氷塊造形【城壁】』!!」
女の子の周りを、氷の城壁で囲う。だが、氷の城壁の中に、小さな女の子が取り残されそうになる。
私は、その子を助けに向かう。だが、五十嵐さんは私を押し倒しその子の救出に向かった。
小さな女の子を庇う形で、五十嵐さんはその子を守る。
氷の城壁が周囲を囲ったその時――――――――――――
ドガァァァァァァン!!!
女の子は、爆散してしまった。氷の城壁に付着する肉片と骨の欠片。
そして、噴出する血と散り散りになる臓器。爆風が晴れると、あの女の子だったものと背中が酷い事になってる五十嵐さんが現れる。
「五十嵐さん!!」っと駆け寄る望月さん。氷の城壁は砕け、私も駆け寄る。
疲弊したラスティアを、明日香は寄りかかる。
「もち……づき……。バカ……来るんじゃねぇよ……」
「五十嵐さん!! しっかりしてください!!」
「悪りぃな……。もう俺は……ダメらしい……」
「そんなこと言わないで下さい!! 諦めないでください!!」
望月さんは、泣きながら五十嵐さんの腕を握る。
五十嵐さんは、瀕死のまま私の方を見る。
「お嬢さん……こいつを……後のことを……頼んでいいか……」
「えぇ。後は、私に。五十嵐さんはもう休んで」
「あぁ……。頼んだぞ……」
五十嵐さんの腕は、握る力が無くそのまま地に下がる。
「五十嵐さァァァァァん!!」
望月さんは叫ぶ。私は、五十嵐さんの腕を握ってた手を握る。
煮え切らない怒りと、この時でも涙が出ない自分に、怒りで我を忘れそうになるが、明日香とラスティアが宥める。
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