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その女神、悦楽
女神の饗宴(3)
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彼女はずっと笑っていた。実に楽しそうに笑っていた。息は上がり、自らの血と刺客たちの血でドレスは汚れ、切り裂かれたドレスは無残。
「戦女神……」
その姿を見て、セルゲイは思わず呟いた。
そんな彼の横を弾丸が通り過ぎた。
「貴方、最後私がいなければ死んでいましたよ」
クロウに囁かれ、我に返った。
死体の中に彼女は佇んでいた。そして、何度も何度もそれを力いっぱい踏みつけた。クロウらが止めに行く。トリスタンがアッシュの肩をもち、こちらに向かせると、彼女に表情はなかった。表情のない顔には涙がとめどなく流れていた。しかし、その涙の意味を誰も知らない。
彼女の持っていたダガーが振るわれた。それはトリスタンたちを狙っていた。
「おい!やめろアッシュ!」
「目を!覚ませ!」
しかし、誰の声も届いていない。殺戮人形のように振るわれ続ける。
カーライルがようやく動いた。彼は彼女の前に立つと抱いた。だが、それは同時に彼が深い傷を負うことになった。ダガーがメリメリと突き刺さる。軽く呻きが漏れる。
「ってぇなぁ」
「カーライル、貴方」
「うるせぇな」
カーライルはアッシュの耳元で囁いた。
「おい、起きろ坊主」
アッシュが足元から崩れたのが見て取れた。完全に脱力しているそれを抱き上げる。
「目ぇ覚めたか」
目に光の戻ったアッシュに、彼女にしか聞こえないくらいの声で聞く。
「わかんない」
それに同じくらい小さな声で返事をした。
抱かれたアッシュのもとに集まる。彼女のうつろな表情はあまり変わらないが、目が戻っているのは分かった。
「大丈夫ですか?」
「おい、なんか返事してくれよ」
不安な彼らはアッシュの声が聴きたかった。声を聴けば少しは自分が安心できる気がした。
しかし、彼女の反応は乏しい。ぐったりとしたまま、目がセルゲイを捕えた。
「大丈夫か?」
かろうじてそれだけが口から出た言葉だった。
「疲れた」
かすれた声小さな声でつぶやくと、カーライルの胸に自分の顔をうずめた。
「てことだから、俺らは地下牢に戻るわ」
「ちょっと待ちなさい!カーライル貴方もけがを」
クロウが呼び止めるが、彼は振り向くことなく歩き続ける。
「後処理は頼んだからなぁ」
いつもの呑気な声でそれだけ言うと、暗がりに消えて行った。
「戦女神……」
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そんな彼の横を弾丸が通り過ぎた。
「貴方、最後私がいなければ死んでいましたよ」
クロウに囁かれ、我に返った。
死体の中に彼女は佇んでいた。そして、何度も何度もそれを力いっぱい踏みつけた。クロウらが止めに行く。トリスタンがアッシュの肩をもち、こちらに向かせると、彼女に表情はなかった。表情のない顔には涙がとめどなく流れていた。しかし、その涙の意味を誰も知らない。
彼女の持っていたダガーが振るわれた。それはトリスタンたちを狙っていた。
「おい!やめろアッシュ!」
「目を!覚ませ!」
しかし、誰の声も届いていない。殺戮人形のように振るわれ続ける。
カーライルがようやく動いた。彼は彼女の前に立つと抱いた。だが、それは同時に彼が深い傷を負うことになった。ダガーがメリメリと突き刺さる。軽く呻きが漏れる。
「ってぇなぁ」
「カーライル、貴方」
「うるせぇな」
カーライルはアッシュの耳元で囁いた。
「おい、起きろ坊主」
アッシュが足元から崩れたのが見て取れた。完全に脱力しているそれを抱き上げる。
「目ぇ覚めたか」
目に光の戻ったアッシュに、彼女にしか聞こえないくらいの声で聞く。
「わかんない」
それに同じくらい小さな声で返事をした。
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