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第百二十七章
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第百二十七章
旅の一行は荷馬車隊とともにメル族隊商の商館へ入った。
隊商の商館と言うのは単なる建物の名でなく物資の集積場を指し、馬屋や宿泊施設、住居などを備えた第二の宿駅とも言うべきものだ。大きな町の近くや街道の交差する場所に設けられることが多い。
商館を建設したのはメル族だが、利用者は様々でナホ族の豪農やカナ族の商人などは商館の敷地内に広壮な宿舎や出張所を構えることもある。商館はメル族のためにだけあるのでなく王国の民が多く利用する交易所だ。
人間の身体にたとえるなら、街道は血管、商館は心臓ということになるだろう。ただし、この心臓は一つでなく王国中に幾つもある。その最も大きな心臓は言うまでもなく王都にあった。今は跡形もなかろうが。
街道や宿駅が無事ならば、こうした商館は王国の至る所にあって活況を呈しているはずだが、今はほとんど人も馬も失せて、多くは廃墟になりかけていた。そんな荒れ果てた商館の跡は一行も道中、何度か目にしていた。
しかし、今、一行が馬を乗り入れたこの場所は予想外の活気に満ちあふれていた。
多くの馬車が集まり、荷下ろし、荷積みに大勢の者たちが働いている。男も女もいて、皆、陽気に声をかけ合い、盛んに行き来して荷さばきに多忙を極めている。
おそらくはナホ族の土地から来たのだろう農作物の山があり、家畜の柵の中にはテン族の土地で見たような太った羊が数え切れないほど囲われていた。
驚いたのはスナ族の島で見たオレンジが箱詰めされて出荷を待っていたことだった。御者に尋ねると、オレンジ一個が町では金貨一枚の価値があるという。
「何だって、金貨一枚だと。あの一箱でひと財産ではないか。島ではいくらでも取り放題だったのに」
カラゲルが呆れた声を上げた。御者が言った。
「金持ちが住む優民街の宿屋ではもっとすることもあるよ。しかし、あんた、島へ行ったことがあるのかい。えらい辺境だというが、そんなところへ何しに行っていたんだね」
「何しにということもないが、里帰りに付き合ったのだ。実にいいところだった。夢でも見ているようだった」
「そんなにいいところなら、ずっとそこにいたらよかったのに。悪いことは言わねえ、鉱山なんかへ行くのはよしなよ」
カラゲルは軽くかぶりを振った。
「夢ばかり見ているわけにはいかない。寝ている間に王国中が真っ暗闇になってしまったら、目が覚めても寝てるんだか起きてるんだか分からなくなってしまうだろう」
「鉱山のどん底で死んだ奴らは生きてても真っ暗闇、死んでも真っ暗闇だったろうぜ」
その時、一行の馬へ駆け寄ってきた者がいた。
「お待ちください、旅のお方。どうか、お待ちを」
男は手を上げて一行を制止した。荷馬車は一行を置いて先へ進んで行った。
「ブルクット族のお方。私を覚えていらっしゃいませんか」
男の黒い上着は金糸の縁取りのある立派なものだった。ところどころに砂ぼこりの汚れがあり、靴も汚れているのは、皆と一緒に荷さばきの仕事をしているからだろうが、明らかに他の者たちとは風体が違っていた。
「ほら、王都近くの宿駅。酒場でお会いしたでしょう。あの時はセレチェン様がご一緒で……」
たちまちカラゲルの記憶は蘇った。
ブルクット族の村を出て王都へ向かう道すがら、セレチェン、クランと共に宿駅の酒場へ立ち寄った。その時、セレチェンに声をかけてきた者がいた。その者はセレチェンの息子であるコルウスのことを尋ねた。確かカナ族の商人だったはずだ。
「そうか、あの時の……ゲッティ……そうだ、お前がゲッティだ。思い出した」
御者に聞いた名前と記憶とが、ここでようやく合致した。
「覚えていらっしゃいましたか。セレチェン様はどうしていらっしゃいます。ご無事ですか」
「いや、セレチェンは死んだ。王都であの災厄の真っ最中に。部族の戦士として勇壮な最期だった」
ゲッティは落胆した表情で嘆きの声をもらした。
「何と、そうでしたか。おいたわしいこと。王国は英雄を失った……そうだ、鷲を連れた女の方もいらっしゃったでしょう」
カラゲルは親指を立て、後ろを指した。
「それなら、そこにいるぜ」
ゲッティはミアレ姫、ユーグ、そして、クランへ目をやり、それぞれに会釈した。
「いいえ、違います。ほら、いらしたでしょう。女性とはいえ、屈強の戦士のような逞しいお方で、腕に鷲を載せて酒場へ入っていらした……」
「クラン、ゲッティは鷲を見たいらしいぞ」
クランは甲高い声でオローを呼んだ。
「フーウィーッ!」
あたりで作業していた者たちが驚いて顔を上げ、馬にまたがった風変わりなシャーマンへ目を向けた。
空高くからオローが舞い降りてクランの腕に止まった。袖から垂れたビーズの房飾りが揺れて軽く乾いた音をたてた。
ゲッティは驚きの表情になった。
「まさか……この方があの時の……」
今は片方しかないクランの目。その抜けるような青空に似た瞳を見て、ゲッティの記憶は蘇った。
カラゲルは言った。
「セレチェンの魂はクランの剣の中にある。シャーマンに導いてもらったのだ」
「おお、そして、ご自身もシャーマンとなられたのか。不思議な運命だ。しかし、こんなご時世だと何が起こってもおかしくはない。さあ皆さん、むさくるしいところですが私の宿舎へおいでください」
ゲッティの宿舎はがっちりした石造二階建ての建物だった。一階はすべて馬屋になっていて、さっきの荷馬車隊の御者が馬に水を飲ませていた。建物の前には広々とした荷さばき場があり、商館内でも特に規模の大きなものと見えた。
ゲッティの執務室はその二階にあった。机と椅子、それに来客用の長椅子。壁際に伝票と帳簿を納める戸棚。無駄な装飾などは一切ない。部屋の隅ではまだ十代半ばと見える少年が机に向かって何やら帳簿へ書き写している。
ここはこの商館へ物資の買付けに来た時のための出張所のようなものだった。
ここでゲッティは我がカナ族のためにメル族から買付けを行うのだ。あらゆる物資には変動する相場があり、また、個々の価格交渉も必要だ。生き馬の目を抜く取引がここで行われていた。
カラゲルが部屋の中を見回して言った。
「ゲッティよ、俺たちをここへ案内してくれた荷馬車の御者はお前のことをカナ族でも一、二を争う金持ちだと言っていたぞ。それにしては質素な宿舎だな」
「私の宿舎など立派にしても無意味です。それより、荷さばきの設備を整え、働く者たちにちゃんとした給料を払ってやることが大事です」
ゲッティは窓の下へ目をやった。
馬を曳いて出て行く者、梱包された荷を荷車に載せている者、あちこち走り回って荷札を確認する者。たくさんの者たちが忙しげに行き来するのが見える。
子供たちもいた。馬屋の前に群がって馬の鞍に止まっているオローをこわごわ見上げている。この地では鷲をこんなに間近に見ることはめったにないことだ。
「あの者たちはちゃんと扱ってやれば一生懸命に働いてくれる。我らカナ族や隊商を率いるメル族のことを強欲だの何だのと言う者があるようですが、決してそんなつもりはないのです。世の中の富を増やし、働けば働いただけのものをもらえる、それが当たり前の世の中であるべきだと思うのです」
「そうか、言う事は分かるが、俺などは食って寝ることができればそれでいいと思うがな。草原を見てみろ、生きていくに十分なものはあるはずだ」
カラゲルは窓枠に座って商館の周囲に広がる平原に目を向けた。カラゲルの言う草原などはどこにもなく、このあたりの土地は荒れ果てて乾ききっているようだった。今、たどってきた街道の向こうにもうもうと砂塵が巻き上がるのが見えた。
部屋の隅から少年が振り返って声をかけた。
「ゲッティさん、お客さんにお茶をお出ししましょうか」
旅の一行へ会釈する少年の目に賢そうな光があった。
顔に刺青のある男、片目のシャーマン、それに、フードを深く被ったままの女と初老の男。少年は風変わりな来客に素早く視線を走らせた。
「いや、いい。私が自分でやるから。お前は、いま入ってきた荷の数合わせに行って来ておくれ」
少年は帳簿を閉じて階段を駆け下りて行った。腰帯に筆記具と帳面をはさんだ姿はまったく大人と変わらなかった。
ゲッティは一行に来客用の長椅子に座るように勧めた。手ずから茶の用意をしながらゲッティは言った。
「あの子は王都からの難民でしてね。父親は王宮で財政の仕事をしていた役人らしいのですが、あの騒動の時、祭りの広場で両親とはぐれて、それっきりだと言うのです」
ゲッティの淹れてくれた茶は独特の渋味があった。これは街道を遠く運ばれてきた発酵茶なのだった。
「なかなか賢い子で父親に習った算術ができます。危うく鉱山へ送られそうになっていたのを拾ってやったのです」
茶をすすったカラゲルは苦い顔になった。
「難民が働く鉱山というのはひどいところらしいな。地獄だとか」
「誰がそんなことを言ったのか知りませんが、それは事実です」
ゲッティは最初は鉱山へ生活用品などを納入する小さな元手の雑貨商だった。
誰にも言わないが、その頃はかなり荒っぽいやり方もしていた。街道のならず者から素性の知れぬ品物を安く買い叩いたこともある。輸送途中で事故があって荷が届かないと嘘をついて、共同出資者の取り分を丸々掠め取ったこともあった。
常民街の貧民から身を起こして、ひとかどの者と目されるようになるには、そのくらいはやってのけねばならない。今では、ゲッティはメル族の隊商と組んで部族一の大商人に成り上がっていた。
そんな男が心を入れ替えるようになったのは、闇の王の災厄で命拾いをして後のことだった。
かねがね自分のような男は金は残しても、ロクな死に方はしないはずと思っていたのに、どうにかこうにか王都から逃れることができた。これは神々か精霊か知らぬが、世のため人のために生きるように言われているのではないかと考えを改めたのだ。
「ご承知のように我が部族は王国中のならず者を囚人として預かり、それを囚人鉱山で働かせていたのです。闇の王の災厄からこのかた、それが囚人から難民に変わったわけで、最も危険で環境の悪いところへ難民たちは押し込められています」
「飯を食わせてもらえるだけ有り難いと思えと、そういうわけか」
「そうです。しかし、そんな考えが許されるものでしょうか」
ゲッティは義憤にかられたらしかった。
「囚人どもならば罪を犯した者の罪滅ぼしということでしょうが、難民たちに何の罪があるというのです。私も王都では災難に遭った。どうにかしてやりたいと思うが、私のような成り上がり者の意見など部族の主だった人たちは聞いてくれないのです」
「それで代わりにあの子供を面倒見ているわけだな」
ゲッティは改めて旅の一行の顔を見回した。
カラゲルとクランはともかく、残りの二人、初老の男と若い女は何者だろうか。フードからのぞく横顔はいくらか日焼けもしているが、その顔つきは高貴で、荒々しい草原の戦士ブルクット族の連れには見えない。
「ところで皆さんはどうして旅をしていらっしゃるのです」
それまで一人でゲッティの話の相手をしていたカラゲルは横目でユーグへ目配せした。
「おい、この男なら大丈夫ではないのか」
ユーグがミアレ姫へ目顔でお伺いを立てると、姫は軽くうなずいた。二人はフードを下ろし、ゲッティに向かって改めて会釈をした。
カラゲルが王家の師傅ユーグと王の血脈ミアレ姫の身分を明かすと、ゲッティは思わず席から立ち上がり、床にひざまずきそうになった。
カラゲルはそれを手で制した。
「よせよせ、そんなことは。俺たちは行った先々で憐れみをかけてもらわなくてはならない、みじめな浮浪者の一行さ」
ユーグが苦笑いした。
「みじめとまで言うかお前は。そこまで落ちてはいないだろう」
「だってそうだろう。王国中をあっちへふらふら、こっちへふらふらとさ」
ミアレ姫がきっぱりと言った。
「ふらふらしていても、行き着くべきところは分かっています。闇の王を追い払い、王都を奪い返し、王国を浄めるのです」
カラゲルはかぶりを振って言った。
「そのために鉱山で働かされている難民を助けるのか。ひとまず難民のことは置いておいて、王都奪還のためにカナ族の軍勢を動かす算段をするのがいいのではないのか。今なら王国の各部族に触れを出せば、誰もが馬を駆って合流するはずだ」
「カラゲル、闇の王を剣や槍で倒すことができると思っているのですか。その前に王国の聖地を浄化し、精霊の加護を取り戻す必要があるはずです」
「しかし、それと鉱山の難民たちとどうつながるのだ」
クランが静かに口をはさんだ。
「我らがこの地へ来たのは何かを為すためではない。我らは導かれているのだ。ここへ来ることを決めたのが、姫であれ、誰であれ、すでに我らは人の意思で動いているのではない」
ユーグがうなずいた。
「ことは難民鉱山の問題だけではない。この地へ王の血脈が来たことによって何が起こるか、我らは慎重に見極めねばならないのだ。ゲッティよ、カナ族の町へ入りたいと思うがどうだろう」
「それならば、ひとまず私の屋敷へお連れしましょう。こんなことは部族の民として言いたくないが、長老のジルコン様には何かと怪しい動きがある様子。いきなり宮殿へおいでになるのはお勧めしません。難民鉱山などもってのほかです」
席を立ったカラゲルはまた窓枠に座って外を眺めた。どうもこの石造りの部屋は息が詰まる。草原で馬を飛ばしていた頃が懐かしい。
「また姫さまをどこかへ連れて行かれたりしたらたまらんからな。カナ族の宮殿を見たことはないが、きっと、どえらいのを建てているのだろう。そんなところへ助けに行くのは一苦労だ……おおい、そこの子供、鷲に手を出すな。指を食いちぎられるぞ」
声をかけられた子供たちは、わあっと叫びながら走り去った。笑いながらそれを眺めていたカラゲルは、おやという顔になった。
「あの男は確か……おい、ゲッティ、あそこにいるのはあの時の『紳士』ではないのか」
ゲッティは窓から外を見てうなずいた。
「おお、そうです。あれこそメル族の豪商オットーです。この商館を取り仕切っているのはあの男ですよ。私と一緒に街道と宿駅の復活のため尽力しているのです。そうだ、話に聞きましたが、オットーの命を救ったのは皆さまではないのですか」
「そうとも。もっとも、あれはサンペ族の狩人ナンガの手柄だ。頼れる男さ」
かつて王都を逃れた一行は宿駅で闇の蛇に足を食われた男を助けた。ナンガがナイフで傷口を開き、蛇を摘出したのだ。カラゲルはあの時のきつい硫黄の臭いが忘れられなかった。
ゲッティが大声でオットーを呼んだ。やがて、階段に何かを叩きつけるような音がしてオットーが姿を見せた。
オットーは部屋の中にいるミアレ姫の顔を見るなり、その場にひざまずこうとしたが、よろけて床に手をついた。
あの時、ナンガのナイフによって闇の蛇は摘出されたが、その後、オットーは片脚を失うことになった。今は膝から下に義足をつけているのだった。
ミアレ姫が駆け寄ってオットーに手を貸した。オットーはミアレ姫の顔を見上げて涙をこぼした。
「姫さま、よくぞご無事で。私は姫さまのおかげで命拾いをしたのです」
「私はたいしたことはしませんでした。あなたを救ったのはサンペ族のナンガの処置が良かったからです」
その処置が行われていた時、オットーは高熱でなかば意識を失っていた。その後もしばらくは朦朧とした状態だったが、回復した時に宿駅の者に教えられたのだ。オットーを救ったのは王の血脈の一行だったと。
ユーグも手を貸してオットーは立ち上がった。
「うむ、片脚をなくしたか。しかし、命が助かっただけ良しとせねばな。多くの者が王都の災厄で命を落としたのだ」
カラゲルはクランの肩を叩いて言った。
「おい、クランよ。お前はあの時、どこかへ行っていなかったが大変だったのだぞ。すごい悲鳴を上げてな。もっとも、あれでは俺だって泣き叫んだだろう」
「私は馬を追いかけていたのだ。姫の白馬をな」
「そうだったかな。ずいぶん昔のことのような気がする。それにしても、よくできた義足だ。窓の下にいるのを見た時は足をひきずっているのに気が付かなかった」
ゲッティが深刻な顔つきでうなずいた。
「我がカナ族は義足や義手の技術に長けています。悲しいことに鉱山で足や腕を失う者が多いからです」
「なんてことだ。我がブルクット族なんかよりカナ族はずっと『進んでいる』というわけだ」
オットーが義足をゴトリと鳴らすと、旅の一行に向かって言った。
「私は脚を失いましたが、その代わりにもっと大事なものを得ました。姫さま、私は私ひとりの欲のためにでなく王国のために尽くすつもりです。そのためなら残りの脚も腕も、いいえ、この命だって捧げましょう」
旅の一行は荷馬車隊とともにメル族隊商の商館へ入った。
隊商の商館と言うのは単なる建物の名でなく物資の集積場を指し、馬屋や宿泊施設、住居などを備えた第二の宿駅とも言うべきものだ。大きな町の近くや街道の交差する場所に設けられることが多い。
商館を建設したのはメル族だが、利用者は様々でナホ族の豪農やカナ族の商人などは商館の敷地内に広壮な宿舎や出張所を構えることもある。商館はメル族のためにだけあるのでなく王国の民が多く利用する交易所だ。
人間の身体にたとえるなら、街道は血管、商館は心臓ということになるだろう。ただし、この心臓は一つでなく王国中に幾つもある。その最も大きな心臓は言うまでもなく王都にあった。今は跡形もなかろうが。
街道や宿駅が無事ならば、こうした商館は王国の至る所にあって活況を呈しているはずだが、今はほとんど人も馬も失せて、多くは廃墟になりかけていた。そんな荒れ果てた商館の跡は一行も道中、何度か目にしていた。
しかし、今、一行が馬を乗り入れたこの場所は予想外の活気に満ちあふれていた。
多くの馬車が集まり、荷下ろし、荷積みに大勢の者たちが働いている。男も女もいて、皆、陽気に声をかけ合い、盛んに行き来して荷さばきに多忙を極めている。
おそらくはナホ族の土地から来たのだろう農作物の山があり、家畜の柵の中にはテン族の土地で見たような太った羊が数え切れないほど囲われていた。
驚いたのはスナ族の島で見たオレンジが箱詰めされて出荷を待っていたことだった。御者に尋ねると、オレンジ一個が町では金貨一枚の価値があるという。
「何だって、金貨一枚だと。あの一箱でひと財産ではないか。島ではいくらでも取り放題だったのに」
カラゲルが呆れた声を上げた。御者が言った。
「金持ちが住む優民街の宿屋ではもっとすることもあるよ。しかし、あんた、島へ行ったことがあるのかい。えらい辺境だというが、そんなところへ何しに行っていたんだね」
「何しにということもないが、里帰りに付き合ったのだ。実にいいところだった。夢でも見ているようだった」
「そんなにいいところなら、ずっとそこにいたらよかったのに。悪いことは言わねえ、鉱山なんかへ行くのはよしなよ」
カラゲルは軽くかぶりを振った。
「夢ばかり見ているわけにはいかない。寝ている間に王国中が真っ暗闇になってしまったら、目が覚めても寝てるんだか起きてるんだか分からなくなってしまうだろう」
「鉱山のどん底で死んだ奴らは生きてても真っ暗闇、死んでも真っ暗闇だったろうぜ」
その時、一行の馬へ駆け寄ってきた者がいた。
「お待ちください、旅のお方。どうか、お待ちを」
男は手を上げて一行を制止した。荷馬車は一行を置いて先へ進んで行った。
「ブルクット族のお方。私を覚えていらっしゃいませんか」
男の黒い上着は金糸の縁取りのある立派なものだった。ところどころに砂ぼこりの汚れがあり、靴も汚れているのは、皆と一緒に荷さばきの仕事をしているからだろうが、明らかに他の者たちとは風体が違っていた。
「ほら、王都近くの宿駅。酒場でお会いしたでしょう。あの時はセレチェン様がご一緒で……」
たちまちカラゲルの記憶は蘇った。
ブルクット族の村を出て王都へ向かう道すがら、セレチェン、クランと共に宿駅の酒場へ立ち寄った。その時、セレチェンに声をかけてきた者がいた。その者はセレチェンの息子であるコルウスのことを尋ねた。確かカナ族の商人だったはずだ。
「そうか、あの時の……ゲッティ……そうだ、お前がゲッティだ。思い出した」
御者に聞いた名前と記憶とが、ここでようやく合致した。
「覚えていらっしゃいましたか。セレチェン様はどうしていらっしゃいます。ご無事ですか」
「いや、セレチェンは死んだ。王都であの災厄の真っ最中に。部族の戦士として勇壮な最期だった」
ゲッティは落胆した表情で嘆きの声をもらした。
「何と、そうでしたか。おいたわしいこと。王国は英雄を失った……そうだ、鷲を連れた女の方もいらっしゃったでしょう」
カラゲルは親指を立て、後ろを指した。
「それなら、そこにいるぜ」
ゲッティはミアレ姫、ユーグ、そして、クランへ目をやり、それぞれに会釈した。
「いいえ、違います。ほら、いらしたでしょう。女性とはいえ、屈強の戦士のような逞しいお方で、腕に鷲を載せて酒場へ入っていらした……」
「クラン、ゲッティは鷲を見たいらしいぞ」
クランは甲高い声でオローを呼んだ。
「フーウィーッ!」
あたりで作業していた者たちが驚いて顔を上げ、馬にまたがった風変わりなシャーマンへ目を向けた。
空高くからオローが舞い降りてクランの腕に止まった。袖から垂れたビーズの房飾りが揺れて軽く乾いた音をたてた。
ゲッティは驚きの表情になった。
「まさか……この方があの時の……」
今は片方しかないクランの目。その抜けるような青空に似た瞳を見て、ゲッティの記憶は蘇った。
カラゲルは言った。
「セレチェンの魂はクランの剣の中にある。シャーマンに導いてもらったのだ」
「おお、そして、ご自身もシャーマンとなられたのか。不思議な運命だ。しかし、こんなご時世だと何が起こってもおかしくはない。さあ皆さん、むさくるしいところですが私の宿舎へおいでください」
ゲッティの宿舎はがっちりした石造二階建ての建物だった。一階はすべて馬屋になっていて、さっきの荷馬車隊の御者が馬に水を飲ませていた。建物の前には広々とした荷さばき場があり、商館内でも特に規模の大きなものと見えた。
ゲッティの執務室はその二階にあった。机と椅子、それに来客用の長椅子。壁際に伝票と帳簿を納める戸棚。無駄な装飾などは一切ない。部屋の隅ではまだ十代半ばと見える少年が机に向かって何やら帳簿へ書き写している。
ここはこの商館へ物資の買付けに来た時のための出張所のようなものだった。
ここでゲッティは我がカナ族のためにメル族から買付けを行うのだ。あらゆる物資には変動する相場があり、また、個々の価格交渉も必要だ。生き馬の目を抜く取引がここで行われていた。
カラゲルが部屋の中を見回して言った。
「ゲッティよ、俺たちをここへ案内してくれた荷馬車の御者はお前のことをカナ族でも一、二を争う金持ちだと言っていたぞ。それにしては質素な宿舎だな」
「私の宿舎など立派にしても無意味です。それより、荷さばきの設備を整え、働く者たちにちゃんとした給料を払ってやることが大事です」
ゲッティは窓の下へ目をやった。
馬を曳いて出て行く者、梱包された荷を荷車に載せている者、あちこち走り回って荷札を確認する者。たくさんの者たちが忙しげに行き来するのが見える。
子供たちもいた。馬屋の前に群がって馬の鞍に止まっているオローをこわごわ見上げている。この地では鷲をこんなに間近に見ることはめったにないことだ。
「あの者たちはちゃんと扱ってやれば一生懸命に働いてくれる。我らカナ族や隊商を率いるメル族のことを強欲だの何だのと言う者があるようですが、決してそんなつもりはないのです。世の中の富を増やし、働けば働いただけのものをもらえる、それが当たり前の世の中であるべきだと思うのです」
「そうか、言う事は分かるが、俺などは食って寝ることができればそれでいいと思うがな。草原を見てみろ、生きていくに十分なものはあるはずだ」
カラゲルは窓枠に座って商館の周囲に広がる平原に目を向けた。カラゲルの言う草原などはどこにもなく、このあたりの土地は荒れ果てて乾ききっているようだった。今、たどってきた街道の向こうにもうもうと砂塵が巻き上がるのが見えた。
部屋の隅から少年が振り返って声をかけた。
「ゲッティさん、お客さんにお茶をお出ししましょうか」
旅の一行へ会釈する少年の目に賢そうな光があった。
顔に刺青のある男、片目のシャーマン、それに、フードを深く被ったままの女と初老の男。少年は風変わりな来客に素早く視線を走らせた。
「いや、いい。私が自分でやるから。お前は、いま入ってきた荷の数合わせに行って来ておくれ」
少年は帳簿を閉じて階段を駆け下りて行った。腰帯に筆記具と帳面をはさんだ姿はまったく大人と変わらなかった。
ゲッティは一行に来客用の長椅子に座るように勧めた。手ずから茶の用意をしながらゲッティは言った。
「あの子は王都からの難民でしてね。父親は王宮で財政の仕事をしていた役人らしいのですが、あの騒動の時、祭りの広場で両親とはぐれて、それっきりだと言うのです」
ゲッティの淹れてくれた茶は独特の渋味があった。これは街道を遠く運ばれてきた発酵茶なのだった。
「なかなか賢い子で父親に習った算術ができます。危うく鉱山へ送られそうになっていたのを拾ってやったのです」
茶をすすったカラゲルは苦い顔になった。
「難民が働く鉱山というのはひどいところらしいな。地獄だとか」
「誰がそんなことを言ったのか知りませんが、それは事実です」
ゲッティは最初は鉱山へ生活用品などを納入する小さな元手の雑貨商だった。
誰にも言わないが、その頃はかなり荒っぽいやり方もしていた。街道のならず者から素性の知れぬ品物を安く買い叩いたこともある。輸送途中で事故があって荷が届かないと嘘をついて、共同出資者の取り分を丸々掠め取ったこともあった。
常民街の貧民から身を起こして、ひとかどの者と目されるようになるには、そのくらいはやってのけねばならない。今では、ゲッティはメル族の隊商と組んで部族一の大商人に成り上がっていた。
そんな男が心を入れ替えるようになったのは、闇の王の災厄で命拾いをして後のことだった。
かねがね自分のような男は金は残しても、ロクな死に方はしないはずと思っていたのに、どうにかこうにか王都から逃れることができた。これは神々か精霊か知らぬが、世のため人のために生きるように言われているのではないかと考えを改めたのだ。
「ご承知のように我が部族は王国中のならず者を囚人として預かり、それを囚人鉱山で働かせていたのです。闇の王の災厄からこのかた、それが囚人から難民に変わったわけで、最も危険で環境の悪いところへ難民たちは押し込められています」
「飯を食わせてもらえるだけ有り難いと思えと、そういうわけか」
「そうです。しかし、そんな考えが許されるものでしょうか」
ゲッティは義憤にかられたらしかった。
「囚人どもならば罪を犯した者の罪滅ぼしということでしょうが、難民たちに何の罪があるというのです。私も王都では災難に遭った。どうにかしてやりたいと思うが、私のような成り上がり者の意見など部族の主だった人たちは聞いてくれないのです」
「それで代わりにあの子供を面倒見ているわけだな」
ゲッティは改めて旅の一行の顔を見回した。
カラゲルとクランはともかく、残りの二人、初老の男と若い女は何者だろうか。フードからのぞく横顔はいくらか日焼けもしているが、その顔つきは高貴で、荒々しい草原の戦士ブルクット族の連れには見えない。
「ところで皆さんはどうして旅をしていらっしゃるのです」
それまで一人でゲッティの話の相手をしていたカラゲルは横目でユーグへ目配せした。
「おい、この男なら大丈夫ではないのか」
ユーグがミアレ姫へ目顔でお伺いを立てると、姫は軽くうなずいた。二人はフードを下ろし、ゲッティに向かって改めて会釈をした。
カラゲルが王家の師傅ユーグと王の血脈ミアレ姫の身分を明かすと、ゲッティは思わず席から立ち上がり、床にひざまずきそうになった。
カラゲルはそれを手で制した。
「よせよせ、そんなことは。俺たちは行った先々で憐れみをかけてもらわなくてはならない、みじめな浮浪者の一行さ」
ユーグが苦笑いした。
「みじめとまで言うかお前は。そこまで落ちてはいないだろう」
「だってそうだろう。王国中をあっちへふらふら、こっちへふらふらとさ」
ミアレ姫がきっぱりと言った。
「ふらふらしていても、行き着くべきところは分かっています。闇の王を追い払い、王都を奪い返し、王国を浄めるのです」
カラゲルはかぶりを振って言った。
「そのために鉱山で働かされている難民を助けるのか。ひとまず難民のことは置いておいて、王都奪還のためにカナ族の軍勢を動かす算段をするのがいいのではないのか。今なら王国の各部族に触れを出せば、誰もが馬を駆って合流するはずだ」
「カラゲル、闇の王を剣や槍で倒すことができると思っているのですか。その前に王国の聖地を浄化し、精霊の加護を取り戻す必要があるはずです」
「しかし、それと鉱山の難民たちとどうつながるのだ」
クランが静かに口をはさんだ。
「我らがこの地へ来たのは何かを為すためではない。我らは導かれているのだ。ここへ来ることを決めたのが、姫であれ、誰であれ、すでに我らは人の意思で動いているのではない」
ユーグがうなずいた。
「ことは難民鉱山の問題だけではない。この地へ王の血脈が来たことによって何が起こるか、我らは慎重に見極めねばならないのだ。ゲッティよ、カナ族の町へ入りたいと思うがどうだろう」
「それならば、ひとまず私の屋敷へお連れしましょう。こんなことは部族の民として言いたくないが、長老のジルコン様には何かと怪しい動きがある様子。いきなり宮殿へおいでになるのはお勧めしません。難民鉱山などもってのほかです」
席を立ったカラゲルはまた窓枠に座って外を眺めた。どうもこの石造りの部屋は息が詰まる。草原で馬を飛ばしていた頃が懐かしい。
「また姫さまをどこかへ連れて行かれたりしたらたまらんからな。カナ族の宮殿を見たことはないが、きっと、どえらいのを建てているのだろう。そんなところへ助けに行くのは一苦労だ……おおい、そこの子供、鷲に手を出すな。指を食いちぎられるぞ」
声をかけられた子供たちは、わあっと叫びながら走り去った。笑いながらそれを眺めていたカラゲルは、おやという顔になった。
「あの男は確か……おい、ゲッティ、あそこにいるのはあの時の『紳士』ではないのか」
ゲッティは窓から外を見てうなずいた。
「おお、そうです。あれこそメル族の豪商オットーです。この商館を取り仕切っているのはあの男ですよ。私と一緒に街道と宿駅の復活のため尽力しているのです。そうだ、話に聞きましたが、オットーの命を救ったのは皆さまではないのですか」
「そうとも。もっとも、あれはサンペ族の狩人ナンガの手柄だ。頼れる男さ」
かつて王都を逃れた一行は宿駅で闇の蛇に足を食われた男を助けた。ナンガがナイフで傷口を開き、蛇を摘出したのだ。カラゲルはあの時のきつい硫黄の臭いが忘れられなかった。
ゲッティが大声でオットーを呼んだ。やがて、階段に何かを叩きつけるような音がしてオットーが姿を見せた。
オットーは部屋の中にいるミアレ姫の顔を見るなり、その場にひざまずこうとしたが、よろけて床に手をついた。
あの時、ナンガのナイフによって闇の蛇は摘出されたが、その後、オットーは片脚を失うことになった。今は膝から下に義足をつけているのだった。
ミアレ姫が駆け寄ってオットーに手を貸した。オットーはミアレ姫の顔を見上げて涙をこぼした。
「姫さま、よくぞご無事で。私は姫さまのおかげで命拾いをしたのです」
「私はたいしたことはしませんでした。あなたを救ったのはサンペ族のナンガの処置が良かったからです」
その処置が行われていた時、オットーは高熱でなかば意識を失っていた。その後もしばらくは朦朧とした状態だったが、回復した時に宿駅の者に教えられたのだ。オットーを救ったのは王の血脈の一行だったと。
ユーグも手を貸してオットーは立ち上がった。
「うむ、片脚をなくしたか。しかし、命が助かっただけ良しとせねばな。多くの者が王都の災厄で命を落としたのだ」
カラゲルはクランの肩を叩いて言った。
「おい、クランよ。お前はあの時、どこかへ行っていなかったが大変だったのだぞ。すごい悲鳴を上げてな。もっとも、あれでは俺だって泣き叫んだだろう」
「私は馬を追いかけていたのだ。姫の白馬をな」
「そうだったかな。ずいぶん昔のことのような気がする。それにしても、よくできた義足だ。窓の下にいるのを見た時は足をひきずっているのに気が付かなかった」
ゲッティが深刻な顔つきでうなずいた。
「我がカナ族は義足や義手の技術に長けています。悲しいことに鉱山で足や腕を失う者が多いからです」
「なんてことだ。我がブルクット族なんかよりカナ族はずっと『進んでいる』というわけだ」
オットーが義足をゴトリと鳴らすと、旅の一行に向かって言った。
「私は脚を失いましたが、その代わりにもっと大事なものを得ました。姫さま、私は私ひとりの欲のためにでなく王国のために尽くすつもりです。そのためなら残りの脚も腕も、いいえ、この命だって捧げましょう」
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