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第六十六章
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第六十六章
「あんたが通りかかってくれて助かったよ。危うく野垂れ死にするところだったんだから」
「しかし、女がひとり、野っぱらの真ん中で何をしていたんだ」
馬車の手綱を握った若者が荷台を振り返った。土のついた芋の脇になんとも場違いな女の姿があった。ココだ。
ココは馬車の後ろに腰かけ、足をぶらぶらさせてあたりを眺めまわしていた。
「えっ、私かい。私はね……」
遠ざかる北の彼方にオルテン山の峰が見えた。
左右に大きく腕を伸ばすように山並みが連なっている。その腕に抱かれるようにして遊牧民テン族の土地、『王国の乳房』と呼ばれる一帯があった。
オルテン山を源流とするオルテン河がいくつもに枝分かれして平原を潤している。ココは眩しげに目を細めた。
「どっちへ行ったらいいか、運命を占っていたのさ」
「なんだいそりゃあ。で、どう出たね。サイの目は」
「四方八方、凶と出たよ。どうせ凶なら面白そうな方へ行こうかと思ってね」
奴隷商人との結託に失敗したココは奪った馬で山を越えた。クランたちより一足先のことだ。遊牧民テン族の冬営地で馬を換えるか休ませるべきだったが、ココはそうしなかった。
これまで王国の各地を放浪してきたが、自分の馬を持ったこともなく、単身で長距離の旅をしたこともなかった。ココは判断を誤ったのだ。
馬はテン族の土地を越え、そろそろナホ族の土地であろうと思われる境界あたりで倒れた。テン族の冬営地にせよ、ナホ族の町にせよ、ココの足で歩いて行ける距離ではなかった。
そこへこのナホ族の若者が荷馬車で通りかかったのだった。畑仕事の帰りらしい。
「女の一人旅なんぞ、こんな物騒な世の中だ。よしたほうがいいぜ」
「物騒ってのはなんのことだい」
「そら、闇の王がどうのこうのってさ。あんたがいたあたりも今は静かだが、何日か前にはテン族との間で小競り合いがあったらしいや。最近はしょっちゅうだ」
「王国の部族同士で諍いとは穏やかじゃないね」
若者の話によれば、ナホ族の町の南側でこれまで見たこともない害虫が発生し、芽生えた穀物畑が食い荒らされてしまったのだという。
「イナゴみたいだけど真っ黒なんだと。小麦なんか全部やられちまった。今すぐにどうってことはないが、穀物の蓄えが尽きたら町には餓え死にするのが出るぜ」
それが闇の王の影響かどうかは不明だが、族長や長老が話し合って南の土地を放棄し、北へ耕地を広げるようにしようと決めたのだった。
「だけど北にはずっと前からテン族の連中の草場がある。それで境界争いができてね。我が部族の民が羊飼いの道しるべを壊したのを怒っているらしいんだ」
ココはちらりと若者を振り返った。呆れた顔になっている。
「そりゃあ怒るに決まってるじゃないか。テン族にしたら道しるべは聖地の一部なんだ。供え物をしたりなんかしてさ。ご本尊はあの山のどこかだけど、道しるべは伸ばした腕の指先みたいなもんさ。あんただって指切られたら痛いだろ」
「いや、俺もそれは知ってるけどね。少しはテン族も譲ってくれりゃあいいんだ。土地はオルテン山までたっぷりあるじゃないか」
「勝手なこと言うんじゃないよ。土地と部族と精霊は一つなんだ」
ココは懐から出した笛を吹き始めた。遠くから響くオルテン河の水音と馬車の車輪のきしみがその旋律に混じった。風は緩やかに、広く遠く囁くように吹き過ぎていく。
荷馬車は広大なナホ族の耕地の間を縫って進んでいた。
道はしっかりと踏み固められている。それは王国の街道ではないが、部族の民の手できちんと整備された馬車道だった。
道はナホ族の町へ続いていた。ナホ族の町は王都に次いで王国第二の都市だ。街道が集まる流通の要衝で、ナホ族の民はもちろんあらゆる部族の民が集う場所だった。
『王国の穀物倉』と呼ばれるその町にはナホ族の豪農がメル族の隊商との取引で莫大な富を蓄えていたのだ。隊商の基地となる商館も他の土地より桁外れに規模が大きい。
人口だけなら王都より多いかもしれない。それに王の血脈が座す聖都である王都に比べ、ここはぐっとさばけた気風で気晴らしの種にも困らなかった。
つまり賑やかなのが好きなココにはうってつけの町だったのだ。
笛を口から外してココは言った。
「私は前にナホ族の町でちょっとした商売をしていたことがあるんだよ。町の真ん中、神殿の近くの市のあたりでね」
若者はニタリと笑ってココを横目で見た。つややかなココの髪が平原の風に吹かれていた。
「へえ、何の商売だい」
「薬草売りやら、果物売りやら、いろいろとね」
「ああ、そうかい。あんたならきっと商売繁盛したことだろうね」
ココも横目で若者を見返した。
「フフン、利いた風なこと言うんじゃないよ。あんた、独り身かい」
「そうさ、俺もオレンジや林檎を買うことがあるぜ。あんたのような美人はめったに見ないがね。ただ、どうだろうな。今、町はごった返しているからな」
「賑やかなのは結構なことさ。それを当てにして来たんだから」
「いや、賑やかって言っても昔みたいじゃないぜ。王都が闇の王ってのに取られちまったんだろ。王都の住人が着の身着のまま流れ込んでいるんだ。物乞いが多くなって、木柵の下あたりはひどい臭いさ。連中、喧嘩はするわ、盗みはするわ。まったく手がつけられねえ。頭のおかしくなった奴らが神殿の前で『この世の終わりだ』なんぞと騒ぎやがって」
若者は王都から逃れてきた難民たちを貧乏人だの寄生虫だの疫病神だのと悪しざまにののしり、ペッと道端へ唾を吐いた。
そうした者たちを嫌っているのはこの若者だけではないらしい。王都の難民は町の井戸を使うことを許されず、汚水の流れる溝から飲み水を汲んでいるという。
「そのうえ街道や宿駅の往来が滞っていてメル族の隊商もとんとご無沙汰だ。カネまわりが悪くなるにつれて町の気風も荒っぽくなる一方だぜ」
「たしか町には部族の自警団があったと思うけどね。私も知り合いがいたよ。普段は畑仕事していても当番になると捕物棒なんか持ったりして粋がっちゃってさ」
「そんなもんじゃおっつかねえよ。難民は人数も多いし、気は荒いし、かと言って城門の外へおっぽりだすわけにもいかねえ。畑に悪さされちゃたまらねえからな」
「町の中じゃ物乞い、外じゃ闇の王、おまけに羊飼いとも揉めてるってわけね」
ココは笛を口に当て、おどけた節をひとふし鳴らした。
道はしだいに広くなってきた。そこかしこに木立が濃い緑をたたえ、大きな納屋や風車が建っているのが見えた。もうオルテン山も彼方に薄青くかすんでいた。
オルテン河から引いた用水路が縦横に走って澄んだ水をきらめかせている。木橋を越えるたびに荷馬車はゴトゴトと揺れた。
のどかな景色だ。そんななか、ココはひたひたと地の底を浸透してくる闇の王のことを思っていた。
闇の王がどうしたって言うんだろう。そいつはずっと昔からいたんだ。この世のあらゆる暗がりにいたんだ。草の陰や、石の裏や、林の奥なんかにね。
ただ、誰もその顔をまともには見られなかったってだけさ。
ココの笛が弾むような拍子の舞曲を奏で始めた。
若者はココを振り返って言った。
「そうだ、目が真っ黒な獣もうろついているらしいや。あれも闇の王かな。ああ、おっかねえ。俺の畑の芋が掘り返されていたのも、そんな化け物のせいかも知れねえな」
ココは荷台に積まれた芋に触れた手をはたき、顔をしかめた。気がつくと着ている服にまで乾いた泥がついていた。
ココは荷台から這って行って若者が座る御者台へ割り込んだ
「そんなのが芋なんか食べるのかねえ。気が利かない化け物だよ。どうせなら人でも食ったらいいじゃないか」
若者は隣を空けてやりながら苦笑いした。
「おっかねえこと言うなよ。ただよ、いちばん怖いのはやっぱり人だな。この頃、町じゃ人殺しもちょいちょいあるようだぜ。前はそんなことはなかった。めったにな。こんな騒ぎ、いつになったら収まるんだろう。もう頼りになるのは『コウモリの巣』の連中だけさ」
「なんだいそりゃ。私は聞いたことがないね」
「要するにならず者の集まりさ。連中がのさばりだしたのはわりと最近でね。そら、もう何年も王都で部族会議が開かれなくなっただろ。そうなると穀物の相場もカネしだいってことになる。前はそんなことはなかった。貧乏な部族や辺境の部族には部族会議で決めた相場でそれなりに安く売ってやっていたんだ。あの羊飼いたちにもな。くそっ、恩知らずめ」
若者はまた道端へ唾を吐いた。
「それと、ならず者がのさばるのとどんな関係があるんだい」
「相場が自由になりゃあ、儲け放題になるだろ。たんまりカネを貯め込んだ奴らは盗賊やら強盗やらが怖くなる。自警団なんかあてにならないと思った金持ち連中は腕自慢のならず者を雇って家を守らせるようになったんだ。毒には毒をってことだ」
ココは口元に薄く笑みを浮かべていた。これは面白くなってきた。何か大きく一勝負できそうな気がする。博打うちの勘だ。
「私の知ってた、のんびりした気のいいナホ族とは違うようだね」
「言っとくが『コウモリの巣』は金持ちの家の護衛のことじゃないぜ。そこから落ちこぼれた奴らが町の裏通りに棲み着くようになったのさ。もともと、ならず者だ。お偉方に指図されるのが嫌になっちまうんだろうな」
「その気持はわかるよ。でも、私なら他の土地へ行っちまうだろうね。そんなんじゃ窮屈じゃないか、ジメついた裏通りなんてさ」
「なんのかんの言ったって我が部族の町は食うに困らないからね。そこで、コウモリの巣みたいなのもやっていけるってわけだ。連中は町を自分らの縄張りだと思ってる。喧嘩や人殺しなんかあったら自警団の前に連中が片付けちまうんだ。最近は自警団もそれを知ってて何も言わねえ」
「つまりドブさらいって奴だね、で、そのコウモリのかしらはなんて奴なの」
若者は目だけを横へ向け、すぐ前に戻した。
「俺は知らねえ。濠ぎわの裏通りにある酒場や宿屋を当たってみるんだな。だいたい、なんでそんなのに用があるんだ」
「それは……おや、町が見えてきたみたいだよ」
ココが指差す道の向こうに大きな町が見えてきた。すでに道は農道から街道へ入ったようだ。
ナホ族の町は一方をオルテン河に面し、周囲を濠で囲ってあった。濠に沿って高く木柵を巡らして、街道からは跳ね橋を使って町へ入る。
これらの濠や木柵は王都の城壁やブルクット族の町の木柵と違い、元は野の獣から集落を守るために作られたものだった。とはいえ、濠は攻め手を溺れさせるほど深く、木柵も隙間をふさぐ厚板の用意はしてあった。
荷馬車が町に近づくにつれ人馬の通行も増えてきた。
脇道から街道へ入ってきた大きな荷馬車には農夫の男女が十数人乗り合わせていた。皆、揃いのお仕着せを身につけ、日焼けした顔の農夫たちは陽気な歌をうたって通り過ぎた。
若者はまたペッと唾を吐いた。
「こんなご時世でも金持ちに雇われている奴らはいい気なもんだ」
ココはその横顔へ嘲るような笑みを向けた。
「あんたも雇ってもらえばいいじゃないか。そしたら、あんたもあんなお揃いの服着せてもらってさ、歌でもうたってさ、女の子たちと楽しくやっていけるんじゃないの」
「へっ、俺なんか雇ってもらえねえのさ。馬鹿にしやがって、ちくしょう……」
若者は道端の小高い土の山を指さした。
「おい、あれ見ろよ。行き倒れになった王都の奴らはみんなあそこに埋められているんだぜ。いい気味だ」
しばらく行くと灌漑用の運河に橋がかかっている場所に出た。そこを越えれば町はすぐそこだ。町を守る木柵の上端に背中側から見た蛙の形が彫りつけてあるのが見えた。
農耕民であるナホ族には水がなにより大事だった。蛙は水と縁が深いものだ。ブルクット族は鷲を尊び、サンペ族は鹿を崇める。ナホ族には蛙がともにあった。
若者はのろのろと荷馬車を進めながら落ち着かない様子だったが、ぎこちなく笑って言った。
「なあ、せっかくここまで乗せてきてやったんだ。礼をしてもらいてえな」
ココは砂ぼこりにまみれた若者の顔を見返した。
「なにさ、カネかい」
「いや、カネなんぞいいけどさ……」
「フフン、そういやあんた独り者だって言ったっけね。親はどうしてるの。カネでも持って帰って喜ばしてやりなよ」
ココは腰につけたニセ金貨の袋をジャラつかせてみせたが、若者はあまり興味をそそられないようだった。
「親父とおふくろは王都の祭りに行って帰って来ねえ。どこかで野垂れ死にでもしたんだろう。実のところ、せいせいしているんだ。俺のことを怠け者だのなんだのってよ。俺には弟がいるが、奴には稼ぎのいい小麦畑をやって、俺には町から遠い荒れ地の芋畑だけだ。北に耕地ができたら俺もなんとかして新しい畑が欲しい。あのあたりは水もたっぷりだしな。羊飼いなんぞ追っ払っちまえばいいんだ」
若者はまた唾を吐こうとしたが、口が乾いて何も出ないようだった。若者はおそるおそるココの膝に手を乗せてきた。ココは好きなようにさせていた。
「あんたも苦労してるらしいね。あまり急ぐことはないよ。ちょっとそのあたりで休んで行こうじゃないか」
荷馬車は道をそれ、川沿いに進んでいった。遠くに白い帆をかけた船が見えた。オルテン河につながる濠は灌漑だけでなく運河としても使われていた。
しだいに人気はなくなり、木立が濃くなってきた。
若者とココは御者台から降りた。川べりに茂みがあり、風に揺れていた。
下草をかき分けて水辺に向かう時、若者が突然、叫び声を上げて後ろへ飛びのいた。ココは草の間から顔をのぞかせた蛇を見て笑った。
「なんだい、ただの蛇じゃないか。大きな声出すんじゃないよ」
若者はココに勇気を見せようとしたのか、蛇のしっぽをつかむと遠くへ放り投げた。
二人は茂みの陰に入った。しばらくは流れる水の音だけがしていたが、また若者の叫び声が聞こえて、すぐ静かになった。
ココが茂みから出てきた。やや頬が上気して上着の裾を直している。
ふと見ると、近くの立ち木の枝にするすると蛇が這い上がってきた。こいつはただの蛇で黒い目はしていなかった。蛇はココの顔を見つめ、赤い舌を出し入れした。
「何見てるんだい。私がやってくれって頼んだわけじゃないだろ」
ココは蛇の頭を平手ではたくと口の端をゆがめて笑った。
道端に荷馬車が残されていた。馬はぼんやりした目つきをして草を食っていた。
「さて、芋と一緒に町に繰り込むなんてみっともないし……」
ココは荷馬車から馬を外してやり、その尻を叩いた。
「あの兄さんはこの世から自由放免になったよ。あんたもどこへでも行くがいいや。そら、行きな……行きなってば」
馬はその場に根が生えたように動かなかった。
ココはフンと鼻を鳴らして笑った。
「飼い主が百姓だと、馬まで百姓根性らしいね。自由になるのが怖いんだろう。勝手にするがいいさ」
ココは川沿いにぶらぶらと歩きだした。気がつくと日が暮れかけていた。川面に赤く夕日が照り返していた。
ゆらめく黒い影が水面をよぎった。影は低く唸りを上げていた。虫の群れだ。
そこへさっき見えた白帆の船がのんびりと近づいてきた。船がさっきの茂みの脇を通る時、甲板から大きな声が上がった。
「おい、あれを見ろ。人が倒れているぞ」
「なあに、酔っぱらいか何かだろう」
「さもなければ街道の浮浪人か」
「いや、様子がおかしいぜ」
船乗りたちが騒ぎ出し、船を岸につけろという声が聞こえた。
ココは振り返りもせず知らん顔でいた。歩きながら腰につけた金貨の袋をもてあそび、鼻歌まじりで独り言をいった。
「町でなにか面白いことでもあるといいけどねえ。まずはコウモリの親玉を探してみようかね。こいつを両替できるといいんだけど」
まっとうな筋に流すことはできないカネだ。落ちこぼれのならず者の集まりとはいいことを聞いた。
ココが笛を吹きながら歩いていると頭上を鴉が鳴いて過ぎた。
「そういや、あのカラス野郎はどうしたんだろう。狩人の森のどこかで朽ち果てていたりして……まあ、どうでもいいや、あんな奴」
橋を渡って町へ向かうココの背中に黒い虫が一匹とりついていた。
「あんたが通りかかってくれて助かったよ。危うく野垂れ死にするところだったんだから」
「しかし、女がひとり、野っぱらの真ん中で何をしていたんだ」
馬車の手綱を握った若者が荷台を振り返った。土のついた芋の脇になんとも場違いな女の姿があった。ココだ。
ココは馬車の後ろに腰かけ、足をぶらぶらさせてあたりを眺めまわしていた。
「えっ、私かい。私はね……」
遠ざかる北の彼方にオルテン山の峰が見えた。
左右に大きく腕を伸ばすように山並みが連なっている。その腕に抱かれるようにして遊牧民テン族の土地、『王国の乳房』と呼ばれる一帯があった。
オルテン山を源流とするオルテン河がいくつもに枝分かれして平原を潤している。ココは眩しげに目を細めた。
「どっちへ行ったらいいか、運命を占っていたのさ」
「なんだいそりゃあ。で、どう出たね。サイの目は」
「四方八方、凶と出たよ。どうせ凶なら面白そうな方へ行こうかと思ってね」
奴隷商人との結託に失敗したココは奪った馬で山を越えた。クランたちより一足先のことだ。遊牧民テン族の冬営地で馬を換えるか休ませるべきだったが、ココはそうしなかった。
これまで王国の各地を放浪してきたが、自分の馬を持ったこともなく、単身で長距離の旅をしたこともなかった。ココは判断を誤ったのだ。
馬はテン族の土地を越え、そろそろナホ族の土地であろうと思われる境界あたりで倒れた。テン族の冬営地にせよ、ナホ族の町にせよ、ココの足で歩いて行ける距離ではなかった。
そこへこのナホ族の若者が荷馬車で通りかかったのだった。畑仕事の帰りらしい。
「女の一人旅なんぞ、こんな物騒な世の中だ。よしたほうがいいぜ」
「物騒ってのはなんのことだい」
「そら、闇の王がどうのこうのってさ。あんたがいたあたりも今は静かだが、何日か前にはテン族との間で小競り合いがあったらしいや。最近はしょっちゅうだ」
「王国の部族同士で諍いとは穏やかじゃないね」
若者の話によれば、ナホ族の町の南側でこれまで見たこともない害虫が発生し、芽生えた穀物畑が食い荒らされてしまったのだという。
「イナゴみたいだけど真っ黒なんだと。小麦なんか全部やられちまった。今すぐにどうってことはないが、穀物の蓄えが尽きたら町には餓え死にするのが出るぜ」
それが闇の王の影響かどうかは不明だが、族長や長老が話し合って南の土地を放棄し、北へ耕地を広げるようにしようと決めたのだった。
「だけど北にはずっと前からテン族の連中の草場がある。それで境界争いができてね。我が部族の民が羊飼いの道しるべを壊したのを怒っているらしいんだ」
ココはちらりと若者を振り返った。呆れた顔になっている。
「そりゃあ怒るに決まってるじゃないか。テン族にしたら道しるべは聖地の一部なんだ。供え物をしたりなんかしてさ。ご本尊はあの山のどこかだけど、道しるべは伸ばした腕の指先みたいなもんさ。あんただって指切られたら痛いだろ」
「いや、俺もそれは知ってるけどね。少しはテン族も譲ってくれりゃあいいんだ。土地はオルテン山までたっぷりあるじゃないか」
「勝手なこと言うんじゃないよ。土地と部族と精霊は一つなんだ」
ココは懐から出した笛を吹き始めた。遠くから響くオルテン河の水音と馬車の車輪のきしみがその旋律に混じった。風は緩やかに、広く遠く囁くように吹き過ぎていく。
荷馬車は広大なナホ族の耕地の間を縫って進んでいた。
道はしっかりと踏み固められている。それは王国の街道ではないが、部族の民の手できちんと整備された馬車道だった。
道はナホ族の町へ続いていた。ナホ族の町は王都に次いで王国第二の都市だ。街道が集まる流通の要衝で、ナホ族の民はもちろんあらゆる部族の民が集う場所だった。
『王国の穀物倉』と呼ばれるその町にはナホ族の豪農がメル族の隊商との取引で莫大な富を蓄えていたのだ。隊商の基地となる商館も他の土地より桁外れに規模が大きい。
人口だけなら王都より多いかもしれない。それに王の血脈が座す聖都である王都に比べ、ここはぐっとさばけた気風で気晴らしの種にも困らなかった。
つまり賑やかなのが好きなココにはうってつけの町だったのだ。
笛を口から外してココは言った。
「私は前にナホ族の町でちょっとした商売をしていたことがあるんだよ。町の真ん中、神殿の近くの市のあたりでね」
若者はニタリと笑ってココを横目で見た。つややかなココの髪が平原の風に吹かれていた。
「へえ、何の商売だい」
「薬草売りやら、果物売りやら、いろいろとね」
「ああ、そうかい。あんたならきっと商売繁盛したことだろうね」
ココも横目で若者を見返した。
「フフン、利いた風なこと言うんじゃないよ。あんた、独り身かい」
「そうさ、俺もオレンジや林檎を買うことがあるぜ。あんたのような美人はめったに見ないがね。ただ、どうだろうな。今、町はごった返しているからな」
「賑やかなのは結構なことさ。それを当てにして来たんだから」
「いや、賑やかって言っても昔みたいじゃないぜ。王都が闇の王ってのに取られちまったんだろ。王都の住人が着の身着のまま流れ込んでいるんだ。物乞いが多くなって、木柵の下あたりはひどい臭いさ。連中、喧嘩はするわ、盗みはするわ。まったく手がつけられねえ。頭のおかしくなった奴らが神殿の前で『この世の終わりだ』なんぞと騒ぎやがって」
若者は王都から逃れてきた難民たちを貧乏人だの寄生虫だの疫病神だのと悪しざまにののしり、ペッと道端へ唾を吐いた。
そうした者たちを嫌っているのはこの若者だけではないらしい。王都の難民は町の井戸を使うことを許されず、汚水の流れる溝から飲み水を汲んでいるという。
「そのうえ街道や宿駅の往来が滞っていてメル族の隊商もとんとご無沙汰だ。カネまわりが悪くなるにつれて町の気風も荒っぽくなる一方だぜ」
「たしか町には部族の自警団があったと思うけどね。私も知り合いがいたよ。普段は畑仕事していても当番になると捕物棒なんか持ったりして粋がっちゃってさ」
「そんなもんじゃおっつかねえよ。難民は人数も多いし、気は荒いし、かと言って城門の外へおっぽりだすわけにもいかねえ。畑に悪さされちゃたまらねえからな」
「町の中じゃ物乞い、外じゃ闇の王、おまけに羊飼いとも揉めてるってわけね」
ココは笛を口に当て、おどけた節をひとふし鳴らした。
道はしだいに広くなってきた。そこかしこに木立が濃い緑をたたえ、大きな納屋や風車が建っているのが見えた。もうオルテン山も彼方に薄青くかすんでいた。
オルテン河から引いた用水路が縦横に走って澄んだ水をきらめかせている。木橋を越えるたびに荷馬車はゴトゴトと揺れた。
のどかな景色だ。そんななか、ココはひたひたと地の底を浸透してくる闇の王のことを思っていた。
闇の王がどうしたって言うんだろう。そいつはずっと昔からいたんだ。この世のあらゆる暗がりにいたんだ。草の陰や、石の裏や、林の奥なんかにね。
ただ、誰もその顔をまともには見られなかったってだけさ。
ココの笛が弾むような拍子の舞曲を奏で始めた。
若者はココを振り返って言った。
「そうだ、目が真っ黒な獣もうろついているらしいや。あれも闇の王かな。ああ、おっかねえ。俺の畑の芋が掘り返されていたのも、そんな化け物のせいかも知れねえな」
ココは荷台に積まれた芋に触れた手をはたき、顔をしかめた。気がつくと着ている服にまで乾いた泥がついていた。
ココは荷台から這って行って若者が座る御者台へ割り込んだ
「そんなのが芋なんか食べるのかねえ。気が利かない化け物だよ。どうせなら人でも食ったらいいじゃないか」
若者は隣を空けてやりながら苦笑いした。
「おっかねえこと言うなよ。ただよ、いちばん怖いのはやっぱり人だな。この頃、町じゃ人殺しもちょいちょいあるようだぜ。前はそんなことはなかった。めったにな。こんな騒ぎ、いつになったら収まるんだろう。もう頼りになるのは『コウモリの巣』の連中だけさ」
「なんだいそりゃ。私は聞いたことがないね」
「要するにならず者の集まりさ。連中がのさばりだしたのはわりと最近でね。そら、もう何年も王都で部族会議が開かれなくなっただろ。そうなると穀物の相場もカネしだいってことになる。前はそんなことはなかった。貧乏な部族や辺境の部族には部族会議で決めた相場でそれなりに安く売ってやっていたんだ。あの羊飼いたちにもな。くそっ、恩知らずめ」
若者はまた道端へ唾を吐いた。
「それと、ならず者がのさばるのとどんな関係があるんだい」
「相場が自由になりゃあ、儲け放題になるだろ。たんまりカネを貯め込んだ奴らは盗賊やら強盗やらが怖くなる。自警団なんかあてにならないと思った金持ち連中は腕自慢のならず者を雇って家を守らせるようになったんだ。毒には毒をってことだ」
ココは口元に薄く笑みを浮かべていた。これは面白くなってきた。何か大きく一勝負できそうな気がする。博打うちの勘だ。
「私の知ってた、のんびりした気のいいナホ族とは違うようだね」
「言っとくが『コウモリの巣』は金持ちの家の護衛のことじゃないぜ。そこから落ちこぼれた奴らが町の裏通りに棲み着くようになったのさ。もともと、ならず者だ。お偉方に指図されるのが嫌になっちまうんだろうな」
「その気持はわかるよ。でも、私なら他の土地へ行っちまうだろうね。そんなんじゃ窮屈じゃないか、ジメついた裏通りなんてさ」
「なんのかんの言ったって我が部族の町は食うに困らないからね。そこで、コウモリの巣みたいなのもやっていけるってわけだ。連中は町を自分らの縄張りだと思ってる。喧嘩や人殺しなんかあったら自警団の前に連中が片付けちまうんだ。最近は自警団もそれを知ってて何も言わねえ」
「つまりドブさらいって奴だね、で、そのコウモリのかしらはなんて奴なの」
若者は目だけを横へ向け、すぐ前に戻した。
「俺は知らねえ。濠ぎわの裏通りにある酒場や宿屋を当たってみるんだな。だいたい、なんでそんなのに用があるんだ」
「それは……おや、町が見えてきたみたいだよ」
ココが指差す道の向こうに大きな町が見えてきた。すでに道は農道から街道へ入ったようだ。
ナホ族の町は一方をオルテン河に面し、周囲を濠で囲ってあった。濠に沿って高く木柵を巡らして、街道からは跳ね橋を使って町へ入る。
これらの濠や木柵は王都の城壁やブルクット族の町の木柵と違い、元は野の獣から集落を守るために作られたものだった。とはいえ、濠は攻め手を溺れさせるほど深く、木柵も隙間をふさぐ厚板の用意はしてあった。
荷馬車が町に近づくにつれ人馬の通行も増えてきた。
脇道から街道へ入ってきた大きな荷馬車には農夫の男女が十数人乗り合わせていた。皆、揃いのお仕着せを身につけ、日焼けした顔の農夫たちは陽気な歌をうたって通り過ぎた。
若者はまたペッと唾を吐いた。
「こんなご時世でも金持ちに雇われている奴らはいい気なもんだ」
ココはその横顔へ嘲るような笑みを向けた。
「あんたも雇ってもらえばいいじゃないか。そしたら、あんたもあんなお揃いの服着せてもらってさ、歌でもうたってさ、女の子たちと楽しくやっていけるんじゃないの」
「へっ、俺なんか雇ってもらえねえのさ。馬鹿にしやがって、ちくしょう……」
若者は道端の小高い土の山を指さした。
「おい、あれ見ろよ。行き倒れになった王都の奴らはみんなあそこに埋められているんだぜ。いい気味だ」
しばらく行くと灌漑用の運河に橋がかかっている場所に出た。そこを越えれば町はすぐそこだ。町を守る木柵の上端に背中側から見た蛙の形が彫りつけてあるのが見えた。
農耕民であるナホ族には水がなにより大事だった。蛙は水と縁が深いものだ。ブルクット族は鷲を尊び、サンペ族は鹿を崇める。ナホ族には蛙がともにあった。
若者はのろのろと荷馬車を進めながら落ち着かない様子だったが、ぎこちなく笑って言った。
「なあ、せっかくここまで乗せてきてやったんだ。礼をしてもらいてえな」
ココは砂ぼこりにまみれた若者の顔を見返した。
「なにさ、カネかい」
「いや、カネなんぞいいけどさ……」
「フフン、そういやあんた独り者だって言ったっけね。親はどうしてるの。カネでも持って帰って喜ばしてやりなよ」
ココは腰につけたニセ金貨の袋をジャラつかせてみせたが、若者はあまり興味をそそられないようだった。
「親父とおふくろは王都の祭りに行って帰って来ねえ。どこかで野垂れ死にでもしたんだろう。実のところ、せいせいしているんだ。俺のことを怠け者だのなんだのってよ。俺には弟がいるが、奴には稼ぎのいい小麦畑をやって、俺には町から遠い荒れ地の芋畑だけだ。北に耕地ができたら俺もなんとかして新しい畑が欲しい。あのあたりは水もたっぷりだしな。羊飼いなんぞ追っ払っちまえばいいんだ」
若者はまた唾を吐こうとしたが、口が乾いて何も出ないようだった。若者はおそるおそるココの膝に手を乗せてきた。ココは好きなようにさせていた。
「あんたも苦労してるらしいね。あまり急ぐことはないよ。ちょっとそのあたりで休んで行こうじゃないか」
荷馬車は道をそれ、川沿いに進んでいった。遠くに白い帆をかけた船が見えた。オルテン河につながる濠は灌漑だけでなく運河としても使われていた。
しだいに人気はなくなり、木立が濃くなってきた。
若者とココは御者台から降りた。川べりに茂みがあり、風に揺れていた。
下草をかき分けて水辺に向かう時、若者が突然、叫び声を上げて後ろへ飛びのいた。ココは草の間から顔をのぞかせた蛇を見て笑った。
「なんだい、ただの蛇じゃないか。大きな声出すんじゃないよ」
若者はココに勇気を見せようとしたのか、蛇のしっぽをつかむと遠くへ放り投げた。
二人は茂みの陰に入った。しばらくは流れる水の音だけがしていたが、また若者の叫び声が聞こえて、すぐ静かになった。
ココが茂みから出てきた。やや頬が上気して上着の裾を直している。
ふと見ると、近くの立ち木の枝にするすると蛇が這い上がってきた。こいつはただの蛇で黒い目はしていなかった。蛇はココの顔を見つめ、赤い舌を出し入れした。
「何見てるんだい。私がやってくれって頼んだわけじゃないだろ」
ココは蛇の頭を平手ではたくと口の端をゆがめて笑った。
道端に荷馬車が残されていた。馬はぼんやりした目つきをして草を食っていた。
「さて、芋と一緒に町に繰り込むなんてみっともないし……」
ココは荷馬車から馬を外してやり、その尻を叩いた。
「あの兄さんはこの世から自由放免になったよ。あんたもどこへでも行くがいいや。そら、行きな……行きなってば」
馬はその場に根が生えたように動かなかった。
ココはフンと鼻を鳴らして笑った。
「飼い主が百姓だと、馬まで百姓根性らしいね。自由になるのが怖いんだろう。勝手にするがいいさ」
ココは川沿いにぶらぶらと歩きだした。気がつくと日が暮れかけていた。川面に赤く夕日が照り返していた。
ゆらめく黒い影が水面をよぎった。影は低く唸りを上げていた。虫の群れだ。
そこへさっき見えた白帆の船がのんびりと近づいてきた。船がさっきの茂みの脇を通る時、甲板から大きな声が上がった。
「おい、あれを見ろ。人が倒れているぞ」
「なあに、酔っぱらいか何かだろう」
「さもなければ街道の浮浪人か」
「いや、様子がおかしいぜ」
船乗りたちが騒ぎ出し、船を岸につけろという声が聞こえた。
ココは振り返りもせず知らん顔でいた。歩きながら腰につけた金貨の袋をもてあそび、鼻歌まじりで独り言をいった。
「町でなにか面白いことでもあるといいけどねえ。まずはコウモリの親玉を探してみようかね。こいつを両替できるといいんだけど」
まっとうな筋に流すことはできないカネだ。落ちこぼれのならず者の集まりとはいいことを聞いた。
ココが笛を吹きながら歩いていると頭上を鴉が鳴いて過ぎた。
「そういや、あのカラス野郎はどうしたんだろう。狩人の森のどこかで朽ち果てていたりして……まあ、どうでもいいや、あんな奴」
橋を渡って町へ向かうココの背中に黒い虫が一匹とりついていた。
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