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第二十一章
しおりを挟む 伊織の分と泉の分のカレーを注いで、スープとサラダも用意した。牛すじの入っているカレーは明日の分もあるだろう。
「すごい美味しい。」
泉は感動したように、きらきらと倫子を見ていた。
「大げさ。普通のカレーだよ。」
倫子は少し笑って、麦茶を差し出した。
「倫子さんはこれからプロフィール欄に、特技はカレー作りと入れるべきだね。」
春樹はそう言って意地悪そうに笑った。
「イヤよ。なに言ってんの。」
少し笑って、倫子も座った。食事のと気はだいたいみんなが座るところが決まっている。倫子の隣は泉がいて、向かいには春樹がいる。時折、倫子と春樹が意味ありげに微笑んでいた。それがいらつく。
「荒田夕って格好良かったね。」
泉はそう言うと、倫子は微妙な表情で泉をみる。
「そうね。テレビなんかに出てる人だから、やっぱりそれなりにね。」
「あのあと写真撮ったの?」
「あーうん……まぁね。」
歯切れが悪い。何かあったのだろうか。すると春樹が少し笑って携帯電話を取り出す。
「あのあと荒田先生とすごい喧嘩をしてしまってね。」
「え?」
「お互い言いたい放題だったよ。殴り合いの喧嘩になると思った。」
その言葉に、二人は驚いて倫子をみる。
「そのあとちゃんと話し合ったわ。でも、春樹。もうあまり対談とか入れないで。写真も苦手なのよ。」
「綺麗に写ってると思うけどね。」
そう言って春樹は携帯電話の写真を二人に見せる。
「え?これ倫子?」
思わずカレーを食べるスプーンが止まった。着物をリメイクさせた濃い紫のワンピースは絞りが入っていて、粋な柄だと思う。その隣の荒田夕は、きっちりスーツを着ていてハットをかぶっていた。まるで、大正ロマンのような姿だと思う。
「コスプレ?」
「違うわ。今書いているのが、時代物だからレトロにしてって言われたの。これ考えたの春樹さんなの?」
「いいや。同僚がね。」
こういう写真を撮って欲しいと言い出したのは、加藤絵里子だった。入れ墨以外は見栄えの良い倫子と、すらっとした夕は並ぶだけで形になる。
「ほら。こんなに近いのもあるんだ。」
そう言って画面を変える。そこには、思ったよりも近くにいる二人の姿があった。まるで恋人同士のようだと思う。
「これ、載せるの?」
近すぎて伊織が思わず口に出す。
「まさか。本誌には、ただ普通に話しているだけの写真。これは少し遊んでみただけだよ。ただ、公式のホームページには、少し遊んだ写真は載せようかと言っているけど。」
その言葉に倫子は思わずせき込んでしまった。
「そんな近い写真載せたら、変に思われるわ。やめて。」
「ははっ。そうだね。」
そのとき倫子の携帯電話がなる。どうやらメッセージのようだ。それに返信しかけて、やはり口で言った方が良いと立ち上がって廊下の方へ向かう。
「倫子って、ノリノリなんだから。」
泉はそう言って少し笑う。
「こういうことって結構あるの?」
伊織が聞くと、春樹は首を横に振った。
「ないね。ただ、うちの雑誌ではこの二人が人気なんだ。発売は年末になるだろうし、感謝祭的なことをしたいって言い出したのがきっかけ。クリスマスも近い時期だし、ファンにとっては喜ぶだろうし。」
「作家同士の対談なんて、興味あるのかな。」
「あるんじゃない?それに、その次の特集は本編とは別に作家先生たちにショートショートを書いてもらおうと思ってる。」
「わぁ。そっちが良いなぁ。ね?池上さんとかも書いてもらえるの?」
「もちろん。泉さんは渋いね。池上さんの作品とかも読んでるの?」
「もちろん。「赤いシリーズ」は全部読んだもの。」
そのとき倫子が不機嫌そうに顔をしかめながら、部屋に戻ってきた。
「どうしたの?リジェクトされた?」
春樹が聞くと、倫子は首を傾げていった。
「週末の飲み会って、決定事項?」
「いいや。そうすれば良いなって言うだけ。どうしたの?」
倫子は携帯電話を置くと、春樹の方をみる。
「荒田先生から連絡が入って、今度の週末に食事へ行きませんかって。」
「食事?」
そんな話は聞いていない。だったら夕が勝手に言っていることだろう。
「気に入られたかな。」
「勘弁して。あんなチャラい人はお断り。」
「でも結構ひっついてたじゃん。」
伊織はそう言うと、倫子は首を横に振る。
「やってって言われたからしただけ。あっち向いて、こっち向いてってもう面倒。」
うんざりというところなのだろう。少しほっとした。倫子があんな男に興味があるとは思えなかった。だが条件としては夕や、伊織の方が良いに決まっている。既婚者とわざわざくっつく意味はないだろう。
「大正ロマンか。」
伊織は少し考えているようだった。その間、カレーに手が付けられていない。
「伊織。仕事のことは食事中は考えないの。」
「あ。ばれた?」
倫子はそう注意すると、春樹の画面の画像を消す。
「で、倫子さん、週末に荒田先生と会う?」
「断ったわ。みんなで打ち上げなら参加するけれど、二人で会う意味がわからない。」
「でもさ、倫子作家仲間と会うこともあるじゃん。」
「それは多人数だからよ。それにみんな言いたい放題だもの。あぁ。秋に、月見酒をするって言ってたかしら。」
「良いねぇ。ロマンチストだ。」
「ロマンねぇ。」
何度か作家仲間の飲み会へ行った。だがその光景は、ロマンなんかとはかけ離れた大学のサークルの飲み会のようだと思う。
「本屋さんの飲み会はないの?」
そう言われて泉は少し笑った。
「うちはチェーン店だから、それぞれの店のクルーが集まって謝恩会みたいなのが年一であるわ。忘年会みたいな。」
「年一回だけなんだ。良いなぁ。」
伊織のところの職場は、酒好きな人が多いのでよく飲み会をする。そのたびにあの事務の女性が言い寄ってくるのが面倒だ。
「春樹さんのところは?」
「うちはそんなに大がかりなことはしない。部署部署で、飲み会なり忘年会なりはするけどね。だけど、校了の度に飲みに行っている気がするよ。」
解放された感じがするのだろう。今度の校了のあと、飲んでホテルに泊まるふりをして倫子を呼びたい。ホテルならいくら声を上げてもかまわないし、二人でいれることが出来る。
こんなに自分が妻以外の人にはまると思ってなかった。
「すごい美味しい。」
泉は感動したように、きらきらと倫子を見ていた。
「大げさ。普通のカレーだよ。」
倫子は少し笑って、麦茶を差し出した。
「倫子さんはこれからプロフィール欄に、特技はカレー作りと入れるべきだね。」
春樹はそう言って意地悪そうに笑った。
「イヤよ。なに言ってんの。」
少し笑って、倫子も座った。食事のと気はだいたいみんなが座るところが決まっている。倫子の隣は泉がいて、向かいには春樹がいる。時折、倫子と春樹が意味ありげに微笑んでいた。それがいらつく。
「荒田夕って格好良かったね。」
泉はそう言うと、倫子は微妙な表情で泉をみる。
「そうね。テレビなんかに出てる人だから、やっぱりそれなりにね。」
「あのあと写真撮ったの?」
「あーうん……まぁね。」
歯切れが悪い。何かあったのだろうか。すると春樹が少し笑って携帯電話を取り出す。
「あのあと荒田先生とすごい喧嘩をしてしまってね。」
「え?」
「お互い言いたい放題だったよ。殴り合いの喧嘩になると思った。」
その言葉に、二人は驚いて倫子をみる。
「そのあとちゃんと話し合ったわ。でも、春樹。もうあまり対談とか入れないで。写真も苦手なのよ。」
「綺麗に写ってると思うけどね。」
そう言って春樹は携帯電話の写真を二人に見せる。
「え?これ倫子?」
思わずカレーを食べるスプーンが止まった。着物をリメイクさせた濃い紫のワンピースは絞りが入っていて、粋な柄だと思う。その隣の荒田夕は、きっちりスーツを着ていてハットをかぶっていた。まるで、大正ロマンのような姿だと思う。
「コスプレ?」
「違うわ。今書いているのが、時代物だからレトロにしてって言われたの。これ考えたの春樹さんなの?」
「いいや。同僚がね。」
こういう写真を撮って欲しいと言い出したのは、加藤絵里子だった。入れ墨以外は見栄えの良い倫子と、すらっとした夕は並ぶだけで形になる。
「ほら。こんなに近いのもあるんだ。」
そう言って画面を変える。そこには、思ったよりも近くにいる二人の姿があった。まるで恋人同士のようだと思う。
「これ、載せるの?」
近すぎて伊織が思わず口に出す。
「まさか。本誌には、ただ普通に話しているだけの写真。これは少し遊んでみただけだよ。ただ、公式のホームページには、少し遊んだ写真は載せようかと言っているけど。」
その言葉に倫子は思わずせき込んでしまった。
「そんな近い写真載せたら、変に思われるわ。やめて。」
「ははっ。そうだね。」
そのとき倫子の携帯電話がなる。どうやらメッセージのようだ。それに返信しかけて、やはり口で言った方が良いと立ち上がって廊下の方へ向かう。
「倫子って、ノリノリなんだから。」
泉はそう言って少し笑う。
「こういうことって結構あるの?」
伊織が聞くと、春樹は首を横に振った。
「ないね。ただ、うちの雑誌ではこの二人が人気なんだ。発売は年末になるだろうし、感謝祭的なことをしたいって言い出したのがきっかけ。クリスマスも近い時期だし、ファンにとっては喜ぶだろうし。」
「作家同士の対談なんて、興味あるのかな。」
「あるんじゃない?それに、その次の特集は本編とは別に作家先生たちにショートショートを書いてもらおうと思ってる。」
「わぁ。そっちが良いなぁ。ね?池上さんとかも書いてもらえるの?」
「もちろん。泉さんは渋いね。池上さんの作品とかも読んでるの?」
「もちろん。「赤いシリーズ」は全部読んだもの。」
そのとき倫子が不機嫌そうに顔をしかめながら、部屋に戻ってきた。
「どうしたの?リジェクトされた?」
春樹が聞くと、倫子は首を傾げていった。
「週末の飲み会って、決定事項?」
「いいや。そうすれば良いなって言うだけ。どうしたの?」
倫子は携帯電話を置くと、春樹の方をみる。
「荒田先生から連絡が入って、今度の週末に食事へ行きませんかって。」
「食事?」
そんな話は聞いていない。だったら夕が勝手に言っていることだろう。
「気に入られたかな。」
「勘弁して。あんなチャラい人はお断り。」
「でも結構ひっついてたじゃん。」
伊織はそう言うと、倫子は首を横に振る。
「やってって言われたからしただけ。あっち向いて、こっち向いてってもう面倒。」
うんざりというところなのだろう。少しほっとした。倫子があんな男に興味があるとは思えなかった。だが条件としては夕や、伊織の方が良いに決まっている。既婚者とわざわざくっつく意味はないだろう。
「大正ロマンか。」
伊織は少し考えているようだった。その間、カレーに手が付けられていない。
「伊織。仕事のことは食事中は考えないの。」
「あ。ばれた?」
倫子はそう注意すると、春樹の画面の画像を消す。
「で、倫子さん、週末に荒田先生と会う?」
「断ったわ。みんなで打ち上げなら参加するけれど、二人で会う意味がわからない。」
「でもさ、倫子作家仲間と会うこともあるじゃん。」
「それは多人数だからよ。それにみんな言いたい放題だもの。あぁ。秋に、月見酒をするって言ってたかしら。」
「良いねぇ。ロマンチストだ。」
「ロマンねぇ。」
何度か作家仲間の飲み会へ行った。だがその光景は、ロマンなんかとはかけ離れた大学のサークルの飲み会のようだと思う。
「本屋さんの飲み会はないの?」
そう言われて泉は少し笑った。
「うちはチェーン店だから、それぞれの店のクルーが集まって謝恩会みたいなのが年一であるわ。忘年会みたいな。」
「年一回だけなんだ。良いなぁ。」
伊織のところの職場は、酒好きな人が多いのでよく飲み会をする。そのたびにあの事務の女性が言い寄ってくるのが面倒だ。
「春樹さんのところは?」
「うちはそんなに大がかりなことはしない。部署部署で、飲み会なり忘年会なりはするけどね。だけど、校了の度に飲みに行っている気がするよ。」
解放された感じがするのだろう。今度の校了のあと、飲んでホテルに泊まるふりをして倫子を呼びたい。ホテルならいくら声を上げてもかまわないし、二人でいれることが出来る。
こんなに自分が妻以外の人にはまると思ってなかった。
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