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六十五 悲しむべきか、笑うべきか
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司令部の建物に到着すると、その士官は二人を待たせて、直ぐに伺いを立てに中に入って行った。皮肉な事に、スパルスの相棒ザーニックをあの世行きにした死神っぽい男、エルエスーデがつい昨日立っていたのも、二人今がいる場所と同じ辺りであった。そのエルエスーデも今日の朝にはこの世とおさらばしていた。行雲流水、何をか言わんやである。
ほどなくエレナはバンケルクの部屋に通され、スパルスは別室で待たされる事となった。
タゴロロームにいる大半の兵士は王女が訪問していようなどと知るよしもない。だが、この事態を目ざとく見咎めた人物が二人いた。
一人は追放処分が下された参謀モルフィネスであり、一人はタゴゴローム守備軍内に潜入したまま様子を窺っていたイザベラであった。
イザベラはこの時、士官に化けて守備軍内を見回っているかのように振る舞っていた。その化けっ振りは些かも女の臭いを感じさせないもので、どう見ても三十代半ばの青年将校といった姿であった。
遠目にエレナとスパルスを見掛けたイザベラは直ぐに貴族風の男装の人物がエレナであると気付いた。変装の名人故の眼力かはたまた一度は命を狙った相手の記憶を強く留めていたためであったか? イザベラの目から見れば、エレナの男装など子供騙しもいいところ、精々素人仮装舞踏会レベルのものであった。
はて、っとイザベラはエレナの訪問を一瞬訝しんだが、エレナ訪問の理由詮索より先に、ロキの姿を求めて四方に視線を走らせていた。が、ロキは見当たらない。この場合、必ずしもロキがエレナに同行しているとは限らないのだが、ハンベエから聞いた、ロキのゲッソリナ行きの役割やエレナとの親密さを考えると、ロキがエレナと一緒にタゴロロームに来ている可能性は有る。十分に有る、とイザベラは考えた。
勿論、同行していない可能性も有る。そちらの可能性は十分過ぎるほど有るかも知れない。
だが、ハンベエにロキの身の安全を頼まれているイザベラは、同行している方の可能性を棄てなかった。ロキが来ているという前提に基づき、直ぐ様守備軍陣地周辺の捜索に取り掛かったのであった。
依頼に対する信義、誠実さというものであったろうか、それとも、イザベラもまたロキの身を案じて居たのだろうか。そもそも、この最早風変わりなと言って良い元殺し屋は、いつの間にか、ハンベエやロキに仲間意識を持ってしまっていたのかも知れない。
ジャの道はヘビとやら。勝手知ったるケモノ道、イザベラはあっさりとロキを見つけてしまった。タゴロローム陣地の正面入り口から、五十メートルほど離れた櫓から、じっと陣地の様子を窺っている少年がいた。櫓の塀から、時々頭を出す程度で、目立たないように腐心しているようだが、鵜の眼鷹の眼で見回していたイザベラの眼からは逃れ得なかったようだ。
その櫓は都市であるタゴロロームの非常連絡用の物で、上部に釣り鐘を設置し、釣り鐘の場所までは内部の螺旋階段で登って行く造りの細高い塔であった。機能としては、日本の江戸時代の火の見櫓に近いものでなのであろう。普段は使われる事も無く、無人で放置されていた。ただし、階段に通じる一階の入り口は施錠されていた。ロキが櫓に登ったという事はその鍵を解錠したという事である。商人になる前は碌でもない暮らしをしていたと言っていたが、果たして何処で覚えたものやら。
顔の部分だけ変装を解き、ロキの良く見知っている顔に戻すと、イザベラは得意の隠形、一切の気配を消してその櫓を登った。上部まで登って見ると、四方を囲む櫓の塀に半身を隠し、じっと陣地の方を窺っている少年ロキの背中が見える。
イザベラは悪戯っぽい笑みを浮かべ、そのロキの肩を右手人差し指で軽くちょんと叩いた。
喉から心臓が飛び出すと言うのはこの時のロキの気持ちであったろう。ブルッと身を震わせると、裂けんばかりにどんぐり眼を見開き、弾かれたように振り返った。右手に小さなナイフを抜いていた。
イザベラの手が鎌首を立てた蛇のように動き、シュラリといった感じでその手首を押さえた。
ロキは目一杯に見開いた眼(まなこ)でイザベラを見つめ、二秒ほど固まった後、
「ふうーっ、びっくりしたよお。心臓が止まったらどうしてくれるんだよお。」
と蒼冷めた顔で言った。
イザベラが微笑んだまま、ゆっくりと手を放し、
「ハンベエ達第五連隊はハナハナ山に向かったよ。」
と事情の説明を始めると、ロキは尻餅をついて、放心したように、イザベラの顔を見つめていた。
タゴロローム守備軍司令部のバンケルクの執務室では、人払いをした将軍バンケルクがエレナに椅子を勧めているところであった。
「姫、お久しぶりです。わざわざこのような所に来ていただくとは、驚きましたが、嬉しい限りです。また一段と美しくなられましたな。」
「将軍もご健勝そうで何よりです。」
「そうでもありませんよ。近頃不愉快な事が多いもので。」
「今日は将軍の心の内を知りたくて参りました。」
「心の内、私の心の内ならロキに届けさせた手紙の通りですが・・・・・・そう言えば、未だ返事を戴いてませんでしたな。」
「そうでした。返事をしていませんでしたね。」
エレナは形を改め、穏やかな湖のように澄んだ瞳でバンケルクをじっと見た。
ロキの届けた手紙の返事・・・・・・エレナが明かした手紙の内容は、エレナに対して殺し屋が放たれた事、その殺し屋の名はドルフという事であった。だがどうやら、手紙には別の事も書かれていたようだ。
「私のような者を妻にと望んでくれる将軍の気持ちはとても嬉しいと思います。そして、私に剣を教えてくれた将軍は掛け替えの無い恩人です。あの時、将軍と剣に打ち込んで過ごせていなかったら、私本当に気が狂ってしまっていたでしょう。」
「姫、姫の身に起こったお痛わしい出来事で傷ついたお心を少しでも和らげる事が出来たとしたら、この私も剣の修行を施した甲斐もありました。今でも、私はただ姫をお守りしたいのです。」
「将軍・・・・・・将軍があの頃のままの方でしたら、私喜んで将軍の妻とならせて戴きたいと思っていましたわ。でも、近頃お聞きする将軍のお噂は、私には思いもよらぬ事ばかり、一体何が有ったのですか?」
どうやら、ロキの届けた手紙の中には、バンケルクからエレナへの求婚の旨がしたためられていたようである。そしてまた、バンケルクの『未だ返事を戴いてません』という言葉から、ロキが届けたエレナの手紙には、求婚に対するはっきりとした返事は書かれていなかったようだ。
「私の姫に対する気持ちは、今も昔も変わりありませんよ。近頃の噂とは何の事でしょう?」
「・・・・・・。では、お尋ねします。まず、将軍の部下がロキさんを誘拐しようとしたと聞きました。これは、まことの話ですか?」
「確かに部下が私に断りもなく、ロキを誘拐しようとしたようです。しかし、ロキの方が悪いのですよ。ハンベエなどというゴロツキと親密にしているから、そんな目に遭うのです。」
バンケルクは、ロキの件について尋ねられ、少し気まずい表情になったが、事も無げに答えた。
バンケルクの答えにエレナは少し眉をひそめた。
「ハンベエさんをゴロツキとは聞き捨てなりませんね。あの人も又私の命の恩人です。聞くところによれば、将軍は私の願いを無視して、ハンベエさんを平兵士に処遇したらしいですね。」
「姫はハンベエに騙されているのではありませんか? 姫の危急を救ったという話は手紙で存じて居りましたが、最初に引見した時から、不遜で人に仕えるような物腰ではありませんでした。忠誠心の一カケラも無い事が有り有りと見てとられましたが。」
「忠誠心?」
「左様です。如何に愛する姫の推薦とはいえ、忠誠心のない者を重要な地位につける訳には行きません。ハンベエという男は謀反人ですよ。案の定、入隊したその日に上官を斬り殺していますし、その後も何かと揉め事を起こし、遂に反乱を起こして、守備軍兵士を二百人も殺害しました。」
「入隊のその日に上官を斬り殺した? 何故、罰っせられなかったのですか?」
「それは、上官の方に罪が有り、そちらが先に斬り掛かったからですが。」
「では、ハンベエさんは悪くないではないですか。」
「いや、相手は全員一太刀で斬り捨てられていたそうです。それほどの腕前があれば、殺さずに捕らえる事も出来たはずです。ハンベエという男は殺戮を楽しむ心を持っているのです。危険極まりない男ですよ。その後も、外敵との戦いに我が方が採った作戦にあらぬ逆恨みをし、第五連隊の兵士達を扇動して反乱をけしかける始末。どのようにして、姫に取り入ったのかは知れませんが、あれは明らかに邪悪な人間です。姫に取り入る一方、宰相ラシャレーの息もかかっているようですね。ともかくハンベエという男は胡散臭い喰わせ者です。しかも、今日は我が守備軍の兵士を二百人も殺戮してハナハナ山へ第五連隊を引きつれて逃げて行きました。」
バンケルクは、そもそもハンベエ抹殺の為に自分から襲撃させた事は隠してぬけぬけと言った。
エレナはバンケルクの話に得心がいかない表情をしていたが、ロキから聞いた第五連隊の怒りや向こう見ずなハンベエの性格から、ハンベエの方から手を出して、大暴れをした可能性は有るかも知れないと思った。
「将軍。私の聞いているところでは、アルハインド族との戦いで、ハンベエさんや第五連隊の兵士達が怒りを持つ理由は十分にあると思いますが。将軍は第五連隊兵士達を始めから見殺しにするような作戦を行ったと聞いています。」
「姫、確かに第五連隊にとっては厳しい条件での戦いになった事は否定しません。しかし、戦争なのです。国を守るためには犠牲も必要なのです。」
「しかし、味方を騙し討ちにするような方法は許されるべきではないようでしょう。」
「味方を騙し討ち、姫、どういう意味ですか?」
「何でも、第五連隊を前線に配置したまま、撤退要請にも応じず、敵の蹂躙するままに任せたと聞いています。」
「撤退要請に応じなかった。・・・・・・姫、それは誤解です。我々は第五連隊に撤退命令を出したのですが、第五連隊側の不手際で、連隊首脳に命令が伝わらなかったのです。」
「伝わらなかった。そうだったのですか?」
「はい、そのせいで第五連隊長のコーデリアスに逆恨みをされ、弱っていたのですが、そのうちに誤解も解けるであろうと思っていた矢先にコーデリアスが自殺してしまったのです。全く困った話ですよ。」
死人に口無しとは良く言ったもの。タゴロローム要塞司令部への帰還報告の時の、バンケルクとコーデリアスのやり取りを見れば、バンケルクの言に信憑性が全く無い事は一目瞭然なのだが、エレナはそのやり取りまでは知らなかったようだ。
「誤解だったのですか。では、別の話をしましょう。将軍はこのタゴゴロームの売春宿から法外な賄賂(まいない)を受け、蓄財に励んでいると聞きましたが、本当の話ですか?」
真っ直ぐに瞳を見つめてくるエレナのこの問いにバンケルクは、ちょっと困ったような顔をしてから答えた。
「恥ずかしながら、それは本当の話です。」
「何故? バンケルク将軍ともあろう方がそのような汚い金集めを・・・・・・。」
「それは、姫、あなたのためなのです。」
「私のため?」
「そうです。手紙にも書きましたが、国王陛下が亡くなられた後にはゴロデリア王国は必ず内乱になります。ステルポイジャンとラシャレーの対立はもう収まる事はありません。それぞれ、フィルハンドラ殿下、ゴルゾーラ殿下を押し立てて、王位を争わせるでしょう。姫の立場は極めて危険です。私は、姫をお守りするつもりで軍資金を蓄えたのです。いざというとき、金が無ければ軍勢は集めれませんからね。」
「私は王位など興味ありません。王位など、兄ゴルゾーラにせよ、弟フィルハンドラにせよ、皆が相応しいと思う者がなれば良いではないですか。」
「私は姫こそ王位に相応しいと思います。」
「何をおっしゃられます。将軍、私は女です。国王などになりたいなどと思った事もありません。順当に太子である兄が父の後を継げば良いのです。」
「馬鹿な。あなたは、あの男があなたにした仕打ちをお忘れですか。姫はあの男の為に危うく命を落とすところだったのですよ。私は許せないし、あの男の治世の下では姫は決して幸せにはなれない。或いは、反対にフィルハンドラが王位につきでもしたら、モスカ夫人はあなたをそのままにはしておかないでしょう。どちらが王位についても、あなたはとても幸せになどなれません。」
「ゴルゾーラ兄さんの事を『あの男』などと呼ぶのはやめてください。あれは間違いだったのです。全てはこの呪われた身の為。兄の事など少しも怨んではいません。」
「嘘だ。あなたは危うく気が違いそうにまでなっていたはずだ。」
「確かに、あの時は本当に気が変になりそうでしたわ。でも、将軍に剣の手解きを受けて、剣に没頭する事で、辛い思いも何とか忘れる事ができました。この身の呪いもきっと剣が遠ざけてくれるでしょうし、兄もいずれ解ってくれるはずです。その話はもうしないで下さい。」
「しかし、私は姫にあのような仕打ちをしたゴルゾーラ殿下が憎くて仕方ない。」
「だから、その話はもうやめてください。それより、モスカ夫人が私をどうすると? 私、あの人に憎まれる理由がありませんよ。」
「モスカ夫人は前王妃のレーナ様を憎んでいます。レーナ様の経営されていた孤児院を廃止したのは、その現れですよ。他にも、レーナ様が行っていた慈善事業を次々と廃止しました。そんなモスカ夫人が、レーナ王妃の面影を強く宿し、更に美しい姫をそのままにしておく事などあり得ない。権力を握った暁には、きっと姫に危害を加えるに違いありません。」
「私の事を案じてくれる将軍の気持ちは嬉しいのですが、将軍の考えには賛同できません。それにハンベエさんに対する見方や扱いについても納得が行きません。ハンベエさんが将軍に楯突いているとしたら、何か理由があるような気がします。」
エレナは、小さく首を振って憂い顔で言った。
「姫、あなたはどうして私の気持ちを分かってくれないのですか。」
バンケルクは俄かに顔色を変えて立ち上がると、そう言いながらエレナに歩みよりその手を取った。
「何を・・・・・・」
エレナが怪訝そうにバンケルクを見つめた。
「姫・・・・・・誰にも貴方を渡しはしない。」
バンケルクは強引にエレナを引き寄せると強く抱きすくめた。
「将軍、やめてください。」
突然の事にエレナは驚き、目を見開いて言った。
だが、バンケルクは興奮のためか息を荒げて、無言のままエレナを床に押し倒し、そのままのしかかった。
「やめなさいっ、やめなければ舌を噛みます。」
犯される、そう感じたエレナは切羽詰まった金切り声を上げ、渾身の力でバンケルクの胸を手の平で突いた。
その声にバンケルクはビクリと動きを止め、我に返ったようにエレナを見つめた。恐怖と怒りに満ちたエレナの引きつった顔がそこに有った。本当に今にも舌を噛みそうであった。
バンケルクは憑き物が落ちたような蒼白い顔になると、おそるおそるといった様子で立ち上がり、後ろに一歩退いた。
エレナは跳ね起きると壁ぎわまで退いてじっとバンケルクの表情を窺った。
バンケルクは酷く悔いているような、悲しげな表情で俯き、
「姫、まことに無礼な振舞いを・・・・・・。」
と言った。
しばらくエレナは黙ってバンケルクを見つめ、心を落ち着かせようとするかのように大きく息をした。
エレナの恐怖と怒りに満ちた表情は漸く落ち着きを見せ、普段の穏やかなものに戻っていった。
「将軍、どうかされていますわ。以前の優しい穏やかな将軍に戻って下さい。将軍が私をお望みなら、この呪われた私で良いなら、私何もいらないのです。何処か静かな所で二人して暮らしましょう。昔の将軍とであれば、王位とか争いに縁のない土地で共に静かに暮らせれば、私何も望みませんわ。今の将軍は何かに取りつかれているようで恐ろしいです。もし何かの野心を抱かれているなら、そんなものは忘れて、どうか昔の将軍に戻って下さいませ。」
エレナはバンケルクを見つめて、相手の目に向けて訴えるように言った。
バンケルクは食いいるように、そんなエレナの姿を見つめている。
「野心・・・・・・或いは、取りつかれているかも知れないですね。だが、今となっては、王国の内乱に身を投じるまでの事。いくら姫の願いでも、進んで来た道を変える事はできないのです。」
「何もかも打ち棄ててしまえばいいではないですか。二人して、誰も知れない地に行ってしまえば・・・・・・」
「・・・・・・それはできません。」
「残念ですわ。私は元より、王位の争いなどに加わるつもりはありません。・・・・・・将軍の気持ちが変わるのを期待して待つ事にします。また、お会いしましょう。」
「何処へ?」
「タゴロロームに来た理由は将軍にお会いして、将軍が昔と少しも変わられていない事を確認するためでした。悲しい事に将軍は人が変わられたようです。後は、元のゲッソリナに戻るだけです。」
「折角来て戴いたのですから、そんなに慌てて帰らなくとも良いではないですか。」
「いいえ、今の将軍と一緒にいるのはむしろ悲しいですから。」
エレナはそう言うと、部屋を出ようと出口の戸を開けた。
廊下には何十人もの兵士達が槍を携えて立っていた。エレナが出ようとすると、兵士達は槍を構えて半円を描いて取り囲んだ。
「将軍、一体これはどういう事ですか。」
エレナはキッとバンケルクを振り返って言った。腰の辺りで手を握り締めて、ぐっと悔しそうに唇を噛み締めている。言い忘れていたが、エレナは司令部警備兵に剣を預けて丸腰であった。
ハンベエなら、剣を預けたりする事はないが、身分の高い人間は、あからさまに人を疑い、自分の身を守ろうとする姿勢を見せる事を戒められる事が多い。身分が高いばかりに、逆に危険に身を曝さなければならいない事もあるのだ。風来坊の無法者ハンベエ辺りに言わせれば、『バッカじゃないの』ってところであるが、王女エレナとしては、帯剣を預けた事は致し方のない事であった。
「いえ、姫にタゴロロームにゆっくり居て戴きたいと思うだけの事ですよ。それに王位の事もゆっくり考えて戴ければ、考えも変わると思いますよ。」
「・・・・・・。」
エレナはもう何も言わなかった。
「姫を丁重に客室に案内せよ。」
バンケルクの兵士達への命令が無情に響いた。
ほどなくエレナはバンケルクの部屋に通され、スパルスは別室で待たされる事となった。
タゴロロームにいる大半の兵士は王女が訪問していようなどと知るよしもない。だが、この事態を目ざとく見咎めた人物が二人いた。
一人は追放処分が下された参謀モルフィネスであり、一人はタゴゴローム守備軍内に潜入したまま様子を窺っていたイザベラであった。
イザベラはこの時、士官に化けて守備軍内を見回っているかのように振る舞っていた。その化けっ振りは些かも女の臭いを感じさせないもので、どう見ても三十代半ばの青年将校といった姿であった。
遠目にエレナとスパルスを見掛けたイザベラは直ぐに貴族風の男装の人物がエレナであると気付いた。変装の名人故の眼力かはたまた一度は命を狙った相手の記憶を強く留めていたためであったか? イザベラの目から見れば、エレナの男装など子供騙しもいいところ、精々素人仮装舞踏会レベルのものであった。
はて、っとイザベラはエレナの訪問を一瞬訝しんだが、エレナ訪問の理由詮索より先に、ロキの姿を求めて四方に視線を走らせていた。が、ロキは見当たらない。この場合、必ずしもロキがエレナに同行しているとは限らないのだが、ハンベエから聞いた、ロキのゲッソリナ行きの役割やエレナとの親密さを考えると、ロキがエレナと一緒にタゴロロームに来ている可能性は有る。十分に有る、とイザベラは考えた。
勿論、同行していない可能性も有る。そちらの可能性は十分過ぎるほど有るかも知れない。
だが、ハンベエにロキの身の安全を頼まれているイザベラは、同行している方の可能性を棄てなかった。ロキが来ているという前提に基づき、直ぐ様守備軍陣地周辺の捜索に取り掛かったのであった。
依頼に対する信義、誠実さというものであったろうか、それとも、イザベラもまたロキの身を案じて居たのだろうか。そもそも、この最早風変わりなと言って良い元殺し屋は、いつの間にか、ハンベエやロキに仲間意識を持ってしまっていたのかも知れない。
ジャの道はヘビとやら。勝手知ったるケモノ道、イザベラはあっさりとロキを見つけてしまった。タゴロローム陣地の正面入り口から、五十メートルほど離れた櫓から、じっと陣地の様子を窺っている少年がいた。櫓の塀から、時々頭を出す程度で、目立たないように腐心しているようだが、鵜の眼鷹の眼で見回していたイザベラの眼からは逃れ得なかったようだ。
その櫓は都市であるタゴロロームの非常連絡用の物で、上部に釣り鐘を設置し、釣り鐘の場所までは内部の螺旋階段で登って行く造りの細高い塔であった。機能としては、日本の江戸時代の火の見櫓に近いものでなのであろう。普段は使われる事も無く、無人で放置されていた。ただし、階段に通じる一階の入り口は施錠されていた。ロキが櫓に登ったという事はその鍵を解錠したという事である。商人になる前は碌でもない暮らしをしていたと言っていたが、果たして何処で覚えたものやら。
顔の部分だけ変装を解き、ロキの良く見知っている顔に戻すと、イザベラは得意の隠形、一切の気配を消してその櫓を登った。上部まで登って見ると、四方を囲む櫓の塀に半身を隠し、じっと陣地の方を窺っている少年ロキの背中が見える。
イザベラは悪戯っぽい笑みを浮かべ、そのロキの肩を右手人差し指で軽くちょんと叩いた。
喉から心臓が飛び出すと言うのはこの時のロキの気持ちであったろう。ブルッと身を震わせると、裂けんばかりにどんぐり眼を見開き、弾かれたように振り返った。右手に小さなナイフを抜いていた。
イザベラの手が鎌首を立てた蛇のように動き、シュラリといった感じでその手首を押さえた。
ロキは目一杯に見開いた眼(まなこ)でイザベラを見つめ、二秒ほど固まった後、
「ふうーっ、びっくりしたよお。心臓が止まったらどうしてくれるんだよお。」
と蒼冷めた顔で言った。
イザベラが微笑んだまま、ゆっくりと手を放し、
「ハンベエ達第五連隊はハナハナ山に向かったよ。」
と事情の説明を始めると、ロキは尻餅をついて、放心したように、イザベラの顔を見つめていた。
タゴロローム守備軍司令部のバンケルクの執務室では、人払いをした将軍バンケルクがエレナに椅子を勧めているところであった。
「姫、お久しぶりです。わざわざこのような所に来ていただくとは、驚きましたが、嬉しい限りです。また一段と美しくなられましたな。」
「将軍もご健勝そうで何よりです。」
「そうでもありませんよ。近頃不愉快な事が多いもので。」
「今日は将軍の心の内を知りたくて参りました。」
「心の内、私の心の内ならロキに届けさせた手紙の通りですが・・・・・・そう言えば、未だ返事を戴いてませんでしたな。」
「そうでした。返事をしていませんでしたね。」
エレナは形を改め、穏やかな湖のように澄んだ瞳でバンケルクをじっと見た。
ロキの届けた手紙の返事・・・・・・エレナが明かした手紙の内容は、エレナに対して殺し屋が放たれた事、その殺し屋の名はドルフという事であった。だがどうやら、手紙には別の事も書かれていたようだ。
「私のような者を妻にと望んでくれる将軍の気持ちはとても嬉しいと思います。そして、私に剣を教えてくれた将軍は掛け替えの無い恩人です。あの時、将軍と剣に打ち込んで過ごせていなかったら、私本当に気が狂ってしまっていたでしょう。」
「姫、姫の身に起こったお痛わしい出来事で傷ついたお心を少しでも和らげる事が出来たとしたら、この私も剣の修行を施した甲斐もありました。今でも、私はただ姫をお守りしたいのです。」
「将軍・・・・・・将軍があの頃のままの方でしたら、私喜んで将軍の妻とならせて戴きたいと思っていましたわ。でも、近頃お聞きする将軍のお噂は、私には思いもよらぬ事ばかり、一体何が有ったのですか?」
どうやら、ロキの届けた手紙の中には、バンケルクからエレナへの求婚の旨がしたためられていたようである。そしてまた、バンケルクの『未だ返事を戴いてません』という言葉から、ロキが届けたエレナの手紙には、求婚に対するはっきりとした返事は書かれていなかったようだ。
「私の姫に対する気持ちは、今も昔も変わりありませんよ。近頃の噂とは何の事でしょう?」
「・・・・・・。では、お尋ねします。まず、将軍の部下がロキさんを誘拐しようとしたと聞きました。これは、まことの話ですか?」
「確かに部下が私に断りもなく、ロキを誘拐しようとしたようです。しかし、ロキの方が悪いのですよ。ハンベエなどというゴロツキと親密にしているから、そんな目に遭うのです。」
バンケルクは、ロキの件について尋ねられ、少し気まずい表情になったが、事も無げに答えた。
バンケルクの答えにエレナは少し眉をひそめた。
「ハンベエさんをゴロツキとは聞き捨てなりませんね。あの人も又私の命の恩人です。聞くところによれば、将軍は私の願いを無視して、ハンベエさんを平兵士に処遇したらしいですね。」
「姫はハンベエに騙されているのではありませんか? 姫の危急を救ったという話は手紙で存じて居りましたが、最初に引見した時から、不遜で人に仕えるような物腰ではありませんでした。忠誠心の一カケラも無い事が有り有りと見てとられましたが。」
「忠誠心?」
「左様です。如何に愛する姫の推薦とはいえ、忠誠心のない者を重要な地位につける訳には行きません。ハンベエという男は謀反人ですよ。案の定、入隊したその日に上官を斬り殺していますし、その後も何かと揉め事を起こし、遂に反乱を起こして、守備軍兵士を二百人も殺害しました。」
「入隊のその日に上官を斬り殺した? 何故、罰っせられなかったのですか?」
「それは、上官の方に罪が有り、そちらが先に斬り掛かったからですが。」
「では、ハンベエさんは悪くないではないですか。」
「いや、相手は全員一太刀で斬り捨てられていたそうです。それほどの腕前があれば、殺さずに捕らえる事も出来たはずです。ハンベエという男は殺戮を楽しむ心を持っているのです。危険極まりない男ですよ。その後も、外敵との戦いに我が方が採った作戦にあらぬ逆恨みをし、第五連隊の兵士達を扇動して反乱をけしかける始末。どのようにして、姫に取り入ったのかは知れませんが、あれは明らかに邪悪な人間です。姫に取り入る一方、宰相ラシャレーの息もかかっているようですね。ともかくハンベエという男は胡散臭い喰わせ者です。しかも、今日は我が守備軍の兵士を二百人も殺戮してハナハナ山へ第五連隊を引きつれて逃げて行きました。」
バンケルクは、そもそもハンベエ抹殺の為に自分から襲撃させた事は隠してぬけぬけと言った。
エレナはバンケルクの話に得心がいかない表情をしていたが、ロキから聞いた第五連隊の怒りや向こう見ずなハンベエの性格から、ハンベエの方から手を出して、大暴れをした可能性は有るかも知れないと思った。
「将軍。私の聞いているところでは、アルハインド族との戦いで、ハンベエさんや第五連隊の兵士達が怒りを持つ理由は十分にあると思いますが。将軍は第五連隊兵士達を始めから見殺しにするような作戦を行ったと聞いています。」
「姫、確かに第五連隊にとっては厳しい条件での戦いになった事は否定しません。しかし、戦争なのです。国を守るためには犠牲も必要なのです。」
「しかし、味方を騙し討ちにするような方法は許されるべきではないようでしょう。」
「味方を騙し討ち、姫、どういう意味ですか?」
「何でも、第五連隊を前線に配置したまま、撤退要請にも応じず、敵の蹂躙するままに任せたと聞いています。」
「撤退要請に応じなかった。・・・・・・姫、それは誤解です。我々は第五連隊に撤退命令を出したのですが、第五連隊側の不手際で、連隊首脳に命令が伝わらなかったのです。」
「伝わらなかった。そうだったのですか?」
「はい、そのせいで第五連隊長のコーデリアスに逆恨みをされ、弱っていたのですが、そのうちに誤解も解けるであろうと思っていた矢先にコーデリアスが自殺してしまったのです。全く困った話ですよ。」
死人に口無しとは良く言ったもの。タゴロローム要塞司令部への帰還報告の時の、バンケルクとコーデリアスのやり取りを見れば、バンケルクの言に信憑性が全く無い事は一目瞭然なのだが、エレナはそのやり取りまでは知らなかったようだ。
「誤解だったのですか。では、別の話をしましょう。将軍はこのタゴゴロームの売春宿から法外な賄賂(まいない)を受け、蓄財に励んでいると聞きましたが、本当の話ですか?」
真っ直ぐに瞳を見つめてくるエレナのこの問いにバンケルクは、ちょっと困ったような顔をしてから答えた。
「恥ずかしながら、それは本当の話です。」
「何故? バンケルク将軍ともあろう方がそのような汚い金集めを・・・・・・。」
「それは、姫、あなたのためなのです。」
「私のため?」
「そうです。手紙にも書きましたが、国王陛下が亡くなられた後にはゴロデリア王国は必ず内乱になります。ステルポイジャンとラシャレーの対立はもう収まる事はありません。それぞれ、フィルハンドラ殿下、ゴルゾーラ殿下を押し立てて、王位を争わせるでしょう。姫の立場は極めて危険です。私は、姫をお守りするつもりで軍資金を蓄えたのです。いざというとき、金が無ければ軍勢は集めれませんからね。」
「私は王位など興味ありません。王位など、兄ゴルゾーラにせよ、弟フィルハンドラにせよ、皆が相応しいと思う者がなれば良いではないですか。」
「私は姫こそ王位に相応しいと思います。」
「何をおっしゃられます。将軍、私は女です。国王などになりたいなどと思った事もありません。順当に太子である兄が父の後を継げば良いのです。」
「馬鹿な。あなたは、あの男があなたにした仕打ちをお忘れですか。姫はあの男の為に危うく命を落とすところだったのですよ。私は許せないし、あの男の治世の下では姫は決して幸せにはなれない。或いは、反対にフィルハンドラが王位につきでもしたら、モスカ夫人はあなたをそのままにはしておかないでしょう。どちらが王位についても、あなたはとても幸せになどなれません。」
「ゴルゾーラ兄さんの事を『あの男』などと呼ぶのはやめてください。あれは間違いだったのです。全てはこの呪われた身の為。兄の事など少しも怨んではいません。」
「嘘だ。あなたは危うく気が違いそうにまでなっていたはずだ。」
「確かに、あの時は本当に気が変になりそうでしたわ。でも、将軍に剣の手解きを受けて、剣に没頭する事で、辛い思いも何とか忘れる事ができました。この身の呪いもきっと剣が遠ざけてくれるでしょうし、兄もいずれ解ってくれるはずです。その話はもうしないで下さい。」
「しかし、私は姫にあのような仕打ちをしたゴルゾーラ殿下が憎くて仕方ない。」
「だから、その話はもうやめてください。それより、モスカ夫人が私をどうすると? 私、あの人に憎まれる理由がありませんよ。」
「モスカ夫人は前王妃のレーナ様を憎んでいます。レーナ様の経営されていた孤児院を廃止したのは、その現れですよ。他にも、レーナ様が行っていた慈善事業を次々と廃止しました。そんなモスカ夫人が、レーナ王妃の面影を強く宿し、更に美しい姫をそのままにしておく事などあり得ない。権力を握った暁には、きっと姫に危害を加えるに違いありません。」
「私の事を案じてくれる将軍の気持ちは嬉しいのですが、将軍の考えには賛同できません。それにハンベエさんに対する見方や扱いについても納得が行きません。ハンベエさんが将軍に楯突いているとしたら、何か理由があるような気がします。」
エレナは、小さく首を振って憂い顔で言った。
「姫、あなたはどうして私の気持ちを分かってくれないのですか。」
バンケルクは俄かに顔色を変えて立ち上がると、そう言いながらエレナに歩みよりその手を取った。
「何を・・・・・・」
エレナが怪訝そうにバンケルクを見つめた。
「姫・・・・・・誰にも貴方を渡しはしない。」
バンケルクは強引にエレナを引き寄せると強く抱きすくめた。
「将軍、やめてください。」
突然の事にエレナは驚き、目を見開いて言った。
だが、バンケルクは興奮のためか息を荒げて、無言のままエレナを床に押し倒し、そのままのしかかった。
「やめなさいっ、やめなければ舌を噛みます。」
犯される、そう感じたエレナは切羽詰まった金切り声を上げ、渾身の力でバンケルクの胸を手の平で突いた。
その声にバンケルクはビクリと動きを止め、我に返ったようにエレナを見つめた。恐怖と怒りに満ちたエレナの引きつった顔がそこに有った。本当に今にも舌を噛みそうであった。
バンケルクは憑き物が落ちたような蒼白い顔になると、おそるおそるといった様子で立ち上がり、後ろに一歩退いた。
エレナは跳ね起きると壁ぎわまで退いてじっとバンケルクの表情を窺った。
バンケルクは酷く悔いているような、悲しげな表情で俯き、
「姫、まことに無礼な振舞いを・・・・・・。」
と言った。
しばらくエレナは黙ってバンケルクを見つめ、心を落ち着かせようとするかのように大きく息をした。
エレナの恐怖と怒りに満ちた表情は漸く落ち着きを見せ、普段の穏やかなものに戻っていった。
「将軍、どうかされていますわ。以前の優しい穏やかな将軍に戻って下さい。将軍が私をお望みなら、この呪われた私で良いなら、私何もいらないのです。何処か静かな所で二人して暮らしましょう。昔の将軍とであれば、王位とか争いに縁のない土地で共に静かに暮らせれば、私何も望みませんわ。今の将軍は何かに取りつかれているようで恐ろしいです。もし何かの野心を抱かれているなら、そんなものは忘れて、どうか昔の将軍に戻って下さいませ。」
エレナはバンケルクを見つめて、相手の目に向けて訴えるように言った。
バンケルクは食いいるように、そんなエレナの姿を見つめている。
「野心・・・・・・或いは、取りつかれているかも知れないですね。だが、今となっては、王国の内乱に身を投じるまでの事。いくら姫の願いでも、進んで来た道を変える事はできないのです。」
「何もかも打ち棄ててしまえばいいではないですか。二人して、誰も知れない地に行ってしまえば・・・・・・」
「・・・・・・それはできません。」
「残念ですわ。私は元より、王位の争いなどに加わるつもりはありません。・・・・・・将軍の気持ちが変わるのを期待して待つ事にします。また、お会いしましょう。」
「何処へ?」
「タゴロロームに来た理由は将軍にお会いして、将軍が昔と少しも変わられていない事を確認するためでした。悲しい事に将軍は人が変わられたようです。後は、元のゲッソリナに戻るだけです。」
「折角来て戴いたのですから、そんなに慌てて帰らなくとも良いではないですか。」
「いいえ、今の将軍と一緒にいるのはむしろ悲しいですから。」
エレナはそう言うと、部屋を出ようと出口の戸を開けた。
廊下には何十人もの兵士達が槍を携えて立っていた。エレナが出ようとすると、兵士達は槍を構えて半円を描いて取り囲んだ。
「将軍、一体これはどういう事ですか。」
エレナはキッとバンケルクを振り返って言った。腰の辺りで手を握り締めて、ぐっと悔しそうに唇を噛み締めている。言い忘れていたが、エレナは司令部警備兵に剣を預けて丸腰であった。
ハンベエなら、剣を預けたりする事はないが、身分の高い人間は、あからさまに人を疑い、自分の身を守ろうとする姿勢を見せる事を戒められる事が多い。身分が高いばかりに、逆に危険に身を曝さなければならいない事もあるのだ。風来坊の無法者ハンベエ辺りに言わせれば、『バッカじゃないの』ってところであるが、王女エレナとしては、帯剣を預けた事は致し方のない事であった。
「いえ、姫にタゴロロームにゆっくり居て戴きたいと思うだけの事ですよ。それに王位の事もゆっくり考えて戴ければ、考えも変わると思いますよ。」
「・・・・・・。」
エレナはもう何も言わなかった。
「姫を丁重に客室に案内せよ。」
バンケルクの兵士達への命令が無情に響いた。
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