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「バーラントは生きてるんでしょ?」とエリカ。「あなたなら、絶対に居場所を知ってるわよね?」

「ああ、確かに知っている」

 アルメリアが前のめりになった。

「ど、どこに……?!」
「ちょっと待っていてください」

 ライールがそう言って、席を立ち、大きな執務机に行って、ペンを握る。それから紙の上にスラスラと文字を書いた。
 その紙を四つ折りに畳み、また席に戻って、机の上に置いた。

「紙を見たら、この灰皿の上に置いてください」

 アルメリアが、恐る恐る四つ折りの紙を拾い上げる。

「――ここに?」
「そうです」
「なるほど」とエリカ。「ある意味、灯台もと暗しってヤツね?」
「良かった……」
「ほらほら、アルメリア。まだ安心して泣くには早いわよ?」
「わ、分かってますよ!」

 そう言って目元をぬぐうアルメリア。

「全く…… あいつがうらめしい……」
「何か言った?」
「いや、なんでも」

 エリカが首をかしげつつ、アルメリアから渡された紙を灰皿へ置いた。

「他言無用で。彼の命に関わります」
「はい」
「分かってる」

 ライールが、灰皿の隣に置いてあるマッチを拾い上げ、紙に火を付けた。火は瞬く間に紙を覆い、黒くしていく。

 ライールは黒くなった炭素の塊を、マッチの棒で突っついて、こすって、粉々にして、黒い粉末にした。

 そうして炭化したマッチを灰皿へ放り込んで、顔をあげた。

「現在のバーラントは」とライール。「今も調査を続けていて、近いうちに議事堂で告発をおこなう予定です。おそらくそれが原因で、奴らの親玉と、その側近が活発に動き始めたのでしょう」

「向こうも焦ってる……?」とエリカ。
「俺もあいつも、中枢にいるある政治家が一役買ってると考えていて、そいつを拘束し、逮捕するに足る証拠を揃えてきました。――後は、決定打があれば完璧です」

 ライールが言って、エリカへ目配せした。

「決定打、ね」

 エリカも目を細めて答える。

「次は、例の殺人事件について話したい」

 ライールは真剣な顔で言った。
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