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9. 9月22日 ルーシーのフラット
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ホームズ商会は倒産の危機にある。落ち着きを取り戻そうと、手紙に書いてある住所を頼りにルーシーのフラットめがけて歩いてきたけど、心臓はどくどくと全身に響く一方だ。
ホームズ家のタウンハウスと同じ七区にあるルーシーのフラットは、こじんまりとしながらも洗練された外観の建物の、階段を三階分ほど上がったところにあった。
「アリス・ホームズ様ですね?ルシンダ様から申しつかっております」
ルーシーのメイドが部屋の中に入れてくれた。
「ルーシーはここにはいないの?」
「出版社からまだ戻られておりません。そちらにお座りになってください。お待ちになる間、よろしければレモネードはいかがですか?」
「まあ、ありがとう。お願いするわ」
十分ほど待っただろうか。
ルーシーが帰ってきた。階段を駆け上がってきたのだろう。息を切らしながらも軽快な足音が聞こえてきた。
「アリー、もう来てる?」
ミッドナイトブルーの潔くシンプルなドレスに、短くカールした黒い髪は走ってきたせいでところどころ乱れている。むき出しの耳元には小さな真珠が飾られていた。
なんて美しく洗練されているんだろう。
「来てるわ。あなたの優秀なメイドが出してくれた、自家製レモネードを楽しんでいたところよ。髪型を変えたのね」
「印象を変えたくて切ってみたんだけど、似合ってる?打ち合わせが長引いてしまって、お待たせして悪かったわね」
「自立した女性という雰囲気だわ。ところで素敵なお部屋ね」
わたしは改めて部屋を見渡して言った。
シンプルで洗練された最低限の家具が置かれたインテリアは、いかにも行動力のあるルーシーらしかった。
「ありがとう。かんじのいい部屋でしょ。ランチはもう食べた?よかったら一緒にどう?」
慌てて家を出てきたので昼食はまだだった。そういえば、お腹が空いている。
食事は舌平目のグリルに、付け合わせの野菜といったシンプルなものだった。最後にはフルーツとチーズが出てきた。
「ご実家の料理に比べたら簡素でしょうけど」と言って、ルーシーは笑う。
わたしにとってはごちそうだった。最近、朝食に肉類が出てこないのだ。今となってはその理由も判明した。
そう、ホームズ商会は倒産寸前。
「元気がないけど、どうしたの?」
ルーシーはわたしの顔をのぞき込んだ。
「なんでもないわ」
わたしは大したことではないと手を振った。
「わかった。男の人でしょう。アリーをそんな暗い顔にさせるなんて、一体どういう人なの?」
ルーシーは興味津々とばかりに聞いてくる。
わたしを暗い顔にさせるのは、男性ではなく倒産の危機である。だけどそんなことは話せないから、代わりにわたしの人生はいかに色気がないかを話した。
面白味に欠けたわたしの話なんてゴシップにすらならない。いや、去年は一時、散々うわさになった。結婚式の前日に花婿にドタキャンされたかわいそうな令嬢として。
「まず主体的に行動しないところが問題よ。パーティーにも行かずに、どうやって素敵な人を見つけるつもりなの?」
ルーシーは劣等性に基礎的なスペルを教えるような口調で続けた。
「アリー、じっといていたらもったいないわよ。流し目を送ってみたりとか、色々やりようがあるでしょう?」
それは自分に自信がある人にしかできない芸当で、到底わたしには無理だと言いたい気持ちをぐっとこらえて、弱々しくほほ笑んだ。
***
ルーシーのフラットをあとにして、わたしたちは王都ツアーへと繰り出した。
「それで、どこにいけばいいの?」
ルーシーはプレゼントをもらう小さな子どものように興奮していた。
「パールモルネは蒸気の街と言われるだけあって、特に七区から十区のダウンタウンの景観は独特の美しさがあるの。
一区から六区のアップタウンは洗練された街並みの美しさがあるわね。特に五区は自然が豊かで、とても都心とは思えないわ。もし買い物に出かけたいなら、三区に行くと楽しめるわよ」
「ダウンタウンは気になっているんだけど、私一人では行きづらかったの。だからダウンタウンから案内してほしい」
七区の商業通りを歩きながら、郵便局や小切手を換金する銀行など、ルーシーがよく使うことになるであろう店を紹介していく。
「あれは辻馬車よね?今度小説に出そうとしてるんだけど、私は乗ったことがないのよね」
これだから生粋のお嬢様は。わたしはルーシーの手を取って道路を渡ると言った。
「それじゃあ乗ってみましょうよ。辻馬車で工場があるエリアまで行きましょう」
霧が濃くなってきた。煙突からもくもくと勢いよく蒸気を吐き出している工場が乱立するこの場所は、もう一つの王都パールモルネの顔だ。このエネルギーに満ち溢れた光景はまさに絶景であるといえるだろう。
辻馬車を降りたわたしは石畳の地面が上へ下へと広がるダウンタウンの姿に息を呑んだ。
工場と工場の隙間を埋めるように民家、雑貨店や食料店がひしめき合っている。
「これが王都パールモルネなのね」
ルーシーは圧巻の街並みに気圧されたようだった。
「パールモルネにようこそ」わたしはおどけて言う。
わたしたちは洗濯物が干してある広場を通り過ぎ、石畳の階段を上がり下りし、ホームズ商会が所有する工場の前までやってきた。
「うちの工場の一つで、ここでは貴族向けにキャンドルを製造しているの。ほら見て。魔法薬が混じった蒸気がカラフルでキャンディみたいでしょう」
わたしは中をのぞいてみた。職人が手持ち無沙汰でお喋りやボードゲームに興じている。
おや?妙だ。以前は活気に溢れていたはずなんだけど。ちょうど休憩中なのだろうか。
わたしたちは再び辻馬車に乗り、ダウンタウンを一周すると、ルーシーが口を開いた。
「今夜パーティーに呼ばれていて、そのためのショッピングをしても構わない?」
「もちろんよ。じゃあ、このまま三区まで行きましょう」
わたしたちは高級店や百貨店が立ち並ぶエリアまで足を伸ばした。すぐ近くに美術館やペニーパークがあるこのエリアは貴族にとってはなじみのある場所だ。
わたしが行かない(正確には行けない)アスリエル王国発祥のデザイナーブランド店にルーシーは入った。
黒い看板にはシンプルに《EP》とロゴが掲げられている。エリック・ピーターソンという若きデザイナーの店だ。なんでも隣国のフーアセイド国の貴族の間で人気になり、このアスリエル王国でも最先端のイット・ドレスになっている注目のお店だ。
店内は清潔で、高級感があった。蒸気ランプを使っているから全体が明るい。確かにろうそくと違ってランプは便利だ。
ドレスを試着するルーシーを眺めていると、なじみのある匂いがわたしの鼻腔をくすぐった。店内を見渡すと、机にホームズ商会の魔法のキャンドルが置いてあった。
「いい香りね」
わたしの視線に気がついたルーシーは言った。
「デザイナーのエリック・ピーターソンが、このキャンドルをつけていると幸福な気持ちになるというので、彼の指示でお店に置いているんです」
店員と話していると、運よくデザイナー本人が店にやってきた。
エリック・ピーターソンは今やファッション界の寵児だ。
「そうなの。この香りに包まれていると創作意欲が湧いてくるの。それにいい匂いでしょ」
彼はシンプルなズボンに奇抜な上着を合わせている。デザイナーだからこそ許されるセンスだ。
「あの、ありがとうございます。そのキャンドルはうちの製品です」
「ホームズ商会のご令嬢だったのね」エリック・ピーターソンは「素敵な偶然」と付け加えた。
ルーシーは一点もののドレスを購入した。紫のドレスには銀糸が縫いこまれていて、動くたびにミステリアスに輝く。ああ、夜に輝く月の女王みたいね。
「今夜のパーティーに来ていくつもりなの。アリーも一緒に行きましょうよ」
「わたしも?でも、招待状がないし」
ついでに来ていくドレスもない。
「いいじゃない。招待状のある私と一緒に行けば入れるから。昼食のときも言ったでしょう?あなたは行動量が少なすぎるの。たまには自分から行動してみなさいよ」
いつの間にかわたしたちにシャンパンが振る舞われている。おかげでかなりリラックスしてきた。
デザイナーのエリック・ピーターソンも「待ってちゃだめ」だと言う。
「そうね、言ってみようかしら」
わたしは強気になって、数年ぶりにパーティーに行く決意をした。
それにパーティーでリッチな結婚相手を見つけられれば、家のピンチを救えるかもしれないし。ルーシーにネタを提供することになっても、わたしの場合はそんな醜態を晒すことはないだろうし。
なんといってもわたしは地味で冴えないのだから。
わたしは家に戻って夜会用に唯一持っている青いドレスと宝石を持って、ルーシーのフラットへ戻った。
優秀なルーシーのレディーズ・メイドがドレスのしわを伸ばしてくれてなんとか清潔なドレス姿になった。髪型を最新の形にまとめてくれたおかげでスタイリッシュとも言えなくもないだろう。
パーティーで幸運をつかみ取るのよ。わたしは深呼吸をして、空飛ぶ馬車に乗り込んだ。
ホームズ家のタウンハウスと同じ七区にあるルーシーのフラットは、こじんまりとしながらも洗練された外観の建物の、階段を三階分ほど上がったところにあった。
「アリス・ホームズ様ですね?ルシンダ様から申しつかっております」
ルーシーのメイドが部屋の中に入れてくれた。
「ルーシーはここにはいないの?」
「出版社からまだ戻られておりません。そちらにお座りになってください。お待ちになる間、よろしければレモネードはいかがですか?」
「まあ、ありがとう。お願いするわ」
十分ほど待っただろうか。
ルーシーが帰ってきた。階段を駆け上がってきたのだろう。息を切らしながらも軽快な足音が聞こえてきた。
「アリー、もう来てる?」
ミッドナイトブルーの潔くシンプルなドレスに、短くカールした黒い髪は走ってきたせいでところどころ乱れている。むき出しの耳元には小さな真珠が飾られていた。
なんて美しく洗練されているんだろう。
「来てるわ。あなたの優秀なメイドが出してくれた、自家製レモネードを楽しんでいたところよ。髪型を変えたのね」
「印象を変えたくて切ってみたんだけど、似合ってる?打ち合わせが長引いてしまって、お待たせして悪かったわね」
「自立した女性という雰囲気だわ。ところで素敵なお部屋ね」
わたしは改めて部屋を見渡して言った。
シンプルで洗練された最低限の家具が置かれたインテリアは、いかにも行動力のあるルーシーらしかった。
「ありがとう。かんじのいい部屋でしょ。ランチはもう食べた?よかったら一緒にどう?」
慌てて家を出てきたので昼食はまだだった。そういえば、お腹が空いている。
食事は舌平目のグリルに、付け合わせの野菜といったシンプルなものだった。最後にはフルーツとチーズが出てきた。
「ご実家の料理に比べたら簡素でしょうけど」と言って、ルーシーは笑う。
わたしにとってはごちそうだった。最近、朝食に肉類が出てこないのだ。今となってはその理由も判明した。
そう、ホームズ商会は倒産寸前。
「元気がないけど、どうしたの?」
ルーシーはわたしの顔をのぞき込んだ。
「なんでもないわ」
わたしは大したことではないと手を振った。
「わかった。男の人でしょう。アリーをそんな暗い顔にさせるなんて、一体どういう人なの?」
ルーシーは興味津々とばかりに聞いてくる。
わたしを暗い顔にさせるのは、男性ではなく倒産の危機である。だけどそんなことは話せないから、代わりにわたしの人生はいかに色気がないかを話した。
面白味に欠けたわたしの話なんてゴシップにすらならない。いや、去年は一時、散々うわさになった。結婚式の前日に花婿にドタキャンされたかわいそうな令嬢として。
「まず主体的に行動しないところが問題よ。パーティーにも行かずに、どうやって素敵な人を見つけるつもりなの?」
ルーシーは劣等性に基礎的なスペルを教えるような口調で続けた。
「アリー、じっといていたらもったいないわよ。流し目を送ってみたりとか、色々やりようがあるでしょう?」
それは自分に自信がある人にしかできない芸当で、到底わたしには無理だと言いたい気持ちをぐっとこらえて、弱々しくほほ笑んだ。
***
ルーシーのフラットをあとにして、わたしたちは王都ツアーへと繰り出した。
「それで、どこにいけばいいの?」
ルーシーはプレゼントをもらう小さな子どものように興奮していた。
「パールモルネは蒸気の街と言われるだけあって、特に七区から十区のダウンタウンの景観は独特の美しさがあるの。
一区から六区のアップタウンは洗練された街並みの美しさがあるわね。特に五区は自然が豊かで、とても都心とは思えないわ。もし買い物に出かけたいなら、三区に行くと楽しめるわよ」
「ダウンタウンは気になっているんだけど、私一人では行きづらかったの。だからダウンタウンから案内してほしい」
七区の商業通りを歩きながら、郵便局や小切手を換金する銀行など、ルーシーがよく使うことになるであろう店を紹介していく。
「あれは辻馬車よね?今度小説に出そうとしてるんだけど、私は乗ったことがないのよね」
これだから生粋のお嬢様は。わたしはルーシーの手を取って道路を渡ると言った。
「それじゃあ乗ってみましょうよ。辻馬車で工場があるエリアまで行きましょう」
霧が濃くなってきた。煙突からもくもくと勢いよく蒸気を吐き出している工場が乱立するこの場所は、もう一つの王都パールモルネの顔だ。このエネルギーに満ち溢れた光景はまさに絶景であるといえるだろう。
辻馬車を降りたわたしは石畳の地面が上へ下へと広がるダウンタウンの姿に息を呑んだ。
工場と工場の隙間を埋めるように民家、雑貨店や食料店がひしめき合っている。
「これが王都パールモルネなのね」
ルーシーは圧巻の街並みに気圧されたようだった。
「パールモルネにようこそ」わたしはおどけて言う。
わたしたちは洗濯物が干してある広場を通り過ぎ、石畳の階段を上がり下りし、ホームズ商会が所有する工場の前までやってきた。
「うちの工場の一つで、ここでは貴族向けにキャンドルを製造しているの。ほら見て。魔法薬が混じった蒸気がカラフルでキャンディみたいでしょう」
わたしは中をのぞいてみた。職人が手持ち無沙汰でお喋りやボードゲームに興じている。
おや?妙だ。以前は活気に溢れていたはずなんだけど。ちょうど休憩中なのだろうか。
わたしたちは再び辻馬車に乗り、ダウンタウンを一周すると、ルーシーが口を開いた。
「今夜パーティーに呼ばれていて、そのためのショッピングをしても構わない?」
「もちろんよ。じゃあ、このまま三区まで行きましょう」
わたしたちは高級店や百貨店が立ち並ぶエリアまで足を伸ばした。すぐ近くに美術館やペニーパークがあるこのエリアは貴族にとってはなじみのある場所だ。
わたしが行かない(正確には行けない)アスリエル王国発祥のデザイナーブランド店にルーシーは入った。
黒い看板にはシンプルに《EP》とロゴが掲げられている。エリック・ピーターソンという若きデザイナーの店だ。なんでも隣国のフーアセイド国の貴族の間で人気になり、このアスリエル王国でも最先端のイット・ドレスになっている注目のお店だ。
店内は清潔で、高級感があった。蒸気ランプを使っているから全体が明るい。確かにろうそくと違ってランプは便利だ。
ドレスを試着するルーシーを眺めていると、なじみのある匂いがわたしの鼻腔をくすぐった。店内を見渡すと、机にホームズ商会の魔法のキャンドルが置いてあった。
「いい香りね」
わたしの視線に気がついたルーシーは言った。
「デザイナーのエリック・ピーターソンが、このキャンドルをつけていると幸福な気持ちになるというので、彼の指示でお店に置いているんです」
店員と話していると、運よくデザイナー本人が店にやってきた。
エリック・ピーターソンは今やファッション界の寵児だ。
「そうなの。この香りに包まれていると創作意欲が湧いてくるの。それにいい匂いでしょ」
彼はシンプルなズボンに奇抜な上着を合わせている。デザイナーだからこそ許されるセンスだ。
「あの、ありがとうございます。そのキャンドルはうちの製品です」
「ホームズ商会のご令嬢だったのね」エリック・ピーターソンは「素敵な偶然」と付け加えた。
ルーシーは一点もののドレスを購入した。紫のドレスには銀糸が縫いこまれていて、動くたびにミステリアスに輝く。ああ、夜に輝く月の女王みたいね。
「今夜のパーティーに来ていくつもりなの。アリーも一緒に行きましょうよ」
「わたしも?でも、招待状がないし」
ついでに来ていくドレスもない。
「いいじゃない。招待状のある私と一緒に行けば入れるから。昼食のときも言ったでしょう?あなたは行動量が少なすぎるの。たまには自分から行動してみなさいよ」
いつの間にかわたしたちにシャンパンが振る舞われている。おかげでかなりリラックスしてきた。
デザイナーのエリック・ピーターソンも「待ってちゃだめ」だと言う。
「そうね、言ってみようかしら」
わたしは強気になって、数年ぶりにパーティーに行く決意をした。
それにパーティーでリッチな結婚相手を見つけられれば、家のピンチを救えるかもしれないし。ルーシーにネタを提供することになっても、わたしの場合はそんな醜態を晒すことはないだろうし。
なんといってもわたしは地味で冴えないのだから。
わたしは家に戻って夜会用に唯一持っている青いドレスと宝石を持って、ルーシーのフラットへ戻った。
優秀なルーシーのレディーズ・メイドがドレスのしわを伸ばしてくれてなんとか清潔なドレス姿になった。髪型を最新の形にまとめてくれたおかげでスタイリッシュとも言えなくもないだろう。
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