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9章 ほんとに、お前しかいないわ

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 歩夢はオレの体にお湯をかけ、簡単に清めてざっくりと拭くと、そのまま横抱きにして布団の上に下ろした。
 電気を消すと、静かな暗闇だ。
 荷物を漁った歩夢が覆いかぶさってきて、閉じ込めるように、顔の横に両手をつく。
 やがて夜目が慣れてくると、歩夢が穏やかな顔でオレの顔を眺めていることが分かった。

「訳わかんなくなる前に、言っとく。歩夢、大好きだよ」
「……うれしいです。好きな人に、そう言ってもらえて」

 夢みたいだ、とつぶやきながら、体のあちこちにキスをしてきた。
 たっぷりローションを塗られ、クチュクチュと音を立てながら中を探られる。

「すぐ入りそうですね。中、やわらかい」
「んん、んッ、はあ、……んん、」
「もう挿れていいですか?」

 こくりとうなずくと、歩夢の侵入を感じた。
 自重でずぷずぷと沈んでくるその表情は、普段の内向的な篠山と、同一人物とは思えないような……色香をまとったものだった。

「すごい、飲み込まれてるみたいです。気持ちいい」
「ん……ぁ、あ」

 歩夢の首の後ろへ手を回す。
 うっすら目を開けると、歩夢は、切なそうに目を細めながら、ゆるゆると腰を動かし始めた。
 たしかな質量を持った塊が、腹の中の粘膜を擦り、快感を高めてゆく。

「締め付けすごいですよ。いつもと違うシチュエーションで、興奮してますか?」
「……ん、すごい、エッチな気持ち」

 乳首をつまんだりくりくりといじりながら、中を突いてくる。
 かき回すような腰つきで、思わずあごが跳ね上がった。

「ぁあッ、んン……、はあ」
「こういうの、したことないですよね」
「あ、これだめ、はぁ……っ、は、」

 知らない感触で混ぜられると、どんどん呼吸が乱れくる。
 歩夢の手がそろそろと下に伸びてきて、しかし、期待するところには触れてくれない。
 ねだるように腰を浮かせると、両手で腰骨をがっちりホールドされた。
 勢いをつけ、一定の速さで奥を突かれる。

「あっ、あゆむ、ぁ……ッ」
「なんでしょう」
「い、意地悪すんなぁっ」

 泣きそうになりながらシーツを掴むと、歩夢はふっと微笑んでから、ペニスに手を伸ばした。
 全体をしごいたり、亀頭のくぼみをぐにぐにといじったり、先端を軽く爪でいじめたり。
 その間も律動は一定の速度を保っており、だんだん訳が分からなくなってくる。

「ああっ、あッ、ん……っ、あぁンッ」
「泣くほど気持ちいいの?」
「はあっ、きもちぃ、……っ、もっとして」
「可愛い。エッチな体になっちゃったね」
「あぁッ……」

 言葉責めに興奮して、あられもない声が出た。
 歩夢は妖しい目つきでオレの全身を見回しながら、さらに言葉を続ける。

「安西さんが気持ちいいところ、まだまだいっぱいあると思うよ」

 扱く手が強く、速まってきた。
 ぼろぼろと泣きながら嬌声を上げ、背を反らす。

「俺、安西さんの体で、知らないところがないくらいになりたいな」
「んぅっ、そこ、そこ……ッ、きもちぃっ」
「もっと教えて?」

 入口の良いところをえぐりなら、さらに奥へ。

「ぁああっ、ひ、ぁ……っ」
「……っ、気持ちいい」
「あ……ん、あ、あゆむっ……」

 呼ぶ声が上ずって、全身が強張る。
 手の中のものをゴリゴリとこすりつつ、奥へガンガン当ててくる。
 ぶわっと熱がせり上がって、我慢ができない。

「んぁっ、やだ、あッ……イッ、ちゃ、」
「俺もイキそ……、」

 その切羽詰まった表情が、オレを絶頂に導いた。

「あ、もぅ、イクッ、……イ、……イク……ッ!ああああっ……!……ッ、ぁああああぁッ!!」

 ビクッビクッと体が跳ねて、濁った液が飛び散る。
 歩夢はオレの頭を抱え、耳元でささやいた。

「……、周…………ッ……」

 強く抱きしめられながら、最奥で歩夢が熱を放つのを感じた。
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