デリヘル頼んだら会社の後輩(根暗)が来た

御堂どーな

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5章 そろそろ腹割って話さない?

5-4

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 朝日で目が覚めると、腕枕されていて、空いた片手は繋いでいた。
 最後どうなったかは全く思い出せないが、腹も太もももカピカピなので、ふたりして寝落ちしたのだろう。
 篠山はすうすうと寝息を立てていて、白い肌にはところどころに、赤い痕が散っている。
 そっと体を離して見ると、自分はその倍くらい、ありとあらゆるところにキスマークがついていた。

 全く覚えていない。
 でも、ものすごく腰が痛い。
 時間差で、足や腹筋の筋肉痛もきそうな感じがするし……。

「ん……」

 篠山が小さく声を漏らして、ゆっくり目を開けた。
 ぱちぱちと二度三度まばたきすると、ふんわりと笑う。

「おはようございます」
「ん、おはよ」
「夢みたい、です」
「お前、魔法使えるんだって?」

 篠山は露骨にうろたえながら、縮こまる。

「……すみません。なんかあれですね、前に安西さん俺のこと、『セックスのときは饒舌じょうぜつ』って言ってましたけど、……あ、当たってるのかも」
「うん。めちゃくちゃペラペラしゃべってたな」

 叫びすぎたか。喉が痛い。
 ひとりであわあわする篠山が面白くて、つい、デコピンをしてしまった。

「いた……」
「あはは。すげー幸せ」

 髪をわしゃわしゃと撫でると、篠山はくすぐったそうに笑いながら言った。

「俺、こういうのに憧れてたんです。こういう、好きな人とイチャイチャするの」
「同じく。朝起きて恋人と布団の中でじゃれ合うとかやってみたかったんだよなー」
「恋人……」
「え? そこで照れんの?」

 起き上がると、案の定体中痛くて、思わず顔をしかめた。
 篠山は大慌てでガバッと起き上がり、オレをベッドに座らせる。

「全部やります! ので! 言ってください!」
「えー、歯磨きたい」
「お姫様抱っこで洗面所までお連れします」
「要らねえって」

 ゲラゲラ笑いながら下着だけ履いて、ふたりで洗面所に向かう。
 篠山はしゃがみ込み、収納を開くと、上目遣いで尋ねてきた。

「固めですけど大丈夫ですか?」

 手にしているのは、未開封の歯ブラシ。

「は? それってもしかして、来客用に買ってあんの……?」
「え!? こっ、これも家の教育方針ですっ。消耗品はスペア切らさないって……決して男性関係ではないです。というか、人を家に上げたのは安西さんがはじめてですので」
「あはは。篠山からかうのおもしれー」
「怒ってないですか……?」
「冗談冗談。ありがと。オレ、青が一番好きな色ね」

 青い歯ブラシのパックを雑に開けながら、ニヤニヤしてしまう。

 我ながら、恥ずかしいくらい浮かれている。
 並んで歯を磨きながら、お互いキスマークだらけで鏡に映っているのを見ると……ようやく篠山と恋人同士になれたのだと、感慨深い気持ちになった。
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