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夏休みが明ける前々日、8月23日の朝。
大荷物の直貴が我が家にやってきた。
あっけなさすぎるほどあっけなく、親が同意したのだ。
開口一番言ったのは、『それってお金かからないんですよね?』だったらしい。
そしてあれよあれよという間に手続きは済み、両親共に最後まで、どこへ引き取られるのかにすら興味を示さなかったそうだ。
そしてきょうに至る。
「朋之さん。改めて、よろしくお願いします」
「うん、こちらこそ。よろしくね」
荷物は雑に床に置いて強く抱きしめ、そのままキスをする。
直貴の滑らかな手が、僕のTシャツの背中側にするりと入った。
「気が早いよ」
「だってくっつきたい」
甘えたように言うのは、多分、不安でいっぱいだからだ。
そして僕はそれを、全身で受け止めてあげたいと思った。
あっけなく捨てられたこの子の傷に、しつこくしつこく、口づけてあげたい。
「シャワー浴びようか」
「うん。せっかく新しい生活になるから、全身綺麗に洗って、ここで厄落とししたい」
きのう、必死でカビを落とした浴室に入る。
全身を昂らせるようになでると、直貴は身悶えた。
ボディーソープを塗り付け、ツンと勃った小ぶりの乳首を、潰すようにこねる。
「ちょっと触っただけなのにね。乳首、気持ちいい?」
「ん、……ふぅ、はずかし」
「大丈夫。恥ずかしいの見てるの、僕だけだよ」
「ぅ……、ちんちん固くなっちゃぅ」
両手を下へ滑らせ、太ももや尻などを、決定的ではないなで方で刺激する。
「はぁ、……朋之さ、んっ……触って、」
「どこ?」
「ちんちん、……擦ってほし……」
僕はペニスに手を伸ばし、ゆっくりと擦りながらキスをした。
熱く絡まる舌をちゅるっと吸って、上あごをなぞる。
「ぁ、……あ、ぁ……っ」
僕に掴まろうとする手が滑って、力の抜けた体をそのまま僕に預けてきた。
「い、イキたい、んっ……ん」
「お風呂の中でイッちゃっていいの? きょうは何回イケる?」
「ん、いっぱいイクからぁ……、」
懇願するその目は、初めて抱いた日のような追いすがるものではなく、僕に愛されたいという熱望だった。
「あ……ぁあ、い、……イク、ぁあッ、んぁあ……!…………ッぁあ……!……!」
白い床に、精液が落ちる。
トロッとした顔のままの直貴の髪をなで、シャワーで洗い流す。
ざっと拭いて、そのまま横抱きに。
チラリと時計を見る。
11:30。
段ボールをよけて、眠り姫を扱うように、シーツを剥いだベッドに寝かせた。
ローションを手に取り、上半身のあちこちにちゅ、ちゅ、と口づけながら、中をほぐす。
達したばかりの体は、前立腺を押す度に、ビクリビクリと跳ねた。
「あンッ、ぁあ……っ」
「気持ちいいね、ここ」
「んぅ……きもちぃ、ともゆきさんも、ぁ、はぁっ」
「ねえ、直貴。見える? 僕のこれ。直貴の可愛い顔いっぱい見て、興奮してる」
「……はぁ、すごい、エッチ、おっきい」
「うん。早く入りたいけど、まだもうちょっとね」
ゆるゆると指を出し入れすると、穴がヒクつく。
僕が散々教え込んだ快感を、期待しているのだろう。
腰も浮いて、甘ったるい声を漏らしながらねだるのが愛しい。
「も、挿れて、……奥、指じゃ届かないとこ、突いて」
自分で足を抱えて大きく開かせる。
「恥ずかしい格好して待ってるの、可愛い」
「ん、んっ……、はやく」
一気に挿れると、直貴は顎を跳ね上げて嬌声を上げた。
「ぁああッ」
「中、トロトロだよ。いっぱいエッチして、僕の形になったね」
「ん、んっ、はあ、あっ」
「……っ、直貴、これからどうなるか分かる?」
「と、もゆきさんと、幸せになる……っ」
「そうだね」
ぱちゅぱちゅと、粘性を伴ったいやらしい音が響く。
直貴は僕の背中を掻き抱き、何度も鳴いた。
「あぁ……っ、ん、んぁっ……はあ、朋之さん、すき、」
「うん。好きだよ、直貴」
奥を突きながら、ほんの数日後の未来のことを考えた。
この形が褒められたものかは分からないけれど、ふたりにとってはこれが最適解なのだと、信じている。
「あ、……も、だめぇ、やだ、イッちゃう……っ」
「いいよ、イッて。僕もそれで、ぎゅうぎゅう締め付けられてイキたい」
「っ、はぁ、……あ、イク、……っああッ!…………ああぁっ……!」
直貴の腹に、精液が飛ぶ。
手ですくいとって、イッたばかりのペニスを擦った。
敏感すぎる体が跳ねて、直貴は身をよじった。
「や、やだっ……ぁああッ!……ぁ、や、あああ!」
プシュッと潮を噴く。
目に涙を溜める直貴をめちゃくちゃに突いて、僕も果てた。
可愛くて、大切で、ずっと守ってあげたくて――
そんな気持ちに満たされる中、僕がついこぼしたのは、こんなひとことだった。
「……シーツ、詰めなければよかったね。びちゃびちゃだ」
「マットレスごとひっくり返しちゃえば、引っ越し屋さんも分かんないよ」
くすくすと笑い、抱き合う部屋は、がらんとしている。
壁際に積まれた段ボール。
あと1時間ほどで引っ越し業者がやってきて、僕と直貴を逃してくれる。
教員の僕と、教え子の中学生が幸せになる方法なんて、ひとつしかなかった。
恩師の言った通り、僕の与える優しさとやらは、猛毒らしい。
回りが早く、致死率も高く、解毒剤は売っていない。
ゆるやかに死にゆく、小さな愛しい存在を、僕は一生守ると誓った。
でも、その『一生』がどのくらいなのかを、この子は知らない。
僕の腕の中で、無邪気に笑っている。
「誰にも文句も言われず朋之さんと一緒に暮らせるなんて、夢みたいだなあ」
「直貴はずっとずっと、ひとりぼっちで暗いトンネルの中を歩いていたでしょ? でも、たくさん辛い思いをした分、僕たちは絶対幸せになれる」
手を繋ぐ。猛毒が回る。
塚原直貴は、ゆるやかに死んでいく。
大荷物の直貴が我が家にやってきた。
あっけなさすぎるほどあっけなく、親が同意したのだ。
開口一番言ったのは、『それってお金かからないんですよね?』だったらしい。
そしてあれよあれよという間に手続きは済み、両親共に最後まで、どこへ引き取られるのかにすら興味を示さなかったそうだ。
そしてきょうに至る。
「朋之さん。改めて、よろしくお願いします」
「うん、こちらこそ。よろしくね」
荷物は雑に床に置いて強く抱きしめ、そのままキスをする。
直貴の滑らかな手が、僕のTシャツの背中側にするりと入った。
「気が早いよ」
「だってくっつきたい」
甘えたように言うのは、多分、不安でいっぱいだからだ。
そして僕はそれを、全身で受け止めてあげたいと思った。
あっけなく捨てられたこの子の傷に、しつこくしつこく、口づけてあげたい。
「シャワー浴びようか」
「うん。せっかく新しい生活になるから、全身綺麗に洗って、ここで厄落とししたい」
きのう、必死でカビを落とした浴室に入る。
全身を昂らせるようになでると、直貴は身悶えた。
ボディーソープを塗り付け、ツンと勃った小ぶりの乳首を、潰すようにこねる。
「ちょっと触っただけなのにね。乳首、気持ちいい?」
「ん、……ふぅ、はずかし」
「大丈夫。恥ずかしいの見てるの、僕だけだよ」
「ぅ……、ちんちん固くなっちゃぅ」
両手を下へ滑らせ、太ももや尻などを、決定的ではないなで方で刺激する。
「はぁ、……朋之さ、んっ……触って、」
「どこ?」
「ちんちん、……擦ってほし……」
僕はペニスに手を伸ばし、ゆっくりと擦りながらキスをした。
熱く絡まる舌をちゅるっと吸って、上あごをなぞる。
「ぁ、……あ、ぁ……っ」
僕に掴まろうとする手が滑って、力の抜けた体をそのまま僕に預けてきた。
「い、イキたい、んっ……ん」
「お風呂の中でイッちゃっていいの? きょうは何回イケる?」
「ん、いっぱいイクからぁ……、」
懇願するその目は、初めて抱いた日のような追いすがるものではなく、僕に愛されたいという熱望だった。
「あ……ぁあ、い、……イク、ぁあッ、んぁあ……!…………ッぁあ……!……!」
白い床に、精液が落ちる。
トロッとした顔のままの直貴の髪をなで、シャワーで洗い流す。
ざっと拭いて、そのまま横抱きに。
チラリと時計を見る。
11:30。
段ボールをよけて、眠り姫を扱うように、シーツを剥いだベッドに寝かせた。
ローションを手に取り、上半身のあちこちにちゅ、ちゅ、と口づけながら、中をほぐす。
達したばかりの体は、前立腺を押す度に、ビクリビクリと跳ねた。
「あンッ、ぁあ……っ」
「気持ちいいね、ここ」
「んぅ……きもちぃ、ともゆきさんも、ぁ、はぁっ」
「ねえ、直貴。見える? 僕のこれ。直貴の可愛い顔いっぱい見て、興奮してる」
「……はぁ、すごい、エッチ、おっきい」
「うん。早く入りたいけど、まだもうちょっとね」
ゆるゆると指を出し入れすると、穴がヒクつく。
僕が散々教え込んだ快感を、期待しているのだろう。
腰も浮いて、甘ったるい声を漏らしながらねだるのが愛しい。
「も、挿れて、……奥、指じゃ届かないとこ、突いて」
自分で足を抱えて大きく開かせる。
「恥ずかしい格好して待ってるの、可愛い」
「ん、んっ……、はやく」
一気に挿れると、直貴は顎を跳ね上げて嬌声を上げた。
「ぁああッ」
「中、トロトロだよ。いっぱいエッチして、僕の形になったね」
「ん、んっ、はあ、あっ」
「……っ、直貴、これからどうなるか分かる?」
「と、もゆきさんと、幸せになる……っ」
「そうだね」
ぱちゅぱちゅと、粘性を伴ったいやらしい音が響く。
直貴は僕の背中を掻き抱き、何度も鳴いた。
「あぁ……っ、ん、んぁっ……はあ、朋之さん、すき、」
「うん。好きだよ、直貴」
奥を突きながら、ほんの数日後の未来のことを考えた。
この形が褒められたものかは分からないけれど、ふたりにとってはこれが最適解なのだと、信じている。
「あ、……も、だめぇ、やだ、イッちゃう……っ」
「いいよ、イッて。僕もそれで、ぎゅうぎゅう締め付けられてイキたい」
「っ、はぁ、……あ、イク、……っああッ!…………ああぁっ……!」
直貴の腹に、精液が飛ぶ。
手ですくいとって、イッたばかりのペニスを擦った。
敏感すぎる体が跳ねて、直貴は身をよじった。
「や、やだっ……ぁああッ!……ぁ、や、あああ!」
プシュッと潮を噴く。
目に涙を溜める直貴をめちゃくちゃに突いて、僕も果てた。
可愛くて、大切で、ずっと守ってあげたくて――
そんな気持ちに満たされる中、僕がついこぼしたのは、こんなひとことだった。
「……シーツ、詰めなければよかったね。びちゃびちゃだ」
「マットレスごとひっくり返しちゃえば、引っ越し屋さんも分かんないよ」
くすくすと笑い、抱き合う部屋は、がらんとしている。
壁際に積まれた段ボール。
あと1時間ほどで引っ越し業者がやってきて、僕と直貴を逃してくれる。
教員の僕と、教え子の中学生が幸せになる方法なんて、ひとつしかなかった。
恩師の言った通り、僕の与える優しさとやらは、猛毒らしい。
回りが早く、致死率も高く、解毒剤は売っていない。
ゆるやかに死にゆく、小さな愛しい存在を、僕は一生守ると誓った。
でも、その『一生』がどのくらいなのかを、この子は知らない。
僕の腕の中で、無邪気に笑っている。
「誰にも文句も言われず朋之さんと一緒に暮らせるなんて、夢みたいだなあ」
「直貴はずっとずっと、ひとりぼっちで暗いトンネルの中を歩いていたでしょ? でも、たくさん辛い思いをした分、僕たちは絶対幸せになれる」
手を繋ぐ。猛毒が回る。
塚原直貴は、ゆるやかに死んでいく。
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