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1 教室の世迷言
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月曜日、1限目。生物。
ガラガラと教室に入ってきた川上先生を見て、飲んでいたお茶を噴き出しそうになった。
いや、ワイシャツ袖まくり……!
いままで教師なんて背景くらいにしか考えていなかったから気付かなかったけど、やばい、長袖のワイシャツを適当にまくってるの、超エロい。
ゴホゴホむせながらペットボトルをかばんの中にしまい、教科書を取り出す。
「期末テストの返却をします」
川上先生が表情ゼロで告げると、クラスは「うわー」だの「いらねー」だの言いながら笑う声で包まれた。
そして俺は内心、冷や汗をかいている。
どう考えても出来が悪い。なにせ、全教科の中で生物が1番苦手科目なのだ。
仮に、勘で書いたのが全部うまくいってたとしても、60点台が関の山だと思う。
なぜまじめに勉強しなかったんだと後悔しつつ、名前順の列に並んだ。
「はい、高野くん」
「すいません」
無表情の川上先生に、つい、謝罪の言葉が口をついて出た。
しまった、と思ったけど、先生は完全スルーで、次の人の答案用紙を取り出している。
心の中で謝罪を繰り返しながら列を抜けてそっと点数を見たら、54点だった。
あー……。
テスト前日に『ストレス発散』とか言ってエロばっかり読んでたの、絶対ツイッターで見てるし。
死にたくなりながら席に座り頭を抱えていると、隣の席の歩美がクスクスと笑ってきた。
「え、高野、そんなやばかったの?」
「うーん、まあ、ちょっと将来を悲観するくらいには」
「早くない?」
おかしそうに笑っているのを、うらめしくにらむ。
こいつが完全理系だからだ。
「何点? 見せて」
「やだよ、なんで見せなきゃなんないの」
「まあまあ、堅いこといいなさるなって」
「やめろ、あっちいけ。シッシッ」
じゃれてくる歩美をあしらいつつふいっと顔をあげたら、川上先生がこちらを見ていた。
そして、ぱっと目をそらす。
いま、絶対俺のこと見てた。
やっぱり、点が悪かったことについて何か思うところがあるのだろうか。
いや、あるに決まってる。
授業中は寝る寸前で舟を漕いでいたし、テストは適当で最後の方は間に合わなくてやけっぱちで知ってる単語を書いただけだし、俺が川上先生の立場だったら気分悪くなると思う。
全員配り終えた川上先生は、プリントを片手にチョークを握った。
「今回は、平均が71点で、最高が96点でした」
読みやすい大きな文字で、黒板の端にコンコンと書いていく。
平均より20点近く低い。猛反省。
……しなければならないはずなのに、俺は川上先生の手元に目が釘付けだった。
チョークを握る、その手がダメ。
さらに、チョークを置いて、手についた粉を払うその仕草が反則。
邪念を振り払うように、赤ボールペンで正しい答えを書き写していく。
心頭滅却すれば火もまた涼し……
「ここまでで、何か質問はありますか?」
教卓に両手をついてちょっと前のめりになったら、第1ボタンを開けたワイシャツの襟元が爆裂にエロいことに気付いてしまって、とどめを刺された。
結局萌え散らかしている。
ガラガラと教室に入ってきた川上先生を見て、飲んでいたお茶を噴き出しそうになった。
いや、ワイシャツ袖まくり……!
いままで教師なんて背景くらいにしか考えていなかったから気付かなかったけど、やばい、長袖のワイシャツを適当にまくってるの、超エロい。
ゴホゴホむせながらペットボトルをかばんの中にしまい、教科書を取り出す。
「期末テストの返却をします」
川上先生が表情ゼロで告げると、クラスは「うわー」だの「いらねー」だの言いながら笑う声で包まれた。
そして俺は内心、冷や汗をかいている。
どう考えても出来が悪い。なにせ、全教科の中で生物が1番苦手科目なのだ。
仮に、勘で書いたのが全部うまくいってたとしても、60点台が関の山だと思う。
なぜまじめに勉強しなかったんだと後悔しつつ、名前順の列に並んだ。
「はい、高野くん」
「すいません」
無表情の川上先生に、つい、謝罪の言葉が口をついて出た。
しまった、と思ったけど、先生は完全スルーで、次の人の答案用紙を取り出している。
心の中で謝罪を繰り返しながら列を抜けてそっと点数を見たら、54点だった。
あー……。
テスト前日に『ストレス発散』とか言ってエロばっかり読んでたの、絶対ツイッターで見てるし。
死にたくなりながら席に座り頭を抱えていると、隣の席の歩美がクスクスと笑ってきた。
「え、高野、そんなやばかったの?」
「うーん、まあ、ちょっと将来を悲観するくらいには」
「早くない?」
おかしそうに笑っているのを、うらめしくにらむ。
こいつが完全理系だからだ。
「何点? 見せて」
「やだよ、なんで見せなきゃなんないの」
「まあまあ、堅いこといいなさるなって」
「やめろ、あっちいけ。シッシッ」
じゃれてくる歩美をあしらいつつふいっと顔をあげたら、川上先生がこちらを見ていた。
そして、ぱっと目をそらす。
いま、絶対俺のこと見てた。
やっぱり、点が悪かったことについて何か思うところがあるのだろうか。
いや、あるに決まってる。
授業中は寝る寸前で舟を漕いでいたし、テストは適当で最後の方は間に合わなくてやけっぱちで知ってる単語を書いただけだし、俺が川上先生の立場だったら気分悪くなると思う。
全員配り終えた川上先生は、プリントを片手にチョークを握った。
「今回は、平均が71点で、最高が96点でした」
読みやすい大きな文字で、黒板の端にコンコンと書いていく。
平均より20点近く低い。猛反省。
……しなければならないはずなのに、俺は川上先生の手元に目が釘付けだった。
チョークを握る、その手がダメ。
さらに、チョークを置いて、手についた粉を払うその仕草が反則。
邪念を振り払うように、赤ボールペンで正しい答えを書き写していく。
心頭滅却すれば火もまた涼し……
「ここまでで、何か質問はありますか?」
教卓に両手をついてちょっと前のめりになったら、第1ボタンを開けたワイシャツの襟元が爆裂にエロいことに気付いてしまって、とどめを刺された。
結局萌え散らかしている。
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