頭が堅くて何が悪いっ

御堂どーな

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14先輩の終わり

14-5

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 玄関を閉めるのと同時に、ぎゅーっと抱きしめられた。

「はー……」
「ご、ごめんね。変なとこ見せちゃって。でも、ありがと。助かった」

 強く押しのけられなかったことを、少しだけ悔やむ。
 佑哉が来てくれなかったら、なし崩しにどうにかなっていたかも。
 上級生だから強く言えないし、女子だから突き飛ばすわけにもいかなくて……。

 佑哉は僕の髪を優しくなでた。

「怖い思いしましたね」
「うん……。なんか、理不尽に変態みたいにされるのかなっていう恐怖が」
「ぶ。でもまあ、そうか。痴漢冤罪みたいなもんですよね」
「うん。断ってそんな風に言いふらされたら、人生終わるなとか」

 途端、へなへなと力が抜ける。
 佑哉は「おわっ」と言って、僕の体を支えた。
 そして、なんの断りもなしに、ついばむように何度かキスをする。

「俺は頭の堅い先輩が大好きですよ」
「ん……」

 ブレザーの二の腕あたりにしがみつき、キスに応える。
 安堵と、好きな気持ちがぶわっと迫り上がってきて、泣きそうになる。

「佑哉、ごめん。ゆうや、好き」
「あはは。大丈夫ですよ。変なことにならなくてよかった」

 佑哉は僕を抱きかかえて寝室へ行き、ベッドの上に放り投げると、そのまま押し倒した。
 両手を絡めてのしかかってきて、ドキドキしてしまう。

「このまま抱いてもいいですか?」
「ん、して欲しい」
「いっぱい気持ちよくなってください」



 佑哉は、僕の乳首を軽く噛みながら、もう片方の指でピンピンと弾いた。

「あぁ……っ」
「これ気持ちいいよね」
「ん、ふぅ、きもちぃ……」

 もちろん俺は女の子みたいに胸はないし、声だって普通に男だ。
 なのに佑哉は、何度も「可愛い」とささやく。

「舌の先っぽで、チロチロってするのは?」
「ん、んぅ……ん、」
「トロ顔。気持ちいいね」

 佑哉は僕に、うつ伏せになって、お尻だけ高く上げるように言った。
 恥ずかしく思いながら言う通りにすると、佑哉は僕のお尻を両手で掴んで……。

「ぁっ、や、なめないで。汚い……っ」
「でもここ、ヒクヒクしてますよ」

 すぼまりの周りをぺちゃぺちゃとなめられて、悶絶する。
 こんなの初めて。
 玉の裏筋からお尻の穴までを何度もなめられて、たまにお尻の中に舌が入ってきて、派手に喘いでしまう。

「あぁッ、だめ、あッ、ん……っ、ああっ」
「腰揺れてますよ」
「お腹の中、キュンキュンする……っ」
「じゃあ、先輩が気持ちいいところ触ってあげる」

 佑哉に促され、正常位で足を抱えて開くと、佑哉はローションでたっぷり濡らした人差し指を、そろっと挿れてきた。
 そしていきなり、前立腺を触る。

「ああッ」

 危ない、イクところだった。
 佑哉は目を細めて笑い、同じところを何度も押す。

「あんっ、アッ、あぁ……っ、んっ」
「いつもより気持ちよさそう。なんで?」
「んっ、わかんな、……あぁ、ぁぅ、きもちいぃ」

 恥ずかしくて泣きそう。
 佑哉は指を増やして、ぐるぐると奥の方まで探ったり、くぱっと指を開いて穴を広げてみたり、いやらしい手つきでほぐしてくる。

「ここに、俺の。挿れるんですよ」
「ん……っ、はぁっ、」
「俺も先輩の中で気持ちよくなりたいです」
「佑哉、あ、あの……」

 なぜこんなことを思ったのかは、分からない。

「先輩って呼ぶの、終わりにして?」
「えっ?」
「敬語も。僕はちゃんと、佑哉の恋人になりたいよ」

 佑哉は目をしばたかせたあと、溶けそうにふにゃっと笑った。

「なんて呼んだらいい? ひろ?」
「うん。そんな感じ」

 佑哉は唇やら頬やら首筋やら耳やら、色々なところに口付けながら、ささやいた。

「ひろ、大好き」
「うん」
「直接挿れてもいい? 中に出したい」
「うん」

 めちゃくちゃ、めちゃくちゃドキドキする。
 佑哉は僕の足を抱えて、ずぷずぷと埋めてきた。

「あ、あ……」
「すごいエッチな顔してるよ。可愛いね、ひろ」
「……っ、」

 名前を呼ばれるたびにゾクゾクする。
 奥まで届いて、ゆっくり動き出すと、ぐちゅっぐちゅっと粘着質な音がした。

「あー……やばい。興奮しすぎる。すぐイッちゃったらごめんね」
「ん、ん……、僕もすぐイッちゃぅかも、」

 腰の奥が熱くて、ありえないくらい興奮する。

「中、すっごい締め付けてくる」
「ぁあっ、ンッ、……っ、ああぁっ、佑哉……ッ」

 佑哉の動きに合わせて、僕も自然と、体を揺らしてしまう。
 パンパンと規則正しく肌がぶつかる音がして、徐々にふたりの呼吸も荒くなってゆく。

「あンッ、おく、あんっ、ぁああッ」
「可愛いね。俺の。ひろ」
「ひあっ、あぁあッ、あんっ、もぅ、ぁ」
「イキたい?」

 ぶんぶんと首を横に振る。
 本当はいますぐにでもイッてしまいそうだけど、まだまだ繋がっていたい。
 そんな僕の気持ちを察してか、佑哉はふんわり笑って言った。

「いっぱいイけば大丈夫」
「ああ、激しっ、あぁあッ、ンッ、だ……ぁあっ、」
「イッて?」
「あ、やだっ、イッちゃぅ、イッ、ん、やぁ……っ」

 佑哉は優しい声色で、僕を呼んだ。

「ひろ」
「ああぁああ……ッ!………っ、……!!……ッ!………… っ」

 ビクビクと跳ねながら、胸まで飛ぶくらい、激しく射精する。

「ん……、俺もイキそ……。ひろのエッチなお尻、中に。いい?」
「んー、んぅっ」

 佑哉はスパートをかけるように激しく腰を振って、その動きと表情があまりに色っぽくて、僕はまた射精した。

「ぁああッ!!」
「ひろ」

 息が止まりそうなくらい、強く強く抱きしめられた。



 お風呂を済ませ、裸のまま布団に入った。
 ちょっとぜいたくだけど、今夜は暖房を高めにして、このまま眠るつもりだ。

「ひろ、こっち見て」

 佑哉が指を絡めてきたので、僕はそっと握り返して、ブラウンの瞳を見つめた。

「これからは、ちゃんと俺にも甘えてね。ふたりのときは、先輩後輩じゃないんだから」
「うん。佑哉もだよ。もう委員会ないからやることないし、僕の生活の優先事項1位は佑哉に……」
「受験」
「う」
「先輩じゃなくなっても、受験生は受験生」

 佑哉は僕の首筋に顔を埋めながら笑った。

「ちゃんと俺にもお世話焼かせてね」
「うん……」

 自分でお願いしておきながら、めちゃくちゃ恥ずかしい。
 思えば、佑哉は、セックスのときは割と敬語ではなくなっていて、甘やかすみたいにいっぱいエッチなことを言ってくれた。

 ……日常で敬語が外れたら、通常状態でこんな風に甘々にされてしまうのか。
 気づかなかった。
 いや、大切にしてもらえるのはすごくうれしいんだけど。

「……ひろって呼んでる人、他にいる?」
「いない。花園の常連さんたちがひろちゃんって呼ぶくらいで、あとはみんな呼び捨て」

 ひろ、ひろ、ひろ……

 1分くらい呼ばれ続けて、恥ずかしさのあまり、ぽすんと背中を叩いた。
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