83 / 101
家族旅行
家族も来ちゃった
しおりを挟む生徒会合宿が終わり、
数日後。
リュカと部屋でお喋りしてたら、
部屋の電話がなった。
(あ、内線って、言うんだっけ?)
「ゆ、ゆゆユイリーン様、あの、」
「…………ん???どうしたの……??」
「お、応接室に……えっと、あの、あの……ユイリーン様、の……」
なんか、気が動転したような声が、ずっと応接室って、言うから、
とりあえずそこに向かった。
ら、
おじさん達がいた。
「ゆいりー!!」
「ゆいり君……!!!!」
「元気だった!?」
ってぎゅーってされた、
出会い頭に。
って、
ちょっと待って、あなた達の息子は隣だよ、
ちゅっちゅってフランス式挨拶を終えて、
スッとわきにのいて、
リュカに譲る。
「二人とも遅いよ~ゆいりーと待ちくたびれちゃった~(まぁ、ゆいりーを独占できたからいいけどさー)チュッチュ」
文句言いながらも、慣れたように両親とフランス式挨拶を交わすリュカ。
はぁ~
てか、さすがリュカの両親だよね、どちらも美形だわー
そのなかに、やっぱり2人の血をひいてイケメンのリュカが、2人と笑いあってる。
うん。これが両親と息子の本来あるべきのの様子……姿……なんだと思う。
それでも優しい、おじさんたち。
俺の事も、気にかけてくれてるようで。
「ゆいり君、元気だった??久しぶりの日本で不馴れなところはなかった?」
たくさん気をつかってくれる。
そんなおじさんたちに心配をかけたくなくて、
「大丈夫です。友達もたくさんできました。この学園の皆、すごく優しくて、学校楽しいです」
ほんとは、俺が挨拶しても、皆に顔背けられたり(照れて直視できないだけ)、罰ゲームの対象で偽デート(実は本気の告白デート)とかも……あったりするんだけど、
生徒会の皆とか、は、一応仲良くなったし、三藤くんとか、天音くんとか、同級生の友達できたし……それしか生徒会以外で同学年の友達いないとか…………まあ、でも、とりあえずはいじめられてないから、大丈夫。嘘言ってない!!
でも、そんな心のうちを見透かしたように???
「フランスに帰りたくなったらいつでも帰ってきていいのよ。」
ふわふわ笑って抱き締めてくれる、優希さん。
(あ、優希さんてのは、リュカのお母さんの名前)
そしてリュカも、
「ユイリーが寂しくなったら、私が日本行く!」
って言ってくれる。
この家族は
ほんとに優しくて、暖かい。
絶対に、迷惑かけたり、心配なんかかけたくない。
なのに。
「そうそう、明日は行くところがあるからね」
「え、どこに??」
「病院に行かないと。学校から、保護者も一緒に治療の説明を受けるようにって言われてたし」
忘れてた。
そっか……俺の病気……
お金、払ってくれてるもんね、
そりゃ、俺が病院に通ってることくらい知ってるか……。
別にちょっと重い貧血なんだけど。
治療費……高いよね。毎月たくさんお薬貰ってるし……。
ちょっと暗くなった俺の心に気がついたのか、
「大丈夫だよ、ユイリー」
「ちゃんと通えばなおるわ」
「治ったら、お祝いにパーティーしようか」
変な方向で励ましてくれるおじさんたち。
そういうことじゃなくて……
できれば、あんまり心配かけたくなかったんだけど。
すごく優しい、リュカの家族が、
むしろ俺の心臓痛くする。
こんな、金食い虫の俺なんか。
血の繋がってない……単なる甥の俺なんか。
いっそ、
酷くののしってくれればいいのに。
俺の事を嫌ってくれれば、
俺だって、
むしろ、空気みたいに
存在を消して…………
でも、
俺も、この人達の家族でいたい。
俺がほんとにこの人達の息子だったら、どんなに良かったか。
この親切は、俺が一人だから?
哀れに思って??
ほんとに、誰にでもこんなに優しいのだろうか。
どちらにせよ、
この人達の親切が、心に痛くて。
でも、俺から縁を切るのは怖くて。
だから、
ごめんなさい。
この優しさに、甘えてしまう。
「ありがとうございます」
必死に、残ってる縁に、しがみつく。
21
お気に入りに追加
682
あなたにおすすめの小説
親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!
慎
BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥
『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。
人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。
そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥
権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥
彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。
――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、
『耳鳴りすれば来た道引き返せ』
ザ・兄貴っ!
慎
BL
俺の兄貴は自分のことを平凡だと思ってやがる。…が、俺は言い切れる!兄貴は…
平凡という皮を被った非凡であることを!!
実際、ぎゃぎゃあ五月蝿く喚く転校生に付き纏われてる兄貴は端から見れば、脇役になるのだろう…… が、実は違う。
顔も性格も容姿も運動能力も平凡並だと思い込んでいる兄貴…
けど、その正体は――‥。
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
アリスの苦難
浅葱 花
BL
主人公、有栖川 紘(アリスガワ ヒロ)
彼は生徒会の庶務だった。
突然壊れた日常。
全校生徒からの繰り返される”制裁”
それでも彼はその事実を受け入れた。
…自分は受けるべき人間だからと。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる