66 / 101
夏イベ
肝試しの最中です
しおりを挟む俺が、
先輩を触りたいとか、触りたくないとか、触って欲しいだか、なんだか、変なことを言っちゃって?
変な空気になったところ、
バンッ!!!!!!!
って大きな物音がして、
肝試しの最中だった事を思い出した。
人間、驚きすぎると、体動かせないんだね。逃げるって思うより、思考停止したわ。
一気に寒気が背中を通り抜けていく。
さっきを薔薇色ムードとしたら、
今は………
あー。……………何ムードっていうんだろ??
まあ、つまり………
「ゆ、唯利くん、さ、さっきの、なんの音でしょうかっ」
「き…………っと、大きな枝が折れる音ですよっ…………!!!」
「大きな枝は折れてもあんな音はしませんっ!!」
「じゃあ、風船が割れる音ですっ……!!!!!」
「こんな所に風船なんかありません!」
「でもっ!!!!この世に幽霊なんかいないから、とにかく幽霊じゃないことは確かですっ…………!!」
二人して、びゅんびゅん会話を飛ばす。
ていうか、なにか話してないと変な物音を聞いてしまいそうで、とにかく何かを喋ってないとっていう気持ちにさせられる。
別に幽霊とか信じてるわけじゃないからっ!!
ほら、変な音すると怖いじゃんっ!!
誰だって、びくってなるじゃん!
それだけだよっ!!
それに、
暗いから怖く感じるだけだよっ!!
日中は平気だもん!!!
って、脳内で幽霊存在する説を必死で否定してるのに、
バンッ!!!!
「うひっっ……………………!!!」
「ひゃぁっ………………………………!!!!!」
また音したよっ!!!
背中、無意識にびくびくしたよっ。
反射的に音がした方を懐中電灯で照らす。
「…………何もない……」
音がしたあたりをゆらゆら懐中電灯を回して照らしてみるけど、雑木林があってよくわからない。
な、なんで何もないのっ!?
「唯利くん、もう、早く行きましょう、離れましょう!」
先輩に腕を引っ張られて、進む。
星明かりがあるとはいえ、雑木林で葉っぱが明かりを覆い隠しちゃって暗いから、足元にきをつけて、ゆっくり、怪我しないように、でも、できるだけはやく歩く。
と、いうか、へっぴり腰っていうんだっけ、及び腰っていうんだっけ、足がゆっくりしか動いてくれないよ。心は早く進みたいって思ってるのに。
カサカサ俺たちが歩く音と、パキってたまに俺たちが木の枝を踏んでなる音と、ざわざわ風によって鳴る音が、普段より大きく聞こえる。
う~、先輩の手の震えが伝わってくるよぉ
と、
「唯利くん、あれ、なんですかね…………」
前方に、なんか郵便ポストみたいなのがある。
「ちっちゃな家みたいですね……」
「これ、はっ!!家じゃないですよっ。祠じゃないですかっ!!!」
俺の腕を握る先輩の手が強くなって、先輩は、それを見ないように俺の後ろに隠れる。
「ほこら……っていうんですか?あ、なんか細い紙も貼ってありますね」
「それは、細い紙じゃなくてお札ですっ」
「あ、お札は知ってます。封印するやつですよね………」
祠か~初めてみたかも。
俺、日本の怖い話しとかにあんまり縁がなかったから、先輩ほど恐ろしいっていう思いに鈍感というか…………。
ん??
でも、このお札は、なんか作り物っぽい気が…………
っていうか、ほこらも最近できたように新しいというか…………
一度不信感持つとどんどん薄れていく恐怖。
近付いて確認してみたいっていう気持ちの方が強くなる
「唯利くん、はやく、ゴールまで行きましょう!!!」
「大丈夫ですよ、先輩。確認してみるだけですから」
「あー、もう。ダメですよ、近付いちゃ!!お札も剥がしちゃダメですよ!」
「でも先輩。これに、持ってけって書いてありますよ」
ちょっと怖い赤い字だけど、「持ってけ」って書いてある。
ほこらの中をよくみると、
「あ、花火置いてある」
「ひっ…血文字…………」
と言いながらも
後ろに隠れてた先輩が横にきて、ほこらを覗いて…………
あー。
つまり、
俺の横に、先輩の顔が近づく。
さらさらの髪の毛が俺の頬をくすぐって、シャンプーにまじった先輩の匂いを嗅いで、つい、すんすん先輩の匂いに集中してたら
「なるほど、これを持ってけばいいってことですね」
ほっとしたように言って。
不意に先輩の顔がぐるんって俺の方を向いて、先輩の息が俺の顔に…………!!!
「は、はい…………」
あぁ、先輩の顔が近くにある!!
暗くて先輩の顔がよく見えないけど!
むしろ、俺の顔がみられなくて良かったかも、真っ赤になってると思うから!
「じゃあ、これ持ってはやくゴールまで行きましょうね!!」
先輩に腕を引っ張られる。
「あ、はい…………。」
「懐中電灯は前を照らしてくださいね。横とか照らして変なものが見えちゃうのは嫌ですから!」
「は、はい…………。」
先輩の顔が遠のく。
でも、まだドキドキしていて、
ヤバイ、
先輩の息が、俺の顔のここら辺にかかっちゃったんだよ、
って、頭のなかでぐるぐるぐるぐる。
もうすでに脳ミソパンク状態で、これ以上のドキドキは来ないと思ったのに、それを上回ってドキドキさせられることが起きるのが、生徒会合宿というね…………。
24
お気に入りに追加
694
あなたにおすすめの小説

秘める交線ー放り込まれた青年の日常と非日常ー
Ayari(橋本彩里)
BL
日本有数の御曹司が集まる男子校清蘭学園。
家柄、財力、知能、才能に恵まれた者たちばかり集まるこの学園に、突如外部入学することになったアオイ。
2年ぶりに会う幼馴染みはひどく素っ気なく、それに加え……。
──もう逃がさないから。
誰しも触れて欲しくないことはある。そして、それを暴きたい者も。
事件あり、過去あり、あらざるものあり、美形集団、曲者ほいほいです。
少し特殊(怪奇含むため)な学園ものとなります。今のところ、怪奇とシリアスは2割ほどの予定。
生徒会、風紀、爽やかに、不良、溶け込み腐男子など定番はそろいイベントもありますが王道学園ではないです。あくまで変人、奇怪、濃ゆいのほいほい主人公。誰がどこまで深みにはまるかはアオイ次第。
*****
青春、少し不思議なこと、萌えに興味がある方お付き合いいただけたら嬉しいです。
※不定期更新となりますのであらかじめご了承ください。
表紙は友人のkouma.作です♪

風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である


推しを擁護したくて何が悪い!
人生1919回血迷った人
BL
所謂王道学園と呼ばれる東雲学園で風紀委員副委員長として活動している彩凪知晴には学園内に推しがいる。
その推しである鈴谷凛は我儘でぶりっ子な性格の悪いお坊ちゃんだという噂が流れており、実際の性格はともかく学園中の嫌われ者だ。
理不尽な悪意を受ける凛を知晴は陰ながら支えたいと思っており、バレないように後をつけたり知らない所で凛への悪意を排除していたりしてした。
そんな中、学園の人気者たちに何故か好かれる転校生が転入してきて学園は荒れに荒れる。ある日、転校生に嫉妬した生徒会長親衛隊員である生徒が転校生を呼び出して──────────。
「凛に危害を加えるやつは許さない。」
※王道学園モノですがBLかと言われるとL要素が少なすぎます。BLよりも王道学園の設定が好きなだけの腐った奴による小説です。
※簡潔にこの話を書くと嫌われからの総愛され系親衛隊隊長のことが推しとして大好きなクールビューティで寡黙な主人公が制裁現場を上手く推しを擁護して解決する話です。

生徒会会長と会計は王道から逃げたい
玲翔
BL
生徒会長 皇晴舞(すめらぎはるま)
生徒会会計 如月莉琉(きさらぎりる)
王道学園に入学した2人…
晴舞と莉琉は昔からの幼馴染、そして腐男子。
慣れ行きで生徒会に入ってしまったため、王道学園で必要な俺様とチャラ男を演じることにしたのだが…
アンチ転校生がやってきて!?
風紀委員長×生徒会長
親衛隊隊長×生徒会会計
投稿ゆったり進めていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる