百色学園高等部

shine

文字の大きさ
上 下
37 / 101
すれ違い…………??

仲直り

しおりを挟む


昼休み。

神無月明海は保健室にきていた。
昼休みに次期生徒会や風紀委員会、の役員や寮長というような役員になるひとのための説明会を行う予定だった。
そこに、桜河唯利は来なかった。

どうやら、保健室にいるらしい。

寮長や生徒会長のすすめで、迎えにいくことにした。

嫌われてる本人が直接迎えに行くのはちょっと…………と思ったが、明海は強引に会議室から追い出されてしまった。


どうせ今日の会は、次期役員同士の顔あわせと、次の代の人との交流会みたいなものである。ひとり二人かけたところで支障はないのだが…………





「失礼します」

扉をゆっくり開けて、中に入る。

外は昼休みのため、雑音がするが、扉をしめると中は静かだ。

保健室の先生であるみーたんはいない。



しかし、奥のベッドにはカーテンがひいてあって、誰かはいるようである。


神無月明海は
ベッドへまっすぐ進む。



しゃーっと開けて、

中にいる人物を確認する。



そこに桜河唯利はいた。
ベッドの壁に寄りかかるように寝ている。


『寝不足でしょうか…

顔色悪いようにみえないです……
むしろ血色がいいというか。』


明海には、何故桜河唯利が保健室で寝ているのか知らされておらず、この状況を飲み込むのが難しかった。



『どんな状況でしょう。昼食ですかね』

桜河唯利の手には、食べかけのパンがある。みーたんにもらったパンである




『そうですね、まず、
手に持ってるパンを机の上にのせましょうか』


ベッドを汚さないように、と思ってパンを掴むが、

とれなかった

「…??」

疑問に思いながら桜河の顔を見る。


いつの間にか目を開けていた。 



『…起きましたか?』

急な状況の変化に固まる明海。

しかし、
桜河唯利はうっすら目を開けて、明海へ向けてふわっと微笑む。

「あれ、先輩だ……これはダメですよぉ……」


「はい??何がダメなんですか……??」
ドキドキを押さえて聞く


「僕の朝ごはんだからぁー。先輩のせいで今日も朝食抜いちゃったんだもん。夢の中までとりあげないでぇー」

舌の回らない様子で、説明する。


突っ込みどころが多い。
まず、
起きたばっかの唯利にとっては朝ごはんの続きであっても、明海にとっては今は昼だ。
明海のせいとは。……唯利が明海に会わないようにしているから朝食を抜いただけだが、…………それは明海のせいじゃない。


そして、
夢ではない。


明海は唯利がなにを言ってるのか理解できなかったが、やはり嫌われていたのかと困ったように首をかしげる。


しかし、唯利は夢の中だと思い込み、好き放題行動する。

「先輩とこんなに近くに入れるの久しぶりー」

なにを思ったのか、急に抱きついて、腕を回してすりすり顔を擦り付ける。

「私もそうですよ」

その行動にビックリして、固まりながらも返事をする明海。


腕を優しく振りほどこうとするが、逆に強く締め付けられる。



「全然あってない気がするー。めっちゃさみしかったぁー」


『私は嫌われていたはずでは……』
明海は困惑を隠せない。

「あれ、夢なのに、妙に感覚あるなぁ…アハハ」

『こんな感じの桜河くん見覚えがあるのですが…』


ふと机の上を見ると、缶が乗っている。
明海のその視線に気づいた唯利が

「それ、酸っぱい系のジュースだったー」


「これ、お酒ですよ」


「嘘だよー。だって、そこの冷蔵庫に入ってたやつだもんー」

実は唯利が冷蔵庫から勝手にとった飲み物はお酒だった。そのために、さっきから酔って明海に抱きついたりしていた。


『あのホスト保険医は保健室に酒までいれてるんですか!!これは報告した方がいいですね。』
しかし、唯利にも注意が必要だ。

「勝手に冷蔵庫から物をとってはダメですよ」
「だってぇ……みーたんいないんだもんあ、これ、秘密にしてね。でも夢なら言っても大丈夫バレない???」

抱きつきながら、したから上目遣いする唯利。
その顔にうっと言葉をつまらせる。


「…………桜河くん。先生がいないときでも、変なものは勝手に備品をとっちゃダメです。今日はお酒だったので酔うだけですみましたが、危険なものだったらどうするんです?」


「唯利」


「はい??」



「唯利って呼んでぇー。俺だけしたの名前よびって、ふこーへー」


『不公平ですか…………?
私はそうは思いませんけど…………』


「早くぅー!!」

はいはい。
仕方がないですね。
そういうように、明海は唯利の頭を優しく撫でながら言う。

「唯利くん。これでいいですか?」

「あはっ。嬉しい~」

「ちょ、なにしてるんですか」

ぎゅっと抱きついて、明海を抱き寄せる。引っ張られたために、体勢を崩しベッドの端に座る形になる。
というか、それも数秒程度で、ベッドに一緒に横になる形に。顔が近い。



「んふふ~先輩やっぱいーにおい」


「普通ですよ」
くすぐったそうに身じろぎをする。

しかし、
桜河は明海の首の横に顔近づけるのをやめない。


「先輩やっぱりいい匂い。あれ、先輩シャンプー変えた?」


「もう、唯利くん。離れてください…」
真っ赤な顔で唯利の手をほどこうとするが、片手外したと思っても、他の手が外れない。


「先輩のいい匂いどこから匂うか調べるの。こういう機会じゃないと、調べられないでしょ」
すんすん匂いを嗅ぐ。


「もう。私のこと、嫌いだったんじゃないんですか…???」
先程から疑問に思ってたことを聞く。
嫌われて徹底的に避けられてたはずだが…………これはどういう風の吹きまわしだろうか。



「え???どうして?明海先輩のこと嫌いになるわけないじゃん」

「え、じゃあ、どうして…………」

これまで私のことを避けていたのか、と聞こうとしたが、


なにを思ったのか、



明海の耳を、



唇で、


優しく、



「はむ。」



甘噛みした。



「っちょ、な、な…………な!!!」



「あはは、先輩焦りすぎ~そんな顔も可愛いぃ~」


耳に手をやり、目は空をさ迷う
そんな明海の顔を見て、唯利はお腹を抱えて笑い、



抱きつく感じに寄りかかる。 
「はぁ~先輩とこんなにべたべたできるなんて、チョー幸せ。おれ、目覚めたくないなぁ…」





固まる明海。



頭の中では、さっきの唯利の言葉と、耳と唯利の唇に意識がいき、脳内をぐるぐる回っていた


『結局嫌われてはいなかったみたいですけど……』



しばらくして、寝息が聞こえるようになる。


硬直していた明海だが、寝息を聞いて体の力を抜き、腰に回った唯利の手をほどこうとする。



しかし、


ほどけない


唯利の頭は力を完全に抜けきってるのに、コクンと明海に寄りかかってるのに、腕の力は強い。


というか、ほどこうとするほど、力をいれてくる。


無意識というのは怖い



最終的にあきらめ、暫くそこにいることにした。







午後、みーたんが帰って来て、

唯利が明海に抱きついてる光景を見て


「お前らなにやってんだ…………」

っていう突っ込みをする。



それに



「あなたのせいですよ……!!」


と、
明海が恨みがましい目でにらむ姿があったが、端から見れば…………



うん。




可愛いかったであろう。
(赤い顔で、涙ぐみながらだった)











しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

俺の愉しい学園生活

yumemidori
BL
ある学園の出来事を腐男子くん目線で覗いてみませんか?? #人間メーカー仮 使用しています

お飾りは花だけにしとけ

イケのタコ
BL
王道学園で風紀委員長×生徒会長です 普通の性格なのに俺様と偽る会長に少しの出来事が起きる 平凡な性格で見た目もどこにでもいるような生徒の桃谷。 ある日、学園で一二を争うほどの人気である生徒会ほぼ全員が風紀委員会によって辞めさせられる事態に 次の生徒会は誰になるんだろうかと、生徒全員が考えている中、桃谷の元に理事長の部下と名乗る者が現れ『生徒会長になりませんか』と言われる 当然、桃谷は役者不足だと断るが…… 生徒会長になった桃谷が様々な事に巻き込まれていくお話です

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・不定期

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。 が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。 そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め── ※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。 ※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。 ※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。 ※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

BlueRose

雨衣
BL
学園の人気者が集まる生徒会 しかし、その会計である直紘は前髪が長くメガネをかけており、あまり目立つとは言えない容姿をしていた。 その直紘には色々なウワサがあり…? アンチ王道気味です。 加筆&修正しました。 話思いついたら追加します。

処理中です...