百色学園高等部

shine

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すれ違い…………??

仲直り

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昼休み。

神無月明海は保健室にきていた。
昼休みに次期生徒会や風紀委員会、の役員や寮長というような役員になるひとのための説明会を行う予定だった。
そこに、桜河唯利は来なかった。

どうやら、保健室にいるらしい。

寮長や生徒会長のすすめで、迎えにいくことにした。

嫌われてる本人が直接迎えに行くのはちょっと…………と思ったが、明海は強引に会議室から追い出されてしまった。


どうせ今日の会は、次期役員同士の顔あわせと、次の代の人との交流会みたいなものである。ひとり二人かけたところで支障はないのだが…………





「失礼します」

扉をゆっくり開けて、中に入る。

外は昼休みのため、雑音がするが、扉をしめると中は静かだ。

保健室の先生であるみーたんはいない。



しかし、奥のベッドにはカーテンがひいてあって、誰かはいるようである。


神無月明海は
ベッドへまっすぐ進む。



しゃーっと開けて、

中にいる人物を確認する。



そこに桜河唯利はいた。
ベッドの壁に寄りかかるように寝ている。


『寝不足でしょうか…

顔色悪いようにみえないです……
むしろ血色がいいというか。』


明海には、何故桜河唯利が保健室で寝ているのか知らされておらず、この状況を飲み込むのが難しかった。



『どんな状況でしょう。昼食ですかね』

桜河唯利の手には、食べかけのパンがある。みーたんにもらったパンである




『そうですね、まず、
手に持ってるパンを机の上にのせましょうか』


ベッドを汚さないように、と思ってパンを掴むが、

とれなかった

「…??」

疑問に思いながら桜河の顔を見る。


いつの間にか目を開けていた。 



『…起きましたか?』

急な状況の変化に固まる明海。

しかし、
桜河唯利はうっすら目を開けて、明海へ向けてふわっと微笑む。

「あれ、先輩だ……これはダメですよぉ……」


「はい??何がダメなんですか……??」
ドキドキを押さえて聞く


「僕の朝ごはんだからぁー。先輩のせいで今日も朝食抜いちゃったんだもん。夢の中までとりあげないでぇー」

舌の回らない様子で、説明する。


突っ込みどころが多い。
まず、
起きたばっかの唯利にとっては朝ごはんの続きであっても、明海にとっては今は昼だ。
明海のせいとは。……唯利が明海に会わないようにしているから朝食を抜いただけだが、…………それは明海のせいじゃない。


そして、
夢ではない。


明海は唯利がなにを言ってるのか理解できなかったが、やはり嫌われていたのかと困ったように首をかしげる。


しかし、唯利は夢の中だと思い込み、好き放題行動する。

「先輩とこんなに近くに入れるの久しぶりー」

なにを思ったのか、急に抱きついて、腕を回してすりすり顔を擦り付ける。

「私もそうですよ」

その行動にビックリして、固まりながらも返事をする明海。


腕を優しく振りほどこうとするが、逆に強く締め付けられる。



「全然あってない気がするー。めっちゃさみしかったぁー」


『私は嫌われていたはずでは……』
明海は困惑を隠せない。

「あれ、夢なのに、妙に感覚あるなぁ…アハハ」

『こんな感じの桜河くん見覚えがあるのですが…』


ふと机の上を見ると、缶が乗っている。
明海のその視線に気づいた唯利が

「それ、酸っぱい系のジュースだったー」


「これ、お酒ですよ」


「嘘だよー。だって、そこの冷蔵庫に入ってたやつだもんー」

実は唯利が冷蔵庫から勝手にとった飲み物はお酒だった。そのために、さっきから酔って明海に抱きついたりしていた。


『あのホスト保険医は保健室に酒までいれてるんですか!!これは報告した方がいいですね。』
しかし、唯利にも注意が必要だ。

「勝手に冷蔵庫から物をとってはダメですよ」
「だってぇ……みーたんいないんだもんあ、これ、秘密にしてね。でも夢なら言っても大丈夫バレない???」

抱きつきながら、したから上目遣いする唯利。
その顔にうっと言葉をつまらせる。


「…………桜河くん。先生がいないときでも、変なものは勝手に備品をとっちゃダメです。今日はお酒だったので酔うだけですみましたが、危険なものだったらどうするんです?」


「唯利」


「はい??」



「唯利って呼んでぇー。俺だけしたの名前よびって、ふこーへー」


『不公平ですか…………?
私はそうは思いませんけど…………』


「早くぅー!!」

はいはい。
仕方がないですね。
そういうように、明海は唯利の頭を優しく撫でながら言う。

「唯利くん。これでいいですか?」

「あはっ。嬉しい~」

「ちょ、なにしてるんですか」

ぎゅっと抱きついて、明海を抱き寄せる。引っ張られたために、体勢を崩しベッドの端に座る形になる。
というか、それも数秒程度で、ベッドに一緒に横になる形に。顔が近い。



「んふふ~先輩やっぱいーにおい」


「普通ですよ」
くすぐったそうに身じろぎをする。

しかし、
桜河は明海の首の横に顔近づけるのをやめない。


「先輩やっぱりいい匂い。あれ、先輩シャンプー変えた?」


「もう、唯利くん。離れてください…」
真っ赤な顔で唯利の手をほどこうとするが、片手外したと思っても、他の手が外れない。


「先輩のいい匂いどこから匂うか調べるの。こういう機会じゃないと、調べられないでしょ」
すんすん匂いを嗅ぐ。


「もう。私のこと、嫌いだったんじゃないんですか…???」
先程から疑問に思ってたことを聞く。
嫌われて徹底的に避けられてたはずだが…………これはどういう風の吹きまわしだろうか。



「え???どうして?明海先輩のこと嫌いになるわけないじゃん」

「え、じゃあ、どうして…………」

これまで私のことを避けていたのか、と聞こうとしたが、


なにを思ったのか、



明海の耳を、



唇で、


優しく、



「はむ。」



甘噛みした。



「っちょ、な、な…………な!!!」



「あはは、先輩焦りすぎ~そんな顔も可愛いぃ~」


耳に手をやり、目は空をさ迷う
そんな明海の顔を見て、唯利はお腹を抱えて笑い、



抱きつく感じに寄りかかる。 
「はぁ~先輩とこんなにべたべたできるなんて、チョー幸せ。おれ、目覚めたくないなぁ…」





固まる明海。



頭の中では、さっきの唯利の言葉と、耳と唯利の唇に意識がいき、脳内をぐるぐる回っていた


『結局嫌われてはいなかったみたいですけど……』



しばらくして、寝息が聞こえるようになる。


硬直していた明海だが、寝息を聞いて体の力を抜き、腰に回った唯利の手をほどこうとする。



しかし、


ほどけない


唯利の頭は力を完全に抜けきってるのに、コクンと明海に寄りかかってるのに、腕の力は強い。


というか、ほどこうとするほど、力をいれてくる。


無意識というのは怖い



最終的にあきらめ、暫くそこにいることにした。







午後、みーたんが帰って来て、

唯利が明海に抱きついてる光景を見て


「お前らなにやってんだ…………」

っていう突っ込みをする。



それに



「あなたのせいですよ……!!」


と、
明海が恨みがましい目でにらむ姿があったが、端から見れば…………



うん。




可愛いかったであろう。
(赤い顔で、涙ぐみながらだった)











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