百色学園高等部

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学校始まりました

罰ゲーム

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昼休み


午前中の授業の記憶がない。
何の授業だっけ。そういえば今日はミシェルの授業あったけど、何したっけ。あれ、それは午後か。


ドクドク心臓を鳴らしながら体育館裏に。



行きたくないけど、遅いって言われて逆に殴られるかもしれない。かといって殴られる時間が長くなるのも嫌だ。



いつものようにお昼に誘ってくれた三藤くんには、寮の手伝いをすると言って別れてきた。彼は優しいから手伝うと言ってくれたが、ついてこられちゃ困る。俺がいじめられてたら、もしかしたら割って入ってきちゃうかもしれないし、そうなれば逆に三藤くんもいじめられるかもしれない。そうなったら申し訳ない。



って思って構えてたのに。




「ユイリーン様っ!!!ずっと好きでしたっ。付き合って下さいっ」


予想外の言葉に目が点になる




生まれてこのかた、告白されるなんて経験なんぞない。


告白することだってない。絶対キモいとか言われて、受け入れてもらえないだろうし 





なぜこの俺が。

いやいやいやいやいや、
もっといいやついるだろうに。

てか、別にジェンダーとか気にしないけども、男が男を好きになってもいいと思うけども、どんな相手でも好きになれるって素晴らしい事ではあるけども!!!いやいや、俺が男を好きになるかってちょっと違う問題っていうか!!!!!!!



何度も脳みそを回転させて、結論をだす。




そっか、罰ゲームか。

聞いたことがある。罰ゲームで、クラスで一番印キャの人と期間限定で付き合うやつ。



「俺のどんなとこが好きになったの~??」


「あの……その……、全部ですっ(顔とか声とか仕草とか……いっぱい!!)」





ほらその証拠に、目をそらし迷っ末、やっとこっちを見たと思ったら全部とかいっちゃって。適当にも程があるでしょ。



「ん~でも、俺ら知り合ってそんなにたってないし……」

なんとなく断る雰囲気をだとしたら、目をうるうるさせてきた。

その顔を見て、はっとする。



そっか、俺が断ったらこの子が困るよね。友だちに責められたらかわいそうだし、付き合ってるふりだけならいっか。

期間は……今日は月曜日だから、今週の日曜日に俺から別れをきりだそう。ちゃかしていたやつらも一週間もすれば飽きてすんなり別れられるだろう。
あっでも、学校は金曜日までか。でも日曜日は休日デートしなきゃかな。



「まずLIN○を交換しよう!」


俺がそういった瞬間、パッと顔が明るくなる。わかりやすいやつめ。
日曜日にL○NEで別れをきりだすんだよ。


「柴田カナエくんだね。これからよろしく~」


「えっ。じゃあ……」


「うん。俺たち付き合っちゃおう~」

にぱって笑って肩を叩く。


「ツ…………!!!(声にならない喜び)」



「お昼はこれから??」


「はい、そうです」



「じゃあ、一緒に食べよう❗」


「いいんですかっ?」




「付き合ってるのに、一緒に食べないの??」


「嬉しいですっ」

単に喜んでる演技だと思うけど、…………喜怒哀楽が激しい子だな~と思った。



カフェテリアに一緒に入ると、周囲がざわざわとする。

この子もかわいそうに。俺みたいなのと一緒にいると、ざわざわ騒がしくなってしまう。ただの罰ゲームでも、やっぱり皆の前でちゃんと付き合ってるアピールはした方がいいと思うけど、必要以上に注目されるのは良くない。
人目がつかないところに食事を持っていって、そこで食べる方がいいかな。


「そうだ、天気いいから、外で食べようか。」


「はいっ。ユイリーン様がお好きなところでっ」



「あまり離れすぎると食器返すのめんどくさいから、ここでいい??」

「もちろんですっ」


俺が選んだのは体育館の前の飲食スペース。何故かパラソルと椅子がおいてあって、一休みできる。中庭と迷ったけど、そっちは以外と人通りがあるから、こっちにした。




あとは~このカナエちゃんって子とラブラブしてるようすを、どうせ近くで見てる仲間に見せつけてやればいいだけだ。


「ユイリーン様のハンバーグ美味しそうですね」



「そう??じゃあ、口を開けて~」

「えっ/////あ、あーん」



「ふふ、どう??美味しい????」




「ほ、ほひろんですっっ(もちろんです)」



「あ~ダメだよ~口の中に入れて喋っちゃ!」

「(コクコクコク……!!!!)」


それにしても、男なのに結構可愛いと思う。
小動物みたいだ。

ちょっとほっぺた膨らませて、もごもごさせてる所は、リスみたいだ


「美味しかっ「はい、もうひとくち~」モゴッ…………」



ふふふ、つい、さらに口に押し込んじゃったよ。モゴモゴ可愛いし。

目を白黒して食べてるよw

俺のハンバーグだけど、なんか味が濃くって、あんまり食べたくないから食べて貰っちゃおww

「あの、もうっ「さらにひと口~」ガッ…………」



いやぁ、楽しい楽しい。





罰ゲームだけど、これをきっかけに仲良くなれないかな~

「そっちのパスタも美味しそ~チョーダイ!あ~ん」

「えっ。このフォーク僕が使ったやつですけど…………////」




「あっそうか。不衛生だよね。ごめんね俺が食べさせたの………は、新品だったから、大丈夫みたいだよ!」



「…………(ガックリ)」



そっか。俺が使ったフォークとか使いたくないよね。明日からは気を付けよ…………



「ねえ、柴田君は……」

「下の名前で呼んで………モゴモゴ…」


「えっ??」


「その、下の名前で呼んでくださいっ!!」


あ、そうか。恋人ごっこだもんね。名前もそれらしくしなきゃか。


「じゃあ、カナエ君?」

「///////」

あれ??下を向いてうつむいちゃったよ。


「ん~じゃあ、カナエちゃんかな?」


「!!!!!///////」



おー。おきに召したようだ。相変わらず下を向いたままだけど、激しく首を縦にふってるし。


ま、この呼び方なら彼の友人が彼の事をそう呼んでたし、正解だと思う。
それに、罰ゲーム終わったあとも、なんとなく仲良さげによびあえるし!!



「じゃあ、カナエちゃんも俺に対して敬語使わないでね♪」

「えっ。そんな…僕なんかが恐れ多くて…………」



ん??なにいってるか意味わかんないけど




「えぇ~恋人に敬語使うカップルいないよ~」


まあ、結婚したての歳の差がある夫婦は違うかもしれないけど…………俺ら高校生な上に同級生。敬語なんか使われちゃったら俺悲しくって~

「はいっ」


「はい???」


「え??....あっ、わかりましたっユイリーン様っ」


それも敬語だよねww
ま、いっか。こういうキャラなんだろうな。それなら俺が無理やり変えても申し訳ないしほっておこう。


「あの、写真を撮って欲しいですっ」

「いいよ~。はい、お皿持ってポーズして~」
ちょっと食べちゃってるけど、パスタと一緒にポーズ~

「そ、うじゃなくて、ユイリーン様と一緒に撮って頂きたくって…………」

俺と?何のメリットが………

ああ、なるほどね。
罰ゲームの証拠写真か。なら撮っておかないと。


「いいよ~カメラ向いて~」
俺はインカメにして、顔がくっつくくらいカナエちゃんに近づく。

折角なら、恋人っぽい写真にしてあげよう。



「はいっチ~…………ちゅっ」


スペシャルサービスとして、ウィンクしながらシャッターきる瞬間カナエちゃんの頬っぺたにキスしただけなんだけど。


めっちゃ顔真っ赤になって失神するカナエちゃん。今日熱あったのかな。彼、食事中あんまり手が動いてないようだったし、食欲なかったんじゃ…………俺、またやらかしたみたい。


そのあと、俺はちょっと忙しくなってしまった。カナエちゃんが気絶しちゃったから保健室につれていって、食器はしっかりカフェテリアに返して…………って事をしたら、五時間目のチャイムはとうに鳴って遅刻してしまった。
でも、あの恥ずかしいミシェルのビズタイムを避けれたから、ま、いっか。って感じだw









それから、桜河唯利は予定通り日曜日に別れをきりだす。

もちろん柴田カナエは罰ゲームではなく、仲間もその恋を応援していただけなので、ものすごく悲しんだ。

しかし、クラスじゅうに人気のと一週間だけでも恋人になれたのだから、と自分を納得させた。
それでもベッドの中で夜中ずっとメソメソ泣いたから、朝起きたときは目が腫れて学校を遅刻していった。


月曜日の朝には桜河唯利がフリーになったとに噂がクラス中にかけまわり、その日にすでに彼に告白するものが現れた。


もちろん本気の告白だが、桜河にとってまた罰ゲームか、と思い日曜日にはしっかり別れた。




いつしかそれがルーティーンになり、

『ユイリーン様と付き合うのは月曜日から日曜日の一週間』という決まりができ、

ユイリーンファン同士で何週間先の『ユイリーン様と付き合う権利』でもめ、

結局、『月曜日に最初にユイリーン様に告ってOKもらった人が一週間付き合える権利を得る』

ということにおさまったのは、まだ先のお話。






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