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病気宣告
朝天音サイド
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シャー
という音と、鼻歌が聞こえて、目が覚める。
あいつ、また歌いながらシャワーかよ。
昨日も夜遅くに帰ってきたみたいだし、いくら門限ないからといって遊んで帰るのはどうなのか。
起きてしまったことだし、今日は早めに学校へ行くことにする。
がらがら……っとゆっくり音がして、体にタオルを巻いただけの桜河がでてくる。
「あっ。起きちゃった?ごめーん」
小声で手を合わせて謝ってきた。
長めの緩いカールの金髪が水気を含んでいつもより少し長く見える。
女子が見たらキャーキャー騒いでうるさいんだろうな。と無意識に眉を潜めてしまう
「いや、別にいいけど、お前早く何か着ろよ」
「あはは。パンツ持って来るの忘れちゃってさ~」
と言って荷物を取りに桜河が背中を見せたとき、俺は驚いて声をあげてしまった
「それ、どうしたんだ?」
背中の右側がうっ血して、紫になってる。
喧嘩でもしたんだろうか。どうせ恋人絡みだろう。この前付き合い始めたら、一週間後には違う人と付き合ってたりしているらしい。毎晩電話する声が聞こえるが、呼び名がころころ変わってるのはそういうことだろう。そんなことを続ければ、トラブルは耐えないはずだ。
こんなやつが人気な理由が正直解せない。
「あ……これね……背中もか……ちょっと打っちゃって。」
んんん、薬塗りにくいなぁ……
と、ぼやいてる。
よくみれば、タオルのしたの足も打撲してるし、肘や膝が擦りむけていたりもする。
前回お風呂場で作ったらしいアザもまだ治ってない。
「そうだ!!天音くん。この打撲の薬塗ってくれない?手が届かないと思うんだ」
手をすりすりしてよってくる。
「……。」
「ダメ??じゃあ、違う部屋の人(三藤くん)に頼んでこようかな~」
といって、タオルを腰に巻いただけの姿で部屋を出ようとするから、
「薬かせ。塗ってやる」
流石にあの格好で出歩くのはどうなのか。
男に襲われると思う。
この前の風呂場で猛烈に反省したこともあって、さすがに同室者にある程度は気にかけるようにしてる。
ヤられた姿で帰って来るのも見たくないしな。
「ありがとう~天音きゅん~」
「変なあだ名つけるな」
「じゃあ、まときゅん??」
「きゅんはやめろ」
桜河の白い背中にわざとごしごし薬を塗りつけてやった。
くそ、男なのにきれいな体しやがって。
「いたいーいたいーあああああ」
小声でじたばたする
「わかったよー天音くんね。ハイハイ」
諦めたように桜河がため息をついたとこで、起床の音楽がなる。
桜河がずっと小声でいたのは、隣人の眠りを妨げないようにするためだったことを、俺は今気づいた。
その証拠に、
「やっとドライヤーかけられるよー」
とコンセントをセットしてた。
こんな見た目だが、意外と礼儀正しいのか。
俺にはない、こいつの良さを見つける。
気遣いというのは、なかなか気づいてできるものじゃない。
顔以外で人気の理由がなんとなくわかったような気がした。
という音と、鼻歌が聞こえて、目が覚める。
あいつ、また歌いながらシャワーかよ。
昨日も夜遅くに帰ってきたみたいだし、いくら門限ないからといって遊んで帰るのはどうなのか。
起きてしまったことだし、今日は早めに学校へ行くことにする。
がらがら……っとゆっくり音がして、体にタオルを巻いただけの桜河がでてくる。
「あっ。起きちゃった?ごめーん」
小声で手を合わせて謝ってきた。
長めの緩いカールの金髪が水気を含んでいつもより少し長く見える。
女子が見たらキャーキャー騒いでうるさいんだろうな。と無意識に眉を潜めてしまう
「いや、別にいいけど、お前早く何か着ろよ」
「あはは。パンツ持って来るの忘れちゃってさ~」
と言って荷物を取りに桜河が背中を見せたとき、俺は驚いて声をあげてしまった
「それ、どうしたんだ?」
背中の右側がうっ血して、紫になってる。
喧嘩でもしたんだろうか。どうせ恋人絡みだろう。この前付き合い始めたら、一週間後には違う人と付き合ってたりしているらしい。毎晩電話する声が聞こえるが、呼び名がころころ変わってるのはそういうことだろう。そんなことを続ければ、トラブルは耐えないはずだ。
こんなやつが人気な理由が正直解せない。
「あ……これね……背中もか……ちょっと打っちゃって。」
んんん、薬塗りにくいなぁ……
と、ぼやいてる。
よくみれば、タオルのしたの足も打撲してるし、肘や膝が擦りむけていたりもする。
前回お風呂場で作ったらしいアザもまだ治ってない。
「そうだ!!天音くん。この打撲の薬塗ってくれない?手が届かないと思うんだ」
手をすりすりしてよってくる。
「……。」
「ダメ??じゃあ、違う部屋の人(三藤くん)に頼んでこようかな~」
といって、タオルを腰に巻いただけの姿で部屋を出ようとするから、
「薬かせ。塗ってやる」
流石にあの格好で出歩くのはどうなのか。
男に襲われると思う。
この前の風呂場で猛烈に反省したこともあって、さすがに同室者にある程度は気にかけるようにしてる。
ヤられた姿で帰って来るのも見たくないしな。
「ありがとう~天音きゅん~」
「変なあだ名つけるな」
「じゃあ、まときゅん??」
「きゅんはやめろ」
桜河の白い背中にわざとごしごし薬を塗りつけてやった。
くそ、男なのにきれいな体しやがって。
「いたいーいたいーあああああ」
小声でじたばたする
「わかったよー天音くんね。ハイハイ」
諦めたように桜河がため息をついたとこで、起床の音楽がなる。
桜河がずっと小声でいたのは、隣人の眠りを妨げないようにするためだったことを、俺は今気づいた。
その証拠に、
「やっとドライヤーかけられるよー」
とコンセントをセットしてた。
こんな見た目だが、意外と礼儀正しいのか。
俺にはない、こいつの良さを見つける。
気遣いというのは、なかなか気づいてできるものじゃない。
顔以外で人気の理由がなんとなくわかったような気がした。
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