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前編
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どいつもこいつも芋芋芋。
不格好な芋が私みたいな可愛い子に声かけようとするなんて腹立たしい。
少しでも口説けると思われるのが不愉快だっての。
「ごめんねリリィ。私のために来てくれてるのに私あんまり上手く動けなくて……」
「良いんだよお姉ちゃん! もしかしたら素敵な人が現れるかも~ぐらいで呼んだんだし、私色んな人と飲み食いしたりするの好きなの!」
「でもリリィにはお相手がいるのに」
「……実はジェイミー様と上手くいってなかったんだ。お姉ちゃんが嫌になったから私と婚約を取り付けただけで、本当は他に好きな人がいるって言われて……だから私もお姉ちゃんと一緒なんだよ?」
そう言ったらお姉ちゃんは悲しそうな顔をして私の頭を撫でてくれた。こんなん嘘に決まってるじゃん。
お父様とお母様にお姉ちゃんのお下がりの婚約者なんて本当は嫌だったって言えばすぐに、そもそも婚約する話はなかったことにしてもらった。
馬鹿なお姉ちゃん。そのドレスも化粧もひとつも似合ってない。お姉ちゃんの白い肌にそんな原色系の色合い似合うはずないじゃない。まぁ私が選んだのだけれども。
自信なさそうに笑うお姉ちゃんを見てるとイライラする。お姉ちゃんが普通にしてたら、必ずお姉ちゃんを最初に選ぼうとする男が多すぎる。
こうやって私よりも下に見られるような見た目にしないと。やっぱり高嶺の花って気軽に声かけにくいもんね。
「お二人とも今日来られたのは初めてですか?」
声をかけてきた男に振り返ったらボコボコの顔した芋と美しい男が並んでいた。
もうね、不恰好な芋はどうでも良かった。少し焼けた肌に男らしくがっしりした身体、切長の青い目は宝石みたいにキラキラしている。あ、この人だ! 見た目はとりあえず合格、芋の群れの中でこんな綺麗な男がいるとは思わなかった。
お姉ちゃんもびっくりしている。そりゃあそうよね、こんな綺麗な人その辺歩いていないもの。
「公爵様」
「え⁉︎」
公爵様!? この顔が良いのが? え、そんなのもう私この人を狙うしかないじゃない。
お姉ちゃんのドレスの裾を後ろから引っ張り私は前へ出て深々と礼をした。
「リリィです。公爵様にお目にかかれるなんて、このパーティーに来て良かったです」
「へー可愛いじゃん。俺の名前はモブシ」
ぼこぼこの芋顔お前じゃないわ! お前に挨拶していない! 私はこの顔のいい公爵様に挨拶しているの!
「花のように美しい姉妹だとは聞いていたけど想像以上に美しい」
はいはい言われなれてます。はーちょろ、人生ちょろすぎ。全部リリィの思うままだわ。
そう思っていたら公爵様はお姉ちゃんの手を取り片膝をつけていた。驚きすぎて厚塗りしてきた化粧がひび割れそうになる程顔を歪めてしまった。
「お名前をお伺いしても?」
「マリィです。マリィ・ウィリアムです」
「マリィほど美しい女性を見たことがない」
公爵様にそう言われてお姉ちゃんも満更でもなかったのか頬を赤く染めていた。え、なんでお姉ちゃん? 公爵様ってもしかしてあんまり顔が綺麗じゃない人が好みなのかな? こんな芋男連れて歩いていたぐらいだし。
お姉ちゃんの手を握る公爵様の手を振りほどき私はお姉ちゃんにしがみつく。ほうら可愛いでしょ。お姉ちゃんと横に並べば私の可愛さはもっと際立つのよ。よく見なさいよ公爵様。
「リリィったら甘えん坊ね本当に。申し訳ございません公爵様、私は婚約者から捨てられた経歴がある傷物の令嬢です。リリィはまだ婚約者もいないのでリリィの方がふさわしいですよ。妹は美しいと評判ですし」
「いえマリィ僕はあなたに興味があるのですよ」
は? なんなのこの男。私に興味湧かないとか頭おかしいんじゃないの?
不格好な芋が私みたいな可愛い子に声かけようとするなんて腹立たしい。
少しでも口説けると思われるのが不愉快だっての。
「ごめんねリリィ。私のために来てくれてるのに私あんまり上手く動けなくて……」
「良いんだよお姉ちゃん! もしかしたら素敵な人が現れるかも~ぐらいで呼んだんだし、私色んな人と飲み食いしたりするの好きなの!」
「でもリリィにはお相手がいるのに」
「……実はジェイミー様と上手くいってなかったんだ。お姉ちゃんが嫌になったから私と婚約を取り付けただけで、本当は他に好きな人がいるって言われて……だから私もお姉ちゃんと一緒なんだよ?」
そう言ったらお姉ちゃんは悲しそうな顔をして私の頭を撫でてくれた。こんなん嘘に決まってるじゃん。
お父様とお母様にお姉ちゃんのお下がりの婚約者なんて本当は嫌だったって言えばすぐに、そもそも婚約する話はなかったことにしてもらった。
馬鹿なお姉ちゃん。そのドレスも化粧もひとつも似合ってない。お姉ちゃんの白い肌にそんな原色系の色合い似合うはずないじゃない。まぁ私が選んだのだけれども。
自信なさそうに笑うお姉ちゃんを見てるとイライラする。お姉ちゃんが普通にしてたら、必ずお姉ちゃんを最初に選ぼうとする男が多すぎる。
こうやって私よりも下に見られるような見た目にしないと。やっぱり高嶺の花って気軽に声かけにくいもんね。
「お二人とも今日来られたのは初めてですか?」
声をかけてきた男に振り返ったらボコボコの顔した芋と美しい男が並んでいた。
もうね、不恰好な芋はどうでも良かった。少し焼けた肌に男らしくがっしりした身体、切長の青い目は宝石みたいにキラキラしている。あ、この人だ! 見た目はとりあえず合格、芋の群れの中でこんな綺麗な男がいるとは思わなかった。
お姉ちゃんもびっくりしている。そりゃあそうよね、こんな綺麗な人その辺歩いていないもの。
「公爵様」
「え⁉︎」
公爵様!? この顔が良いのが? え、そんなのもう私この人を狙うしかないじゃない。
お姉ちゃんのドレスの裾を後ろから引っ張り私は前へ出て深々と礼をした。
「リリィです。公爵様にお目にかかれるなんて、このパーティーに来て良かったです」
「へー可愛いじゃん。俺の名前はモブシ」
ぼこぼこの芋顔お前じゃないわ! お前に挨拶していない! 私はこの顔のいい公爵様に挨拶しているの!
「花のように美しい姉妹だとは聞いていたけど想像以上に美しい」
はいはい言われなれてます。はーちょろ、人生ちょろすぎ。全部リリィの思うままだわ。
そう思っていたら公爵様はお姉ちゃんの手を取り片膝をつけていた。驚きすぎて厚塗りしてきた化粧がひび割れそうになる程顔を歪めてしまった。
「お名前をお伺いしても?」
「マリィです。マリィ・ウィリアムです」
「マリィほど美しい女性を見たことがない」
公爵様にそう言われてお姉ちゃんも満更でもなかったのか頬を赤く染めていた。え、なんでお姉ちゃん? 公爵様ってもしかしてあんまり顔が綺麗じゃない人が好みなのかな? こんな芋男連れて歩いていたぐらいだし。
お姉ちゃんの手を握る公爵様の手を振りほどき私はお姉ちゃんにしがみつく。ほうら可愛いでしょ。お姉ちゃんと横に並べば私の可愛さはもっと際立つのよ。よく見なさいよ公爵様。
「リリィったら甘えん坊ね本当に。申し訳ございません公爵様、私は婚約者から捨てられた経歴がある傷物の令嬢です。リリィはまだ婚約者もいないのでリリィの方がふさわしいですよ。妹は美しいと評判ですし」
「いえマリィ僕はあなたに興味があるのですよ」
は? なんなのこの男。私に興味湧かないとか頭おかしいんじゃないの?
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