3 / 4
第一章・降り積もる花粉
香太の悩み
しおりを挟む
姉にずっと揶揄われて育った香太は自分の名前は好きじゃなく、体臭が劣等感でもあったが、田舎のお婆ちゃんはいい匂いだと励ましてくれた。
栗山家族は田舎の婆ちゃんの所に向かって列車を乗り継ぎ、やっと新潟の山奥まで来ると、父純一に緊急の連絡があり途中の駅で降りて、彩美と香太の二人旅になってしまった。
「こんな田舎でも、みんなマスクしてんなー。花粉症なんだ。可哀想そ」
乗客は少ないが全員マスクをして目を充血させ、鼻水をすすったり、クシャミをしてティシュで鼻をかんでいる。
「花粉症なんて、わかんな~い。わたしたち、全然平気だもんな」
彩美は周りを気にせずに大きな声で香太に同意を求めた。
「なっ、コータ」
「うん、まーそうだけど」
香太は恥ずかしくて声を潜めたが、実際、栗山家族には花粉症で患う者はいなく、香太が五歳の時に病死した母は微笑みながら二人に断言したのである。
『香太も彩実も、花粉症には絶対にならないからね。それは私が保証するわ』
その根拠は詳しく教えてもらってないが、香太は空気を読まずに話しかける彩美を見て、『姉が花粉症にならないのは……他の病原菌にも負けない最強少女だから』と思った。
「婆ちゃん、まだ生きてっかな?たぶん二百歳くらになるんじゃね?」
「そんな訳ないでしょ」
「でも、あれ魔女だろ?間違いない」
栗山家族は田舎の婆ちゃんの所に向かって列車を乗り継ぎ、やっと新潟の山奥まで来ると、父純一に緊急の連絡があり途中の駅で降りて、彩美と香太の二人旅になってしまった。
「こんな田舎でも、みんなマスクしてんなー。花粉症なんだ。可哀想そ」
乗客は少ないが全員マスクをして目を充血させ、鼻水をすすったり、クシャミをしてティシュで鼻をかんでいる。
「花粉症なんて、わかんな~い。わたしたち、全然平気だもんな」
彩美は周りを気にせずに大きな声で香太に同意を求めた。
「なっ、コータ」
「うん、まーそうだけど」
香太は恥ずかしくて声を潜めたが、実際、栗山家族には花粉症で患う者はいなく、香太が五歳の時に病死した母は微笑みながら二人に断言したのである。
『香太も彩実も、花粉症には絶対にならないからね。それは私が保証するわ』
その根拠は詳しく教えてもらってないが、香太は空気を読まずに話しかける彩美を見て、『姉が花粉症にならないのは……他の病原菌にも負けない最強少女だから』と思った。
「婆ちゃん、まだ生きてっかな?たぶん二百歳くらになるんじゃね?」
「そんな訳ないでしょ」
「でも、あれ魔女だろ?間違いない」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
僕のおつかい
麻竹
ファンタジー
魔女が世界を統べる世界。
東の大地ウェストブレイ。赤の魔女のお膝元であるこの森に、足早に森を抜けようとする一人の少年の姿があった。
少年の名はマクレーンといって黒い髪に黒い瞳、腰まである髪を後ろで一つに束ねた少年は、真っ赤なマントのフードを目深に被り、明るいこの森を早く抜けようと必死だった。
彼は、母親から頼まれた『おつかい』を無事にやり遂げるべく、今まさに旅に出たばかりであった。
そして、その旅の途中で森で倒れていた人を助けたのだが・・・・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※一話約1000文字前後に修正しました。
他サイト様にも投稿しています。
堕天使は天使となって生きる ~若き天使の子育て論~
紫隈嘉威(Σ・Χ)
ファンタジー
パウル・ユンカース、彼は特殊な環境で生まれ、育ち、生きてきた。ある日、彼はその身に刻まれたある種の呪いにより、世界の境界を越えてしまった。その先で、合流を果たした妹と、双子のセレとイムを救出することになる。
仲間を加え双子の心のケアをしつつ世界を旅して世界を学ぶ二人、双子があるべきところに戻った時、二人はあるべき姿へと戻る物語。
隠しダンジョン巡り 〜神器集めて最強を目指す〜
碧海 輝
ファンタジー
空中に点在する島々で人と魔物が生活している異世界の住人のテオ。
彼は「能無し」と呼ばれていた。
全人口の5%であり、極端に低いステータスの「非戦闘職」。
テオはその一人だった。
しかしそんなテオのスキルが意外な強さを発揮する。
《ダンジョンキー》
テオだけが持つそのスキルの能力は、条件を達成することで、各島でテオだけが入れる隠しダンジョンの鍵を入手できるというもの。
そして、そのダンジョンの最深部には神器と呼ばれる、ステータスを上げる武器が隠されているのだった。
最弱の少年が神器を求めて、各島の隠しダンジョンを巡り、徐々に成長していく物語。
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!
ハイフィールド
ファンタジー
「苦しい恋をしていた……それでも生まれ変わったらわたし、あなたに会いたい」
商家の娘アーリャとして異世界転生したわたしは神の洗礼で得たギフトジョブが『木』でした……前世で演劇の役は全て『木』だったからって、これはあんまりだよ!
謎のジョブを得て目標も無く生きていたわたし……でも自国の第二王子様お披露目で見つけてしまったの……前世で大好きだったあなたを。
こうなったら何としてでも……謎のジョブでも何でも使って、また大好きなあなたに会いに行くんだから!!
そうです、これはですね謎ジョブ『木』を受け取ったアーリャが愛しの王子様を射止めるために、手段を選ばずあの手この手で奮闘する恋愛サクセスストーリー……になる予定なのです!!
1話1500~2000文字で書いてますので、5分足らずで軽く読めるかと思います。
九十五話ほどストックがありますが、それ以降は不定期になるのでぜひブックマークをお願いします。
七十話から第二部となり舞台が学園に移って悪役令嬢ものとなります。どういうことだってばよ!? と思われる方は是非とも物語を追って下さい。
いきなり第二部から読んでも面白い話になるよう作っています。
更新は不定期です……気長に待って下さい。
BUG(バグ)~蟲の国ではすでに人間様は強者ではない~
こんぶおにぎり
ファンタジー
未知のウイルス、菌によって世界中の虫たちは変化を遂げた。
変化した虫を蟲と呼んでいる。
人間はウイルスを利用し、自身を強化することに成功。
現代武器も使って戦っていく。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる