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第一章・降り積もる花粉
香太の悩み
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姉にずっと揶揄われて育った香太は自分の名前は好きじゃなく、体臭が劣等感でもあったが、田舎のお婆ちゃんはいい匂いだと励ましてくれた。
栗山家族は田舎の婆ちゃんの所に向かって列車を乗り継ぎ、やっと新潟の山奥まで来ると、父純一に緊急の連絡があり途中の駅で降りて、彩美と香太の二人旅になってしまった。
「こんな田舎でも、みんなマスクしてんなー。花粉症なんだ。可哀想そ」
乗客は少ないが全員マスクをして目を充血させ、鼻水をすすったり、クシャミをしてティシュで鼻をかんでいる。
「花粉症なんて、わかんな~い。わたしたち、全然平気だもんな」
彩美は周りを気にせずに大きな声で香太に同意を求めた。
「なっ、コータ」
「うん、まーそうだけど」
香太は恥ずかしくて声を潜めたが、実際、栗山家族には花粉症で患う者はいなく、香太が五歳の時に病死した母は微笑みながら二人に断言したのである。
『香太も彩実も、花粉症には絶対にならないからね。それは私が保証するわ』
その根拠は詳しく教えてもらってないが、香太は空気を読まずに話しかける彩美を見て、『姉が花粉症にならないのは……他の病原菌にも負けない最強少女だから』と思った。
「婆ちゃん、まだ生きてっかな?たぶん二百歳くらになるんじゃね?」
「そんな訳ないでしょ」
「でも、あれ魔女だろ?間違いない」
栗山家族は田舎の婆ちゃんの所に向かって列車を乗り継ぎ、やっと新潟の山奥まで来ると、父純一に緊急の連絡があり途中の駅で降りて、彩美と香太の二人旅になってしまった。
「こんな田舎でも、みんなマスクしてんなー。花粉症なんだ。可哀想そ」
乗客は少ないが全員マスクをして目を充血させ、鼻水をすすったり、クシャミをしてティシュで鼻をかんでいる。
「花粉症なんて、わかんな~い。わたしたち、全然平気だもんな」
彩美は周りを気にせずに大きな声で香太に同意を求めた。
「なっ、コータ」
「うん、まーそうだけど」
香太は恥ずかしくて声を潜めたが、実際、栗山家族には花粉症で患う者はいなく、香太が五歳の時に病死した母は微笑みながら二人に断言したのである。
『香太も彩実も、花粉症には絶対にならないからね。それは私が保証するわ』
その根拠は詳しく教えてもらってないが、香太は空気を読まずに話しかける彩美を見て、『姉が花粉症にならないのは……他の病原菌にも負けない最強少女だから』と思った。
「婆ちゃん、まだ生きてっかな?たぶん二百歳くらになるんじゃね?」
「そんな訳ないでしょ」
「でも、あれ魔女だろ?間違いない」
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