エアロゾル・ヌガー

田丸哲二

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プロローグ・浮遊微生物

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 微生物は肉眼では見えないが、顕微鏡を覗けば、細菌や菌類、原生生物、小型の動植物などがあらゆる場所に生息しているのがわかる。

 これはおとぎ話ではなく、現実の恐怖を発見する身近な物語であり、地球温暖化で「湿度100%」という未来世界が子供たちを待ち受けている。

 温室効果ガスには二酸化炭素以上に水蒸気が60%も含まれ、CO2の増加により地球の気温が上がれば、海と陸地の水分が蒸発し、大気中の水蒸気の量は増大していく。

 スチームサウナの湿度が80~100%、逆に高温サウナの湿度は10%程と低い。つまり湿度によって体感温度はまるで違ってくる。湿度100%で温度が上がれば、人間には不快を超えて過酷だ。

 しかし逆に高湿度化は微生物には最適な環境である。湿度65%を超えるとカビが繁殖し、100%の日々が長く続けば菌類が海の藻のように陸地を覆い尽くして、半分海の陸地世界が想像される。

 今でも室内にはカビの胞子が浮遊し、人間は知らないうちに吸い込んでいるが、もしそれが目に見えくるくらい増えたら怖くないか?

 しかも異種の微生物が誕生し、空気中に浮遊し人間を襲ってきたとしたら、貴方はその恐怖に耐えられるだろうか?
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