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 借りている家だけど戻ってくると帰ってきたって感じがするね。
 しかし、商業ギルドでエルメリアと一緒の受付にいた女性は唖然としたままだったな。
 腕を抱えているラルフィナさんにそこまで驚かなくて良いと思うけど。
 夕食には多少早い時間だけど、時間に余裕は欲しいので早めに調理開始だ。
 本音を言えばみんなと一緒にくつろぎたいのだけど、みんな俺の作る食事を楽しみにしているからなぁ。
 特にリエッタさん、エルメリア、ルーミア、ルティナは依頼から帰ってきた事を知っているから、夕食を期待して仕事から帰ってくるだろうし。
 アイテムボックスにはブラッドガウルの肉しかなかったが、フォレストバードとフォレストボアを冒険者ギルドで解体してもらって肉の種類は増えたしな、夕食は何にしようかね。


「ヒロ、ちょっといいかしら?」


 何を作るか悩んでいるくらいなら、先に作る事を決めているご飯を炊く仕込みをしていると、キッチンにフィアが入ってくる。
 夕食まで絨毯の敷いた部屋でみんなとくつろいでいるものだと思っていたが。
 昼食が早かったからお腹がすいたかな。


「作業しながらでも良ければ」

「かまわないわ」

「それで、どうした?」

「何か飲み物が欲しのだけど、お願いできる」


 ん?
 そういえば、何も用意してないな。
 フィアに催促されなければ気が付かなかったわ。
 戻ってきて夕食を用意するために休息しないでキッチンへ来たからなぁ。
 夕食までの間、飲み物も無く待って過ごすのもな。


「いいけど、何が希望なんだ?」

「もちろん、お酒がいいわ」

「食事前なんだけど」

「ワイヴァーンの討伐、私は頑張ったわよね」


 それを言われるとなぁ。
 今回の依頼、ワイヴァーン討伐はフィアにしか出来なかったし。
 まぁ、今回に限らず依頼に関しては全部フィア頼りなんだけどさ。
 仕方がないか。


「わかったよ。で、何がいいんだ?」

「日本酒が良いわ」

「用意するから少し待ってくれ」

「それと、前に食べた魚も欲しいわ」


 覚えていたか。
 鮭を食べた時に日本酒をって呟いていたからな。
 支度がひと段落したところでスキルを起動して、いつもの一升瓶の日本酒詰め合わせのセットと鮭の切り落としを選ぶ。
 両方とも訳あり品だが量があるので問題なし。


「日本酒の方はともかく魚の方はこれから焼くから少し時間かかるぞ」


 フィアに断りを入れながら現れた段ボール箱を開けて中身を確認していると、背中に重みを感じる。


「いいわよ、日本酒飲みながら待ってるわ。箱の中はそんな感じになっているのね」


 耳元で声が聞こえるから、フィアが寄りかかって背中越しに覗いているようだ。
 一旦アイテムボックスへ回収し、フィアと共にみんなのいる部屋へ。 
 テーブルに人数分の日本酒とグラスを出すとラルフィナさんとリュイル達は喜んだ。
 ラルフィナさんはよほど嬉しかったのか抱きついてきたよ。
 日本酒を飲むのは久しぶりだろうしね。
 抱きつかれてる間は、柔らかくて心地よいラルフィナさんのおっぱいの感触を顔に感じていた。
 フィアの希望で日本酒にしたけど、みんなが喜んだから問題しと。
 仕事から帰ってくるリエッタさん、エルメリア、ルーミア、ルティナが日本酒を好むとは限らないからワインも用意しておいたほうがいいかな。
 キッチンに戻った後はスキルをつかい、ワイン、日本酒、クッキングシートを入手。
 魔術式コンロについているオーブンの鉄板にクッキングシートを敷いて、鮭の切り落としを重ならないよう並べ焼いていく。
 個人的には七輪で焼きたいんだけど、家の中で七輪使うわけにもいかないし一度に焼ける量がねぇ。
 メリアに頼んでバーベキューで使うようなコンロ作ってもらおうかな。
 オーブンの様子をちょこちょこ確認しながら夕食の用意っと。
 フォレストバードは唐揚げにして、フォレストボアはしょうが焼きでいいか。
 みんな肉料理を好むしね。
 肉を仕込んでいる途中で、鮭が良い感じに焼けたので皿に盛ってみんなの所へ。
 嬉しそうに食べているから鮭はみんなに好評のようだ。
 それなりの量はあるし夕食までは何とかなるよな。

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