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冒険者パーティの紅の守護と出会った場所から国境の街の旅路へは順調に進んでいた。
「ヒロは武器持っているけど戦う事はできるのよね?」
「いえ、戦った事は一度もないですよ」
「え?」
「護身用に持っているだけです」
「戦う事になったら?」
「足でまといになりますって言いましたよね?」
出発してから紅の守護のリーダーのリュイルとそんなやり取りがあり、リュイルがメンバーに指示をだし斥候役のアイシェラを先頭に俺を囲むような陣形をとっている。
足手まといでも一緒に行くと言った手前守ってくれるのだろう。
しかしこれだけの綺麗で巨乳の女性に囲まれて移動なんて向こうの世界では考えられないな。
それから歩き続けたが特に魔物などが出る事は無かった。
「そろそろ日も傾いているし。今日はここまでにしましょう」
リュイルの言葉にそれぞれが野営の準備を始める。
この場所は昨夜、紅の守護が野営をした場所だそうだ。
言われてみると焚き火の跡が残っている。
さて俺はどうしようか。
それぞれが行動しているのを眺めながら思考しているとリュイルが声を掛けてくる。
「ちょっといい?」
「なんでしょう?」
「ロズウェールに向かう途中の野営はどうする予定だったの?」
「ロズウェール?」
「国境の街の事なんだけど知らなかった?」
「国境の街の名前は知らなかったです。ロズウェールまでの街道は定期的に見回りがあって比較的安全という話でしたので、お店で勧められた結界石と忌避玉を使う予定でいました」
「なるほど、準備はしていたのね」
「リュイルさん達が倒したでっかい猪を見ると安全って感じはしませんけど」
「でっかい猪?ビックボアのこと?そう出るわけじゃないけどこの街道沿い近くでの野営なら用意した結界石と忌避玉で問題ないわ」
イストリアとロズウェール間の街道は定期的に冒険者が巡回しており安全性が高いのだそうだ。
なので結界石と忌避玉を使っていれば戦闘できない人でも野営は問題なく昼間の魔物の遭遇にさえ気をつければロズウェールまでの移動は問題はないらしい。
パーティ組んでる冒険者は交代で見張りを立てるのであまり使う事は無いらしいとのこと。
この街道にはいないが盗賊がいる場所もあるそうだ。
「ロズウェールまでは一緒に行く約束だから用意した結界石と忌避玉は使わなくていいわ。その先のためにとっておきなさい」
「ありがとうございます」
使うものだったはずのものを使わなくてすんだのだから素直にお礼を言っておく。
「気にしなくて良いわ。こっちにくる時ににも使っていなかったし交代で見張りにつくから」
「リュイル準備できたよ」
「わかった」
「いきましょ」
準備をしていたメンバーから声をかけられリュイルと一緒に野営の場所へ向かう。
「あっ!」
リュイルと一緒に野営の準備が終わったメンバーの所に行くと俺の事をみて何かに気づいて声をあげるリーリエ。
「どうかしたのリリィ?」
「いえ、いつものように用意してしまったようで」
「?」
いつものように用意した事に何か不都合があったのか野営しているメンバーを見ていると他のメンバーも気がついたのたそれぞれ声をあげる。
「これから数日間はいつもとちがうわね」
「普段より多いわ」
「これから用意しましょうか」
「なるほど、そういう事か」
リュイルは今のやり取りで理解したらしい。
俺の事を話題にしているのは理解しているがなんだろうか?
「すまない、ヒロ」
「いえ、謝られても何がなんだか」
「そうだな、ヒロは食事はどうするの?」
そういう事か。
いつもの様にメンバーの5人分を用意して、俺の分は忘れていたって事か。
仕方がないだろうな、前もって依頼の護衛でもないしメンバー以外の用意なんてしないだろうな。
「食事とか飲み物などは自前で用意しますので問題ないです。俺の分は元から無いでしょうから」
「今日はボアの肉があるので用意できますよ?」
レスティナが用意するような事を言ってくるがどうしたものか。
冒険者の食事というのも気にはなるのだが、宿屋とか屋台で食べてきた食事を考えると期待は微妙だよな。
でもこのメンバーの手料理も気にはなる。
しかしロズウェールに向かう数日間は護衛をしてもらうのだし食材や料理まで負担を掛けるわけにはいかないな。
「分けてもらった肉があるので大丈夫です。少し向こうで用意してきます」
「ここで用意してもらっても良いですよ」
「いえ食事している皆の目の前で用意するのはやりづらいので」
レスティナが自分達で料理の準備に使った場所をすすめてくれるが女性5人に見られながらの料理はやりにくいのでお断りしておく。
「それなら私たちはここで食事しているから、あまり離れないように」
「そんなに遠くまでは行きませんよ」
こちらを気にしてくれるリュイルに応え彼女達から離れる。
離れすぎて魔物や獣などに狙われるとさすがに困る。
彼女達から少し離れて背を向ければ視線も気にはならないだろうし。
完全に日が落ちるて手元が見えなくなる前に用意しないと。
「ヒロは武器持っているけど戦う事はできるのよね?」
「いえ、戦った事は一度もないですよ」
「え?」
「護身用に持っているだけです」
「戦う事になったら?」
「足でまといになりますって言いましたよね?」
出発してから紅の守護のリーダーのリュイルとそんなやり取りがあり、リュイルがメンバーに指示をだし斥候役のアイシェラを先頭に俺を囲むような陣形をとっている。
足手まといでも一緒に行くと言った手前守ってくれるのだろう。
しかしこれだけの綺麗で巨乳の女性に囲まれて移動なんて向こうの世界では考えられないな。
それから歩き続けたが特に魔物などが出る事は無かった。
「そろそろ日も傾いているし。今日はここまでにしましょう」
リュイルの言葉にそれぞれが野営の準備を始める。
この場所は昨夜、紅の守護が野営をした場所だそうだ。
言われてみると焚き火の跡が残っている。
さて俺はどうしようか。
それぞれが行動しているのを眺めながら思考しているとリュイルが声を掛けてくる。
「ちょっといい?」
「なんでしょう?」
「ロズウェールに向かう途中の野営はどうする予定だったの?」
「ロズウェール?」
「国境の街の事なんだけど知らなかった?」
「国境の街の名前は知らなかったです。ロズウェールまでの街道は定期的に見回りがあって比較的安全という話でしたので、お店で勧められた結界石と忌避玉を使う予定でいました」
「なるほど、準備はしていたのね」
「リュイルさん達が倒したでっかい猪を見ると安全って感じはしませんけど」
「でっかい猪?ビックボアのこと?そう出るわけじゃないけどこの街道沿い近くでの野営なら用意した結界石と忌避玉で問題ないわ」
イストリアとロズウェール間の街道は定期的に冒険者が巡回しており安全性が高いのだそうだ。
なので結界石と忌避玉を使っていれば戦闘できない人でも野営は問題なく昼間の魔物の遭遇にさえ気をつければロズウェールまでの移動は問題はないらしい。
パーティ組んでる冒険者は交代で見張りを立てるのであまり使う事は無いらしいとのこと。
この街道にはいないが盗賊がいる場所もあるそうだ。
「ロズウェールまでは一緒に行く約束だから用意した結界石と忌避玉は使わなくていいわ。その先のためにとっておきなさい」
「ありがとうございます」
使うものだったはずのものを使わなくてすんだのだから素直にお礼を言っておく。
「気にしなくて良いわ。こっちにくる時ににも使っていなかったし交代で見張りにつくから」
「リュイル準備できたよ」
「わかった」
「いきましょ」
準備をしていたメンバーから声をかけられリュイルと一緒に野営の場所へ向かう。
「あっ!」
リュイルと一緒に野営の準備が終わったメンバーの所に行くと俺の事をみて何かに気づいて声をあげるリーリエ。
「どうかしたのリリィ?」
「いえ、いつものように用意してしまったようで」
「?」
いつものように用意した事に何か不都合があったのか野営しているメンバーを見ていると他のメンバーも気がついたのたそれぞれ声をあげる。
「これから数日間はいつもとちがうわね」
「普段より多いわ」
「これから用意しましょうか」
「なるほど、そういう事か」
リュイルは今のやり取りで理解したらしい。
俺の事を話題にしているのは理解しているがなんだろうか?
「すまない、ヒロ」
「いえ、謝られても何がなんだか」
「そうだな、ヒロは食事はどうするの?」
そういう事か。
いつもの様にメンバーの5人分を用意して、俺の分は忘れていたって事か。
仕方がないだろうな、前もって依頼の護衛でもないしメンバー以外の用意なんてしないだろうな。
「食事とか飲み物などは自前で用意しますので問題ないです。俺の分は元から無いでしょうから」
「今日はボアの肉があるので用意できますよ?」
レスティナが用意するような事を言ってくるがどうしたものか。
冒険者の食事というのも気にはなるのだが、宿屋とか屋台で食べてきた食事を考えると期待は微妙だよな。
でもこのメンバーの手料理も気にはなる。
しかしロズウェールに向かう数日間は護衛をしてもらうのだし食材や料理まで負担を掛けるわけにはいかないな。
「分けてもらった肉があるので大丈夫です。少し向こうで用意してきます」
「ここで用意してもらっても良いですよ」
「いえ食事している皆の目の前で用意するのはやりづらいので」
レスティナが自分達で料理の準備に使った場所をすすめてくれるが女性5人に見られながらの料理はやりにくいのでお断りしておく。
「それなら私たちはここで食事しているから、あまり離れないように」
「そんなに遠くまでは行きませんよ」
こちらを気にしてくれるリュイルに応え彼女達から離れる。
離れすぎて魔物や獣などに狙われるとさすがに困る。
彼女達から少し離れて背を向ければ視線も気にはならないだろうし。
完全に日が落ちるて手元が見えなくなる前に用意しないと。
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