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第四章 〜再会と過去
77話 『共闘・セナ=ジークフリート』
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アステラ監獄大門前。
およそ120名の黒服達の前に颯爽と現れる5人の戦士と中型海賊船。
「奴らを捕えろ!!」
黒ノ執行No.7部隊長、マットドック=ハリアスの指示のもと、黒服達は武器を構えてグレイたちに襲いかかる。
「水属性魔法・ウォーターウォール・トリニティア!!」
セナは水属性魔法・ウォーターベールの上位互換であるウォーターウォールを3辺の三角柱状に展開し、黒服の10人を閉じ込める。
「「「な、なんだこれは?!」」」
黒服たちは、ウォーターウォールを力押しでこじ開けようとするも、水圧に押し負け抜け出すことができない。
「ウォーター・プッシャー」
「「「おいおいおい!!水が迫ってくるぞ!!」」」
「「「なんとかしろって!!!!」」」
「「「無理だ!!し…ぬ」」」
「「「「「「「うぁぁぁぁあ!!!!」」」」」」」
セナは右手を握りしめ、ウォーターウォールを操る。ウォーターウォールを少しずつ縮小、内側に押し込めていき、完全なる水の塊に凝縮させて黒服達を押しつぶす。
それを他所にグレイは前へ駆け出し、黒服の大群に向かっていく。
「火属性魔法・フェルフレイム!!」
「雷属性魔法・スネークサンダーボルト!!」
黒服たちは中級の属性魔法を駆使してグレイを攻撃するも、その身体能力の高さから繰り出されるスピードに翻弄され的が定まらず、攻撃を透かされる。
「うぁぁあ!!!」
ズバンッ!!!
グレイは飛び蹴りで1人の黒服の顔面を蹴り付け、カバーに入るもう1人を、そのまま右ストレートでぶちのめす。
「な、なんだ、こいつらの底知れぬ力は…お前達!前へ出ろ!!」
マットドックの命令で、後方から駆けつけてくる黒ノ執行No.7の精鋭戦闘員たち。
ミドリアス=ヴァンテージ(19)
フルタリア=コズミック(18)
ナルゲリッシュ=ファイア(20)
黒ノ執行No.7の若き戦闘員たちは、先行するグレイを止めにかかるも、背後から援護射撃が放たれる。
「無属性魔法・フルミナティースター!」
ドカーーーーン!!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!!
ニーナは桃色で星状の形態をした無属性の爆弾をミドリアスに放ち、着弾点で大爆発させ、さらに追撃のように小爆発が連発する。
「烈火・円獅子!!」
ボゥ!!!
ニーナと共に剣を抜き火属性魔法で獅子を模した遠距離火弾を放つランマル。その獅子の牙はフルタリアの肩に噛みつき、後方まで押し除ける。
「貴様はよくも同胞を!!」
ナルゲリッシュは同胞を2人やられその怒りをグレイにぶつけるように水属性のオーラを拳に纏い、グレイに襲いかかるも、グレイは右手で改良版・アルビニウムを使用し、タイミングを合わせてナルゲリッシュの拳を避けつつ右ストレートを頬に打ち込み、そのまま地面に叩きつける。
ズバンッ!!!!!
「かはぁ……」
「先にルヴィアに手を出したのは、お前らだろ」
その目は怒りに満ち、ルヴィアを思い、アステラ監獄上層で待つベルドへ向けられる。
白目を剥くナルゲリッシュを放置し、グレイはアステラ監獄へ向け一歩ずつ歩み寄っていく。
「次はお前だ!」
グレイはベルドへ指を刺し、宣戦布告をする。
そして魔力適正のないゼクシードは、後方からこの4日の間に仕入れたマジックライフルガンを用いて、グレイたちに群がる黒服たちを1人ずつ倒していく。
「まじかよ~黒ノ執行No.7がボコボコだよ」
アザールは目を凝らし戦場を見下ろし、執行部の一団が一方的にやられたことに驚愕する。
「少々見誤っていましたかね?部隊長」
カルカロはベルドに忠告をする。
ルヴィアを助けに来た少年たちが想像以上の奮闘を見せ、大魔法省の派遣する魔導士たちを返り討ちにしているこの状況は誰も予想ができなかった。
「あれが奴の魔法か…」
魔獣の森で対峙したグレイは一切魔法を使っておらず、今初めて目にしたグレイの白炎に心躍らせるベルド。
「フッ…お前たち、配置につけ。俺があの灰色の小僧をやる。他はお前たちが始末しろ。」
ーーこの俺相手に手加減していたとは。生意気な小僧め。
ベルドはルヴィアに繋がれた鎖を引っ張り、場所を移す。
そして、他の3人、アザール、カルカロ、レオナルドもそれぞれの守護する場所へ移動を始める。
飛龍がセナに変化するという不可思議な現象を目の当たりにした今、黒ノ執行No.4の任は、飛龍の一面を持ち、大犯罪者でもあるセナを捕らえることにある。そして、それを邪魔するグレイ、ニーナ、ゼクシード、ランマルの排除。
それぞれが各々の守護する間にてその時を待つ。
「グレイ、俺が道を切り開くから、皆を連れて監獄の大門へ向かってくれ」
「グリム・インク…1人じゃ無茶だ」
「何を言っているんだグレイ。今の俺は…セナ=ジークフリートだ!」
バーーーーーーッ!!
セナは己の持つマナを限界まで解き放ち、2頭の龍を具象化する。
「天地雷炎!!」
ーー俺の今のマナと操作技術じゃ、2頭が限界か…。
不完全で不器用ながらもグリム・インクは天地雷炎の天と地の性質を持つ2頭の龍を具象化し、残る黒服たちを襲っていく。
ガァァァァァァ!!!!!!
ガァァァァァァ!!!!!!
「ド、ドドドド、ドラゴンだぁ!!!」
初めて天地雷炎を見るものにとってはトラウマ級の事象だろう。何せ伝説上の生物を複数頭具象化するだけでなくそれぞれが単一の属性を極め襲いかかってくるのだから。
「お、お前たち!!どこへいく!職務放棄で監獄にぶち込まれたいか!!」
「そんなこと言ってる場合ですか!!殺されちまう!!」
黒ノ執行No.7を指揮する部隊長といえども、この状況下ではその権威を失う。誰1人としてマットドックの指示には従わず、その場から逃げるそぶりを見せる。
「そ、そんな…ウァァァア!!」
ついには地上班の指揮官であるマットドックでさえ、アステラ監獄の大門へと逃げ出してしまう。
「行くんだ!グレイ!!ゼクシード!!」
「わかったよグリム・インク!」
「ありがとう…セナ…」
セナの展開する天地雷炎が地上班相手に暴れ回っている間に、グレイは仲間たちを連れ、アステラ監獄の大門へと向かい走り出す。
この機を逃してはならない。セナが、いや、グリム・インクが全力で場を荒らし、きっかけを作ってくれている今が、アステラ監獄へ乗り込むチャンスなんだ。そう誰しもが理解し、振り返ることなく駆けていく。
「ニーナ!!吹き飛ばせ!」
「了解!!無属性魔法・ルミナス・インパクト!」
ドガーーーーンッ!!!
ニーナはグレイの指示で、アステラ監獄を守りし木材と鉄で作られた大きな大門を、無属性魔法の爆撃型魔法で大門をぶち壊す。
「広がれ!」
アステラ監獄内へ侵入したグレイたちは、グレイの指示で広く展開する。そして、上下左右前後に至るまで辺りを見まわし索敵をする。
アステラ監獄内部には数人の黒服たちと、魔獣の森で対峙した1人が待ち構えていた。
「やぁやぁ罪人の皆さん。待っていたよ。」
「お前は!!」
「下がれ、グレイ。こいつは俺の相手だ」
ランマルは1人前に出て、グレイたちを下がらせる。
「おっ、やる気満々だね、侍くん。」
「ランマル=ヒノ…お前を倒す男の名だ」
「俺はアザール=エンフォート…お前を取っ捕まえる男の名だよ」
アザールは黒ハットを胸に当て、礼儀良く挨拶をし、黒ハットを被り直す。そして、腰に添えた刀に手を添え、ランマルと睨み合う。
「あの日つけられなかった決着を、今つけようかぁ~」
「望むところだ!」
タッタッタッタッタッ!!!
タッタッタッタッタッ!!!
キンッ!!!!!
2人は一斉に駆け出し、互いに刀を抜き斬り合い始める。
第一陣、ランマル対アザールの火蓋が切って落とされる。
「グレイ!!アタシたちはどうする?」
ニーナがグレイの指示を仰ぐ。
この状況下での選択肢は4つ。
1つはランマルとアザールが対峙している後方に大階段を挟むように作られた扉。どこへ繋がっているかもわからないが、先に進むならあそこしかない。
2つ3つ目は左右に伸びる通路。アステラ監獄が円状に建築されているところを見るに、きっと左右の通路、どちらを進んだところで行き着く先は同じ。この選択肢は、破棄していいだろう。
そして最後の4つ目の選択肢。2つの扉に挟まれた大階段。上へ続いていることは間違いない。
ルヴィアとそれを拘束していた黒スーツの男たちはアステラ監獄の上層部にいた。もしかしたらあの大階段を登った先にいる可能性もある。前に進むか上へ向かうか。
「別れよう…」
「え?!」
「…正気かグレイ?」
「どちらか一方だけは取れない…ルヴィアの命がかかってるんだ。2択で躓いている暇はない。ニーナ!上へ向かってくれ。俺とゼクシードはあの扉を目指す」
「わかった!そうしよう!」
「わかった…従うよ」
ニーナとゼクシードはグレイの指示に従い、それぞれが向かうべき道を決め、ランマルがアザールを止めている間に駆け出す。
「ハッ!侍くんの相手をするとは言ったけど、君らを放っておくとは言ってないよ!!」
キンッ!!!
アザールは腕力任せで剣を豪快に振り、ランマルを弾き飛ばし、間合いが開き、余裕が生まれたところでグレイたちに狙いを定める。
「風属性纏い!!乱旋風・衝波」
風属性のオーラを纏った刀を乱雑に振り回し、4、5枚の飛ぶ斬撃を生み出し、グレイたちに放つ。
「なっ?!こっちか」
「2人とも固まって!!無属性魔法・トライシールド」
ズバンッ!!ズバンッ!!ズバンッ!!ズバンッ!!ズバンッ!!
5枚の飛ぶ斬撃がニーナたちに襲いかかり、弾幕が抜けた先にはヒビ割れた透明の盾でグレイとゼクシードを間一髪で守るニーナの姿が見えた。
「おおっ?!あれを防ぐかぁ。こりゃあ本当にまずいかもねぇ~」
「随分と余裕があるみたいだな!!」
ニーナの奮闘に驚くアザールへ奇襲を仕掛けるランマルだが、その一太刀はアザールによって受け止められてしまう。
キンッ!!
「余裕があるからやってんだろぉ~。そんなにお仲間守りたいんだったら、君が頑張らなきゃねぇ、侍くん」
「クッ!!烈火・炎突」
ズバーンッ!!!
ランマルの下から突き上げるような烈火の一太刀が高い天井を貫き、多くの瓦礫を落とさせ弾幕をつくる。
「今だ!」
弾幕の中から聞こえたランマルの声に呼応するようにグレイとゼクシードは奥の扉へ向かい、ニーナは大階段を駆け上がっていく。
「アル・ウイコアラ・パンチ・改!!」
「「「「グハァ!!」」」」
グレイは自分たちの道を塞ぐように待ち構える数人の黒服たちを白炎纏う拳でぶちのめし、そのままの勢いで扉まで破壊して、アステラ監獄の中央部へ足を運ぶ。
ガシャン!!!ガシャン!!!ガシャン!!!
「ここからだせや!!!オラァ!!!!!」
「ガキ!!!出せや!!」
「こっち来いや!!!!」
「何だ…ここは…」
グレイとゼクシードが向かった扉の先には八方位にわたる黒色の鉄格子がかけられ、それぞれに多くの囚人たちが収容されていた。
「アステラ監獄の内部は…こうなっているのか…」
「お待ちしておりましたよ。ルヴィア=アルゴードンの支援者殿」
アステラ監獄中央部で待ち構えていたのは、頭に毛一つないツルツルでふくのかな黒スーツ男、カルカロ=リーズホックであった。
「あいつもさっきの剣士と似たような階級か…」
「かもね。見た目派手だし」
「え?」
ーーこいつ絶対頭みて言っただろ。
「あなた…今私の頭を見て言いましたね」
ギクッ!!
グレイはまるで心でも読まれたかのように感じ震え立つ。
「え、今、どうして」
「いや、誰でも分かるだろ」
「これだからお子様は困りますね。このビューティフルな髪型の良さがわからないとは」
「(髪型だってよ)」
「やめろグレイ…フッ…」
ゼクシードは思わずニヤけてしまう。
「貴様ら…よくも!!!」
カルカロは怒り心頭で2人を睨みつける。
「そこの木偶の坊!!貴様私と戦え!!」
「え?!僕っ?!グレイじゃないの」
「貴様だけは絶対に許さんぞ」
「とばっちりだ。」
「どんまいゼクシード。それで…やれるの?」
「愚問だな。やれるから来たんだろ」
ゼクシードは魔力適正0という不安要因を抱えながらも、この戦いに参戦した覚悟と決意、そして秘策を用意してきたゼクシードは、黒ノ執行No.4の戦闘員相手に強気に出る。
グレイはゼクシードに目をやり、ゼクシードの装備を確認する。この4日の間に用意したものといえば、白基調のマジックライフルガン一丁と黒い球体状のグレネードがいくつか。それから、棍棒が1本。用意周到といえば用意周到だが、グレイは昔師匠であるマタタビに言われたことを思い出す。対魔導士相手に魔法が使えないことは大きなディスアドバンテージになるということを。同じ武器を用いればマナを纏える魔導士の方が優位に立つ。それだけ魔力適正がないことは勝負事において不利になってしまう。
「信じてるからな!ゼクシード」
グレイは目の前の敵をゼクシードに任せ、1人先を急ぐことにした。
「何と…一緒に戦うのではないのですね。」
「うちのボスは多忙でね。すまないが僕で勘弁してくれ」
ゼクシードはマジックライフルガンを構えてカルカロと対峙する。
---------------------
一方、ニーナは、大階段を駆け上がり、アステラ監獄外枠部上層に向かっていた。
階段を駆け上がった先は、下層と同様に外円状に伸びる通路があり、そこで1人の黒スーツの男が待ち構えていた。黒ノ執行No.4の戦闘員、レオナルド=キルキスであった。
「本当にこちらにくるとは。部隊長の読みは当たっていましたね」
「あんたがアタシの相手ってわけね」
「いかにも。黒ノ執行No.4が1人、レオナルド=キルキス。以後お見知り置きを」
「今日が最後で十分よ!」
レオナルドはニーナに紳士的に接するも空回りしてしまう模様。それでもレオナルドは与えられた仕事はきっちりこなす。目の前の敵が女だろうと子供だろうと容赦なく心を押し殺して戦える男。
そのため、ニーナがここに来るより以前にすでにトラップは仕掛けられていた。
「そういえば今日は快晴ですね。」
「何の話?」
「ちょっとした世間話ですよ、ニコッ」
「はぁ?」
パスンッ!!
くはっ………何…された?!。
「セイント・ショックダーツ。なぜ敵陣地で警戒しないのか。愚かだな」
「不意…打ち…」
バタンッ!
空間の上部、防犯カメラのように360度全てを見渡し何処にいても攻撃を当てられる態勢にある光属性のマナを媒介とした多角的な不意打ちで、ニーナは横腹を撃ち抜かれてしまう。
ニーナの生死は如何に。
およそ120名の黒服達の前に颯爽と現れる5人の戦士と中型海賊船。
「奴らを捕えろ!!」
黒ノ執行No.7部隊長、マットドック=ハリアスの指示のもと、黒服達は武器を構えてグレイたちに襲いかかる。
「水属性魔法・ウォーターウォール・トリニティア!!」
セナは水属性魔法・ウォーターベールの上位互換であるウォーターウォールを3辺の三角柱状に展開し、黒服の10人を閉じ込める。
「「「な、なんだこれは?!」」」
黒服たちは、ウォーターウォールを力押しでこじ開けようとするも、水圧に押し負け抜け出すことができない。
「ウォーター・プッシャー」
「「「おいおいおい!!水が迫ってくるぞ!!」」」
「「「なんとかしろって!!!!」」」
「「「無理だ!!し…ぬ」」」
「「「「「「「うぁぁぁぁあ!!!!」」」」」」」
セナは右手を握りしめ、ウォーターウォールを操る。ウォーターウォールを少しずつ縮小、内側に押し込めていき、完全なる水の塊に凝縮させて黒服達を押しつぶす。
それを他所にグレイは前へ駆け出し、黒服の大群に向かっていく。
「火属性魔法・フェルフレイム!!」
「雷属性魔法・スネークサンダーボルト!!」
黒服たちは中級の属性魔法を駆使してグレイを攻撃するも、その身体能力の高さから繰り出されるスピードに翻弄され的が定まらず、攻撃を透かされる。
「うぁぁあ!!!」
ズバンッ!!!
グレイは飛び蹴りで1人の黒服の顔面を蹴り付け、カバーに入るもう1人を、そのまま右ストレートでぶちのめす。
「な、なんだ、こいつらの底知れぬ力は…お前達!前へ出ろ!!」
マットドックの命令で、後方から駆けつけてくる黒ノ執行No.7の精鋭戦闘員たち。
ミドリアス=ヴァンテージ(19)
フルタリア=コズミック(18)
ナルゲリッシュ=ファイア(20)
黒ノ執行No.7の若き戦闘員たちは、先行するグレイを止めにかかるも、背後から援護射撃が放たれる。
「無属性魔法・フルミナティースター!」
ドカーーーーン!!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!!
ニーナは桃色で星状の形態をした無属性の爆弾をミドリアスに放ち、着弾点で大爆発させ、さらに追撃のように小爆発が連発する。
「烈火・円獅子!!」
ボゥ!!!
ニーナと共に剣を抜き火属性魔法で獅子を模した遠距離火弾を放つランマル。その獅子の牙はフルタリアの肩に噛みつき、後方まで押し除ける。
「貴様はよくも同胞を!!」
ナルゲリッシュは同胞を2人やられその怒りをグレイにぶつけるように水属性のオーラを拳に纏い、グレイに襲いかかるも、グレイは右手で改良版・アルビニウムを使用し、タイミングを合わせてナルゲリッシュの拳を避けつつ右ストレートを頬に打ち込み、そのまま地面に叩きつける。
ズバンッ!!!!!
「かはぁ……」
「先にルヴィアに手を出したのは、お前らだろ」
その目は怒りに満ち、ルヴィアを思い、アステラ監獄上層で待つベルドへ向けられる。
白目を剥くナルゲリッシュを放置し、グレイはアステラ監獄へ向け一歩ずつ歩み寄っていく。
「次はお前だ!」
グレイはベルドへ指を刺し、宣戦布告をする。
そして魔力適正のないゼクシードは、後方からこの4日の間に仕入れたマジックライフルガンを用いて、グレイたちに群がる黒服たちを1人ずつ倒していく。
「まじかよ~黒ノ執行No.7がボコボコだよ」
アザールは目を凝らし戦場を見下ろし、執行部の一団が一方的にやられたことに驚愕する。
「少々見誤っていましたかね?部隊長」
カルカロはベルドに忠告をする。
ルヴィアを助けに来た少年たちが想像以上の奮闘を見せ、大魔法省の派遣する魔導士たちを返り討ちにしているこの状況は誰も予想ができなかった。
「あれが奴の魔法か…」
魔獣の森で対峙したグレイは一切魔法を使っておらず、今初めて目にしたグレイの白炎に心躍らせるベルド。
「フッ…お前たち、配置につけ。俺があの灰色の小僧をやる。他はお前たちが始末しろ。」
ーーこの俺相手に手加減していたとは。生意気な小僧め。
ベルドはルヴィアに繋がれた鎖を引っ張り、場所を移す。
そして、他の3人、アザール、カルカロ、レオナルドもそれぞれの守護する場所へ移動を始める。
飛龍がセナに変化するという不可思議な現象を目の当たりにした今、黒ノ執行No.4の任は、飛龍の一面を持ち、大犯罪者でもあるセナを捕らえることにある。そして、それを邪魔するグレイ、ニーナ、ゼクシード、ランマルの排除。
それぞれが各々の守護する間にてその時を待つ。
「グレイ、俺が道を切り開くから、皆を連れて監獄の大門へ向かってくれ」
「グリム・インク…1人じゃ無茶だ」
「何を言っているんだグレイ。今の俺は…セナ=ジークフリートだ!」
バーーーーーーッ!!
セナは己の持つマナを限界まで解き放ち、2頭の龍を具象化する。
「天地雷炎!!」
ーー俺の今のマナと操作技術じゃ、2頭が限界か…。
不完全で不器用ながらもグリム・インクは天地雷炎の天と地の性質を持つ2頭の龍を具象化し、残る黒服たちを襲っていく。
ガァァァァァァ!!!!!!
ガァァァァァァ!!!!!!
「ド、ドドドド、ドラゴンだぁ!!!」
初めて天地雷炎を見るものにとってはトラウマ級の事象だろう。何せ伝説上の生物を複数頭具象化するだけでなくそれぞれが単一の属性を極め襲いかかってくるのだから。
「お、お前たち!!どこへいく!職務放棄で監獄にぶち込まれたいか!!」
「そんなこと言ってる場合ですか!!殺されちまう!!」
黒ノ執行No.7を指揮する部隊長といえども、この状況下ではその権威を失う。誰1人としてマットドックの指示には従わず、その場から逃げるそぶりを見せる。
「そ、そんな…ウァァァア!!」
ついには地上班の指揮官であるマットドックでさえ、アステラ監獄の大門へと逃げ出してしまう。
「行くんだ!グレイ!!ゼクシード!!」
「わかったよグリム・インク!」
「ありがとう…セナ…」
セナの展開する天地雷炎が地上班相手に暴れ回っている間に、グレイは仲間たちを連れ、アステラ監獄の大門へと向かい走り出す。
この機を逃してはならない。セナが、いや、グリム・インクが全力で場を荒らし、きっかけを作ってくれている今が、アステラ監獄へ乗り込むチャンスなんだ。そう誰しもが理解し、振り返ることなく駆けていく。
「ニーナ!!吹き飛ばせ!」
「了解!!無属性魔法・ルミナス・インパクト!」
ドガーーーーンッ!!!
ニーナはグレイの指示で、アステラ監獄を守りし木材と鉄で作られた大きな大門を、無属性魔法の爆撃型魔法で大門をぶち壊す。
「広がれ!」
アステラ監獄内へ侵入したグレイたちは、グレイの指示で広く展開する。そして、上下左右前後に至るまで辺りを見まわし索敵をする。
アステラ監獄内部には数人の黒服たちと、魔獣の森で対峙した1人が待ち構えていた。
「やぁやぁ罪人の皆さん。待っていたよ。」
「お前は!!」
「下がれ、グレイ。こいつは俺の相手だ」
ランマルは1人前に出て、グレイたちを下がらせる。
「おっ、やる気満々だね、侍くん。」
「ランマル=ヒノ…お前を倒す男の名だ」
「俺はアザール=エンフォート…お前を取っ捕まえる男の名だよ」
アザールは黒ハットを胸に当て、礼儀良く挨拶をし、黒ハットを被り直す。そして、腰に添えた刀に手を添え、ランマルと睨み合う。
「あの日つけられなかった決着を、今つけようかぁ~」
「望むところだ!」
タッタッタッタッタッ!!!
タッタッタッタッタッ!!!
キンッ!!!!!
2人は一斉に駆け出し、互いに刀を抜き斬り合い始める。
第一陣、ランマル対アザールの火蓋が切って落とされる。
「グレイ!!アタシたちはどうする?」
ニーナがグレイの指示を仰ぐ。
この状況下での選択肢は4つ。
1つはランマルとアザールが対峙している後方に大階段を挟むように作られた扉。どこへ繋がっているかもわからないが、先に進むならあそこしかない。
2つ3つ目は左右に伸びる通路。アステラ監獄が円状に建築されているところを見るに、きっと左右の通路、どちらを進んだところで行き着く先は同じ。この選択肢は、破棄していいだろう。
そして最後の4つ目の選択肢。2つの扉に挟まれた大階段。上へ続いていることは間違いない。
ルヴィアとそれを拘束していた黒スーツの男たちはアステラ監獄の上層部にいた。もしかしたらあの大階段を登った先にいる可能性もある。前に進むか上へ向かうか。
「別れよう…」
「え?!」
「…正気かグレイ?」
「どちらか一方だけは取れない…ルヴィアの命がかかってるんだ。2択で躓いている暇はない。ニーナ!上へ向かってくれ。俺とゼクシードはあの扉を目指す」
「わかった!そうしよう!」
「わかった…従うよ」
ニーナとゼクシードはグレイの指示に従い、それぞれが向かうべき道を決め、ランマルがアザールを止めている間に駆け出す。
「ハッ!侍くんの相手をするとは言ったけど、君らを放っておくとは言ってないよ!!」
キンッ!!!
アザールは腕力任せで剣を豪快に振り、ランマルを弾き飛ばし、間合いが開き、余裕が生まれたところでグレイたちに狙いを定める。
「風属性纏い!!乱旋風・衝波」
風属性のオーラを纏った刀を乱雑に振り回し、4、5枚の飛ぶ斬撃を生み出し、グレイたちに放つ。
「なっ?!こっちか」
「2人とも固まって!!無属性魔法・トライシールド」
ズバンッ!!ズバンッ!!ズバンッ!!ズバンッ!!ズバンッ!!
5枚の飛ぶ斬撃がニーナたちに襲いかかり、弾幕が抜けた先にはヒビ割れた透明の盾でグレイとゼクシードを間一髪で守るニーナの姿が見えた。
「おおっ?!あれを防ぐかぁ。こりゃあ本当にまずいかもねぇ~」
「随分と余裕があるみたいだな!!」
ニーナの奮闘に驚くアザールへ奇襲を仕掛けるランマルだが、その一太刀はアザールによって受け止められてしまう。
キンッ!!
「余裕があるからやってんだろぉ~。そんなにお仲間守りたいんだったら、君が頑張らなきゃねぇ、侍くん」
「クッ!!烈火・炎突」
ズバーンッ!!!
ランマルの下から突き上げるような烈火の一太刀が高い天井を貫き、多くの瓦礫を落とさせ弾幕をつくる。
「今だ!」
弾幕の中から聞こえたランマルの声に呼応するようにグレイとゼクシードは奥の扉へ向かい、ニーナは大階段を駆け上がっていく。
「アル・ウイコアラ・パンチ・改!!」
「「「「グハァ!!」」」」
グレイは自分たちの道を塞ぐように待ち構える数人の黒服たちを白炎纏う拳でぶちのめし、そのままの勢いで扉まで破壊して、アステラ監獄の中央部へ足を運ぶ。
ガシャン!!!ガシャン!!!ガシャン!!!
「ここからだせや!!!オラァ!!!!!」
「ガキ!!!出せや!!」
「こっち来いや!!!!」
「何だ…ここは…」
グレイとゼクシードが向かった扉の先には八方位にわたる黒色の鉄格子がかけられ、それぞれに多くの囚人たちが収容されていた。
「アステラ監獄の内部は…こうなっているのか…」
「お待ちしておりましたよ。ルヴィア=アルゴードンの支援者殿」
アステラ監獄中央部で待ち構えていたのは、頭に毛一つないツルツルでふくのかな黒スーツ男、カルカロ=リーズホックであった。
「あいつもさっきの剣士と似たような階級か…」
「かもね。見た目派手だし」
「え?」
ーーこいつ絶対頭みて言っただろ。
「あなた…今私の頭を見て言いましたね」
ギクッ!!
グレイはまるで心でも読まれたかのように感じ震え立つ。
「え、今、どうして」
「いや、誰でも分かるだろ」
「これだからお子様は困りますね。このビューティフルな髪型の良さがわからないとは」
「(髪型だってよ)」
「やめろグレイ…フッ…」
ゼクシードは思わずニヤけてしまう。
「貴様ら…よくも!!!」
カルカロは怒り心頭で2人を睨みつける。
「そこの木偶の坊!!貴様私と戦え!!」
「え?!僕っ?!グレイじゃないの」
「貴様だけは絶対に許さんぞ」
「とばっちりだ。」
「どんまいゼクシード。それで…やれるの?」
「愚問だな。やれるから来たんだろ」
ゼクシードは魔力適正0という不安要因を抱えながらも、この戦いに参戦した覚悟と決意、そして秘策を用意してきたゼクシードは、黒ノ執行No.4の戦闘員相手に強気に出る。
グレイはゼクシードに目をやり、ゼクシードの装備を確認する。この4日の間に用意したものといえば、白基調のマジックライフルガン一丁と黒い球体状のグレネードがいくつか。それから、棍棒が1本。用意周到といえば用意周到だが、グレイは昔師匠であるマタタビに言われたことを思い出す。対魔導士相手に魔法が使えないことは大きなディスアドバンテージになるということを。同じ武器を用いればマナを纏える魔導士の方が優位に立つ。それだけ魔力適正がないことは勝負事において不利になってしまう。
「信じてるからな!ゼクシード」
グレイは目の前の敵をゼクシードに任せ、1人先を急ぐことにした。
「何と…一緒に戦うのではないのですね。」
「うちのボスは多忙でね。すまないが僕で勘弁してくれ」
ゼクシードはマジックライフルガンを構えてカルカロと対峙する。
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一方、ニーナは、大階段を駆け上がり、アステラ監獄外枠部上層に向かっていた。
階段を駆け上がった先は、下層と同様に外円状に伸びる通路があり、そこで1人の黒スーツの男が待ち構えていた。黒ノ執行No.4の戦闘員、レオナルド=キルキスであった。
「本当にこちらにくるとは。部隊長の読みは当たっていましたね」
「あんたがアタシの相手ってわけね」
「いかにも。黒ノ執行No.4が1人、レオナルド=キルキス。以後お見知り置きを」
「今日が最後で十分よ!」
レオナルドはニーナに紳士的に接するも空回りしてしまう模様。それでもレオナルドは与えられた仕事はきっちりこなす。目の前の敵が女だろうと子供だろうと容赦なく心を押し殺して戦える男。
そのため、ニーナがここに来るより以前にすでにトラップは仕掛けられていた。
「そういえば今日は快晴ですね。」
「何の話?」
「ちょっとした世間話ですよ、ニコッ」
「はぁ?」
パスンッ!!
くはっ………何…された?!。
「セイント・ショックダーツ。なぜ敵陣地で警戒しないのか。愚かだな」
「不意…打ち…」
バタンッ!
空間の上部、防犯カメラのように360度全てを見渡し何処にいても攻撃を当てられる態勢にある光属性のマナを媒介とした多角的な不意打ちで、ニーナは横腹を撃ち抜かれてしまう。
ニーナの生死は如何に。
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