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第三章 〜新たなる冒険
61話 『目覚めの刻』
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『ソウヤ…ソウヤ…目を覚ましなさい』
『ソウヤ…起きるのです。我らを従えなさい』
ーー誰…僕を呼ぶのは…ベルモンド?タッツーさん?ハルミ?
「んんん…」
ソウヤは目を覚まし、重たい体を起き上がらせ辺りを見回す。
「どこだここ…」
あたりは白く真っさらな世界で、何もない無のような世界。
さっき自分を呼んでいた声は一体なんだったのか。ソウヤは白く真っさらな世界を彷徨う。
雲の上にでも立っているかのようにもくもくと煙か蒸気を漂わせる足下。少し進んだ先には白く天へと昇る階段があり、それを一段ずつ登っていくと、少し先に規格外の大きさをした白き大国と奥に見える白基調の城が見えた。
「なんだ…あれ」
ソウヤは興味本位でその白き大国へと足を運ぼうとすると、その門前に立つ1人の赤毛の少女を見つける。
「ソウヤ、来ちゃダメ」
「??…誰」
目を細め遠くにいるその子を見つめるソウヤ。一歩、また一歩と距離を詰めその少女に近づいていく。
ポチャン。バシャァ…バシャァ。
「止まりなさい」
「…。」
「止まれソウヤ!!」
「?!」
ソウヤは大きな声で怒鳴られ足を止める。
「それ以上は進むな。戻れなくなるぞ」
そう言われソウヤは足下に目を落とすと、膝丈まで浸かっていた水を見て驚く。今まで全く気づかなかった。水、いや川を渡って少女の元へ行こうとしていた足が急に止まる。
「ソウヤ…背を向けて戻って。こっちに来てはならない」
「君は…君は一体、ここは、」
「それには答えられない。ただし、私はお前にはまだこっちに来てほしくない。タツマキを、ベルモンドを、ハルミを、そして自分の大切な全てを守りたいなら、戻りなさい。」
『ソウヤ…目を覚ませ』
「この声は?!」
『ソウヤ…目覚めるのです』
「さっきも聞こえてきた、僕を呼ぶ声…」
「行って…早く」
ーーあなたはもっと自分を大切に、自分のために戦いなさい。
赤毛の少女は振り返りソウヤに背を向けて去っていこうとする。
「待って!ねぇ、待ってよ!」
『ソウヤ!!』
『ソウヤ!!!』
赤毛の少女を追いかけたいソウヤと、ソウヤを引き戻したい2つの声がぶつかり合い葛藤し、ソウヤは白き世界で悩み込む。
---------------------
「死ンダカ…ソウヤ=コガネ。コレデ、懸賞金金貨118枚ハ、オレノモンダ!ヒッヒッヒ!!」
ヒッ?!
倒れるソウヤ、壊れた武器、そして出血量。正直、勝利を確信していたラプトゥーヌだったが、額に汗をかき、表情を曇らせる。なぜなら、折れたはずの剣から青白い靄が立ち上り、ソウヤを包み込むようにして纏わり、それが異形の姿を見せたからだ。
「ナンダヨ…アレハ…」
『ソウヤ…目覚めなさい』
『ソウヤ!目を覚ませ』
まるで鳥のような頭と翼、そして体をしているが、その頭は2つに割れ、翼もよくよく見ると4枚に見える。ただの鳥では無いことは明々白々。それになによりも、その異形の鳥が出てきたのはあの折れた剣からだ。
「マサカアレガ…剣ニ宿リシ霊ノチカラ。霊装体ッテヤツナノカ??」
本人が意識を飛ばしてもなお、自らの意思で姿を現す霊装体。
「ヨクワカラネーガ、マダソイツハ生キテルッテコトダナ!!!」
ラプトゥーヌは両手の鉤爪を擦り合わせ、研ぎ澄ましてからソウヤに切り掛かる。
『主人に近寄るな、無礼者』
ヒュウウウウウ、ブワァァァァァァ!!!!
「クッ!!!ウァァァア!!!」
双頭の一羽が風属性魔法を展開して、ラプトゥーヌを吹き飛ばす。
『主人に無礼を働いた不届き者には天誅を!』
フゥオオオ、プシューーーーー!!!
スパッ!!!
ブシャァァァァァ!!!!!!
「ギィャァァァァァ!!!!」
双頭のもう一羽は、細く鋭い高圧放水で恐竜と化したラプトゥーヌの右腕を切り裂く。
「血ガ血ガ血ガァァアアア!!!」
風と水、2つの属性性質を持つソウヤの剣から解き放たれた霊装体。その力は恐竜と化したラプトゥーヌなど比にならない程で、一歩も動かずにラプトゥーヌを圧倒する。
「鳥フゼイガ!!!舐メヤガッテ」
『貴様も似たようなものだろ、ラプトゥーヌ』
『他種族の遺伝子に手をつけ、強くなったと勘違いする脆弱者よ。これが真の飄属性ぞ』
双頭は力を合わせ、風属性と水属性のオーラを複合させ、飄属性魔法を展開する。
『『飄属性魔法・ウィングネス・スラッシュ』』
プシャシャシャシャシャシャ!!!!
ブシャ!!!!
ラプトゥーヌは双頭が放った無数の飄属性の斬撃によって細切れにされ、肉片が地に転がり落ちる。
『第四の間』ラプトゥーヌ敗北。ソウヤ意識不明、という結果になった。
その後も双頭はマナの許す限り、ソウヤに寄り添い、主人を見守り続ける。
---------------------
『第五の間』
ベンジャミンと対峙していたフェルナンド。そのベンジャミンが遺伝子活性剤を飲み込み異形の姿『薔薇ノ女王』となり、薔薇の根や茎、棘による攻撃の範囲が広く拡大したことで、その対処に苦戦していた。そして、霊装体の酷使か、他に理由があるのか、フェルナンドは多少ふらつきながら構える。
シュルルルルル!!!!
フェルナンドに向かって伸びる薔薇の太く鋭い根を、一本ずつ切っていくフェルナンド。
スパッ!!!スパッ!!!
「あらあら、逃げ回ってるだけ?みっともないわね」
ベンジャミンによる挑発を間に受けず、ただひたすらに薔薇ノ女王の攻撃を対処するフェルナンド。霊装体を解放することで今のところほぼ互角の勝負に持ち込んではいるものの、霊装体の弱点がここで来てしまう。
先ほど同様薔薇の根による攻撃がフェルナンドに襲いかかると先ほどまで艶やかに切り裂いていた根を、今度は切り裂けず、右肩に鋭い根が突き刺さってしまう。
「クッ!!!…霊装体の…限界か。」
霊装体解放、その武器特有の霊体の力で、素材や作り手の魂が宿るというもの。それを解き放ち、常識では考えられないほどの効果、性能を上乗せさせるもの。しかし、その力は永久的に使えるものではなく、マナの限界量があり、一度に出力できる量の限界値は決まっている。そのため、解放し、納めて、解放して、納める。この繰り返しで霊装体をうまく操ることで戦闘を有利に運ぶのが一端の剣士、戦士である。
今回のように敵に何の制限もなく、棘による多段攻撃が行われれば、制限のある霊装体を駆使した戦闘スタイルのフェルナンドには少々厳しい戦いとなる。
「どう?!どうよ!!霊装体解放無しじゃ勝ち目ないんじゃない!!」
ズドンッ!!!ズドンッ!!!ギギギギギッ!!
かろうじて避けれる攻撃には反応して避け、避けきれない多段攻撃には刀で受け止めるのみ。それでも棘の鋭さや根をムチのようにしならせた一撃は、まるで斬撃のようで、五刀流、いや六刀流かそれ以上の連続攻撃になす術無しのフェルナンド。
さらには正面だけに気を取られていると、背後に根を張っていたツルがフェルナンドの足に絡みつき、そのまま棘を伸ばして足を突き刺し、がっちりと掴んで遠くへ叩きつける。
「グハァッ!!」
ーークソッ!足が…。
バシン!!バシン!!バシン!!!!バシン!!!!!
「グハッ!!グハッ!!!!グハッ!!!グハァァァァァァ!!!!!!!!」
しっかりと足を掴んだツルはフェルナンドを右に左に叩きつけダメージを蓄積させていく。
圧倒的手数の多さ。遺伝子活性剤で覚醒したベンジャミンの力はフェルナンドを圧倒し、己のテリトリーを根を張ることで侵食、確立していき、完全に場を支配した。
「さぁあと何発耐えられるかしら!」
数本のツルでフェルナンドの足をがっちりと掴み、さらに生成した無数のツルでフェルナンドを袋叩きにするベンジャミン。
ーーキタッ!!
「霊装体、解放!!」
スパパパパパッ!!!
霊装体、白豹のオーラを具現化させ、襲いかかる全てのツルを切り裂くフェルナンド。
「あら、やだ、間に合っちゃったの。」
袋叩きにあいながらも、何とか死の際で霊装体のクールタイムを終え、解放するフェルナンド。それでもフェルナンドがしたことはあくまでベンジャミンの攻撃を防いだだけ。ベンジャミンに決定的な一打を与えたわけではない。つまり、戦況が好転するわけでもなく、最悪から一歩手前に落ち着いただけ。心身ともにボロボロで死の際。次、霊装体が途切れ、クールタイムに入った時点でフェルナンドの負けはほぼほぼ確定する。
万全の制限時間が5分。それを考慮してタイムリミットは3分か2分か。次の行動が最後の一打となる。
「ハァ…ハァ…」
「さぞかし辛いでしょう。自分が最も嫌悪する人種にやられるのだから。正義を主張したいなら力が無くっちゃね。弱いと自分の身すら守れないのだから。フフッ」
ーーお疲れ様。霊装体だけの、哀れな男…。
「死んで」
ピュゥウウ!!!!!!!
フェルナンドにトドメの一撃を喰らわせるため、無数のツルを伸ばすベンジャミン。フェルナンドも最後の力を振り絞り、霊装体全開でベンジャミンに襲いかかる。
自分を貫かんとするツルを白豹の力で切り裂いていき、地を蹴り、魔法を駆使して空を蹴り、あらゆる手段を使ってベンジャミンに近づくフェルナンド。
もう少し、あと少し、足よ動け!そう念じながら切り込んでいくフェルナンドの表情はまさに鬼の形相。今までにない力でツルを切り棘を切り、あと一歩のところでベンジャミンの魔法にかかってしまう。
「棘の監獄!」
緑の4本の柱に、隙間を潰す無数の棘。そのことごとくを刀身で叩き切り、無理やり這い出るフェルナンド。
「嘘でしょ?!あんたのどこにそんな力が残ってるの?!」
「貴様を必ず倒す!!そのためだけに!私は今走っているんだ!!!!!」
「そんな?!まずい…このままでは」
「ベンジャミン=スーザン!!!!貴様が殺し全ての人間に、報いて屠られろ!!」
ーー霊装体全開!!大豹狩!!
霊装体を全開にし、白豹のオーラを肥大化させ、刀を大きく振りかざすフェルナンド。
「いーーーーやーーーーーぁぁぁあああ!!!!…」
ーーナンテ。
バタンッ。
「醜き薔薇には毒があるものよ、フェルナンドちゃんっ!フフフ。」
ベンジャミン渾身の演技。ベンジャミンは初撃のカウンターを当てた時点で、既にフェルナンドの勝ちの目を摘んでいた。
ベンジャミン=スーザン。その体内に毒液を投与しまくった狂人。何千何百という実験の末に手に入れた毒体質。その血液に触れたものは毒に侵され、体内外問わず毒に侵食されていく。そしてベンジャミンに対しての毒攻撃は耐性により一定以上に到達しないと効かない。この体質はベンジャミンと一体化している薔薇のツルも根も棘も全て同様に効力を発揮する。そのため本来薔薇に無いはずの毒の特性がベンジャミンの放つ植物には備わっていると言うわけだ。
ただし、この体質にはそれ相応のデメリットがあり、何千何百と重ねてきた実験の末に、自身の皮膚・肌は爛れ、溶け落ち、包帯で隠さなければ見るも無惨な姿が露わになってしまう。バケモノ、幽霊、ベイダー、多くのものに人間でない何かとして揶揄されてきたベンジャミン。それでもその揶揄はベンジャミンにとって苦なものではなく、常に欲してきたものだった。
揶揄とは本来マイナスなイメージが持たれ、人を傷つける言葉の総称であった。けれど、ベンジャミン=スーザンにとっては違う。
---------------------
5年前…。
ベンジャミン=スーザン(当時18歳)
容姿端麗で運動も勉強も魔法もできる。
まさに才色兼備という言葉が似合うような青年期を送ってきたベンジャミンは、これまで見た目な能力だけですり寄ってきた男たちにうんざりしていた。
自分を中身で評価してくれる相手はいないのか。そんなことを思っていたベンジャミンだったが、ベンジャミンの性格は、親や周囲の期待や重圧によって捻じ曲がったものになっており、それを取り繕うように生きていた。そう、真の性格は『人を殺したい』という欲望の塊。自分をこんな人間に育てた親も、教師も周りのみんなも、そして、容姿だけで擦り寄るバカ男どもを、殺して殺して殺しまくりたい。容姿端麗な見た目からは想像もつかないほどに、人格は悪鬼のそれになっていた。
そんなある日、夜のことだった。
その日、人生で初めて親に反抗し、バック片手に家を飛び出したベンジャミン。もちろんバッグには鋭利な刃物が入っていた。これは用心のためではなく、捻じ曲がった性格ゆえの奇行。
そして、人生初めての親への反抗は、ベンジャミンに快感を与え、さらなる奇行へと走らせた。人生初の人殺しだった。
その容姿に釣られストーキングしてきた男を路地裏で刺し殺した。
「嘘…だろ…」
「へ?!へぇぇぇえ?!私がやったの?ねぇ、ねぇ!私が貴方を刺したの?!?!////」
「く、くるってる…」
グサッ!!!!グサッ!!!グサッ!!
バタンッ。
さらには、サイコパスなことに心臓や脳を狙うのではなく、致命的にならない腹や肩、太ももに肺など、多くの部位を滅多刺しにして、殺人を楽しむかのようにナイフを扱ったのだ。
「ハハハハハッ!!!ハハハハハハハッ!!!」
「これはこれは…とち狂ってますねぇ~フォーホッホッホッホッ!!!」
「?!…見られた」
そんな殺人衝動に駆られたベンジャミンの元へ舞い降りた悪魔。いや、ベンジャミンにとっては天使だったか。自分を容姿で判断せず中身まで愛してくれる人。ジュラ=バッキンガムと出会う。
ジュラはベンジャミンに最高な環境を用意した。それが裏社会。何をしても許される。全ては自己責任。それでもバックにジュラが控えていることで多くの事象は揉み消される。ここまで羽を伸ばして人殺しができる環境は無いとさえ思えるほどに、ベンジャミンは生き生きと殺人を行っていた。
そんなある日、ベンジャミンはジュラに自身の願望を話すと、またしてもジュラはそれに適した環境を与えてくれた。体内に毒液を注射し、心身を傷つけ、見た目をぐちゃぐちゃに醜く変形させること。それがベンジャミンの願望だった。そんな危険極まりない実験を3年続け、ようやくベンジャミンは望みである男が一切近寄ろうとしない醜き容姿と、危険な毒体質を手に入れた。
さらには、ジュラから薔薇の遺伝子なるものの人体実験を勧められる。それはジュラと、ジュラが敬愛するミスター・Sとの合同で研究されてきたものであり、人体をさらなる高みへ連れていく実験と聞かされていた。そして、この実験には成功例もあり、それがジュラを含めた3人。そう、それが現在の『サモン・スカルパー』の幹部たち、セルシア=セントジョージとラプトゥーヌ=ジュラシックだった。それぞれが『鬼』の遺伝子と『ラプトル』の遺伝子を適合させた。そして、ベンジャミンの好む醜き姿へと変貌を遂げる。
「やります!私受けたいです!!薔薇の遺伝子をください!」
こうしてベンジャミンは人体改造実際により、薔薇ノ女王の力を手に入れた。
---------------------
「また1人、容姿の優れた男を手にかけてしまった…ゾクゾクするわ/////あぁ、なんて罪な女なのかしら。フフッ!!フフッ!!フッハーッハッハッハッ!!」
『第五の間』にて、フェルナンドを見事に打ち倒し、ベンジャミンが勝ち星を上げる。
そして、フェルナンド=ナッシュは死去する。
『ソウヤ…起きるのです。我らを従えなさい』
ーー誰…僕を呼ぶのは…ベルモンド?タッツーさん?ハルミ?
「んんん…」
ソウヤは目を覚まし、重たい体を起き上がらせ辺りを見回す。
「どこだここ…」
あたりは白く真っさらな世界で、何もない無のような世界。
さっき自分を呼んでいた声は一体なんだったのか。ソウヤは白く真っさらな世界を彷徨う。
雲の上にでも立っているかのようにもくもくと煙か蒸気を漂わせる足下。少し進んだ先には白く天へと昇る階段があり、それを一段ずつ登っていくと、少し先に規格外の大きさをした白き大国と奥に見える白基調の城が見えた。
「なんだ…あれ」
ソウヤは興味本位でその白き大国へと足を運ぼうとすると、その門前に立つ1人の赤毛の少女を見つける。
「ソウヤ、来ちゃダメ」
「??…誰」
目を細め遠くにいるその子を見つめるソウヤ。一歩、また一歩と距離を詰めその少女に近づいていく。
ポチャン。バシャァ…バシャァ。
「止まりなさい」
「…。」
「止まれソウヤ!!」
「?!」
ソウヤは大きな声で怒鳴られ足を止める。
「それ以上は進むな。戻れなくなるぞ」
そう言われソウヤは足下に目を落とすと、膝丈まで浸かっていた水を見て驚く。今まで全く気づかなかった。水、いや川を渡って少女の元へ行こうとしていた足が急に止まる。
「ソウヤ…背を向けて戻って。こっちに来てはならない」
「君は…君は一体、ここは、」
「それには答えられない。ただし、私はお前にはまだこっちに来てほしくない。タツマキを、ベルモンドを、ハルミを、そして自分の大切な全てを守りたいなら、戻りなさい。」
『ソウヤ…目を覚ませ』
「この声は?!」
『ソウヤ…目覚めるのです』
「さっきも聞こえてきた、僕を呼ぶ声…」
「行って…早く」
ーーあなたはもっと自分を大切に、自分のために戦いなさい。
赤毛の少女は振り返りソウヤに背を向けて去っていこうとする。
「待って!ねぇ、待ってよ!」
『ソウヤ!!』
『ソウヤ!!!』
赤毛の少女を追いかけたいソウヤと、ソウヤを引き戻したい2つの声がぶつかり合い葛藤し、ソウヤは白き世界で悩み込む。
---------------------
「死ンダカ…ソウヤ=コガネ。コレデ、懸賞金金貨118枚ハ、オレノモンダ!ヒッヒッヒ!!」
ヒッ?!
倒れるソウヤ、壊れた武器、そして出血量。正直、勝利を確信していたラプトゥーヌだったが、額に汗をかき、表情を曇らせる。なぜなら、折れたはずの剣から青白い靄が立ち上り、ソウヤを包み込むようにして纏わり、それが異形の姿を見せたからだ。
「ナンダヨ…アレハ…」
『ソウヤ…目覚めなさい』
『ソウヤ!目を覚ませ』
まるで鳥のような頭と翼、そして体をしているが、その頭は2つに割れ、翼もよくよく見ると4枚に見える。ただの鳥では無いことは明々白々。それになによりも、その異形の鳥が出てきたのはあの折れた剣からだ。
「マサカアレガ…剣ニ宿リシ霊ノチカラ。霊装体ッテヤツナノカ??」
本人が意識を飛ばしてもなお、自らの意思で姿を現す霊装体。
「ヨクワカラネーガ、マダソイツハ生キテルッテコトダナ!!!」
ラプトゥーヌは両手の鉤爪を擦り合わせ、研ぎ澄ましてからソウヤに切り掛かる。
『主人に近寄るな、無礼者』
ヒュウウウウウ、ブワァァァァァァ!!!!
「クッ!!!ウァァァア!!!」
双頭の一羽が風属性魔法を展開して、ラプトゥーヌを吹き飛ばす。
『主人に無礼を働いた不届き者には天誅を!』
フゥオオオ、プシューーーーー!!!
スパッ!!!
ブシャァァァァァ!!!!!!
「ギィャァァァァァ!!!!」
双頭のもう一羽は、細く鋭い高圧放水で恐竜と化したラプトゥーヌの右腕を切り裂く。
「血ガ血ガ血ガァァアアア!!!」
風と水、2つの属性性質を持つソウヤの剣から解き放たれた霊装体。その力は恐竜と化したラプトゥーヌなど比にならない程で、一歩も動かずにラプトゥーヌを圧倒する。
「鳥フゼイガ!!!舐メヤガッテ」
『貴様も似たようなものだろ、ラプトゥーヌ』
『他種族の遺伝子に手をつけ、強くなったと勘違いする脆弱者よ。これが真の飄属性ぞ』
双頭は力を合わせ、風属性と水属性のオーラを複合させ、飄属性魔法を展開する。
『『飄属性魔法・ウィングネス・スラッシュ』』
プシャシャシャシャシャシャ!!!!
ブシャ!!!!
ラプトゥーヌは双頭が放った無数の飄属性の斬撃によって細切れにされ、肉片が地に転がり落ちる。
『第四の間』ラプトゥーヌ敗北。ソウヤ意識不明、という結果になった。
その後も双頭はマナの許す限り、ソウヤに寄り添い、主人を見守り続ける。
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『第五の間』
ベンジャミンと対峙していたフェルナンド。そのベンジャミンが遺伝子活性剤を飲み込み異形の姿『薔薇ノ女王』となり、薔薇の根や茎、棘による攻撃の範囲が広く拡大したことで、その対処に苦戦していた。そして、霊装体の酷使か、他に理由があるのか、フェルナンドは多少ふらつきながら構える。
シュルルルルル!!!!
フェルナンドに向かって伸びる薔薇の太く鋭い根を、一本ずつ切っていくフェルナンド。
スパッ!!!スパッ!!!
「あらあら、逃げ回ってるだけ?みっともないわね」
ベンジャミンによる挑発を間に受けず、ただひたすらに薔薇ノ女王の攻撃を対処するフェルナンド。霊装体を解放することで今のところほぼ互角の勝負に持ち込んではいるものの、霊装体の弱点がここで来てしまう。
先ほど同様薔薇の根による攻撃がフェルナンドに襲いかかると先ほどまで艶やかに切り裂いていた根を、今度は切り裂けず、右肩に鋭い根が突き刺さってしまう。
「クッ!!!…霊装体の…限界か。」
霊装体解放、その武器特有の霊体の力で、素材や作り手の魂が宿るというもの。それを解き放ち、常識では考えられないほどの効果、性能を上乗せさせるもの。しかし、その力は永久的に使えるものではなく、マナの限界量があり、一度に出力できる量の限界値は決まっている。そのため、解放し、納めて、解放して、納める。この繰り返しで霊装体をうまく操ることで戦闘を有利に運ぶのが一端の剣士、戦士である。
今回のように敵に何の制限もなく、棘による多段攻撃が行われれば、制限のある霊装体を駆使した戦闘スタイルのフェルナンドには少々厳しい戦いとなる。
「どう?!どうよ!!霊装体解放無しじゃ勝ち目ないんじゃない!!」
ズドンッ!!!ズドンッ!!!ギギギギギッ!!
かろうじて避けれる攻撃には反応して避け、避けきれない多段攻撃には刀で受け止めるのみ。それでも棘の鋭さや根をムチのようにしならせた一撃は、まるで斬撃のようで、五刀流、いや六刀流かそれ以上の連続攻撃になす術無しのフェルナンド。
さらには正面だけに気を取られていると、背後に根を張っていたツルがフェルナンドの足に絡みつき、そのまま棘を伸ばして足を突き刺し、がっちりと掴んで遠くへ叩きつける。
「グハァッ!!」
ーークソッ!足が…。
バシン!!バシン!!バシン!!!!バシン!!!!!
「グハッ!!グハッ!!!!グハッ!!!グハァァァァァァ!!!!!!!!」
しっかりと足を掴んだツルはフェルナンドを右に左に叩きつけダメージを蓄積させていく。
圧倒的手数の多さ。遺伝子活性剤で覚醒したベンジャミンの力はフェルナンドを圧倒し、己のテリトリーを根を張ることで侵食、確立していき、完全に場を支配した。
「さぁあと何発耐えられるかしら!」
数本のツルでフェルナンドの足をがっちりと掴み、さらに生成した無数のツルでフェルナンドを袋叩きにするベンジャミン。
ーーキタッ!!
「霊装体、解放!!」
スパパパパパッ!!!
霊装体、白豹のオーラを具現化させ、襲いかかる全てのツルを切り裂くフェルナンド。
「あら、やだ、間に合っちゃったの。」
袋叩きにあいながらも、何とか死の際で霊装体のクールタイムを終え、解放するフェルナンド。それでもフェルナンドがしたことはあくまでベンジャミンの攻撃を防いだだけ。ベンジャミンに決定的な一打を与えたわけではない。つまり、戦況が好転するわけでもなく、最悪から一歩手前に落ち着いただけ。心身ともにボロボロで死の際。次、霊装体が途切れ、クールタイムに入った時点でフェルナンドの負けはほぼほぼ確定する。
万全の制限時間が5分。それを考慮してタイムリミットは3分か2分か。次の行動が最後の一打となる。
「ハァ…ハァ…」
「さぞかし辛いでしょう。自分が最も嫌悪する人種にやられるのだから。正義を主張したいなら力が無くっちゃね。弱いと自分の身すら守れないのだから。フフッ」
ーーお疲れ様。霊装体だけの、哀れな男…。
「死んで」
ピュゥウウ!!!!!!!
フェルナンドにトドメの一撃を喰らわせるため、無数のツルを伸ばすベンジャミン。フェルナンドも最後の力を振り絞り、霊装体全開でベンジャミンに襲いかかる。
自分を貫かんとするツルを白豹の力で切り裂いていき、地を蹴り、魔法を駆使して空を蹴り、あらゆる手段を使ってベンジャミンに近づくフェルナンド。
もう少し、あと少し、足よ動け!そう念じながら切り込んでいくフェルナンドの表情はまさに鬼の形相。今までにない力でツルを切り棘を切り、あと一歩のところでベンジャミンの魔法にかかってしまう。
「棘の監獄!」
緑の4本の柱に、隙間を潰す無数の棘。そのことごとくを刀身で叩き切り、無理やり這い出るフェルナンド。
「嘘でしょ?!あんたのどこにそんな力が残ってるの?!」
「貴様を必ず倒す!!そのためだけに!私は今走っているんだ!!!!!」
「そんな?!まずい…このままでは」
「ベンジャミン=スーザン!!!!貴様が殺し全ての人間に、報いて屠られろ!!」
ーー霊装体全開!!大豹狩!!
霊装体を全開にし、白豹のオーラを肥大化させ、刀を大きく振りかざすフェルナンド。
「いーーーーやーーーーーぁぁぁあああ!!!!…」
ーーナンテ。
バタンッ。
「醜き薔薇には毒があるものよ、フェルナンドちゃんっ!フフフ。」
ベンジャミン渾身の演技。ベンジャミンは初撃のカウンターを当てた時点で、既にフェルナンドの勝ちの目を摘んでいた。
ベンジャミン=スーザン。その体内に毒液を投与しまくった狂人。何千何百という実験の末に手に入れた毒体質。その血液に触れたものは毒に侵され、体内外問わず毒に侵食されていく。そしてベンジャミンに対しての毒攻撃は耐性により一定以上に到達しないと効かない。この体質はベンジャミンと一体化している薔薇のツルも根も棘も全て同様に効力を発揮する。そのため本来薔薇に無いはずの毒の特性がベンジャミンの放つ植物には備わっていると言うわけだ。
ただし、この体質にはそれ相応のデメリットがあり、何千何百と重ねてきた実験の末に、自身の皮膚・肌は爛れ、溶け落ち、包帯で隠さなければ見るも無惨な姿が露わになってしまう。バケモノ、幽霊、ベイダー、多くのものに人間でない何かとして揶揄されてきたベンジャミン。それでもその揶揄はベンジャミンにとって苦なものではなく、常に欲してきたものだった。
揶揄とは本来マイナスなイメージが持たれ、人を傷つける言葉の総称であった。けれど、ベンジャミン=スーザンにとっては違う。
---------------------
5年前…。
ベンジャミン=スーザン(当時18歳)
容姿端麗で運動も勉強も魔法もできる。
まさに才色兼備という言葉が似合うような青年期を送ってきたベンジャミンは、これまで見た目な能力だけですり寄ってきた男たちにうんざりしていた。
自分を中身で評価してくれる相手はいないのか。そんなことを思っていたベンジャミンだったが、ベンジャミンの性格は、親や周囲の期待や重圧によって捻じ曲がったものになっており、それを取り繕うように生きていた。そう、真の性格は『人を殺したい』という欲望の塊。自分をこんな人間に育てた親も、教師も周りのみんなも、そして、容姿だけで擦り寄るバカ男どもを、殺して殺して殺しまくりたい。容姿端麗な見た目からは想像もつかないほどに、人格は悪鬼のそれになっていた。
そんなある日、夜のことだった。
その日、人生で初めて親に反抗し、バック片手に家を飛び出したベンジャミン。もちろんバッグには鋭利な刃物が入っていた。これは用心のためではなく、捻じ曲がった性格ゆえの奇行。
そして、人生初めての親への反抗は、ベンジャミンに快感を与え、さらなる奇行へと走らせた。人生初の人殺しだった。
その容姿に釣られストーキングしてきた男を路地裏で刺し殺した。
「嘘…だろ…」
「へ?!へぇぇぇえ?!私がやったの?ねぇ、ねぇ!私が貴方を刺したの?!?!////」
「く、くるってる…」
グサッ!!!!グサッ!!!グサッ!!
バタンッ。
さらには、サイコパスなことに心臓や脳を狙うのではなく、致命的にならない腹や肩、太ももに肺など、多くの部位を滅多刺しにして、殺人を楽しむかのようにナイフを扱ったのだ。
「ハハハハハッ!!!ハハハハハハハッ!!!」
「これはこれは…とち狂ってますねぇ~フォーホッホッホッホッ!!!」
「?!…見られた」
そんな殺人衝動に駆られたベンジャミンの元へ舞い降りた悪魔。いや、ベンジャミンにとっては天使だったか。自分を容姿で判断せず中身まで愛してくれる人。ジュラ=バッキンガムと出会う。
ジュラはベンジャミンに最高な環境を用意した。それが裏社会。何をしても許される。全ては自己責任。それでもバックにジュラが控えていることで多くの事象は揉み消される。ここまで羽を伸ばして人殺しができる環境は無いとさえ思えるほどに、ベンジャミンは生き生きと殺人を行っていた。
そんなある日、ベンジャミンはジュラに自身の願望を話すと、またしてもジュラはそれに適した環境を与えてくれた。体内に毒液を注射し、心身を傷つけ、見た目をぐちゃぐちゃに醜く変形させること。それがベンジャミンの願望だった。そんな危険極まりない実験を3年続け、ようやくベンジャミンは望みである男が一切近寄ろうとしない醜き容姿と、危険な毒体質を手に入れた。
さらには、ジュラから薔薇の遺伝子なるものの人体実験を勧められる。それはジュラと、ジュラが敬愛するミスター・Sとの合同で研究されてきたものであり、人体をさらなる高みへ連れていく実験と聞かされていた。そして、この実験には成功例もあり、それがジュラを含めた3人。そう、それが現在の『サモン・スカルパー』の幹部たち、セルシア=セントジョージとラプトゥーヌ=ジュラシックだった。それぞれが『鬼』の遺伝子と『ラプトル』の遺伝子を適合させた。そして、ベンジャミンの好む醜き姿へと変貌を遂げる。
「やります!私受けたいです!!薔薇の遺伝子をください!」
こうしてベンジャミンは人体改造実際により、薔薇ノ女王の力を手に入れた。
---------------------
「また1人、容姿の優れた男を手にかけてしまった…ゾクゾクするわ/////あぁ、なんて罪な女なのかしら。フフッ!!フフッ!!フッハーッハッハッハッ!!」
『第五の間』にて、フェルナンドを見事に打ち倒し、ベンジャミンが勝ち星を上げる。
そして、フェルナンド=ナッシュは死去する。
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