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第三章 〜新たなる冒険
54話 『神器と人器』
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モスアニア国にある喫茶店にて、それぞれの目的のために協力体制を敷くことになったグレイ、シオン、アズマの3人。
アズマは裏社会の情報とミスター・Sから下された命令、そして本作戦に関わってくるであろう戦力についてをグレイとシオンに提供する。
「何べんも言ってるが、あくまで『サモン・スカルパー』は囮で、本命はお前たちを始末するところにある。本人たちはともかく、それがミスター・Sの思惑だ。それに、十冠と魔女の子、勿論始末するためにはそれ相応の面子が用意されている。そのうちの一団が俺たち『リターン』だ」
ここにきて伝えられるアズマが指揮する組織の名前・リターン。意味は元の世界に帰還するという目的の元で動いている一団。全ては尊敬するリーダーのために苦労も顧みない連中の集まりだ。
「そんで、なんで俺が差し向けられたか…コレだ」
アズマは卓上に1枚の金貨を乗せる。
「金貨?」
「これはただの金貨じゃねー。『神器・七変竜』の第一形態だ。」
「神器?!…って何」
がくっ!!!
グレイの無知さに思わず転けてしまう2人。
「神が創りし、恩寵の化身。それが神器だ」
シオンは神器の説明をし、グレイに理解させる。
「とりあえず神様に貰った最強の武器だと思ってくれ」
「最強?!うおおおお!!」
神が創ったことや、最強の武器というニュアンスに強く惹かれるグレイ。
「そんで、俺の神器・七変竜は7つの形態に姿を変えることができる汎用性に優れた武器でなぁ。ただ…」
「「ただ…??」」
「ただなぁ、7つのうち2つは使い物になんねーんだよなぁ~」
アズマは頭をかきながら少し照れた表情を見せる。そんなふざけた態度のアズマにシオンは詰め寄る。
「説明しろ!その能力を」
「えぇーっとだな…第一形態がこの金貨、そんで第二形態が女の姿なんだよ。」
「はぁ?」
「そんでもって、第三と第四がさっきお前らに見せたガローキャノンと爆撃大剣・ブリーブな」
アズマの持つ神器・七変竜は、己の欲する欲望に忠実な神器で、その欲望の形に七変化するため、アズマが神器を手にし、初めに欲したものが『お金』。そして、次に欲したものが『女』だった。その2つの事象から薄々の神器の性質、能力を理解していったアズマは、3つ目に大好きだったアニメ作品の攻撃をオマージュとしたキャノン砲を欲し、その次は汎用的かつ戦闘向きかつカッコいいという理由から近距離特化の大剣を欲した。
何でも望むままに変化させられるまさに神の創造せし力。そんな神器の限られた七変化のうち2つをしょうもない形態に選択したアズマに呆れ返るシオンたち。
「でもお前らも人間の内なる欲望には抗えないぜ?」
トントンッ!
アズマは卓上にある神器の金貨に人差し指で2度ほど叩くと、金貨は強い光を放ち、その姿を人に変えていく。
なんと摩訶不思議。金貨があっという間に、黒髪ボブの貧乳裸体女に変わってしまう。
「へぇ?!…はぁあ~」
バタンッ!
その衝撃的な痴態に、グレイは思わず鼻血を垂らし、目を回らせソファーに倒れ込む。
「おい!公共の場だぞ///」
シオンはすぐさま自分の羽織っていた黒いマントを女に投げつけ痴態を隠す。
「おいアフロディーテ、人前に出る時は服も生成しろって言ってんだろーがよ!」
「ご主人様が服は脱がすのが面倒だから裸のまま出てこいと申しつけてますので」
「アンタの趣味かよ」
「ばっ!ち、げーよ!!」
「てかアフロディーテってなんだよ…女神の名を冠すとか不届き者だな…引くわ」
「引かないでくれよ~!」
アズマはグレイが気を失ったことをいいことにタバコとライターを手に取り、喫煙を始める。
スゥーーーフゥーーー。
「俺は良いなんて言ってないぞ」
「硬いこと言うなよ。んで…実際強かったろ?俺の剣撃」
「…。」
2年連続でUMNが認める貢献度が高く最強に近い10人の魔導士・十冠の座についているシオン。その煉獄の魔法も去ることながら、剣の腕も確かなものであった。そんなシオンと対等かそれ以上に渡り合えたアズマの剣術。しかし、アズマはそれら全ては神器の強さだと言う。
神器・七変竜の第四形態である爆撃大剣・ブリーブ。この大剣には剣術補正のバフが常時付与されており、素人が扱ったとしてもそこそこ、達人が使えばより高みを目指せるほどに剣の腕が上乗せされる仕様となっている。その剣術補正値30パーセント。つまり、自身のステータス的にシオンに劣る部分があれど、それを補ってあまりある力が付与されているということだ。さらには、その名前にある通り、土属性と火属性の性質を併せ持つ爆属性の能力も常時備わっているため、多少の条件はあれど、アズマの好きなタイミングで爆撃をすることもできる。神器の7つの形態の1つであってもこれだけの性能を秘めている。それが神器なのだ。
「本気でやってどっちが勝つかはわからんねーが、俺は一瞬で負けるほどやわじゃねー。そんで俺みたいな連中が他にも何人かいる。それに、お前らが相手にしようとしてる『サモン・スカルパー』のギルドマスターは不死身だぜ」
「不死身?!本当か」
「マジマジ。数年前にミスター・Sと関わりを持ってから『サモン・スカルパー』の連中はおかしくなってやがる。ギルドマスターはヴァンパイア、仲間には恐竜やお化けがいるって話だぜ」
「オカルトチックすぎるだろ。そんなの魔法で説明がつくのか?」
「あらぁ…お前さてはファンタジー系のゲームとかやらなかったガキか。この世界にゃ人間以外にも生物はいんだろうよ。俺らが空想だの幻想だの言ってた伝説上の生物たちがよー。エルフやドワーフもそうさ!中には吸血鬼やゴーストもいるだろ?何せ魔法があるくらいだからなぁ!常識なんてのはこの世界じゃ通用しないのさ」
シオンたちが生まれ育った現世には魔法は存在しないし、もちろん恐竜は絶滅している。吸血鬼やゴーストなんてものはオカルトでまやかし、人が作り上げた幻想だった。そんな常識的なことが簡単に覆ってしまうのがこの世界なのだ。
「つまり、その空想上の生物が敵にいると?」
「正確には人体改造だ…たまに闇市で遺伝子のサンプルが売買されることがある。大元を辿ればきっとミスター・Sに辿り着くはずだ。」
「錬成」「改造」「召喚」。どの作品でもお約束の禁忌的な行為の全てに精通する裏社会の諸悪。それがミスター・S、シェリアスフォードであり、シオンを長年苦しめてきた根源。その諸悪に終止符を打つため、シオンは立ち上がる。そして、そのシオンに協力するアズマ。今ここに同盟が結ばれる。
3人は喫茶店を出て、シオンの愛馬であるグレートヒメカの元へ向かう。
「もうそろそろお前らを追ってた俺の仲間が合流する頃だな」
「リターンのメンバー?」
「そうだ、俺の信頼してる仲間たちだ」
喫茶店で20分、外へ出て10分ほど時間を潰しているが一行に現れないリターンの面々。この状況にアズマは不審がり、リターンのメンバーのうちの1人に連絡を取る。
プルルルル、プルルルル、ガチャ!
「おい、もしもし、俺だぁ、今どこに…」
『お頭……今そっちに…バタンッ!』
「おい、トーマ!トーマァァア!!!くそ、ダメだ、声が聞こえねー」
「どうしたの?」
緊急事態と思ったか、グレイはアズマに状況を伺うと、アズマは不穏な表情を見せ、仲間がやられたと言う。
「それって…」
「分からん。もしかしたら、UMNの…お前らの仲間かもしれねーし、そうじゃないかもしれねー」
「そうじゃないって、具体的には?」
シオンは言葉を濁すアズマを問い詰める。
「つまり、俺たちとは別に、ミスター・Sから依頼を受けた連中。それも、俺たちと敵対関係にある組織の可能性だ」
「思い当たる節は?」
「んなもん、ありまくりに決まってんだろ」
もはや開き直りか。裏社会で敵の多いことを暴露するアズマは、自分らリターンと敵対関係にある組織を何個かあげる。その上で、1番遭遇したくない連中についても語る。その上でアズマたちはモスアニアの北門を注視する。
「何にせよ、やつらが来るとしたら、間違いなく北門だ!気張れよお前ら」
シェリアスフォードの標的、煉獄のユウキと魔女の子・グレイ。この2人と同盟を組んだ手前、引くに引けなくなった状況のアズマ。それでも2人の潜在能力や素質について深く知った上で、裏社会に歯向かったとしてもそこそこの勝算があると思っているため、ここは何が何でも引くわけにはいかない。
「最初っから全力で行くぜ!神器・七変竜!爆撃大剣・ブリーブ!!」
アズマは神器を大剣に形態変化させ、北門から来るであろう敵に、最高の状態で迎え撃つ。
「グレイ…お前は下がってろ。さっきのガローキャノンの2発もあるしな」
「い・や・だ!!」
「はぁ??」
「シオンが下がれば?何人来ても俺がまとめてやるから」
「俺はお前のためを思って…」
「余計なお世話だ~~い!!」
「元気だなお前ら…ハァ」
緊張感の欠けるグレイとシオンに呆れ返るアズマも、少しずつ緊張の糸が解けていくが、北門から現れた刺客を前に一気に緊張の尾が引き締まる。
「まじかよ…」
「「??」」
「やつが俺の言った厄介な相手の1人、闇の仕事人・セイメイ=マヤトリノ。人器・那須ノ弓鬼《ナスノキュウキ》を扱う、最恐の弓引きだ」
北門の奥から馬に乗り現れたのはアズマの知人であり、最恐の弓引き、セイメイだった。セイメイは馬から降りてアズマと語らう。
「やぁナルヒコ…。ミスター・Sの命を受けて馳せ参じた次第だけど、まさかそっち側についた訳じゃないよね?」
「先に俺の仲間に手出したのはお前だろ?」
「つまり僕が手を出してから君は彼らと手を結んだと?本当かな~」
セイメイは、細長い紫基調で黄色い線の入った柄のようなものを左手で握りしめ、腕を伸ばして、柄をグレイたちへ向ける。
「嘘つき者には裁きを…ナンテネ」
プシューーーーーーーン!!!
握りしめられたものは、実は弓柄であり、柄の両端から紫色のオーラが噴出し、弓の形状を作り出す。
「まさか、あの柄だけで、人器の役割を成していたのか?!」
すでに臨戦態勢に入っていたセイメイは、右手で弓柄に触れ、紫のオーラを指で掴み、後方へ引く。
「もうすでに攻撃モーションに入ってる!!!」
シオンは瞬時に剣を抜き左へ展開。グレイとアズマから距離を取り、敵の狙いを分散させる。
「あくまで狙いは君だよ…ユウキ=シオン…」
ーーゼノ・ハンター。
ビュワーーーーーーーーーー!!!!!
人器・那須ノ弓鬼から放たれた最強の冒険者の名を冠した一撃は、真っ直ぐシオンを貫かんとする。
「勝手に動くなよ…アホ~。」
ーー第五形態・猫神の助手。
アズマは神器・七変竜の5つ目の形態を解放し、透明な手を具現化し、距離が離れているはずのシオンの襟元を遠隔で掴み、後ろへ引っ張る。
「ウッグァ…」
咄嗟と出来事で少し苦しい表情と驚きが交差した表情を見せるシオンだったが、何はともあれ間一髪のところで人器の一撃、ゼノ・ハンターを避ける。
「今のって?!」
「そうだ、七変竜の5つ目の能力!猫の手も借りたいを落とし込んだ能力だ!!」
アズマが遠隔で操ったものはあくまで透明な手。グレイたちには干渉することもできないものだが、今一度シオンを救ってアズマの所業は、グレイの興奮を掻き立てるものとなる。
「すげぇぇえええ!!!何が起きたか分からないけど、とにかくすげぇぇえええ!!」
「だろだろ~俺様の妄想力は天下一品なんだよ!」
人器の一撃を見事に対処してみせた神器。やはりどんな状況でも臨機応変に対応できる七変化の力は有能すぎると言える。
「これが人器と神器…。恐ろしいな」
シオンは、立ち上がりお尻の砂を払い落として、再び戦闘態勢に入る。
「アズマさん!あの武器…人器はあのレベルを乱発できるの?」
「さぁな。俺も詳しいことは知らねーが、エネルギー源はあくまで当人のマナだ。マナが尽きりゃそこでジエンドだ。だから、大技の乱発は…してこないと思うけどな」
神器・七変竜の第三形態であるガローキャノンも、決して実弾を装填しているわけではなく、エネルギー源となるマナを注ぎ込んで放つ技。本来無いものを錬成するためにはマナが必要で、弾も弓もそれは同じこと。したがって実物の矢を使っているわけではない人器・那須ノ弓鬼もまた、当人のマナが尽きれば使用不可となる。
「外した…そんなばかな」
「顔色が悪そうだなセイメイ!」
「貴様の力か?ナルヒコ」
「だったら何だよ、俺からやるかぁ?」
--四川の矢。
一度に4本の矢を放って見せるセイメイ。その攻撃に先ほどと同等の威力が無いと判断したグレイは真っ向からくらいにいくが、アズマはグレイを引き留めて、風属性魔法で飛び上がる。
「ウィンド・アップ!」
ぎゅわん!ぎゅわん!ぎゅわん!ぎゅわん!
四川の矢は着弾点て炸裂し、水属性のオーラを飛び散らせる。
「安直だぜ~グレイ!お前の体質がいくら優れていようとも、敵は人器だ。それ相応の対処が必要なんだよ」
「どういうこと?」
「あの人器、那須ノ弓鬼はな、マナを有するものに当てれば当てるほど、その精度が補正されていき、命中精度も威力も段違いに跳ね上がっていく。ただし外せば外すだけそれとは逆のデバフが付与され続ける。つまり、那須ノ弓鬼相手には耐えるんじゃなく避けるが正解なんだよ。」
「なるほど…人器…安易には飛び込めない」
「遠距離武器ってのは距離が近ければ近いほど外す方が難しい…が」
タタタタタタタタッ!!
シオンはセイメイに距離を詰め近接戦闘を仕掛ける。
--5度攻撃を外した今の那須ノ弓鬼じゃ、シオンはとらえられない!。
「極曲の矢」
セイメイは紫のオーラで2本の矢を生成し、放つ。しかし、その矢は軌道がぶれすぎており、シオンに届く前に互いに衝突し左右に大きく軌道を変えて広がっていく。
「不発か??」
シオンはセイメイのミスをつき、突っ込んでいく。
人器・那須ノ弓鬼の特性のデバフが作用したか、矢はあさっての方向に飛んでいく。
「?!…グレイ!行くぞ!」
「え?!あ、うん!!」
アズマは何かを悟ったかグレイと共にセイメイに詰め寄っていく。
「シオン!!後ろだぁ!!」
--極曲の矢…初めはその能力かと思ったが、あれは度重なるデバフでコントロールできなかった事象。もうセイメイは矢をまともに射抜けない。だから極曲の力で軌道を無理やり捻じ曲げる気だ!!。そんでその矢を当てられなければさらにデバフは2回上乗せされる。セイメイは必ず、必ず那須ノ弓鬼を消して再展開させる!。
「極曲!!」
セイメイはまるでオーケストラの指揮をするかのように右指を振り、大きく外れた極曲の矢の軌道を捻じ曲げ、シオンを後ろから追撃していく。
それにシオンも気づき後ろを確認する。自分がセイメイに一太刀を入れるより先に矢が追いつくことを悟り、シオンはセイメイに背を向き、矢の対処に入る。
「そうするよね…いくらデバフが5段階であっても、この距離で外すほど、柔な鍛錬は積んでいない…」
ギギギギギッ…スパン!
10メートルほどの間隔で前後から矢を放たれたシオンは絶体絶命のピンチに陥る。
「グレイ!!奴を倒せ!!俺がシオンを守る!」
「わかった!!」
アズマはセイメイをグレイに託し、七変竜の第五形態でシオンの背後に飛ぶ矢を対処する構えを見せる。
「猫神の助手!!」
--ブレまくる矢を確実に止める方法。撃ち抜かれるシオンの…10センチ手前!!
バスンッ!!!
なんたる神業。アズマは軌道がぶれまくる時速200kmの矢をシオンの当たるギリギリのところで透明な手で掴み取って見せる。
「矢が止まった?!」
側から見ればまるで矢がシオンの体の周辺でピタリと動きを止めたように見えるが、これが七変竜の第五形態、視認している好きな場所に自分の手のリンクさせた透明な手を出現させ、自在に操ることができるもの。
背後の矢がシオンに当たらない今、シオンはマナを纏わない剣で極曲の矢を2本とも切り落とし、計8度の攻撃を凌いだシオンらは那須ノ弓鬼に8段階のデバフを付与させる。ここまで来てしまえば、もう扱えるような代物ではなくなるため、セイメイも一度距離を取り那須ノ弓鬼を元の柄の状態に形態を戻す。
「クソッ…神器・七変竜、めんどうだな」
「うぉぉおおお!!!」
「?!…クッ、魔女の子、いつの間に」
短距離も長距離も足の速さには自信のあるグレイは、瞬時にセイメイとの距離を詰め、右手でポケットからある1つのケースを取り出し、壊す。
「アル・ウイコアラパンチ(改)」
グレイは、アルビニウム改良版にちなんで、微弱の白炎を、世界で最も弱く、最も優しい種とされる『ウイコアラ』に例えて命名する、アルビニウム・ウイコアラパンチ(改良版)、略してアル・ウイコアラパンチ(改)。
「白い…炎?!ブフッ!!!」
グレイは微弱な白炎を纏う右拳でセイメイの左頬に1発喰らわせて吹っ飛ばす。
「白炎?…あれがグレイの魔法…」
シオンは。自分と同種である火属性の特異点であろう煉獄に近しい白炎を見て、グレイに驚く。それはアズマも同じで、今目の前に黒炎と白炎を操る2人の青年がいることに感動と興奮を覚えたのだ。
「どんなもんだい!!」
セイメイをぶっとばしたグレイは、燃える右手を、左二の腕に巻き付けていた灰色の包帯に擦り付ける。これは、きっとシオンが身につけているものと同じ火属性の耐性をもつ素材で作られたもので、グレイのためにゼクシードが用意したアイテムである。言わば鎮火剤のような物だ。これで燃えた手を注ぐうことで、火を鎮火させる。もう2度と3年半前の二の舞は演じない。そのための対策であった。
アズマは裏社会の情報とミスター・Sから下された命令、そして本作戦に関わってくるであろう戦力についてをグレイとシオンに提供する。
「何べんも言ってるが、あくまで『サモン・スカルパー』は囮で、本命はお前たちを始末するところにある。本人たちはともかく、それがミスター・Sの思惑だ。それに、十冠と魔女の子、勿論始末するためにはそれ相応の面子が用意されている。そのうちの一団が俺たち『リターン』だ」
ここにきて伝えられるアズマが指揮する組織の名前・リターン。意味は元の世界に帰還するという目的の元で動いている一団。全ては尊敬するリーダーのために苦労も顧みない連中の集まりだ。
「そんで、なんで俺が差し向けられたか…コレだ」
アズマは卓上に1枚の金貨を乗せる。
「金貨?」
「これはただの金貨じゃねー。『神器・七変竜』の第一形態だ。」
「神器?!…って何」
がくっ!!!
グレイの無知さに思わず転けてしまう2人。
「神が創りし、恩寵の化身。それが神器だ」
シオンは神器の説明をし、グレイに理解させる。
「とりあえず神様に貰った最強の武器だと思ってくれ」
「最強?!うおおおお!!」
神が創ったことや、最強の武器というニュアンスに強く惹かれるグレイ。
「そんで、俺の神器・七変竜は7つの形態に姿を変えることができる汎用性に優れた武器でなぁ。ただ…」
「「ただ…??」」
「ただなぁ、7つのうち2つは使い物になんねーんだよなぁ~」
アズマは頭をかきながら少し照れた表情を見せる。そんなふざけた態度のアズマにシオンは詰め寄る。
「説明しろ!その能力を」
「えぇーっとだな…第一形態がこの金貨、そんで第二形態が女の姿なんだよ。」
「はぁ?」
「そんでもって、第三と第四がさっきお前らに見せたガローキャノンと爆撃大剣・ブリーブな」
アズマの持つ神器・七変竜は、己の欲する欲望に忠実な神器で、その欲望の形に七変化するため、アズマが神器を手にし、初めに欲したものが『お金』。そして、次に欲したものが『女』だった。その2つの事象から薄々の神器の性質、能力を理解していったアズマは、3つ目に大好きだったアニメ作品の攻撃をオマージュとしたキャノン砲を欲し、その次は汎用的かつ戦闘向きかつカッコいいという理由から近距離特化の大剣を欲した。
何でも望むままに変化させられるまさに神の創造せし力。そんな神器の限られた七変化のうち2つをしょうもない形態に選択したアズマに呆れ返るシオンたち。
「でもお前らも人間の内なる欲望には抗えないぜ?」
トントンッ!
アズマは卓上にある神器の金貨に人差し指で2度ほど叩くと、金貨は強い光を放ち、その姿を人に変えていく。
なんと摩訶不思議。金貨があっという間に、黒髪ボブの貧乳裸体女に変わってしまう。
「へぇ?!…はぁあ~」
バタンッ!
その衝撃的な痴態に、グレイは思わず鼻血を垂らし、目を回らせソファーに倒れ込む。
「おい!公共の場だぞ///」
シオンはすぐさま自分の羽織っていた黒いマントを女に投げつけ痴態を隠す。
「おいアフロディーテ、人前に出る時は服も生成しろって言ってんだろーがよ!」
「ご主人様が服は脱がすのが面倒だから裸のまま出てこいと申しつけてますので」
「アンタの趣味かよ」
「ばっ!ち、げーよ!!」
「てかアフロディーテってなんだよ…女神の名を冠すとか不届き者だな…引くわ」
「引かないでくれよ~!」
アズマはグレイが気を失ったことをいいことにタバコとライターを手に取り、喫煙を始める。
スゥーーーフゥーーー。
「俺は良いなんて言ってないぞ」
「硬いこと言うなよ。んで…実際強かったろ?俺の剣撃」
「…。」
2年連続でUMNが認める貢献度が高く最強に近い10人の魔導士・十冠の座についているシオン。その煉獄の魔法も去ることながら、剣の腕も確かなものであった。そんなシオンと対等かそれ以上に渡り合えたアズマの剣術。しかし、アズマはそれら全ては神器の強さだと言う。
神器・七変竜の第四形態である爆撃大剣・ブリーブ。この大剣には剣術補正のバフが常時付与されており、素人が扱ったとしてもそこそこ、達人が使えばより高みを目指せるほどに剣の腕が上乗せされる仕様となっている。その剣術補正値30パーセント。つまり、自身のステータス的にシオンに劣る部分があれど、それを補ってあまりある力が付与されているということだ。さらには、その名前にある通り、土属性と火属性の性質を併せ持つ爆属性の能力も常時備わっているため、多少の条件はあれど、アズマの好きなタイミングで爆撃をすることもできる。神器の7つの形態の1つであってもこれだけの性能を秘めている。それが神器なのだ。
「本気でやってどっちが勝つかはわからんねーが、俺は一瞬で負けるほどやわじゃねー。そんで俺みたいな連中が他にも何人かいる。それに、お前らが相手にしようとしてる『サモン・スカルパー』のギルドマスターは不死身だぜ」
「不死身?!本当か」
「マジマジ。数年前にミスター・Sと関わりを持ってから『サモン・スカルパー』の連中はおかしくなってやがる。ギルドマスターはヴァンパイア、仲間には恐竜やお化けがいるって話だぜ」
「オカルトチックすぎるだろ。そんなの魔法で説明がつくのか?」
「あらぁ…お前さてはファンタジー系のゲームとかやらなかったガキか。この世界にゃ人間以外にも生物はいんだろうよ。俺らが空想だの幻想だの言ってた伝説上の生物たちがよー。エルフやドワーフもそうさ!中には吸血鬼やゴーストもいるだろ?何せ魔法があるくらいだからなぁ!常識なんてのはこの世界じゃ通用しないのさ」
シオンたちが生まれ育った現世には魔法は存在しないし、もちろん恐竜は絶滅している。吸血鬼やゴーストなんてものはオカルトでまやかし、人が作り上げた幻想だった。そんな常識的なことが簡単に覆ってしまうのがこの世界なのだ。
「つまり、その空想上の生物が敵にいると?」
「正確には人体改造だ…たまに闇市で遺伝子のサンプルが売買されることがある。大元を辿ればきっとミスター・Sに辿り着くはずだ。」
「錬成」「改造」「召喚」。どの作品でもお約束の禁忌的な行為の全てに精通する裏社会の諸悪。それがミスター・S、シェリアスフォードであり、シオンを長年苦しめてきた根源。その諸悪に終止符を打つため、シオンは立ち上がる。そして、そのシオンに協力するアズマ。今ここに同盟が結ばれる。
3人は喫茶店を出て、シオンの愛馬であるグレートヒメカの元へ向かう。
「もうそろそろお前らを追ってた俺の仲間が合流する頃だな」
「リターンのメンバー?」
「そうだ、俺の信頼してる仲間たちだ」
喫茶店で20分、外へ出て10分ほど時間を潰しているが一行に現れないリターンの面々。この状況にアズマは不審がり、リターンのメンバーのうちの1人に連絡を取る。
プルルルル、プルルルル、ガチャ!
「おい、もしもし、俺だぁ、今どこに…」
『お頭……今そっちに…バタンッ!』
「おい、トーマ!トーマァァア!!!くそ、ダメだ、声が聞こえねー」
「どうしたの?」
緊急事態と思ったか、グレイはアズマに状況を伺うと、アズマは不穏な表情を見せ、仲間がやられたと言う。
「それって…」
「分からん。もしかしたら、UMNの…お前らの仲間かもしれねーし、そうじゃないかもしれねー」
「そうじゃないって、具体的には?」
シオンは言葉を濁すアズマを問い詰める。
「つまり、俺たちとは別に、ミスター・Sから依頼を受けた連中。それも、俺たちと敵対関係にある組織の可能性だ」
「思い当たる節は?」
「んなもん、ありまくりに決まってんだろ」
もはや開き直りか。裏社会で敵の多いことを暴露するアズマは、自分らリターンと敵対関係にある組織を何個かあげる。その上で、1番遭遇したくない連中についても語る。その上でアズマたちはモスアニアの北門を注視する。
「何にせよ、やつらが来るとしたら、間違いなく北門だ!気張れよお前ら」
シェリアスフォードの標的、煉獄のユウキと魔女の子・グレイ。この2人と同盟を組んだ手前、引くに引けなくなった状況のアズマ。それでも2人の潜在能力や素質について深く知った上で、裏社会に歯向かったとしてもそこそこの勝算があると思っているため、ここは何が何でも引くわけにはいかない。
「最初っから全力で行くぜ!神器・七変竜!爆撃大剣・ブリーブ!!」
アズマは神器を大剣に形態変化させ、北門から来るであろう敵に、最高の状態で迎え撃つ。
「グレイ…お前は下がってろ。さっきのガローキャノンの2発もあるしな」
「い・や・だ!!」
「はぁ??」
「シオンが下がれば?何人来ても俺がまとめてやるから」
「俺はお前のためを思って…」
「余計なお世話だ~~い!!」
「元気だなお前ら…ハァ」
緊張感の欠けるグレイとシオンに呆れ返るアズマも、少しずつ緊張の糸が解けていくが、北門から現れた刺客を前に一気に緊張の尾が引き締まる。
「まじかよ…」
「「??」」
「やつが俺の言った厄介な相手の1人、闇の仕事人・セイメイ=マヤトリノ。人器・那須ノ弓鬼《ナスノキュウキ》を扱う、最恐の弓引きだ」
北門の奥から馬に乗り現れたのはアズマの知人であり、最恐の弓引き、セイメイだった。セイメイは馬から降りてアズマと語らう。
「やぁナルヒコ…。ミスター・Sの命を受けて馳せ参じた次第だけど、まさかそっち側についた訳じゃないよね?」
「先に俺の仲間に手出したのはお前だろ?」
「つまり僕が手を出してから君は彼らと手を結んだと?本当かな~」
セイメイは、細長い紫基調で黄色い線の入った柄のようなものを左手で握りしめ、腕を伸ばして、柄をグレイたちへ向ける。
「嘘つき者には裁きを…ナンテネ」
プシューーーーーーーン!!!
握りしめられたものは、実は弓柄であり、柄の両端から紫色のオーラが噴出し、弓の形状を作り出す。
「まさか、あの柄だけで、人器の役割を成していたのか?!」
すでに臨戦態勢に入っていたセイメイは、右手で弓柄に触れ、紫のオーラを指で掴み、後方へ引く。
「もうすでに攻撃モーションに入ってる!!!」
シオンは瞬時に剣を抜き左へ展開。グレイとアズマから距離を取り、敵の狙いを分散させる。
「あくまで狙いは君だよ…ユウキ=シオン…」
ーーゼノ・ハンター。
ビュワーーーーーーーーーー!!!!!
人器・那須ノ弓鬼から放たれた最強の冒険者の名を冠した一撃は、真っ直ぐシオンを貫かんとする。
「勝手に動くなよ…アホ~。」
ーー第五形態・猫神の助手。
アズマは神器・七変竜の5つ目の形態を解放し、透明な手を具現化し、距離が離れているはずのシオンの襟元を遠隔で掴み、後ろへ引っ張る。
「ウッグァ…」
咄嗟と出来事で少し苦しい表情と驚きが交差した表情を見せるシオンだったが、何はともあれ間一髪のところで人器の一撃、ゼノ・ハンターを避ける。
「今のって?!」
「そうだ、七変竜の5つ目の能力!猫の手も借りたいを落とし込んだ能力だ!!」
アズマが遠隔で操ったものはあくまで透明な手。グレイたちには干渉することもできないものだが、今一度シオンを救ってアズマの所業は、グレイの興奮を掻き立てるものとなる。
「すげぇぇえええ!!!何が起きたか分からないけど、とにかくすげぇぇえええ!!」
「だろだろ~俺様の妄想力は天下一品なんだよ!」
人器の一撃を見事に対処してみせた神器。やはりどんな状況でも臨機応変に対応できる七変化の力は有能すぎると言える。
「これが人器と神器…。恐ろしいな」
シオンは、立ち上がりお尻の砂を払い落として、再び戦闘態勢に入る。
「アズマさん!あの武器…人器はあのレベルを乱発できるの?」
「さぁな。俺も詳しいことは知らねーが、エネルギー源はあくまで当人のマナだ。マナが尽きりゃそこでジエンドだ。だから、大技の乱発は…してこないと思うけどな」
神器・七変竜の第三形態であるガローキャノンも、決して実弾を装填しているわけではなく、エネルギー源となるマナを注ぎ込んで放つ技。本来無いものを錬成するためにはマナが必要で、弾も弓もそれは同じこと。したがって実物の矢を使っているわけではない人器・那須ノ弓鬼もまた、当人のマナが尽きれば使用不可となる。
「外した…そんなばかな」
「顔色が悪そうだなセイメイ!」
「貴様の力か?ナルヒコ」
「だったら何だよ、俺からやるかぁ?」
--四川の矢。
一度に4本の矢を放って見せるセイメイ。その攻撃に先ほどと同等の威力が無いと判断したグレイは真っ向からくらいにいくが、アズマはグレイを引き留めて、風属性魔法で飛び上がる。
「ウィンド・アップ!」
ぎゅわん!ぎゅわん!ぎゅわん!ぎゅわん!
四川の矢は着弾点て炸裂し、水属性のオーラを飛び散らせる。
「安直だぜ~グレイ!お前の体質がいくら優れていようとも、敵は人器だ。それ相応の対処が必要なんだよ」
「どういうこと?」
「あの人器、那須ノ弓鬼はな、マナを有するものに当てれば当てるほど、その精度が補正されていき、命中精度も威力も段違いに跳ね上がっていく。ただし外せば外すだけそれとは逆のデバフが付与され続ける。つまり、那須ノ弓鬼相手には耐えるんじゃなく避けるが正解なんだよ。」
「なるほど…人器…安易には飛び込めない」
「遠距離武器ってのは距離が近ければ近いほど外す方が難しい…が」
タタタタタタタタッ!!
シオンはセイメイに距離を詰め近接戦闘を仕掛ける。
--5度攻撃を外した今の那須ノ弓鬼じゃ、シオンはとらえられない!。
「極曲の矢」
セイメイは紫のオーラで2本の矢を生成し、放つ。しかし、その矢は軌道がぶれすぎており、シオンに届く前に互いに衝突し左右に大きく軌道を変えて広がっていく。
「不発か??」
シオンはセイメイのミスをつき、突っ込んでいく。
人器・那須ノ弓鬼の特性のデバフが作用したか、矢はあさっての方向に飛んでいく。
「?!…グレイ!行くぞ!」
「え?!あ、うん!!」
アズマは何かを悟ったかグレイと共にセイメイに詰め寄っていく。
「シオン!!後ろだぁ!!」
--極曲の矢…初めはその能力かと思ったが、あれは度重なるデバフでコントロールできなかった事象。もうセイメイは矢をまともに射抜けない。だから極曲の力で軌道を無理やり捻じ曲げる気だ!!。そんでその矢を当てられなければさらにデバフは2回上乗せされる。セイメイは必ず、必ず那須ノ弓鬼を消して再展開させる!。
「極曲!!」
セイメイはまるでオーケストラの指揮をするかのように右指を振り、大きく外れた極曲の矢の軌道を捻じ曲げ、シオンを後ろから追撃していく。
それにシオンも気づき後ろを確認する。自分がセイメイに一太刀を入れるより先に矢が追いつくことを悟り、シオンはセイメイに背を向き、矢の対処に入る。
「そうするよね…いくらデバフが5段階であっても、この距離で外すほど、柔な鍛錬は積んでいない…」
ギギギギギッ…スパン!
10メートルほどの間隔で前後から矢を放たれたシオンは絶体絶命のピンチに陥る。
「グレイ!!奴を倒せ!!俺がシオンを守る!」
「わかった!!」
アズマはセイメイをグレイに託し、七変竜の第五形態でシオンの背後に飛ぶ矢を対処する構えを見せる。
「猫神の助手!!」
--ブレまくる矢を確実に止める方法。撃ち抜かれるシオンの…10センチ手前!!
バスンッ!!!
なんたる神業。アズマは軌道がぶれまくる時速200kmの矢をシオンの当たるギリギリのところで透明な手で掴み取って見せる。
「矢が止まった?!」
側から見ればまるで矢がシオンの体の周辺でピタリと動きを止めたように見えるが、これが七変竜の第五形態、視認している好きな場所に自分の手のリンクさせた透明な手を出現させ、自在に操ることができるもの。
背後の矢がシオンに当たらない今、シオンはマナを纏わない剣で極曲の矢を2本とも切り落とし、計8度の攻撃を凌いだシオンらは那須ノ弓鬼に8段階のデバフを付与させる。ここまで来てしまえば、もう扱えるような代物ではなくなるため、セイメイも一度距離を取り那須ノ弓鬼を元の柄の状態に形態を戻す。
「クソッ…神器・七変竜、めんどうだな」
「うぉぉおおお!!!」
「?!…クッ、魔女の子、いつの間に」
短距離も長距離も足の速さには自信のあるグレイは、瞬時にセイメイとの距離を詰め、右手でポケットからある1つのケースを取り出し、壊す。
「アル・ウイコアラパンチ(改)」
グレイは、アルビニウム改良版にちなんで、微弱の白炎を、世界で最も弱く、最も優しい種とされる『ウイコアラ』に例えて命名する、アルビニウム・ウイコアラパンチ(改良版)、略してアル・ウイコアラパンチ(改)。
「白い…炎?!ブフッ!!!」
グレイは微弱な白炎を纏う右拳でセイメイの左頬に1発喰らわせて吹っ飛ばす。
「白炎?…あれがグレイの魔法…」
シオンは。自分と同種である火属性の特異点であろう煉獄に近しい白炎を見て、グレイに驚く。それはアズマも同じで、今目の前に黒炎と白炎を操る2人の青年がいることに感動と興奮を覚えたのだ。
「どんなもんだい!!」
セイメイをぶっとばしたグレイは、燃える右手を、左二の腕に巻き付けていた灰色の包帯に擦り付ける。これは、きっとシオンが身につけているものと同じ火属性の耐性をもつ素材で作られたもので、グレイのためにゼクシードが用意したアイテムである。言わば鎮火剤のような物だ。これで燃えた手を注ぐうことで、火を鎮火させる。もう2度と3年半前の二の舞は演じない。そのための対策であった。
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