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第二章 〜家族のカタチ
44話 『国際魔導連合』
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今回の議題であるドセアニアの将来について、三臣家は顔色を曇らせていた。なにせ、ノース最大級の戦闘国家として知られたドセアニア王国が、今や王族を失い、国民を半数以上失い、多くの建築物や資源を失い、ノース最低国家と肩を並べるほどまで国力を低下させているからだ。勿論戦闘国家というだけあって、ノース大陸に構える多くの国々や人々に不幸を振り撒いてきた過去がある以上、現状を知れば靱のように復讐心を燃やし、襲いかかってくる大国は必ず現れる。そして、残りの資源と労働力を根こそぎ奪い、ドセアニア領土を全て掻っ攫って行くのは時間の問題。今ドセアニアに集結する者が居なくなれば必ず事態は動く。ましてや、今ここで利権争いが起きても不思議ではないとさえ感じる。
真っ先に口を開くはレオネード・ハーツのギルドマスター、シグレだった。
「まぁ、結論から言うとですね、ドセアニア王国には、今後一切の略奪および戦争行為を謹んでもらいたいわけですよ」
「?!…何をおっしゃられるのか。今のドセアニアにはそんな勢力も、それを操る指揮系統も死んでいますぞ」
「なら手っ取り早く次の話をしましょうか、ロドクルさん。」
「一体何を」
「今ここにいる全独立ギルドで、魔導連合を作りましょう!」
「「「「「「「「「「?!」」」」」」」」」」
話の急展開さに驚きを隠せない三臣家とグレイたち。レオネード・ハーツであるハルミたちにさえ伝えられていなかった事態。
つまり、
『レオネード・ハーツ』
『マジカル・ギルフォード』
『レッグ・エグフォース』
『ホーリー・シンフォ』
『カトリック・ヒーラー』の5つの独立ギルドが手を組み、このドセアニアの地を中心に勢力を拡大させようと言うのだ。
「近年、靱や星界の使徒など、多くのテロリスト組織が生まれ、世界の各所で問題を起こしています。勿論、今回の騒動の引き金にあたるのは、ノース大陸で暗黙の了解とされている奴隷制度が原因でしょう。奴隷制度に関しては、また改めて話し合う必要がありそうですが、本題は、活発化していくテロリスト組織にどう対抗していくか。それに関しては独立ギルドの間でも常々議題にあがる問題でした。したがって、今回、この大事件を機に、我々独立ギルドと1つの大国が手を取り合い、世界を守ろうではないかと、そういう提案をしたいと考えています。」
「魔導連合…。このドセアニアの地で。」
「えぇ。きっとドセアニアには、これから対処せねばならない多くの問題があるはずです。それら全てを我々が代わりに代行しましょう。悪い話じゃないと思いますよ。」
対抗勢力の抑制とドセアニア王国再建の兆し。それら全てを同時進行で行える提案。こんなうまい話、断るわけにはいかない。
「アサダ、ヒュートン、いかがかな」
「受けましょう。この提案」
「我々には、このドセアニアに暮らす、多くの民を守る義務があります。」
「そうだな…。シグレ殿、その魔導連合とやらの話を勧めてください」
「承知した。」
こうして、ドセアニア王国は新生・ドセアニア連合王国と名前を改名し、『国際魔導連合』通称、『UMN』を発足。そして、新生・ドセアニア連合王国の中心にUMNの拠点を建設予定にして、まずは…
『レオネード・ハーツ』
『マジカル・ギルフォード』
『レッグ・エグフォース』
『ホーリー・シンフォ』
『カトリック・ヒーラー』の5つの独立ギルドがこれに加盟する。そして、それぞれのギルドマスターがUMNの頭につき、統率していく。
UMN発足から数日で、加盟ギルドの数は30に登り、その大半は未だノース大陸に拠点を置く独立ギルドだったが、ウェスト大陸からも、イースト大陸からも、サウス大陸からも、ちらほら加盟ギルドが増えてきている状況。
世界各地で活発化する犯罪行為やテロリスト組織の抑止力のため、UMNは勢力を拡大させていく。
そして、新生・ドセアニア連合王国も建築業に人員を割き、少しずつ元の姿を取り戻しつつある。
「聞きました?UMNの加盟ギルド数。ここ数日で30に登るとか」
「それ本当?すごいわね。」
ソウヤ、タツマキ、ベルモンド、ハルミの4人は、郊外にある元フラナがあった土地に立てられたミヒャのお墓に通う途中であった。
「ほんと、うちのジジイは凄腕だな。こんな短期間で、あんなバカデケェ組織を作り上げちまうんだから」
「まあ、元から議題には上がってたからね。タイミングよくドセアニアという後ろ盾を手に入れたから、話し合いが加速したんだよ」
「これを機に、もう戦争とか、争いが無くなればいいのに…」
「そうですね。ミヒャさんもきっと同じこと言いますよ」
「そうね」
レオネード・ハーツの面々がお墓参りに訪れると、何やら先約を見つけ、歩み寄る。
「グレイ君~来てたんだね」
ソウヤはグレイに大きく手を振ると、グレイもそれに気づき左手で応える。
「どうも」
先にお墓参りに訪れていたのは、グレイ、カイト、マタタビ、ミヅキの4人だった。そして、彼らの相手の墓には『ハルト=アルケイ』という名前が掘られていた。
「ここが、カイト君の弟さんの?」
「はい…ハルトの墓です。昔、僕を救ってくれたドセアニアの兵士が立ててくれた物です。」
「ドセアニアの?そうか…良い人だったんだね。」
「はい…。」
タツマキとカイトの会話を他所に、グレイは膝を落とし、ハルトのお墓に左手で触れ目を瞑る。
「ハルトさん…みんなを守ってくれて、ありがとうございました」
「…?!」
その言葉に驚くカイト。まるでハルトとグレイが知り合いで、今回の一連の騒動から皆んなを守ったような言い草をしたからである。
「グレイ…」
「お兄さんのことは、任せてください!」
そう言ってグレイは目を開け、カイトの方へ振り向く。
「ねっ、兄さん~」
「?!」
カイトの目に映るグレイには、まるでハルトの面影を見るかのように投影する。
「グレイ(ハルト)…」
ーー今度は絶対、僕が守り抜いてみせる!
ハルトの面影を見るグレイを、次こそは命を張って守ると固く誓ったカイト。
「アタシのこともお姉ちゃんって呼んで良いのよ?(笑)」
「はい!お姉ちゃん!!」
ドキッン!!
一人っ子なミヅキにとって下から慕われるという初めての体験に、心踊らせるミヅキ。
「もう一回!」
「お姉ちゃん!!」
「可愛すぎるわグレイ!アタシも絶対あんたのこと守ってあげる!」
「じゃあ私はお姉さんね!フッハッハッハッ」
「おいおい、アホ絡みしてんじゃねーよ、マッキー」
ミヅキたちのやり取りにふざけて乱入するタツマキを抑えるレオネード・ハーツの面々。
「姉さん!」
「はい!…へっ?!」
そんなタツマキを後ろから唐突に『姉さん』と呼ぶ人物。そこには、元靱の幹部であったハナがいた。
「お?!元気になったの貴女」
「はい!姉さんのおかげで!」
「姉さんって、今の冗談よ」
「いえ、姉さんと呼ばせてください!姉さん!」
「うぁぁぁあ、もう、なんでよ」
「姉さん!姉さん!姉さん!姉さん!姉さん」
ハナに凄い気に入られてか、追いかけ回されるタツマキ。その赤毛の少女はまさに猛獣のごとき目でタツマキを狙う。
「また厄介なのに好かれたもんだ」
「良いじゃん…賑やかで」
気を取り直して、ハナは真剣な表情でタツマキと向き合う。
「これから、新生・ドセアニア連合王国が再建されていき、司法が機能し出せば、きっと私たちは有罪判決となり、懲役刑を言い渡されると思います…。」
「そっか。」
「それが、何年、何十年になるのか分かりませんが、もしきちんと更生して、刑務所から出れたら、その時は、タツマキさん、貴女に支えさせて欲しいです!」
「?!」
ハナの申し出に心奪われるタツマキ。何故って?。その赤毛も合間ってか、ハナが妙にミヒャに似ているからである。
「私じゃダメですか?」
そういってハナは、最後に見たミヒャの「オソロ」という言葉と共に見たピースと髪を巻く仕草を真似て談判する。
「もう…本当に困った子だわ」
--ミヒャ、あんたの守った命は、巡り巡って私の元へ来たわよ。
こうして、グレイたちは目的のハルトのお墓参りを果たし、次なる目的を見つけるために歩み出す。
お墓参りを済ませたグレイたちは、新生・ドセアニア連合王国に新しくできたカフェに立ち寄り、コーヒーやカフェラテなど、好きな飲み物を頼んで席へつく。
「ほんと賑わってるわね!ここ」
「仕方ないさ、ドセアニアに3箇所しかないカフェだから」
未だ娯楽施設のない新生・ドセアニア連合王国に、国民投票で1番に欲しいとされた意思を反映させた結果、王国内で3箇所だけ建てられたカフェに、グレイらは足を運んでいた。
「それで、これからはどうするの?グレイ」
「えぇーっと、実はどうしても行きたいところがありまして…」
「どこどこ?」
「ノース大陸の最果てにある、未界というところなんです」
グレイが未界の名を出した途端、マタタビはカップを皿へ強く打ち付け、反対する。
「ダメだ!」
「え?どうしてよ」
「未界、ユニバース。冒険者や魔導士たちの間では、結構伝説というか、都市伝説というか、まぁ謎が多くて相当危険な場所とされてるんだよ」
マタタビに代わり、カイトがミヅキたちに未界について語る。
「実際、旧・ドセアニア王国がノース大陸の最果てへ、資源調達や領土拡大を狙って侵攻したことがあったんだけど…結果は軍の半分を失い、何の成果も得られなかったとか。」
グレイにも聞き馴染みのある話で、ダイドウ深淵窟にて、セナが語っていた内容と同じものであった。
「どうして、未界に行きたいんだ?グレイ」
「実は、セナさんと対峙した時に言われたんです。僕の出生には、ノース大陸の最果てにある"ある場所"が関わってると。」
「それは本当なのか?信用できるのか」
「皆さんには半信半疑かもしれませんが…僕にはあるものが見えるんです。この世の者ではない魂が。」
「「「?!」」」
ーーまさか、それって。
「グレイ!まさかお前、ハルトを…」
察しの良いカイトはすぐにハルトのことだと理解する。
「はい、居ましたよ。ハルトさんはあの場に」
カイトが見たハルトの面影は、幻覚などではなく、完全にハルト本人の魂であり、それがグレイを守るように側についていた光景であった。
そのままグレイは、セナが語っていた内容を皆んなに共有する。自分たち聖翼者が守りし、その魂を守護主と呼ぶこと。つまり、アレクシルが視認できるグレイには、アレクシードの血が混じっていることになるため、必然的に真の故郷が未界にあることになるため、グレイは未界を目指して旅をしたいと言う。
「グレイがアレクシードねぇ。っていうかさ、マタタビさんはそれを知ってたわけでしょ?この旅の目的にも関わってくることだし」
「いや、初めて知った。グレイがその、アレクシードという者だとは、」
「えぇ?!嘘でしょ、だってグレイが一人前の冒険者になったら両親のことを教える約束でしょ?話が違うじゃん!」
マタタビは俯き、グレイにあの事を話すべきか迷う。そんなマタタビから目を背けず、グレイはマタタビに寄り添う。
「何か話せない訳があるんですよね?」
「?!」
「いやいやいや、待ってよグレイ!この感じは絶対知らない感じよ」
「どうなんですか?マタタビさん!」
ミヅキとカイトは、詰め寄らないグレイに代わり真相を聞き出そうとする。それに耐えかねたマタタビは、自分の知るグレイの両親のことについて語り始める。
「もし、グレイのいう話が本当なら、多分それは、父親のことだろう。ただ、父親については何も知らない。私も、きっと父も。しかし、母親については知っていることがある。これらは全て父から聞いた話だが、グレイ、君の母親の名はクロエと言う。すまないが姓までは分からない。そして、その人物は…」
もったいぶるマタタビを見つめる3人。その先を待ち続けるが、両親の情報という微かな希望は、絶望へと一転する。
「11年半前に、命を落としてる…」
「「…?!」」
「え?」
---------------------
星界の使徒との取引で連れ攫われたボーディアンが最後に放った取引内容。自分の命と七賢者の情報を提示するというもの。ボーディアンがマタタビら七賢者の情報を素直に吐くのか、嘘をついてくれるのか定かではない以上、これから先、マタタビは身を隠す必要が出てくる。そして、マタタビとミヅキが一緒に同行すれば、より一層星界の使徒に命を狙われることになる。つまり、ここ新生・ドセアニア連合王国でマタタビとミヅキは別れることになる。そして、マタタビはグレイを自分の旅に同行させたくは無いと考えている。両親について知ることは全て話し、目的を失ったグレイを、七賢者とバレてしまうであろう自分の側に置いておくのは危険であり意味のないことであったから。
しかし、マタタビにはまだやり残したことがあった。それは、ミヅキとカイトに己の培ってきた魔法を教えることであった。より一層危険な状況に身を置くことになるミヅキや、ドゥーぺとの再戦を願うカイトには、どうしても教え、伝えていかなければならない。そのためマタタビら一行は、新生・ドセアニア連合王国に滞在し、一月の猶予を目安にミヅキとカイトにそれぞれ水属性魔法と火属性魔法を教えることにした。
ーー今後彼らがどんな道に歩もうとも、決してこの旅が無駄でなかったと思ってもらうために、私は私のできる事をしなかればいかん…。
そしてミヅキとカイトは、リリアンたちの協力してもらいながら1ヶ月の修行期間に入る。
その間、グレイは新生・ドセアニア連合王国をゼクシードと共に歩き回るのであった。
「いいのかい?皆んなに寄り添わなくて」
「ゼクシードさんこそ良いんですか?僕に付き合って」
「まぁね、元から僕は除け者みたいなものだっしね。でも君は違う。君たちの旅は、ここで終わるんだろ?それなら、1分1秒でも長く仲間との時間を過ごしたほうがいいんじゃないかな」
旅の目的。両親のこと。そしてこの旅の終焉についてゼクシードに相談していたグレイ。常に親身に寄り添ってくれるゼクシードに心打ち解けお互いに全てを語り合う仲となっていた2人。
「僕は、どうしたいんでしょうか?」
「両親を探したいんだろ?」
「でももう亡くなっています。」
「母親はね。でもまだ父親がそうと決まった訳じゃないだろ?」
「そうですけど、未だ手がかりは0ですし、何よりお父さんの故郷は、既に滅んでるってセナさんが」
2人は公園のベンチに到着し、ゼクシードは腰をかけ、深く考え込む。
「まぁでも、未界に父親の秘密が眠ってるのは確かだね。それと、母親に関してはマタタビさんよりも、マタタビさんの父、君の祖父に当たる人物の方が詳しいんじゃないかな?一度故郷に帰ってみたらどうだい?」
「そうですね。お爺ちゃんなら、お母さんについて、他に何か知ってるかもしれませんね」
「それに、亡くなっているからって、その人のことを忘れたいわけじゃないだろ?母親がどんな人物だったのか、それを知る旅だっていいじゃないか!誇れる母親だったのか、悪い母親だったのか~ナンテネ。君の冒険はこんなもんじゃないだろ」
「はい!!」
グレイにはゼクシードの言葉が胸に強く響く。母親が既に亡くなっていたとしても、どんな女性だったのか、深く知りたいと願ってしまう自分の衝動が今一気に解き放たれた気がした。父親についてもそうだ。マタタビに反対されたとしても、力をつけて、自分の力と自分の意志で、未界へ足を踏み入れればいい。誰かに何かを制限されて、知りたいことから無理やり目を背けられても、この衝動だけは誰にも止めらない。
今度はグレイだけの意志で、両親の手がかりを集める冒険が始まる。
新章・グレイロード開幕!!
真っ先に口を開くはレオネード・ハーツのギルドマスター、シグレだった。
「まぁ、結論から言うとですね、ドセアニア王国には、今後一切の略奪および戦争行為を謹んでもらいたいわけですよ」
「?!…何をおっしゃられるのか。今のドセアニアにはそんな勢力も、それを操る指揮系統も死んでいますぞ」
「なら手っ取り早く次の話をしましょうか、ロドクルさん。」
「一体何を」
「今ここにいる全独立ギルドで、魔導連合を作りましょう!」
「「「「「「「「「「?!」」」」」」」」」」
話の急展開さに驚きを隠せない三臣家とグレイたち。レオネード・ハーツであるハルミたちにさえ伝えられていなかった事態。
つまり、
『レオネード・ハーツ』
『マジカル・ギルフォード』
『レッグ・エグフォース』
『ホーリー・シンフォ』
『カトリック・ヒーラー』の5つの独立ギルドが手を組み、このドセアニアの地を中心に勢力を拡大させようと言うのだ。
「近年、靱や星界の使徒など、多くのテロリスト組織が生まれ、世界の各所で問題を起こしています。勿論、今回の騒動の引き金にあたるのは、ノース大陸で暗黙の了解とされている奴隷制度が原因でしょう。奴隷制度に関しては、また改めて話し合う必要がありそうですが、本題は、活発化していくテロリスト組織にどう対抗していくか。それに関しては独立ギルドの間でも常々議題にあがる問題でした。したがって、今回、この大事件を機に、我々独立ギルドと1つの大国が手を取り合い、世界を守ろうではないかと、そういう提案をしたいと考えています。」
「魔導連合…。このドセアニアの地で。」
「えぇ。きっとドセアニアには、これから対処せねばならない多くの問題があるはずです。それら全てを我々が代わりに代行しましょう。悪い話じゃないと思いますよ。」
対抗勢力の抑制とドセアニア王国再建の兆し。それら全てを同時進行で行える提案。こんなうまい話、断るわけにはいかない。
「アサダ、ヒュートン、いかがかな」
「受けましょう。この提案」
「我々には、このドセアニアに暮らす、多くの民を守る義務があります。」
「そうだな…。シグレ殿、その魔導連合とやらの話を勧めてください」
「承知した。」
こうして、ドセアニア王国は新生・ドセアニア連合王国と名前を改名し、『国際魔導連合』通称、『UMN』を発足。そして、新生・ドセアニア連合王国の中心にUMNの拠点を建設予定にして、まずは…
『レオネード・ハーツ』
『マジカル・ギルフォード』
『レッグ・エグフォース』
『ホーリー・シンフォ』
『カトリック・ヒーラー』の5つの独立ギルドがこれに加盟する。そして、それぞれのギルドマスターがUMNの頭につき、統率していく。
UMN発足から数日で、加盟ギルドの数は30に登り、その大半は未だノース大陸に拠点を置く独立ギルドだったが、ウェスト大陸からも、イースト大陸からも、サウス大陸からも、ちらほら加盟ギルドが増えてきている状況。
世界各地で活発化する犯罪行為やテロリスト組織の抑止力のため、UMNは勢力を拡大させていく。
そして、新生・ドセアニア連合王国も建築業に人員を割き、少しずつ元の姿を取り戻しつつある。
「聞きました?UMNの加盟ギルド数。ここ数日で30に登るとか」
「それ本当?すごいわね。」
ソウヤ、タツマキ、ベルモンド、ハルミの4人は、郊外にある元フラナがあった土地に立てられたミヒャのお墓に通う途中であった。
「ほんと、うちのジジイは凄腕だな。こんな短期間で、あんなバカデケェ組織を作り上げちまうんだから」
「まあ、元から議題には上がってたからね。タイミングよくドセアニアという後ろ盾を手に入れたから、話し合いが加速したんだよ」
「これを機に、もう戦争とか、争いが無くなればいいのに…」
「そうですね。ミヒャさんもきっと同じこと言いますよ」
「そうね」
レオネード・ハーツの面々がお墓参りに訪れると、何やら先約を見つけ、歩み寄る。
「グレイ君~来てたんだね」
ソウヤはグレイに大きく手を振ると、グレイもそれに気づき左手で応える。
「どうも」
先にお墓参りに訪れていたのは、グレイ、カイト、マタタビ、ミヅキの4人だった。そして、彼らの相手の墓には『ハルト=アルケイ』という名前が掘られていた。
「ここが、カイト君の弟さんの?」
「はい…ハルトの墓です。昔、僕を救ってくれたドセアニアの兵士が立ててくれた物です。」
「ドセアニアの?そうか…良い人だったんだね。」
「はい…。」
タツマキとカイトの会話を他所に、グレイは膝を落とし、ハルトのお墓に左手で触れ目を瞑る。
「ハルトさん…みんなを守ってくれて、ありがとうございました」
「…?!」
その言葉に驚くカイト。まるでハルトとグレイが知り合いで、今回の一連の騒動から皆んなを守ったような言い草をしたからである。
「グレイ…」
「お兄さんのことは、任せてください!」
そう言ってグレイは目を開け、カイトの方へ振り向く。
「ねっ、兄さん~」
「?!」
カイトの目に映るグレイには、まるでハルトの面影を見るかのように投影する。
「グレイ(ハルト)…」
ーー今度は絶対、僕が守り抜いてみせる!
ハルトの面影を見るグレイを、次こそは命を張って守ると固く誓ったカイト。
「アタシのこともお姉ちゃんって呼んで良いのよ?(笑)」
「はい!お姉ちゃん!!」
ドキッン!!
一人っ子なミヅキにとって下から慕われるという初めての体験に、心踊らせるミヅキ。
「もう一回!」
「お姉ちゃん!!」
「可愛すぎるわグレイ!アタシも絶対あんたのこと守ってあげる!」
「じゃあ私はお姉さんね!フッハッハッハッ」
「おいおい、アホ絡みしてんじゃねーよ、マッキー」
ミヅキたちのやり取りにふざけて乱入するタツマキを抑えるレオネード・ハーツの面々。
「姉さん!」
「はい!…へっ?!」
そんなタツマキを後ろから唐突に『姉さん』と呼ぶ人物。そこには、元靱の幹部であったハナがいた。
「お?!元気になったの貴女」
「はい!姉さんのおかげで!」
「姉さんって、今の冗談よ」
「いえ、姉さんと呼ばせてください!姉さん!」
「うぁぁぁあ、もう、なんでよ」
「姉さん!姉さん!姉さん!姉さん!姉さん」
ハナに凄い気に入られてか、追いかけ回されるタツマキ。その赤毛の少女はまさに猛獣のごとき目でタツマキを狙う。
「また厄介なのに好かれたもんだ」
「良いじゃん…賑やかで」
気を取り直して、ハナは真剣な表情でタツマキと向き合う。
「これから、新生・ドセアニア連合王国が再建されていき、司法が機能し出せば、きっと私たちは有罪判決となり、懲役刑を言い渡されると思います…。」
「そっか。」
「それが、何年、何十年になるのか分かりませんが、もしきちんと更生して、刑務所から出れたら、その時は、タツマキさん、貴女に支えさせて欲しいです!」
「?!」
ハナの申し出に心奪われるタツマキ。何故って?。その赤毛も合間ってか、ハナが妙にミヒャに似ているからである。
「私じゃダメですか?」
そういってハナは、最後に見たミヒャの「オソロ」という言葉と共に見たピースと髪を巻く仕草を真似て談判する。
「もう…本当に困った子だわ」
--ミヒャ、あんたの守った命は、巡り巡って私の元へ来たわよ。
こうして、グレイたちは目的のハルトのお墓参りを果たし、次なる目的を見つけるために歩み出す。
お墓参りを済ませたグレイたちは、新生・ドセアニア連合王国に新しくできたカフェに立ち寄り、コーヒーやカフェラテなど、好きな飲み物を頼んで席へつく。
「ほんと賑わってるわね!ここ」
「仕方ないさ、ドセアニアに3箇所しかないカフェだから」
未だ娯楽施設のない新生・ドセアニア連合王国に、国民投票で1番に欲しいとされた意思を反映させた結果、王国内で3箇所だけ建てられたカフェに、グレイらは足を運んでいた。
「それで、これからはどうするの?グレイ」
「えぇーっと、実はどうしても行きたいところがありまして…」
「どこどこ?」
「ノース大陸の最果てにある、未界というところなんです」
グレイが未界の名を出した途端、マタタビはカップを皿へ強く打ち付け、反対する。
「ダメだ!」
「え?どうしてよ」
「未界、ユニバース。冒険者や魔導士たちの間では、結構伝説というか、都市伝説というか、まぁ謎が多くて相当危険な場所とされてるんだよ」
マタタビに代わり、カイトがミヅキたちに未界について語る。
「実際、旧・ドセアニア王国がノース大陸の最果てへ、資源調達や領土拡大を狙って侵攻したことがあったんだけど…結果は軍の半分を失い、何の成果も得られなかったとか。」
グレイにも聞き馴染みのある話で、ダイドウ深淵窟にて、セナが語っていた内容と同じものであった。
「どうして、未界に行きたいんだ?グレイ」
「実は、セナさんと対峙した時に言われたんです。僕の出生には、ノース大陸の最果てにある"ある場所"が関わってると。」
「それは本当なのか?信用できるのか」
「皆さんには半信半疑かもしれませんが…僕にはあるものが見えるんです。この世の者ではない魂が。」
「「「?!」」」
ーーまさか、それって。
「グレイ!まさかお前、ハルトを…」
察しの良いカイトはすぐにハルトのことだと理解する。
「はい、居ましたよ。ハルトさんはあの場に」
カイトが見たハルトの面影は、幻覚などではなく、完全にハルト本人の魂であり、それがグレイを守るように側についていた光景であった。
そのままグレイは、セナが語っていた内容を皆んなに共有する。自分たち聖翼者が守りし、その魂を守護主と呼ぶこと。つまり、アレクシルが視認できるグレイには、アレクシードの血が混じっていることになるため、必然的に真の故郷が未界にあることになるため、グレイは未界を目指して旅をしたいと言う。
「グレイがアレクシードねぇ。っていうかさ、マタタビさんはそれを知ってたわけでしょ?この旅の目的にも関わってくることだし」
「いや、初めて知った。グレイがその、アレクシードという者だとは、」
「えぇ?!嘘でしょ、だってグレイが一人前の冒険者になったら両親のことを教える約束でしょ?話が違うじゃん!」
マタタビは俯き、グレイにあの事を話すべきか迷う。そんなマタタビから目を背けず、グレイはマタタビに寄り添う。
「何か話せない訳があるんですよね?」
「?!」
「いやいやいや、待ってよグレイ!この感じは絶対知らない感じよ」
「どうなんですか?マタタビさん!」
ミヅキとカイトは、詰め寄らないグレイに代わり真相を聞き出そうとする。それに耐えかねたマタタビは、自分の知るグレイの両親のことについて語り始める。
「もし、グレイのいう話が本当なら、多分それは、父親のことだろう。ただ、父親については何も知らない。私も、きっと父も。しかし、母親については知っていることがある。これらは全て父から聞いた話だが、グレイ、君の母親の名はクロエと言う。すまないが姓までは分からない。そして、その人物は…」
もったいぶるマタタビを見つめる3人。その先を待ち続けるが、両親の情報という微かな希望は、絶望へと一転する。
「11年半前に、命を落としてる…」
「「…?!」」
「え?」
---------------------
星界の使徒との取引で連れ攫われたボーディアンが最後に放った取引内容。自分の命と七賢者の情報を提示するというもの。ボーディアンがマタタビら七賢者の情報を素直に吐くのか、嘘をついてくれるのか定かではない以上、これから先、マタタビは身を隠す必要が出てくる。そして、マタタビとミヅキが一緒に同行すれば、より一層星界の使徒に命を狙われることになる。つまり、ここ新生・ドセアニア連合王国でマタタビとミヅキは別れることになる。そして、マタタビはグレイを自分の旅に同行させたくは無いと考えている。両親について知ることは全て話し、目的を失ったグレイを、七賢者とバレてしまうであろう自分の側に置いておくのは危険であり意味のないことであったから。
しかし、マタタビにはまだやり残したことがあった。それは、ミヅキとカイトに己の培ってきた魔法を教えることであった。より一層危険な状況に身を置くことになるミヅキや、ドゥーぺとの再戦を願うカイトには、どうしても教え、伝えていかなければならない。そのためマタタビら一行は、新生・ドセアニア連合王国に滞在し、一月の猶予を目安にミヅキとカイトにそれぞれ水属性魔法と火属性魔法を教えることにした。
ーー今後彼らがどんな道に歩もうとも、決してこの旅が無駄でなかったと思ってもらうために、私は私のできる事をしなかればいかん…。
そしてミヅキとカイトは、リリアンたちの協力してもらいながら1ヶ月の修行期間に入る。
その間、グレイは新生・ドセアニア連合王国をゼクシードと共に歩き回るのであった。
「いいのかい?皆んなに寄り添わなくて」
「ゼクシードさんこそ良いんですか?僕に付き合って」
「まぁね、元から僕は除け者みたいなものだっしね。でも君は違う。君たちの旅は、ここで終わるんだろ?それなら、1分1秒でも長く仲間との時間を過ごしたほうがいいんじゃないかな」
旅の目的。両親のこと。そしてこの旅の終焉についてゼクシードに相談していたグレイ。常に親身に寄り添ってくれるゼクシードに心打ち解けお互いに全てを語り合う仲となっていた2人。
「僕は、どうしたいんでしょうか?」
「両親を探したいんだろ?」
「でももう亡くなっています。」
「母親はね。でもまだ父親がそうと決まった訳じゃないだろ?」
「そうですけど、未だ手がかりは0ですし、何よりお父さんの故郷は、既に滅んでるってセナさんが」
2人は公園のベンチに到着し、ゼクシードは腰をかけ、深く考え込む。
「まぁでも、未界に父親の秘密が眠ってるのは確かだね。それと、母親に関してはマタタビさんよりも、マタタビさんの父、君の祖父に当たる人物の方が詳しいんじゃないかな?一度故郷に帰ってみたらどうだい?」
「そうですね。お爺ちゃんなら、お母さんについて、他に何か知ってるかもしれませんね」
「それに、亡くなっているからって、その人のことを忘れたいわけじゃないだろ?母親がどんな人物だったのか、それを知る旅だっていいじゃないか!誇れる母親だったのか、悪い母親だったのか~ナンテネ。君の冒険はこんなもんじゃないだろ」
「はい!!」
グレイにはゼクシードの言葉が胸に強く響く。母親が既に亡くなっていたとしても、どんな女性だったのか、深く知りたいと願ってしまう自分の衝動が今一気に解き放たれた気がした。父親についてもそうだ。マタタビに反対されたとしても、力をつけて、自分の力と自分の意志で、未界へ足を踏み入れればいい。誰かに何かを制限されて、知りたいことから無理やり目を背けられても、この衝動だけは誰にも止めらない。
今度はグレイだけの意志で、両親の手がかりを集める冒険が始まる。
新章・グレイロード開幕!!
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