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第二章 〜家族のカタチ
42話 『悪魔の進撃』
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ズシンッ!ズシンッ!ズシンッ!ズシンッ!
ドセアニア王国へ向け、前進していく黒い2本の角を持つ10m以上の白い巨大を持つグリムデーモン。その一歩一歩が大地を揺るがし、周囲に恐怖と絶望を振り撒いていく。
「ヒナさんたちが心配だ…ソウヤ行こう、ドセアニアに」
「でもハルミ…もうマナが…」
先ほどメラクと対峙しようとした際に、全くと言っていいほどにマナが練れなかったハルミ。
「それじゃあ、ヒナさんたちは!」
「僕だって助けたいよ!…でも、間に合わない。もう十数分もしないうちにあのバケモノがドセアニア王国につく…」
「そんな…」
グリムデーモン復活を企む靱のリーダーを死に物狂いで止めたハルミたち。しかし、結果はドセアニア王国王城陥落。そして、多重層封印術を施した術者たちは、他の敵勢力によって全員抹殺されてしまう。元々ドセアニア王国外壁警護の任に就いていたハルミは、訳あってダイドウ深淵窟警護に代わる。決してそれが理由というわけではないし、結果的にハルミの活躍もありきでセナやナギたちを止められた部分はあった。それでもハルミは、自分があの場にいれば少しは状況が変わったのではないかと、ふと考えてしまう。もしかしたら、ハルミがドセアニア外壁警護に就こうが、ダイドウ深淵窟警護に就こうが、グリムデーモン復活の未来は変わらなかったかもしれない。それでも、それでも、そう考えずにはいられないのだ。
「マナが残っている者がいるなら奴の注意を引き付けて逃げることも…」
「微々たる量なら…」
マタタビの質問に答えたのはシュウ。シュウは剣に纏わせる少量のマナと、無属性魔法の特徴として、基本5属性から属性部分を抜いたものとして、他よりもマナの必要量が少ないため、他のみんなよりも多少マナが残っていた。
「僕も途中から意識を失ってただけなので、少しなら」
カイトも微々たるマナが残っていた。そして言い出しっぺのマタタビも単一魔法を一度展開するくらいは残っていた。
「たった3人でどうしようって?それに俺とカイトは魔法が展開できるほども残ってるわけじゃない」
「魔法…マナ不足……?!マナを使わない手段もあるんじゃないですか?そういえばグレイがマジックガンを持っていたはず!弾が残っているなら」
カイトはグレイの腰にあるホルスターを弄る。しかし、マジックガンは入っておらず、もしかするとダイドウ深淵窟に落として来たのかもしれない後悔に暮れる。
「すいません、無かったです…」
「いや、それだ。注意を引くだけでいいなら何も魔法以外にも手段はある」
「それは一体…」
「マタタビさんとカイトのマナを俺に回してくれ。3人分のマナで、俺がリリアンに治癒魔法をかける。リリアンのオプションゲートには、緊急時のための武具が備わってる。リリアンさえ起こせれば、あるいは…」
シュウは、マタタビとカイトの残りのマナを全て自分へ移してもらい、そのマナでリリアンを起こすための治癒魔法をかけると言い出した。しかし、この作戦には問題点がある。
「ただ…神官や治癒特化の魔導士に比べたら、俺のは大した治癒魔法じゃない。忍時代に覚えさせられた義務教育レベルのもので、本当に一か八か。もしリリアンが目覚めなければ、同時にマタタビさんの魔法攻撃で注意を引くという作戦も破綻する。」
「でも、リリアンさえ目覚めてしまえば、」
「マジックガンもライフルもランチャーも弾薬も、備蓄はあるぞ」
「決まりだな」
満場一致でシュウの案が通る。特にマナの残っていない者たちにとって実弾銃は再び戦える手段の一つ。それが使えるなら反対する理由などない。
ハルミとソウヤは、タツマキたちを救えるかもしれない唯一の作戦の主軸にあるシュウに全てを託す。
「頼む、シュウ…リリアンを、そしてヒナさんたちを救ってくれ!」
「あぁ!最後まで一緒に抗おう!ハルミ」
「…お願いします!シュウさん」
「任せろ!ソウヤ」
マタタビとカイトは、シュウの手を握り、瞳閉じる。そして、こう唱える。『トランスファー・マジックエッセンス』。
3人は光に包まれ、全身のマナを片手に移していき、中央にいるシュウへと集めていく。そして、2人のマナを余すことなく全て受け取ったシュウは、そのままリリアンに両手をそわせ、治癒魔法を展開する。
「秘術・『癒』ノ光」
シュウは、自分に残された全てのマナを使い、忍時代に、学舎で学んだ治癒作法をリリアンへ施す。
治療時間は1分と持たずマナが底をつく。
未だ目覚めぬリリアンを見て、シュウは沈んだ表情でハルミたちへ向き合い、失敗を告げる。
「すまない…足りなかっ、」
「シュ…ウ…さん。」
「ハァァッ…ァァ、ア、リリアン?!リリアン!分かるか?リリアン!目を覚ませ!」
「は…い。聞こえ…ますよ」
「リリアンさん…ハルミ!リリアンさんが!」
「あぁ、分かってる。伝わったんだ、みんなの想いが…」
なんと、マタタビ、カイト、シュウの3人がかりの治癒魔法は、リリアンを目覚めさせたのである。
「リリアン、単刀直入にすまないが、オプションゲートを開いて欲しい!そこにある沢山の武具が欲しい!」
「不安定な、ゲートしか、繋げられませんが…」
「あぁゆっくりで構わないよ」
リリアンは体を起こし、オプションゲートを開くためのマナを練る。全身に痛みを走らせ、マナも上手く練れないなかで、必死に期待に応えようと努めるリリアン。その間にマタタビらは誘導できた時のことを想定して、作戦を立てる。
「まずは、ライフルやランチャー、マジックガンを駆使して、グリムデーモンを迎撃、動きを抑制させる。できれば足か頭がいい。はずよりかは胴体でも構わないが。それで、もしこっちに誘導できたら、その時は再び深淵窟に落とそう。地下35mの深淵、傾斜がなければさっきみたいに上がることはできない。落としたら両手を集中的に狙って、深淵を掘れないようにするんだ。そうすれば大地を裂くことはあっても、登ってくることはできないからな」
「「「「了解!!」」」」
「お待たせしました。オプションゲートを開きます。不安定で持って数十秒しか繋げられません。必要なものだけ取って出てください」
「わかりました!」
「とりあえず、マジックガンとライフル系、ランチャーに爆弾系もあるといいな。あと弾薬な!」
「まさかこんな魔法の発達した世界で、文明的な武器だけで戦う日が来るとはね」
「それも古のベイダー兵器とな!」
「…絶望だね」
どれだけ絶望的な状況であったとしても、仲間を救うため、彼らは抗い続ける。
「開きます!」
「いくぞ!」
「「「「おぉ!」」」」
リリアンの合図でオプションゲートが展開され、シュウを先頭に、マタタビ、カイト、ハルミ、ソウヤの4人はオプションゲートの中へ入っていく。
そこは、まさに武器庫といった感じで、壁には多くの刀や剣、槍、鞭などの近接武器が立てかけられ、棚には大きなシャベルや小さいスコップなど汎用的な物まで常備されていた。
そして今回のお目当てである実弾銃も飾ってあった。
「とにかく持ち運べるだけ持ち運ぼう」
「ソウヤ!とりあえずこれと、これ、これも持って先に行け」
「わかりました」
ソウヤは2丁のアサルトライフルと弾薬が詰まった木箱を持ち一度オプションゲートを抜ける。
「ハルミはこれとこれを頼む」
「持っていく!」
そして、ハルミはグレネードランチャーとその弾を2つ手に持ちオプションゲートを抜ける。
「私はこのスナイパーライフルを2丁と弾薬を持っていこう」
マタタビは遠距離筆頭のスナイパーライフルを手にオプションゲートを抜ける。
それと入れ違う形でソウヤが再び戻ってくる。
「あと20秒ほどが限界だそうです!」
「わかった!」
「カイトもそこのアサルトライフルと弾薬を持てるだけ持っていけ。」
「ソウヤ!グレネードランチャーの弾はもっと欲しい!持てるだけ持って出てくれ」
「わかりました」
ソウヤは重いグレネードランチャーの弾を4発持ち上げ出口へ向かう。そしてシュウは、マジックエネルギーガン2丁とエナジーボトルを6本ポケットにしまいオプションゲートを抜け出す。
こうして36秒の間に、5人の男衆は、アサルトライフル3丁・弾薬300発と、スナイパーライフル2丁・弾薬60発と、グレネードランチャー1丁・弾6発と、マジックエネルギーガン2丁・エナジーボトル6本を運び出すことに成功する。
「とりあえず当ててみないことには始まらないが、もしグレネードランチャーで足を吹き飛ばせるのなら、両足2発、両腕2発、あとは頭から2発で仕留めよう」
マタタビの発言通り、まずはグレネードランチャーの性能を確かめる必要がある。
「いいんじゃないですか、6発持ち出せたのはデカいね」
「マジックエネルギーガンってどれくらい待つんですか」
「ボトル1本で…魔法攻撃十数発分くらいは補えるんじゃないかな…知らないけど」
「知らないかい」
本職でないシュウには、マジックエネルギーガンのことはよく分からないが、響きと見た目が良いという理由だけでシュウはこの武器を持ち運んだ。
「実弾銃だって一点集中させればそれなりに効力はあるだろうし、目とかも弱点になるだろきっと」
「そうですね…エイムが良ければどうにでもなりますよ」
「よし、とりあえずこの武器を持ってグリムデーモンを狙える位置に移動するぞ。悪いがリリアンは、みんなを見といてくれないか。」
「わかりました…皆さんも御武運を」
シュウたちは武器を持ってグリムデーモンを追いかける。
グリムデーモンが動き出して約20分ほど。グリムデーモンが通った跡の木々は全てへし折られ、地面には大きな足跡がめり込んでいた。
「本当、何つーー巨大だよ」
「どれくらいですかね?」
「深淵窟が35mだろ?ざっと半分かちょっと小さいくらいじゃない?」
ハルミの見立てはほぼほぼ合っていた。今回対峙するグリムデーモンの大きさは約13m。個体差はあれど、13m級のグリムデーモンは少々小さく、ベイダー全盛の時代に猛威を振るったグリムデーモンは約20mはあったとされる。
グリムデーモンを追いかけ、約500m地点まで近づく一同。
「射程的にはまずはスナイパーライフルを試すか」
「撃ちます!」
バキュン!!!
シュウの指示でソウヤはスナイパーライフルを構えて、グリムデーモンの背中に1発狙撃する。
「どうだ?」
「多分当たってると思います。ただ、まるで反応が無いですね…」
「撃ち続けろ」
「はい!」
バキュン!!!ガチャ、バキュン!!!ガチャ、バキュン!!!
コッキングを挟み、何度も狙撃するソウヤ。しかし、グリムデーモンの注意は全く引けない。
「ダメです、あの巨体に7ミリ程度の弾丸を何発当てようが、反応しないです!」
間隔の差もあるだろうが、数秒置きのスナイパーライフでは蚊に刺された程度にしか感じないのだろう。
「とにかくもう少し近づいてグリムデーモンの注意を引く。それで、足が止まったところをグレネードランチャーで狙おう。」
「なら、私とシュウがグレネードランチャーを持とうか。カイトとハルミはアサルトライフルで注意を引いてくれ」
マタタビとシュウはグレネードランチャーとその弾、そして念の為マジックエネルギーガンとエナジーボトルを3本ずつ持ち、重い荷物を持ちながらグリムデーモンに近づいていく。そして、カイトとハルミはアサルトライフルを持ち、スピードを生かしながらグリムデーモンに接近し、アサルトライフルを撃ちまくる。
距離約300m。的がデカいだけにそれほど近づかなくとも当てることができるため、弾が届くギリギリの射程で背中目掛けて発砲する2人。
「撃てー!!」
「はい!!」
ズババババババン!!!!!ズババババババン!!!!ズババババババン!!!ズババババババン!!!
スナイパーライフルとは打って変わり、白い体がわかりやすく赤く染まっていくグリムデーモン。ソウヤはスナイパースコープを覗きこみ、正確な情報を共有する。
「グリムデーモンの体が変色。少しずつだけど出血してる!!」
それでもグリムデーモンはドセアニア王国に引き寄せられるかのように進撃する足を止めない。
「もっと近づくぞカイト!次は足だ!」
「わかりました!!右足を狙います」
「任せた!僕は左をやる!」
グリムデーモンにどんどん距離を詰めていくハルミとカイト。そして2人は200m地点まで近づき狙いを定める。しかし、200メートル地点まで接近すると、グリムデーモンが歩くたびに揺れを直に感じ、エイムが定まらない。
ズシンッ!ズシンッ!
「撃て!カイト!」
「はい!!」
ズババババババン!!!ズババババババン!!!
地面が揺れエイムが定まらない中でも、とにかく無差別に乱射する2人。30発撃って足に数発、背中に数発当てるも全く動じないグリムデーモン。
「ダメだ、近づけば狙いが定まらないし、離れ過ぎれば弾が届かないし、威力も落ちる。」
ソウヤも遠くからスナイパーライフルで援護するも効いてる素振りを見せない。
「作戦変更だシュウ。まず確実に1発体に当てよう」
「?!」
「体をぶち抜けるのなら、理論上、足も吹き飛ばせる。このままアサルトライフルやスナイパーライフルを打ち続けても注意を引けずにドセアニアに行かれるぞ?」
「分かった。1発背中に当てよう」
シュウはグレネードランチャーを構え、片足を踏み上げ、揺れがおさまる数秒を待って、トリガーを引く。
ズシンッ!…ズシンッ!…ズシンッ!……(今)
「ここっ!!」
カチッ!ズボンッ!!!!!
シュウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーードカンッ!!!!
グレネードランチャーのミサイルがグリムデーモンの背中に直撃し、グリムデーモンは膝を落とし、両手を地に伏せ、前のめりに倒れ込む。
「動きが…止まった」
「攻撃の手を止めちゃダメだ!マタタビさん!!グレネードランチャーを撃ってください!効いても効かなくても、足を止めてる今し有効なタイミングは無いです!!」
「?!…あぁ、分かった!右足を狙う!!」
「カイト!伏せろ!右足に撃ち込むつもりだ!」
「?!…はい!!」
ハルミの咄嗟の指示でハルミは頭を抱え地に伏せる。
「撃つぞ!!発射」
カチッ!ズボンッ!!!!!
シュウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーードカンッ!!!!
マタタビとシュウは、グレネードランチャーに替の弾を詰め込み再び構える。
「ソウヤ!状況は?」
「えぇーっと…」
弾幕が広がり細かい状況が掴めないソウヤ。
200m地点まで近づいたハルミとカイトはかろうじてグリムデーモンを目視できていた。そのグリムデーモンは、両手両膝を地につき、前屈みで伏せていた。狙われた背中は空を向いていて、よく分からないが、もう一撃を喰らった右足は、吹き飛ばせず出血が見られただけだった。
「カイト、一緒に右足を狙うぞ!多分相当皮膚が厚いんだ!それでも攻撃を散らすよりから集中させた方がいいはず、片足だけでも持ってければ、あとは…あとは、」
そこでハルミは言葉を詰まらす。仮にグリムデーモンの片足を持っていけたとして、その後はどうすればいいのか。残りの武器と弾薬だけで、片足を持っていったとしても、グリムデーモンはきっと這いつくばってでもドセアニア王国を目指す。そして、魔法も使えず、近寄りもできない自分たちは、ただただ、ドセアニア王国の終焉を眺めるだけで、仲間たちを見殺しにしてしまう。
「足を持っていった後のことは、その後考えましょ!」
「カイト…あぁ。そうだな!」
カイトとハルミは2人で肩を寄せ合い、右足に近づいていく。
「僕が先に撃つから、同じところを狙ってくれ!」
「わかりました!」
「撃つよ!」
ズババババババン!!!
ズババババババン!!!
リロードを挟みつつ、計300発を打ち切ったハルミとカイト。そして、撃つ手が無くなった2人は後退し両手を広げて合図を見せる。
「2人が戻ってきます!多分弾切れです!グリムデーモンの足も、吹き飛ばせてません。けど、相当出血してます!」
「2人の合流次第、右足にグレネードランチャーを当てましょう!」
「わかった!」
ハルミとカイトがマタタビらの元へ合流し、すぐにグレネードランチャーを発砲するマタタビとシュウ。2発のミサイルはグリムデーモンの右足に着弾。その光景をスナイパースコープ越しに見つめるソウヤ。
「2発とも右足に着弾!…?!何か、ピンクの肉と、白い骨らしき棒が確認できる!」
「?!…やったんだ!右足後方の肉は削いだ!もう少し負荷をかければ右足を吹っ飛ばせるぞ!」
「残り2発、これで確実に右足を吹き飛ばして動きを抑制させよう。」
マタタビとシュウは再び、グレネードランチャーに弾を装填し、狙いを定めて発砲する。
「喰らえ!バケモンが!」
カチッ!ズボンッ!!!!!
シュウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーードカンッ!!!!
カチッ!ズボンッ!!!!!
シュウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーードカンッ!!!!
グリムデーモンの足を支える強靭な骨を折ることはできなかったものの、その周りを固める肉を吹き飛ばすことに成功したマタタビたち。ほぼ全ての武器と弾薬を使い果たして、挙げた功績は右足の肉のみ。残りは、ほぼ効力を発揮しないスナイパーライフル1丁と弾薬55発。そして、マジックエネルギーガンが2丁とエナジーボトル6本。
「まあマジックエネルギーガンは魔法攻撃と似た扱いだし、もしかしたら有効なんじゃないか?…」
「まぁ、この2丁に賭けるしかないよね」
ハルミはそのままソウヤを見つめる。
「おい!僕を使い物にならないような目で見るなよ!スナイパーライフルが無力なだけだろ」
「本当射程だけ…」
「だから僕に言うな!」
「何はともあれ、少しは動きは止まったか…いや、なんだあれは」
夜の暗闇に光り輝く紫がかったピンク色の光に指を指すマタタビ。それらを見つめる一同は絶望に顔を染める。
「まさか…」
「あれは、あの時と同じだ…」
カイトは3年前の惨状がフラッシュバックする。
ピカンッ!スゥゥゥゥゥゥウウウウウウ、ビュン!!!!ボーーーーーーーンッ!!!!!
「光線かよ。」
「おい、ドセアニア王国が…爆発した」
グリムデーモンは、魔力をため、一筋の光線をドセアニア王国へ向け放つ。足が動かなくなれば光線で攻撃する。まるでハルミたちの今までの努力を嘲笑うかのような一撃であった。
「…ヒナさん、ミヒャ、」
ドセアニア王国へ向け、前進していく黒い2本の角を持つ10m以上の白い巨大を持つグリムデーモン。その一歩一歩が大地を揺るがし、周囲に恐怖と絶望を振り撒いていく。
「ヒナさんたちが心配だ…ソウヤ行こう、ドセアニアに」
「でもハルミ…もうマナが…」
先ほどメラクと対峙しようとした際に、全くと言っていいほどにマナが練れなかったハルミ。
「それじゃあ、ヒナさんたちは!」
「僕だって助けたいよ!…でも、間に合わない。もう十数分もしないうちにあのバケモノがドセアニア王国につく…」
「そんな…」
グリムデーモン復活を企む靱のリーダーを死に物狂いで止めたハルミたち。しかし、結果はドセアニア王国王城陥落。そして、多重層封印術を施した術者たちは、他の敵勢力によって全員抹殺されてしまう。元々ドセアニア王国外壁警護の任に就いていたハルミは、訳あってダイドウ深淵窟警護に代わる。決してそれが理由というわけではないし、結果的にハルミの活躍もありきでセナやナギたちを止められた部分はあった。それでもハルミは、自分があの場にいれば少しは状況が変わったのではないかと、ふと考えてしまう。もしかしたら、ハルミがドセアニア外壁警護に就こうが、ダイドウ深淵窟警護に就こうが、グリムデーモン復活の未来は変わらなかったかもしれない。それでも、それでも、そう考えずにはいられないのだ。
「マナが残っている者がいるなら奴の注意を引き付けて逃げることも…」
「微々たる量なら…」
マタタビの質問に答えたのはシュウ。シュウは剣に纏わせる少量のマナと、無属性魔法の特徴として、基本5属性から属性部分を抜いたものとして、他よりもマナの必要量が少ないため、他のみんなよりも多少マナが残っていた。
「僕も途中から意識を失ってただけなので、少しなら」
カイトも微々たるマナが残っていた。そして言い出しっぺのマタタビも単一魔法を一度展開するくらいは残っていた。
「たった3人でどうしようって?それに俺とカイトは魔法が展開できるほども残ってるわけじゃない」
「魔法…マナ不足……?!マナを使わない手段もあるんじゃないですか?そういえばグレイがマジックガンを持っていたはず!弾が残っているなら」
カイトはグレイの腰にあるホルスターを弄る。しかし、マジックガンは入っておらず、もしかするとダイドウ深淵窟に落として来たのかもしれない後悔に暮れる。
「すいません、無かったです…」
「いや、それだ。注意を引くだけでいいなら何も魔法以外にも手段はある」
「それは一体…」
「マタタビさんとカイトのマナを俺に回してくれ。3人分のマナで、俺がリリアンに治癒魔法をかける。リリアンのオプションゲートには、緊急時のための武具が備わってる。リリアンさえ起こせれば、あるいは…」
シュウは、マタタビとカイトの残りのマナを全て自分へ移してもらい、そのマナでリリアンを起こすための治癒魔法をかけると言い出した。しかし、この作戦には問題点がある。
「ただ…神官や治癒特化の魔導士に比べたら、俺のは大した治癒魔法じゃない。忍時代に覚えさせられた義務教育レベルのもので、本当に一か八か。もしリリアンが目覚めなければ、同時にマタタビさんの魔法攻撃で注意を引くという作戦も破綻する。」
「でも、リリアンさえ目覚めてしまえば、」
「マジックガンもライフルもランチャーも弾薬も、備蓄はあるぞ」
「決まりだな」
満場一致でシュウの案が通る。特にマナの残っていない者たちにとって実弾銃は再び戦える手段の一つ。それが使えるなら反対する理由などない。
ハルミとソウヤは、タツマキたちを救えるかもしれない唯一の作戦の主軸にあるシュウに全てを託す。
「頼む、シュウ…リリアンを、そしてヒナさんたちを救ってくれ!」
「あぁ!最後まで一緒に抗おう!ハルミ」
「…お願いします!シュウさん」
「任せろ!ソウヤ」
マタタビとカイトは、シュウの手を握り、瞳閉じる。そして、こう唱える。『トランスファー・マジックエッセンス』。
3人は光に包まれ、全身のマナを片手に移していき、中央にいるシュウへと集めていく。そして、2人のマナを余すことなく全て受け取ったシュウは、そのままリリアンに両手をそわせ、治癒魔法を展開する。
「秘術・『癒』ノ光」
シュウは、自分に残された全てのマナを使い、忍時代に、学舎で学んだ治癒作法をリリアンへ施す。
治療時間は1分と持たずマナが底をつく。
未だ目覚めぬリリアンを見て、シュウは沈んだ表情でハルミたちへ向き合い、失敗を告げる。
「すまない…足りなかっ、」
「シュ…ウ…さん。」
「ハァァッ…ァァ、ア、リリアン?!リリアン!分かるか?リリアン!目を覚ませ!」
「は…い。聞こえ…ますよ」
「リリアンさん…ハルミ!リリアンさんが!」
「あぁ、分かってる。伝わったんだ、みんなの想いが…」
なんと、マタタビ、カイト、シュウの3人がかりの治癒魔法は、リリアンを目覚めさせたのである。
「リリアン、単刀直入にすまないが、オプションゲートを開いて欲しい!そこにある沢山の武具が欲しい!」
「不安定な、ゲートしか、繋げられませんが…」
「あぁゆっくりで構わないよ」
リリアンは体を起こし、オプションゲートを開くためのマナを練る。全身に痛みを走らせ、マナも上手く練れないなかで、必死に期待に応えようと努めるリリアン。その間にマタタビらは誘導できた時のことを想定して、作戦を立てる。
「まずは、ライフルやランチャー、マジックガンを駆使して、グリムデーモンを迎撃、動きを抑制させる。できれば足か頭がいい。はずよりかは胴体でも構わないが。それで、もしこっちに誘導できたら、その時は再び深淵窟に落とそう。地下35mの深淵、傾斜がなければさっきみたいに上がることはできない。落としたら両手を集中的に狙って、深淵を掘れないようにするんだ。そうすれば大地を裂くことはあっても、登ってくることはできないからな」
「「「「了解!!」」」」
「お待たせしました。オプションゲートを開きます。不安定で持って数十秒しか繋げられません。必要なものだけ取って出てください」
「わかりました!」
「とりあえず、マジックガンとライフル系、ランチャーに爆弾系もあるといいな。あと弾薬な!」
「まさかこんな魔法の発達した世界で、文明的な武器だけで戦う日が来るとはね」
「それも古のベイダー兵器とな!」
「…絶望だね」
どれだけ絶望的な状況であったとしても、仲間を救うため、彼らは抗い続ける。
「開きます!」
「いくぞ!」
「「「「おぉ!」」」」
リリアンの合図でオプションゲートが展開され、シュウを先頭に、マタタビ、カイト、ハルミ、ソウヤの4人はオプションゲートの中へ入っていく。
そこは、まさに武器庫といった感じで、壁には多くの刀や剣、槍、鞭などの近接武器が立てかけられ、棚には大きなシャベルや小さいスコップなど汎用的な物まで常備されていた。
そして今回のお目当てである実弾銃も飾ってあった。
「とにかく持ち運べるだけ持ち運ぼう」
「ソウヤ!とりあえずこれと、これ、これも持って先に行け」
「わかりました」
ソウヤは2丁のアサルトライフルと弾薬が詰まった木箱を持ち一度オプションゲートを抜ける。
「ハルミはこれとこれを頼む」
「持っていく!」
そして、ハルミはグレネードランチャーとその弾を2つ手に持ちオプションゲートを抜ける。
「私はこのスナイパーライフルを2丁と弾薬を持っていこう」
マタタビは遠距離筆頭のスナイパーライフルを手にオプションゲートを抜ける。
それと入れ違う形でソウヤが再び戻ってくる。
「あと20秒ほどが限界だそうです!」
「わかった!」
「カイトもそこのアサルトライフルと弾薬を持てるだけ持っていけ。」
「ソウヤ!グレネードランチャーの弾はもっと欲しい!持てるだけ持って出てくれ」
「わかりました」
ソウヤは重いグレネードランチャーの弾を4発持ち上げ出口へ向かう。そしてシュウは、マジックエネルギーガン2丁とエナジーボトルを6本ポケットにしまいオプションゲートを抜け出す。
こうして36秒の間に、5人の男衆は、アサルトライフル3丁・弾薬300発と、スナイパーライフル2丁・弾薬60発と、グレネードランチャー1丁・弾6発と、マジックエネルギーガン2丁・エナジーボトル6本を運び出すことに成功する。
「とりあえず当ててみないことには始まらないが、もしグレネードランチャーで足を吹き飛ばせるのなら、両足2発、両腕2発、あとは頭から2発で仕留めよう」
マタタビの発言通り、まずはグレネードランチャーの性能を確かめる必要がある。
「いいんじゃないですか、6発持ち出せたのはデカいね」
「マジックエネルギーガンってどれくらい待つんですか」
「ボトル1本で…魔法攻撃十数発分くらいは補えるんじゃないかな…知らないけど」
「知らないかい」
本職でないシュウには、マジックエネルギーガンのことはよく分からないが、響きと見た目が良いという理由だけでシュウはこの武器を持ち運んだ。
「実弾銃だって一点集中させればそれなりに効力はあるだろうし、目とかも弱点になるだろきっと」
「そうですね…エイムが良ければどうにでもなりますよ」
「よし、とりあえずこの武器を持ってグリムデーモンを狙える位置に移動するぞ。悪いがリリアンは、みんなを見といてくれないか。」
「わかりました…皆さんも御武運を」
シュウたちは武器を持ってグリムデーモンを追いかける。
グリムデーモンが動き出して約20分ほど。グリムデーモンが通った跡の木々は全てへし折られ、地面には大きな足跡がめり込んでいた。
「本当、何つーー巨大だよ」
「どれくらいですかね?」
「深淵窟が35mだろ?ざっと半分かちょっと小さいくらいじゃない?」
ハルミの見立てはほぼほぼ合っていた。今回対峙するグリムデーモンの大きさは約13m。個体差はあれど、13m級のグリムデーモンは少々小さく、ベイダー全盛の時代に猛威を振るったグリムデーモンは約20mはあったとされる。
グリムデーモンを追いかけ、約500m地点まで近づく一同。
「射程的にはまずはスナイパーライフルを試すか」
「撃ちます!」
バキュン!!!
シュウの指示でソウヤはスナイパーライフルを構えて、グリムデーモンの背中に1発狙撃する。
「どうだ?」
「多分当たってると思います。ただ、まるで反応が無いですね…」
「撃ち続けろ」
「はい!」
バキュン!!!ガチャ、バキュン!!!ガチャ、バキュン!!!
コッキングを挟み、何度も狙撃するソウヤ。しかし、グリムデーモンの注意は全く引けない。
「ダメです、あの巨体に7ミリ程度の弾丸を何発当てようが、反応しないです!」
間隔の差もあるだろうが、数秒置きのスナイパーライフでは蚊に刺された程度にしか感じないのだろう。
「とにかくもう少し近づいてグリムデーモンの注意を引く。それで、足が止まったところをグレネードランチャーで狙おう。」
「なら、私とシュウがグレネードランチャーを持とうか。カイトとハルミはアサルトライフルで注意を引いてくれ」
マタタビとシュウはグレネードランチャーとその弾、そして念の為マジックエネルギーガンとエナジーボトルを3本ずつ持ち、重い荷物を持ちながらグリムデーモンに近づいていく。そして、カイトとハルミはアサルトライフルを持ち、スピードを生かしながらグリムデーモンに接近し、アサルトライフルを撃ちまくる。
距離約300m。的がデカいだけにそれほど近づかなくとも当てることができるため、弾が届くギリギリの射程で背中目掛けて発砲する2人。
「撃てー!!」
「はい!!」
ズババババババン!!!!!ズババババババン!!!!ズババババババン!!!ズババババババン!!!
スナイパーライフルとは打って変わり、白い体がわかりやすく赤く染まっていくグリムデーモン。ソウヤはスナイパースコープを覗きこみ、正確な情報を共有する。
「グリムデーモンの体が変色。少しずつだけど出血してる!!」
それでもグリムデーモンはドセアニア王国に引き寄せられるかのように進撃する足を止めない。
「もっと近づくぞカイト!次は足だ!」
「わかりました!!右足を狙います」
「任せた!僕は左をやる!」
グリムデーモンにどんどん距離を詰めていくハルミとカイト。そして2人は200m地点まで近づき狙いを定める。しかし、200メートル地点まで接近すると、グリムデーモンが歩くたびに揺れを直に感じ、エイムが定まらない。
ズシンッ!ズシンッ!
「撃て!カイト!」
「はい!!」
ズババババババン!!!ズババババババン!!!
地面が揺れエイムが定まらない中でも、とにかく無差別に乱射する2人。30発撃って足に数発、背中に数発当てるも全く動じないグリムデーモン。
「ダメだ、近づけば狙いが定まらないし、離れ過ぎれば弾が届かないし、威力も落ちる。」
ソウヤも遠くからスナイパーライフルで援護するも効いてる素振りを見せない。
「作戦変更だシュウ。まず確実に1発体に当てよう」
「?!」
「体をぶち抜けるのなら、理論上、足も吹き飛ばせる。このままアサルトライフルやスナイパーライフルを打ち続けても注意を引けずにドセアニアに行かれるぞ?」
「分かった。1発背中に当てよう」
シュウはグレネードランチャーを構え、片足を踏み上げ、揺れがおさまる数秒を待って、トリガーを引く。
ズシンッ!…ズシンッ!…ズシンッ!……(今)
「ここっ!!」
カチッ!ズボンッ!!!!!
シュウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーードカンッ!!!!
グレネードランチャーのミサイルがグリムデーモンの背中に直撃し、グリムデーモンは膝を落とし、両手を地に伏せ、前のめりに倒れ込む。
「動きが…止まった」
「攻撃の手を止めちゃダメだ!マタタビさん!!グレネードランチャーを撃ってください!効いても効かなくても、足を止めてる今し有効なタイミングは無いです!!」
「?!…あぁ、分かった!右足を狙う!!」
「カイト!伏せろ!右足に撃ち込むつもりだ!」
「?!…はい!!」
ハルミの咄嗟の指示でハルミは頭を抱え地に伏せる。
「撃つぞ!!発射」
カチッ!ズボンッ!!!!!
シュウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーードカンッ!!!!
マタタビとシュウは、グレネードランチャーに替の弾を詰め込み再び構える。
「ソウヤ!状況は?」
「えぇーっと…」
弾幕が広がり細かい状況が掴めないソウヤ。
200m地点まで近づいたハルミとカイトはかろうじてグリムデーモンを目視できていた。そのグリムデーモンは、両手両膝を地につき、前屈みで伏せていた。狙われた背中は空を向いていて、よく分からないが、もう一撃を喰らった右足は、吹き飛ばせず出血が見られただけだった。
「カイト、一緒に右足を狙うぞ!多分相当皮膚が厚いんだ!それでも攻撃を散らすよりから集中させた方がいいはず、片足だけでも持ってければ、あとは…あとは、」
そこでハルミは言葉を詰まらす。仮にグリムデーモンの片足を持っていけたとして、その後はどうすればいいのか。残りの武器と弾薬だけで、片足を持っていったとしても、グリムデーモンはきっと這いつくばってでもドセアニア王国を目指す。そして、魔法も使えず、近寄りもできない自分たちは、ただただ、ドセアニア王国の終焉を眺めるだけで、仲間たちを見殺しにしてしまう。
「足を持っていった後のことは、その後考えましょ!」
「カイト…あぁ。そうだな!」
カイトとハルミは2人で肩を寄せ合い、右足に近づいていく。
「僕が先に撃つから、同じところを狙ってくれ!」
「わかりました!」
「撃つよ!」
ズババババババン!!!
ズババババババン!!!
リロードを挟みつつ、計300発を打ち切ったハルミとカイト。そして、撃つ手が無くなった2人は後退し両手を広げて合図を見せる。
「2人が戻ってきます!多分弾切れです!グリムデーモンの足も、吹き飛ばせてません。けど、相当出血してます!」
「2人の合流次第、右足にグレネードランチャーを当てましょう!」
「わかった!」
ハルミとカイトがマタタビらの元へ合流し、すぐにグレネードランチャーを発砲するマタタビとシュウ。2発のミサイルはグリムデーモンの右足に着弾。その光景をスナイパースコープ越しに見つめるソウヤ。
「2発とも右足に着弾!…?!何か、ピンクの肉と、白い骨らしき棒が確認できる!」
「?!…やったんだ!右足後方の肉は削いだ!もう少し負荷をかければ右足を吹っ飛ばせるぞ!」
「残り2発、これで確実に右足を吹き飛ばして動きを抑制させよう。」
マタタビとシュウは再び、グレネードランチャーに弾を装填し、狙いを定めて発砲する。
「喰らえ!バケモンが!」
カチッ!ズボンッ!!!!!
シュウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーードカンッ!!!!
カチッ!ズボンッ!!!!!
シュウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーードカンッ!!!!
グリムデーモンの足を支える強靭な骨を折ることはできなかったものの、その周りを固める肉を吹き飛ばすことに成功したマタタビたち。ほぼ全ての武器と弾薬を使い果たして、挙げた功績は右足の肉のみ。残りは、ほぼ効力を発揮しないスナイパーライフル1丁と弾薬55発。そして、マジックエネルギーガンが2丁とエナジーボトル6本。
「まあマジックエネルギーガンは魔法攻撃と似た扱いだし、もしかしたら有効なんじゃないか?…」
「まぁ、この2丁に賭けるしかないよね」
ハルミはそのままソウヤを見つめる。
「おい!僕を使い物にならないような目で見るなよ!スナイパーライフルが無力なだけだろ」
「本当射程だけ…」
「だから僕に言うな!」
「何はともあれ、少しは動きは止まったか…いや、なんだあれは」
夜の暗闇に光り輝く紫がかったピンク色の光に指を指すマタタビ。それらを見つめる一同は絶望に顔を染める。
「まさか…」
「あれは、あの時と同じだ…」
カイトは3年前の惨状がフラッシュバックする。
ピカンッ!スゥゥゥゥゥゥウウウウウウ、ビュン!!!!ボーーーーーーーンッ!!!!!
「光線かよ。」
「おい、ドセアニア王国が…爆発した」
グリムデーモンは、魔力をため、一筋の光線をドセアニア王国へ向け放つ。足が動かなくなれば光線で攻撃する。まるでハルミたちの今までの努力を嘲笑うかのような一撃であった。
「…ヒナさん、ミヒャ、」
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