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第二章 〜家族のカタチ

28話 『セナの狂気』

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 脱獄事件の一件から1ヶ月半が経とうとしていた頃、セナは改めて脱獄計画を立てていた。それは自分たちの技術ではどう足掻いても治癒魔法に到達し得ないと察したからである。たった1ヶ月半というべきか、1ヶ月半経ってしまったというべきか、セナを含め多くの者たちが魔法に触れてからそれだけの期間で多くの技を習得した。セナはほぼ全ての属性に適性を持ち、火、雷、土、風の4属性を水属性の高い強度を誇るシャボン玉で包み大気中に放出することなく形を保ったまま維持することができるようになり、両手を塞ぐことなくほぼ全ての属性魔法を複数同時発動するという常識では考えられない荒技をやってのけた。
 ハナは、火属性魔法の出力だけは他の誰よりも優れており、当時12歳にしてAランク高級魔法を使用することができていた。
 デモンズは、伸び代ありといった形で、まだ低級の土属性魔法しか扱えなかったし、ナギとカガチも同様のレベル。
 そして僕は、ハナにコツを教わるも全く魔法を発動できないでいた。
「どうして!どうして僕には魔法が発現しないんだ!みんなみたいにどうして」
「ゼクシード…」
 ゼクシードに期待を持たせる形で魔法を教えていたハナもこの件はどうしようもない。たったの1ヶ月半という捉え方をすれば、才能やセンスの問題もあり、セナや自分が露骨に才能を開花させるなか、デモンズやナギ、カガチたちが行き詰まっているのとゼクシードのことは大差ない話である。もう少し鍛錬を積んだり、もしくは体の成長によって魔法の才が開花することもあるだろうとハナはゼクシードを慰める。しかし、どれだけ低級魔法であろうとも扱える者とゼクシードを比べるのはあまりにも可哀想なことであった。それだけ1と0では明らかな差があった。
 その日、ゼクシードは魔法の鍛錬を放棄し、トールの元に足を運んでいた。
「トール…いいかな、」
「ゼクシード?どうした暗い顔して」
「足の具合はどうだい?」
 常に自分の腐りゆく足に手を添えて俯くトール。
「わからない。俺は医者じゃないからな。これがどんな状態なのか全く…」
 ただ医者でなくともそのどす黒い色と腐敗していく匂いには気づく。明らかに正常なものじゃない。
「僕は…治癒魔法を使えるようになろうと、ずっと、ずっと頑張ったんだ…でも、僕には才能がないらしい。みんなができることが僕にはできない。僕はどう君に報いればいいのか、セナに対してもだ、僕の身勝手な行動が、君の足やセナをこんな風にしてしまった…罪悪感で胸が張り裂けそうだ…」
「ゼクシード、お前そんなこと思ってたのか?」
「え?」
「足を怪我したのは俺の責任だ。土砂も事故だ。お前のせいなんかじゃない。むしろセナやお前に不幸な目に遭わせてしまったことを謝りたいくらいだ」
 トールは、ゼクシードには何の罪も責任もないと言う。むしろ自分がどじってしまったことで2人に迷惑をかけたと、そう語る。
「最近、お前とセナの間に亀裂があるのは気づいてた。それがあの一件が原因なのも分かってる。全部俺のためなんだろ?魔法だとか脱獄だとか、なんか奮闘してるみたいだけどよ、本当に気にしないでくれや!俺は大丈夫だからよ」
 ムードメーカーだけあって、トールはゼクシードをまた元気付けるために笑顔を振り撒く。それにトールは自分の足がすでに腐っていたことを自覚していた。なぜなら、指先にはもう力が入らないからだ。


「セナ、本当にやるの?」
「あぁ。この1ヶ月半、魔法について色々知れた。けれど、治癒魔法は全く身につく気配がない。やはり独学では限界がある。トールの足がどれほど持つのかも分からない。できる限り早く決行した方がいい。」
「「「…。」」」
 脱獄計画を聞かされ息を呑むデモンズたち。
「兵士たちの相手は俺がする。もし俺が間に合わないようなら戦闘面の指揮はハナが取れ。この中なら2番目に魔法に優れている。」
「分かった!」
「トールは…デモンズ、運べるか?お前が一番ガタイがいいし力もある。頼めるか?」
「も、勿論だ!オデが必ずトールを運び出すよ」
 決行は2日後。それまでにセナはもう一度ルートの下調べをする。真夜中、収容所の施錠を水属性魔法の流動性を駆使してうまいこと鍵を開け、採掘所を通り、灰色の扉を通過し最奥へ侵入。左から2つ目の扉。ここが外へ通じる唯一の扉。
「あとはここを魔法で…」
 ガチャリ!
 扉の施錠は簡単に開けられる。
 何の問題もない。あとはこの先の道がどうなっているか。1ヶ月半前にゼクシードと共に外の景色を見た時は、ズラッとコンクリートの壁が道なりに連なっていた。その先の監視体制は、数と配置、魔導士の有無。それを確認しなければならない。扉をそっと開け、外の世界に足を踏み出すセナ。
 
 扉を開けた先には、2人の看守が立っていた。
「しまっ」
「お前は?!脱獄未遂のガキ!またか!」
「どうやって鍵を開けたんだ?!」
「そんなのどうだっていい!捕まえろ!」
 セナは咄嗟に扉を閉め体全体で扉を押さえる。
 ドン!ドン!ドン!
 扉前までは前回と同じように簡単に侵入できたのに、今回に限って外に見張り番がいたなんて。
 扉を叩く音で耳を覚ます兵士たちは手前の部屋から何人か出てきた。
「?!奴隷だ!」
「あの時のガキだ!今回は容赦しないぞ」
 絶体絶命のピンチ。そんな状況下でセナの心の奥底に眠る獣が目覚める。

ーー殺せ。

 ブシャーーーーーッ!!!ブシャーーーーー!!!ブシャーーーー!!!
 気づけば目の前にいた兵士たちは全員が横たわっており、首と胴体が分かれていた。
 セナは無意識のうちに高圧放水で兵士たちの首を真っ二つにしていたのだ。
 ドンドンドン!
「おいクソガキ!そこをどけ!殺されたいのか」
 扉の向こうで必死に怒鳴りつけてくる兵士たち。
「うるせーな」
 セナは、高圧放水を扉に向かって放つと、鉄製の扉は最も簡単に貫通し、その奥に立つ一人の兵士の胸を貫いた。
「うぁぁぁぁあああああ!!!」
 ズタズタズタズタズタ!
 胸を貫かれた兵士か、それともその光景を見た兵士か、どちらかの叫び声が聞こえ、足音を鳴らして遠くに逃げていくのを感じた。
 サザン鉱山にて看守の任についていた5名を殺害するセナ。隠密で脱獄するつもりが、まさかの兵士の弱さに拍子抜けしてしまう。
「俺たちは、こんなカスどもに良いようにされてきたのか?弱いくせに人の命を弄んで、弱いくせに更に下ばかり探して痛ぶって!年寄りから子供までストレス発散の道具に使って!お前たちは!お前たちは!お前たちは!」 
 グチャ!グチャ!グチャ!グチャ!グチャ!
 転がる兵士の頭を何度も踏み潰し、怒りを吐き出すセナ。まるで自分がトールのためではなく、はなからこうしてやりたいと願った結果ではないこと思わせる感情の高鳴りと高揚感。今この瞬間だけはトールのことなど忘れて、復讐心が心の全てを満たし尽くす。
「あぁ…これだ…これが欲しかったんだ…ハァア///」
 ウーゥ!ウーゥ!ウーゥ!ウーゥ!
 セナが5名の看守を殺害してから数分後警報が鳴り出す。ドアの向こうで仕留め損ねた兵士が通報したのか。セナと同室にいたゼクシードは部屋の檻の鍵が開いてることに気づいて飛び出す。
「セナ?!」
 セナがいるところは十中八九灰色の扉の向こう。そう思い採掘所を目指して走ると、前から顔や服に返り血を浴びたセナが現れた。
「セナ…」
「ゼクシードか。俺たちは今からここを抜け出す。トールを連れてだ。お前も自由に生きろ。外の世界に広がるコンクリートの壁は一部壊しておいた。運が良ければ生き延びられるだろう」
 そう言い残して、ゼクシードから距離を置き、トールらいつもの面子を回収しにいくセナ。
「セナ!僕も一緒に」
「ならトールを運べ。魔法が使えない分戦闘以外で働け」
「わかった!」
 トールを助けたいという気持ちはセナも僕も同じだと分かっている。だからセナも僕に最後のチャンスをくれたのだと、ゼクシードは思い込む。しかし、今のセナにとってゼクシードなど歩兵やポーンと同じただの駒でしかなかった。
 ハナたちを起こし、すぐにサザン鉱山を脱出しようとする一同と前に立ちはだかるサザン王国の兵士たち。
「下がってろ。全員まとめて殺す」
 セナは片手で2種類の属性を操ってみせた。それはシャボン玉に包んだ火と雷と風と土のマナ。それらを空中で複合させ、紫色のエネルギー体を創り出す。
五属性魔法フィフス・エレメント・デストラクション。」
 5つの属性を組み合わせたフィフス・エレメントの破壊力は、想像を絶するものであり、目の前に並ぶ多くの兵士たちを巻き込み、さらにはサザン鉱山の岩壁を打ち破り、その先の山々破壊してしまうほどの光線だった。

ーーこれが、今のセナの実力…。まるで悪魔じゃないか。

 魔力適性の無いゼクシードや、無抵抗のままやられたサザン王国の兵士たちにとってセナという存在は悪魔やバケモノと同じであった。

 
 その夜の出来事は今でも鮮明に覚えている。燃える山々、数分後に全て崩れ落ちたサザン鉱山、当時13歳だった自分たちにとっては驚愕の光景であったからだ。
 
 その夜は行くあてもなく、ただただ歩き続け、サザン王国から離れることだけを目的として進んでいた。

 幼い頃に戦争に巻き込まれ戦争孤児としてサザンに幽閉され、奴隷として扱われてきた僕たちにとって、外の世界は未知と同等だった。金銭感覚や街の常識なんかは全くわからない。あいにくドセアニア周辺地域はどこも戦争真っ只中で、国内の仕事手が不足していたため、13歳、14歳でも肉体労働なら簡単に見つけれた。サザン鉱山から出ても僕たちのやることは変わらず採掘や土木といった肉体労働であったが、いち早くお金を集めてトールを診察してもらわなければならなかったため、頑張った。
 セナとハナはよく2人で行動することが増えた。何か特別な関係にでもなったのか、それとも魔法が関係しているのか、特に才能のある2人の行動は僕ら凡人には分からない。そして僕は、採掘、土木の仕事が終わったあとはよく図書館に通うようになり、医学について学ぶことにした。治癒魔法は使えなくともこれから先何かの役に立てればと、トールのことにいつまでも責任を持っていたからか、僕は医学の道に興味を持つ。そして、デモンズは土木工事の仕事関係で土属性魔法の練度を高める必要があるとかなんとかでいつも帰りが遅くなっていた。けれど、その成長も目覚ましく、日に日に変わるデモンズを見て羨ましく思う自分がいた。ナギとカガチもそれぞれが職を見つけ、やっとのことで金貨30枚を貯めた僕らはトールを病院に連れて行き、足の検査をしてもらうと、もう時すでに遅し。脛を中心に太ももの半分までも腐敗が進んでおり、トールは左太もも下の切断を余儀なくされた。

 それからトールは義足での生活が始まり色々と苦労をしながらもなんとか1人で歩けるようにまでなった。何はともあれ目的の一つを果たした僕らは、その後は新しい目標が見つかるわけでもなく、ただ漠然と今就いている仕事を淡々とこなす日々が続く。まるでサザン鉱山に収容されていた時と変わらない。
 
 サザン鉱山を脱出して3ヶ月ほどが経過したある日、セナは密かに奴隷解放運動を名目としたサザン王国、ならびにドセアニア王国に対する復讐活動を始めるようになった。それについて僕らが知るのはもっと後の話。1人でも相当な戦力のセナと、その付き添い役程度にハナがおり、2人はいくつかの小規模国家の奴隷たちを解放して回っていた。その恩義に報いるために解放された奴隷たちはセナたちを崇め、ゲイブスという、革命を謳った組織を作り上げたのだ。程なくして、デモンズ、ナギ、カガチも靱に合流し、残るは僕とトールの2人だけになってしまったが、2人で話し合った末に、靱に加入することとなる。

 これが靱発足までの流れである。
 
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