グレイロード

未月 七日

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第一章 〜冒険の始まり

3話 『クリアス』 アケル・インナヴィ号編

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 マグルミの森を抜けてから1時間半、色々な村や街に訪れたが、マクアケ村から約6時間かけて歩いてきた目的の地、大都市・クリアスの巨大門を潜るグレイとマタタビ。
 大都市・クリアス。総人口212万人、その大半が高い魔力適性を有しており、クリアスの文化と技術の発展に大きく貢献してきた。
 マクアケ村では見たことがないようなとても高い5、6階建ての家が立ち並ぶ。
「何ですかあの建物は!」
「あれはマンションと呼ばれる集合住宅だな。もちろん一人で住んでるわけじゃなく、多くの家族が一部屋一部屋借りて住んでいるんだよ」
「なんと」
 初めて見るマンションという巨大な建物に驚きを隠せないグレイ。
「あれはなんですか!」
 グレイが指差した先にあったのは自動で動く乗り物だった。
「あれは魔動車だな」
「マドウシャ?」
「魔動車。自分のマナを注ぎ込み、それをエネルギー源として動く乗り物だ。乗り心地もいいし、結構便利な乗り物だが、何分大量のマナを消費してしまうし相当な金額するからなぁ。金持ちでマナに余裕がある者しか持っていないイメージがあるが。まあ例外として通勤通学のために作られた大型魔動車っていう乗り物が都市中を巡回してるけどな」
「あれですね」
 グレイが指差したのは、まさに大型魔動車だった。多くの人たちが乗り降りして、次の目的地へと向かって出発する大型の乗り物。6時間かけて20キロメートル越えの道のりを歩いてきたグレイにとっては夢のような移動手段だった。欲し過ぎたつい目がキラキラしてしまう。
「色々なものに興味を持つのは良いことだが、そろそろ日も落ちて暗くなってくる頃だ。宿を借りてご飯を食べに行こう」
「そうですね!お腹ぺこぺこです」
 野菜炒めを食べるためここまで頑張ってきたと言っても過言ではないグレイ。マグルミの森を抜けた直後の子供と同じとは思えないほどに上機嫌に戻っていた。

 二人が取った宿はベッドが二つ用意された部屋であり、一泊金貨3枚の部屋だった。内装は白基調の清潔な感じで、さすがは大都市の宿といったところ。
 ハッキリ言ってじいじと住んでいた家よりも借り物の宿の方が豪華だった。そんなこと言ったらじいじは悲しむだろうけど。
 時計の針も19時を指そうとしていたところ。食事時のピークということもありどこのレストランも満員状態だったため、グレイには食事を我慢させ、先にクリアス1の規模を誇るセントリア大図書館へ足を運び、魔法学についての書物を何冊か借りてグレイへ貸し与えた。
「これは借りたものだからな。決して破ったり汚したりするんじゃないぞ」
「わかりました!」
 素直でよろしい。
 魔法学についての書物。たとえ魔法が使えないからと言っても、この世界にどれほどの種類の魔法があり、いくつ属性があり、どんな効果や力を秘めているのか。それらを学ぶ事は魔力適性の有無に関わらず知っていて損はない事。グレイに対してある程度の魔法が効かないとしても、毒や麻痺などの副効果をもつ呪い的なものまで効かないとは限らないからだ。
「マタタビさん、あの…その…」
「なんだね、ハッキリ言ったらどうだ」
「絵本的な…物語的な…そういう本を借りてはダメですか?宿で読みたくて」
 絵本か…。童話の類だろうか。しかし、それは…。
「ダメだダメだ。旅の目的を忘れるんじゃない。魔法を使えるようになるためクリアスまで足を運んだのだ。魔法の勉強をしなさい」
 すこし不満そうな顔を浮かべていたが、それでも分かりましたと素直に言えるのがグレイだ。
 
ーーぎゅるるる。
 空腹の限界がきたか、セントリア大図書館に響き渡る大きなお腹の音。
「マタタビさん…もう、」
 限界です。
 声にならない声が聞こえてきたような気がした。もうそろそろ20時になりそうか。レストランも少しは空いて席も座れる頃だろう。さすがに我慢をさせ過ぎてしまったな。運動よりも勉学の方がエネルギーを消費するという研究結果がある通り、腹を空かせた子にさらに追い討ちの1時間の勉強をさせていたからな。
「野菜炒めを食べに行こうかグレイ」
「は…い…。」
 我慢のさせ過ぎで死にかけてるな。

「うんまーーーーーーー!!」
「声が大きいぞ!!!」
 シーッという人差し指を立てて口元に置き、静かにというジェスチャーをするマタタビ。それほどまでに大きい声はレストラン中に響き渡り、周りのお客さんはクスクスと笑っていた。
 レストランにて頼んだ豚肉と三種の野菜炒め、白米付き。その野菜炒めを絶賛するグレイ。
「マタタビさん!このキャベツすごいシャキシャキしていますよ!それにこのニンジンも全然苦味がないです!それに何と言ってもこのタマネギ!甘いんです!火入れが完璧なんでしょうね」
 野菜についての感想ばっかりだな。このくらいの歳の子は、肉、肉、肉って感じで、たとえ野菜炒めといえど豚肉の感想とかを言うのかと思っていたのだが、ニンジンの苦味についてやタマネギの火入れ加減について語るとは思っても見なかった。
「喜んでくれたならよかったよ。沢山食べなさい」
「むふふ、おいひいでふ」
 むしゃむしゃと咀嚼する口と運ぶ手が止まらない。あっという間に一皿平らげてしまうと物足りなそうな表情で見つめてくるので好きなだけ頼みなさいと言ってやると、今度はもやし増し野菜炒めを頼んでいた。本当に野菜が大好きなんだな。

「「ごちそうさまでした」」
 食事を終え、レストランを出て宿へ向かう二人だったが、どうにも足元がおぼつかない様子のグレイ。食べ過ぎて動けなくなったのかと思えば、眠気に襲われてフラフラしているだけだった。一日中歩き回ったから仕方ないか。
「グレイ」
 グレイの前に出て背中を丸めてしゃがみ込むマタタビ。その姿勢はおんぶだった。
「なんですかマタタビさん」
「あら?おんぶ知らんのか?」
「オンブ?」
「眠いのだろ?危ないから背中に乗りなさい。宿まで運んであげよう」
 マタタビのいうおんぶ。小さな魔動車みたいで何だか興奮するグレイ。
「オンブーー!お願いします!」
 もしかして眠気が吹き飛んでしまったかな。
 マタタビの背中に乗り腕の間に足を入れ背負ってもらう。マタタビはグレイを軽々と持ち上げてみせ、宿へ向かい歩き出す。
 一歩一歩進むごとに揺れる背中。その背中の暖かさ。初めて見る大人が見ている目線。
「オンブ、いいですね…」
「そうか」
 なぜか周りから視線を感じる。
 周りの通りすがりの都市民たちは、まるで仲のいい親子を見ているかのような目で見守る。どうしてか急に恥ずかしくなりマタタビの背中に顔をうずめる。その顔や耳は真っ赤かに色付いていた。
ーー息子か。

 故郷の村であるマクアケ村から始まり、25キロメートルほど離れた遠い土地大都市・クリアスまで11歳にしてはとてつもない距離の大移動をした旅の1日目。
 魔法の基礎を実際に体験し、応用魔法や多種多様な属性の魔法について教わり、色々な生物と相対してその危険さを学んだ。何よりじいじ以外から貰った初めてのプレゼントであるナックルナイフ。
 多くのものをもらい、多くを学んだ1日目。果たして2日目にはどんなことが待っているのか。ベッドの中で明日が待ち遠しくてソワソワし出すグレイだったが、それに気づかぬマタタビではなく、しっかり寝て明日に備えなさいと怒られたため目を瞑り羊を数えて無理やり眠りにつくことにした。

 自然と目が覚めるグレイ。髪はボサボサで口の中は不味くてドロドロする。
「さっさと顔を洗って口をゆすいで来なさい」
 マタタビに言われた通りに洗面台へ行き冷水で顔をバシャバシャと洗い眠気を吹っ飛ばさせる。口をゆすいでから再びマタタビの下へ戻るとマタタビは少し不機嫌そうだった。
「なんかピリピリしてますね。何か嫌なことでもありました?」
「何時だと思っているんだグレイ」
 何時とは?とふと部屋に飾ってある時計に目をやると、短針は10の数字を指していた。
「じゅ、10時?!もうそんな時間なんですか」
「そうだ!もう少しで1日の半分を使い果たすところだったぞ」
 そんな、どうして。村で住んでいた頃は自然と目が覚めた時はだいたい6時か7時くらいで日課である畑の手伝いに向かっていたというのに、体内時計が狂い過ぎていた。
「いつもはこんなんじゃないんです。いつもは」
「昨日は疲れてたくせに、夜中ソワソワして眠れなかったからだろ?初めての旅で舞い上がる気持ちはわかるが、規則正しい生活を送らなければ独り立ちした時に困るのはグレイ、君自身だぞ」
「すみません。気をつけます」
 トホホ。朝から災難だ。
 グレイの旅の2日目は災難な事から始まってしまった。
 
 改めて気合いを入れ直しマタタビの教えを乞うグレイ。
「今日は何をするんですか、マタタビさん」
「まずはグレイ、君には魔法に触れてもらおうと思う」
「魔法にですか?僕なんかが魔法に」
 魔力適性の無いことを常に気にしているグレイだったがそんなグレイにも魔法に触れられる手段があることを教えるためにこの大都市・クリアスまでやってきたのだ。
「では早速、ウエスト大陸最大級の魔道具店へ行ってみようか」
 マタタビのいうウエスト大陸最大級の魔道具店というのは、ここクリアスの北東側にあるマンション級にでかい出店の集合体施設であるデパートという建物一色全てで魔道具が売られている。クリアスデパートと都市民は呼んでいた。その施設には何十というお店に何十、何百という人々が通いつめていた。さすがはマジックシティというべきか、人単位の魔道具の購入量がとてつもない。カゴいっぱいに魔法書を詰め込んだり、巻物を入れたり、宝石などがついたアクセサリー類や杖を買う人たちもいた。あれらの装飾品も魔力を底上げしたりする力があるのだろうか。
 それにしてもすごい数の人だかりでマタタビに常にくっついていないとハグれて迷子になってしまいそうになる。
「どこへ向かうんですか」
「4階にあるマジックガン専門店に行くんだよ」
 マジックガン。魔法を撃てる銃のことだろうか。魔動車と同じできっとエネルギー源や核となるものは自分のマナなのだろうと勝手に思い込んでいたグレイ。自分とは無縁な魔道具に違いない。そう思っていたグレイの期待を簡単に裏切るマジックガンというアイテム。

「これって」
「マナバレット。マナを弾丸に閉じ込めて保存したエネルギー弾だな」
「この弾丸に閉じ込めてあるマナは無くならないんですか?」
「もちろん化学製品だから経年劣化によるマナ漏れはあるが、消費期限をまもればマナバレットとしての機能は果たすよ」
 このマナバレットをマジックガンに込めて撃つだけ。これなら普通の拳銃と同じで、特別なことは何もしなくていい。魔力適性の無い僕にも扱える魔道具。
「魅力的だろう。相当気に入ったみたいだが、購入希望でも買う前に注意点をいくつか話しておこうか」
 マジックガンを扱う上での注意点。
「1つ目。マナバレットに込められたマナは勿論他人のだ。これを商品化している企業が雇った従業員のマナが使われているため、品質はそのブランドそのブランドでピンキリだ。1ケース作るのにもそこそこなマナが使われているため複数人規模の従業員のマナをブレンドして込めている。年齢やその日の体調によって品質が左右され、例え同じブランド品であっても性能の誤差は生じてくる」
 この弾丸を1ケース作るのにもそれだけの人が関わっているのか。魔法を簡単に扱えてしまう人にはどうということのない話だろうけど、魔力適性の無い自分にとってはとても新鮮な話だった。
「2つ目。これはグレイには関係ないが、基本知識として覚えておけ。元々マナの込められているマナバレットに自分の魔力を上乗せ、つまり纏わせることは絶対にやめた方がいい。自分のマナと他人のマナ、相性が悪ければ反発し合い、込められたマナは炸裂する性質を持つ。マナバレットとはいえ火薬で押し出すという拳銃本来の原理はそのままだから、簡単にマジックガンが壊れてしまう。どころか爆発して怪我を負ってしまう。頭の片隅にでも入れておけ」
「最後に3つ目。属性弾エレメント・バレットには気をつけなさい。」
「この、ケースに火とか水とかが書いてある弾のことですか?」
「そう、それだ。属性魔法は自分のマナの性質を変えたもののことで、火属性魔法を作った上でそれを水属性魔法に変えることはできない。さらに、一度作った属性魔法を持続させるのには通常より多いマナが必要となる。したがって、エレメント・バレットっていうのは無属性の通常マナバレットよりも消費期限が早く設定されている。そして連続して違うエレメント・バレットを使用することはできない。というか正確にはしない方がいい。弾丸から劣化で少しずつ漏れ出した水属性魔力が銃口内にこびりついた状態で火属性のエレメント・バレットを使えば魔力が弱まるのは火を見るより明らかだ。逆に風属性と火属性の弾を連続して使えば、魔力は増してオーバーヒートを起こしかねない。これも最悪事故に繋がる」
 火、水、雷、土、風の5属性とそこから派生する他の属性の相性図を理解した上で、考えた方が良さそうだ。
「これらを踏まえた上で、買うか買わないかは自分で決めなさい。ただ間違いなく、今のグレイが扱える唯一の魔法と言っても過言じゃない。正直私には、他に魔法に触れれる手段を見つけてやれなかった」
 魔力適性の無い僕が、唯一扱える魔法。マジックガン。この機会を逃せば一生魔法に触れれる機会は訪れないかもしれない。
「使ってみたいです…マジックガン」
「そうか。なら一丁買って試してみるか」
 グレイが選んだモデルは、シルフM2011。白基調に黄緑のラインが入ったファンタジーさのあるマジックガン。お値段金貨12枚。1ケース50発入りの通常のマナバレットを1ケース購入。お値段金貨2枚。今泊まっている豪華な宿の約5日分の値段に匹敵する買い物となった。痛い出費だが、これも魔力適性の無い弟子に魔法を体験させてあげるため。

 場所を変え、クリアスの外にある河川にて、マジックガンの試し撃ちをしてみることにした。
 下にあるマガジンに弾を込めてスライドを引っ張る。あとは引金を引くだけでマナバレットが発射される。他の実弾銃と仕様は一緒。
「いきます」
 河川に並ぶ大きめの岩に狙いを定めて1発放つグレイ。
 ビュンという風を切るような音と共にマナバレットが発射され岩を簡単に打ち砕いてしまう。
「軽いです、それに反動もなくても、使い易いです」
 マジックガンの特徴の一つ。全体的に軽量モデルであること。鉄があまり使われていないこと。そして反動がほぼ無いこと。魔法が使えるものにとっては特別優秀な武器、強い武器というわけではないが、他と比べても差別化できているポイントがあるマジックガン。デメリットは自分のマナを込めない方がいいこと。しかし、メリットはマナを込める工程なく強力な魔法攻撃を放てること。一瞬の判断で状況がガラリと変わってしまう戦闘において、ノータイムで魔法が出せるのは強力と言える。
 それに魔法が使えない人でも扱うことができるというマジックガン最大のメリット。魔力耐性を持ったグレイから一方的に繰り出されるマジックガンによる魔法攻撃。理論上は相当強い組み合わせだと思うが、果たしてどうなるか。

 マジックガンの試し撃ちを終え、一度クリアスへ戻って昼食を取ろうとした矢先、クリアスの中央広場にて多くの人だかりができていた。それに釣られるように足を運ぶと群衆の隙間からかろうじて見えた自分より何歳か年上だろう少女の姿であり、周りとは雰囲気の違う青と白の派手目な衣装を身に纏い、片手にマイクを持って歌う姿勢。その後ろに構える黒くて大きな音響機器とアシスタントたち。
 初めてみるイベントごとに興味がそそられるもの、背の高い大人たちばかりが密集して、窮屈で前もよく見えない。前の少女見たさに奮闘していたグレイを見兼ねてか、グレイの体を軽々と持ち上げるマタタビ。
「うわぁあ。ありがとうございます!」
 目の前に見えたキラキラした少女。赤、青、黄、緑のライトを展開して、群衆を煽るような演出。周りの客たちも腕を上げて少女の歌う姿に対して盛大に応援していた。
「なんですかこれは」
「歌手?かアイドル?か呼び方は人それぞれだが、総じて音楽文化の一つだよ。歌って踊ってお客さんを楽しませ夢を与えていく曲芸師に近い職業だな。にしても凄いな、今日はこんなイベントごとがあったのか」
 歌手、アイドル、夢を与える人。キラキラの光の中で気持ちよさそうに歌う姿。それに興奮を隠せない周りのお客さんたち。辺鄙なマクアケ村では絶対に見られない光景。アイドルの後ろで鳴り響く機械も初めて見たし、こんな高級そうな衣装を身に纏った人も村では絶対に見ない。常に文化の最先端を走る大都市ならではのイベント。
「すごいです!」
 アイドルに対しての興味関心の有無に関わらず、物珍しさに都市中の人々が注目する中、怪しげな行動をみせる身なりの悪いものたち。グレイを抜いてここらではあまり見かけないような山賊風の毛皮着を着用した田舎者。常に大きなナタを腰に添え、周りをキョロキョロ見回す不審な男たちをマタタビは見逃さなかった。
「何やら一悶着ありそうだな」
 人混みを割っていき、不審な動きをとる男たちに接近していくマタタビ。
「グレイ、少しの間おとなしくしていてくれ。あの少女の歌う姿をじっくりと見ていなさい」
「?…。はい」
 大きな楽曲の音と大歓声の中、マタタビの発した言葉がうまく聞き取れなかったグレイ。それでも今はアイドルの動きに目が釘付けであったため、とにかく返事をしてイベント事を楽しむことにする。
 グレイを前に抱えながら、不審な男にぶつかるマタタビ。
「痛ぇーなクソジジイ!」
「申し訳ありません。この人混みでつい…失礼しました」
 偶然を装うように不審な男にぶつかり、腰あたりに手を触れてすぐ人混みを抜け出した。
「もう終わりですかーマタタビさん」
「そんなに気に入ったか、あのイベント」
「はい!村にいた頃には、こんな体験したことなかったので」
「文化的にも経済的にも発展した大都市を回れば色々なイベントごとに触れれる機会があるからな、もっと見たければ1日でも早く独り立ちできるよう精進することだな」
 クリアスだけじゃない。色々な大都市をまわり、そこ固有のお祭りやイベントを体験する。それも冒険の醍醐味。
 早く一人前になるぞー。

 二人は元々の目的である昼食を食べにパン屋さんに寄っていた。
 外のイベントが盛り上がっている間、店内はがらがらで小さな店内でも快適に歩き回れた。
 棚に置かれる何十種類もの加工パン。ソーセージが入ったもの。チーズが入ったもの。チョコが入ったものに、亀の甲羅のような見た目の黄色いパン。グレイの知るパンというのは一般的な食用パンであり、四角くデカいものをスライスして食べるものだったが、こんなにもの多種多様な見た目と具材の多さに驚きを隠せない。
「なんですかこの亀さんは」
「メロンパンかな。甘いし外はサクサク、中はふわふわした食感でとても美味しいぞ」
 この世界に甘い味のする食用パンが存在するなんて。グレイはメロンパンに目を輝かせていた。
「他にもグレイは野菜が好きなら、サンドウィッチもあるぞ」
 サンド…ウィッチ…?挟んだ魔女!!
 単語の直訳で末恐ろしい生き物を生み出してしまうグレイ。
「無理です無理です!サンドウィッチ無理です」
「どうした急に。サンドウィッチってのはレタスやハム、トマトや卵など色々な具材をパンで挟んだ食べ物だぞ。きっとグレイも気にいると思うけどな」
「へぇ??」
 色々な具材をパンで挟んだ食べ物?複数人の魔女の肉を挟んだものじゃなくて?。

「ぷ、ははははは。なんだそれ」
 自分の想像していたサンドウィッチについてマタタビに大笑いされてしまい、顔を赤らめてわかりやすく恥ずかしがるグレイ。
「魔女を加工した食べ物なんかあってたまるか(笑)」
 紛らわしい名前をした食べ物だなとサンドウィッチ相手に文句を垂れるグレイだったが、マタタビの話を聞く限りでは、サンドウィッチ、とても美味しそうな食べ物だった。サンドウィッチにも沢山種類があり、中の具材が全然違う。やっぱりこのレタスとトマトが入ったサンドウィッチを購入しようかな。
「マタタビさん、僕このサンドウィッチが食べたいです」
「"野菜たっぷりサンド"だな」
「はい!」
 今日の昼食を決めた直後に店の奥から店主の妻が大きな銀トレイを持って出てくる。
「出来たてあがったよーーー!!」
 店中に響き渡る大声。
 タイミングがいいなと、歩み寄っていくマタタビ。それに釣られグレイも付いていくと、そこには、ホカホカな熱を持った出来立てのパンが並んでいた。凄い香ばしい匂いと少し離れた場所からでも感じる温かさ。
「あの!あったかいサンドウィッチはありますか!」
 出来立てのパンに興奮するも、そこにサンドウィッチが無くて、店主の妻へ食い気味に聞くグレイ。しかし、温かいサンドウィッチというものには聞き馴染みがなかったので困惑の表情をみせる店主の妻だったが、少年へにこやかな笑顔を向け「はいよ、ちょっと待っててね」と返答して厨房へ戻っていく。
 多分この店にサンドウィッチという食べ物は存在しない。けれど店主の妻の御好意でパンに焼き色をつけ、ホカホカのパンにフレッシュな野菜を入れた温かいサンドウィッチをアレンジ料理として作ってくださったのだ。

「うおおおお!」
 グレイの目の前に出された少し湯気をあげた熱のこもったサンドウィッチ。
「ありがとうございます!おばさま」
「あらまあ素直な子ね!これくらい良いのよ」
 11歳の少年の満面の笑みに心撃たれる店主の妻。
「それじゃあサンドウィッチ代と特別料金…」
「あんたバッカじゃないの!子供相手にケチな商売してんじゃないよ!みっともない」
「だけどよーー」
 グレイの願いを聞いたことで喧嘩する店主とその妻。どうしたもんかと困り引き気味のグレイだった。

 宿が近かったため、一度宿へ戻り持ち帰ったパンに手を伸ばす二人。マタタビは出来立てのクロワッサンとガーリックトーストを、グレイは頼んで作ってもらった出来たてサンドウィッチを食す。
「とってもおいひいです、この温かいサンドウィッチ」
「そうかい、よく噛んで食べなさい」
「はい!」
 温かいサンドウィッチを頬張るグレイ。子供の笑顔というものはいつみても癒されるものだな。
 昼食を食べ終え、少し休憩した後で残りの時間について話し合う二人。時間は13時ちょい過ぎ。レストランの混雑時間を避けるために少し早めの17時には切り上げるとして、だいたい4時間。
「とりあえずは購入したナックルナイフとマジックガン、この二つの武器を扱えるようにすることと、体づくり。これらを中心に鍛えていこうか」
「わかりました!」
 街に出ると、先ほどまで出来ていた人混みは解散して、昨日と同じようないつも通りの中央広場に戻っていた。特に何か特別な事象や事件も起きておらず、考え過ぎだったかなと目線を戻すマタタビ。クリアスを出てマジックガンを試し撃ちした河川に戻り、修行を始める。
 まずは体づくりから。河川の往復走り込みと腕立て腹筋という筋肉トレーニングを開始する。
「手に石が刺さりますーー!いてぇーー」
「それくらい我慢しろー」
 グレイにとっては悪環境の中での修行。走りにくい砂利道を走らされ、腕立ては手に小石がめり込み、腹筋は背中とお尻に小石が刺さる。
「いてぇーーー!うわぁーー!きぃーー」
 動物の鳴き声にも聞こえるような悲鳴をあげ続けるグレイに対して、まだまだだなと呆れ顔のマタタビ。
 マタタビの課したトレーニングメニューをこなして凄い息切れをするグレイ。
「ハァ…ハァ…終わった」
「次はナックルナイフを持ちなさい。ダガーやナイフにも長剣同様に先人達が磨き伝えてきた型というものが存在する。簡単に言えば一番効率的に力を発揮し有効的に使える構えや攻撃動作のことだな」
 ナックルナイフの持ち手に指を通して、強く握りしめる。そして構えをとってみるグレイ。不慣れで不恰好な構え方を直させるマタタビ。
「まずは、脇を締めなさい。ナイフはリーチがない分手数やスピード、鋭さで勝負する武器だ。よりコンパクトに、構えて0から100のギャップ差を利用して戦うのだ」
 リーチの短さは大きなアドバンテージになる。間合いが近ければ近いほどそれだけ魔法や弾丸は当たりやすくなる。リーチのある長剣や槍が扱えないのはグレイに筋力が無いから。それはしっかりと割り切って今使える武器でやれることをやる。まずはナイフをマスターすること。同時にやってる筋力トレーニングや体の成長に合わせて長剣や槍も使えるようになっていけばいい。
「脇を締めて…0から…一気に拳を前へ出す!」
 ナックルナイフが空を切る。言われたことを素直に体現する。これであっているかは今のグレイには分かるレベルに達していないが、とにかくマタタビの言う通りに修行していく。

 午後から修業を開始して、早3時間。
「残り1時間、集中しなさい」
 11歳にはとてもキツいトレーニング量と集中した3時間修行。それでも弱音を吐かずに頑張るグレイ。
「1…2…3…4…」
 構えて切る。構えて切る。一つ一つの動作を丁寧にこなしていく素直さは、やはりグレイの一番の武器とも言える。
「よし、いいだろう。少し休憩してから後の数十分はマジックガンを使い、動く的に当ててみようか」
「動く的ですか?」
「わしが魔法で火の玉を出そう。それ打ち消すように当ててみなさい」
「わかりました!」
 3時間半にわたる肉体を酷使させたトレーニングを終えてもまだまだ集中力を保てているなんて、日々の農作業の賜物か。それとも生まれつきの才か。どちらにせよこの2日間を共にして、見えてくるグレイの弱点など魔力適性が無いことくらいしかない。それに魔法の対抗手段として魔法が使えなくとも、魔法を耐え抜く体質を持っているために、魔力適性が無いことが大きなアドバンテージになるとも思えない。この子は、やはり冒険者としての素質があるのかもしれない。
「休憩大丈夫です!お願いします!」
「よし、始めるぞ」
 マタタビが火の玉を出し、それをマジックガンで撃ち抜く修行が始まった。

 夕方17時。
 クリアスの宿に戻り、汚れた体を洗い流すグレイとマタタビ。外出する支度をし、夕食を食べにまた出かける。
「今日は何にしようか」
「野菜炒めですかね」
「2日連続は勘弁してくれ」
 ご飯の話になると一言二言目にはもう野菜炒めというワードが出てくる始末。恐ろしいほどの野菜絶対主義者だな、この子。たまには子供らしい食べ物を頼んで欲しいものだな。そうあたりキョロキョロしていると、ハンバーグと書いた看板を出しているレストランがあった。
「ハンバーグなんてどうだ?嫌いか」
「なんですかそれ」
 ハンバーグも知らないのか。子供が好きな食べ物トップ3には入ってくるような食べ物なのに、逆に野菜炒めと食パン以外に何の食べ物を知ってるんだ。
「まあとにかく初めてなら食べてみるといい。きっと美味しいぞ」
「なら是非」

 ジューっと音を立て油の弾けた黒い鉄板が二人の前に置かれる。真ん中には茶色の物体と色鮮やかなニンジンとブロッコリー!ハンバーグという食べ物に目を輝かせるグレイ。
 ああ。多分この子はきっと、端に添えられたぶつ切りのニンジンと3、4個に分けられたブロッコリーに対して目を輝かせているのだろうと呆れるマタタビ。メインはハンバーグだというのに。
「いただきます!」
 両手を合わせて元気よく発し、右手に持ったフォークでニンジンを突き刺し口へ持っていく。
「おいひー。熱々でとても甘いです」
 ただ茹でただけのニンジンにそこまでの感想はいらないだろう。それに、あんまりハンバーグに添えられたニンジンへ真っ先に手を伸ばす子供は、世界中探してもこの子しかいないだろう。
「ハンバーグってのはこの真ん中にあるひき肉の塊だ。こっちを食べなさい」
 マタタビに勧められハンバーグに四角く切れ込みを入れ、フォークで刺して食べてみる。瞬間、グレイの体に電撃が走る。
「ん、ん、うんまい!!です」
 そうだろう。子供らしい反応だ。
「添えられたニンジンとどっちが…」
「ニンジンです!!」
 は?!。冗談だろうきっと。そうに違いない。いや、そんなことあっていいのか。茹でただけのニンジンと、選び抜いた豚を、ミンチにして、捏ねて丸めて、焼いて、手間暇かけて作ったハンバーグ。何で前者が勝つんだ。全く子供らしくない。
 子供が大好きなハンバーグよりもニンジンやブロッコリーを選んだグレイに驚かされながら終える夕食。飲み物でも多分、コーラより野菜ジュースの方が好きとか言い出すに違いない。体中緑黄色に染まってしまうぞと不安になるマタタビだった。

「この後はどうしますか?マタタビさん。もう僕はクタクタです」
「そうだなぁ。ハードな修行だったから早めに切り上げて休眠を取るのもいいが、少しだけ語学に触れようか」
「語学ですか?」
 幼学院で習った人語。物心ついてすぐくらいだったから、凄い勉強したという記憶はないけれど、生活に支障がないくらいには話せるはずだけれど。
「小学院で学ぶレベルのことですか」
「んーー。日常会話は普通にできるてるし、何ら違和感もないからな、人語についてはいいんじゃないか」
 それならば、何について学ぶのだろうか。人語…以外?なんてあるのだろうか。

 毎度お馴染みセントリア大図書館へお邪魔する二人。テーブルについて待っているグレイへマタタビはいくつかの書物を持ってきた。一冊目「獣人語について」。二冊目「スカーリーウルフと3匹の羊、獣人語訳」。三冊目「エルフ語について」。四冊目「スカーリーウルフと3匹の羊、エルフ語バージョン」。この四冊だった。言語については辞書的な分厚めの本で、他二冊は人語で描かれた童話に、それぞれの種族語訳が下に書かれたもの。
「獣人とエルフというのは」
「グレイは見たことがなかったか。ウエスト大陸の最西ではあまり見かけないかもしれないが、いるんだよこの世界には。獣人もエルフも、その他にも多種多様の人々が」
 エルフに獣人、その他多くの種族たち。マクアケ村には一人もいなかったし、他の村々や二つの都市に足を運んだが一人として確認することはできなかった。他の場所や他の地方には存在するみたいで、会ってみたい。
「すべての種族の中で一番数が多く、文明的にも経済的にも目覚ましい進歩を遂げたのが人間であるために、世界の共通言語は人語になっているが、それでも中には人語を話せない者たちも沢山いる。そういった人々とうまくコミュニケーションを取るためにも他言語を覚えておいて損はないぞ。それにこういうことは若い頃の方がよく頭に入るしな」
「そういうものなんですか?」
「そうだとも。この歳になって何かを学ぼうとすれば、昔の4、5倍の時間はかかってしまうかもな。はっはっは」
 盛大に自虐を披露するマタタビだったが、今まで彼のいうことに間違いはなかったために、こういうことは本当に今のうちに覚えないと後々苦労するのだと思った。
 獣人語とエルフ語、とりあえずはこの二つを覚えて、余裕があれば他の言語にも触れてみよう。そう意気込み始めた語学の勉強。

旅の2日目。河川にて、筋力トレーニング、ナイフ術、銃術の修行。そして、セントリア大図書館にて、獣人語とエルフ語についての勉強。
 時間は21時。いいところで切り上げて宿に戻ると、グレイはすぐにベッドに倒れ込み爆睡してしまう。
「今日も一日、お疲れ様グレイ」
 敷かれた掛け布団ごと上に倒れ込んだので、仕方なくマタタビは自分の掛け布団をグレイにかけてあげた。
ーー風邪ひかんようにな。
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【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
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VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
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13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

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18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。 小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。 本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。 お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。 その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。 次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。 本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。

成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~

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第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。 書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。 【第七部開始】 召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。 一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。 だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった! 突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか! 魔物に襲われた主人公の運命やいかに! ※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。 ※カクヨムにて先行公開中

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 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

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26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

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