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第十話 お散歩

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次の日も、その次の日も果物を持ってきてくれました。
餌付け感がありますが、狼さんは怖い人ではないということがこの数日で伝わったので穴の中でお食事ではなく、狼さんの近くでお食事します。1人でお食事するより楽しいですから。
狼さんは私が外でご飯を食べることに少し驚いていましたが、私も、本格的にレベルあげるために戦力をあげなくてはなりません。地下で鍛えるのも限界があるのです。
でも結構鍛えました。

【PN】:リリアLv1
【種族】リーフィ(幼生)
【特性】魔法耐性Ⅰ
【スキル】
土操作Ⅰ 光合成Ⅲ 跳躍Ⅱ ツルⅥ 危険察知Ⅳ 気配察知Ⅳ 隠密Ⅲ

《ステータス》
HP70
MP90

ATK58
DFE16
DEX63
SPD54
LUK100(最大値)

スキルレベルが上がってスキルにも変化がありました。なんの効果もなかった土いじりですが、土操作というスキルに変化しました。
詳細はこちらです。

土操作
土を簡単に操ることができる。
土がある場所のみ使用可能。


簡単に操れるとありました。昨日試してみると考えるだけで形を変えてくれるんです。さらに!魔力を消費しないので、魔法より燃費がいいかもです。
こう言う感じのスキルは他にもありそうです。積極的に触れ合っていきましょう!

アルトさんが作った壁を真似してみるとちゃんとできました。ただし、説明でもあるように土がないと無理です。それと硬くする為には熟練度が必要みたいです。できた壁は私の体は隠せれそうですが大きな壁と言うわけではありません。強度も心もとありませんし…もっと訓練が必要です!
それと条件として土を消費して、作るので土がなかったらできません。なので場合によっては魔法を頼りましょう。だから魔法を教えてもらいたいのです。
もっと狼さんと仲良くなりましょう。



リーフィの子供が、俺に慣れたようだ。食事を共に取るようになった。俺としてはおやつ気分だが…楽しそうに食べるのでよしとする。
ある程度慣れてきたのを感じたら、声をかけてみた。

『…ここには慣れたか?』

急に話しかけられてびっくりしていたが、ツタで丸を作り答える。

『他の場所に散歩に行ってみるのは難しいか?』
こいつの行動範囲をもう少し広くすることができれば交流も盛んになるだろう。人嫌いを直さなくてもいいが、他の魔物を見ても逃げないようになってもらいたいからな。

少し、考えるような様子だったが、ゆっくり丸を作った。

『帰りたくなったら…防御態勢になってくれ、そしたらここに戻ってくる。もし、それでよかったら俺の背に乗ってくれ。』
「フィ~」

コロコロと転がり、俺の足元で止まったと思ったら防御態勢のツルを一部だけほどき、自分を持ち上げるようにして背中に乗った。
人種の背負い袋のようにツルを回すように伝えて、散歩開始とする。
それにしても軽い。果物は毎日食べて体力もついているはずだが…外での運動する時間もそろそろ考えなくてはならないな。
魔法に興味があったのだったか。適性を調べるのはできていないらしいから、それをしに主人のもとに行くともありか。

『さっきいた場所はな、一応中庭ということになっている。人通りは少ないはずだ。俺もいつもあそこで昼寝をしている。』
「フィ~」
同意してくれているような返事を返してくれた。怖くないと分かれば、打ち解けるのは早そうだな。

『お前は大きな体のものは苦手か?』
「フィー…」
『お前より体の小さなものは居ないからな。少しずつ慣れていけばいい。何かあったら叫べば俺が駆けつけてやる。』
「フィー!」

これで問題があればすぐに駆けつけられるな。しばらく廊下を歩いていると、ピクリとツルに緊張が走る。
何かと思い気配察知を使えば、かなり離れた場所でアルトがゆっくり見回りをしていた。

ほう、この距離の気配を探ったか。距離を理解したのか、ツルも少しほぐれる。アルトのことは言わず道案内に戻った。

『この廊下を抜けると講堂に着く。そこからまた様々な場所に行く廊下がある。今日は食堂に行くか。いつも果物をもらう場所だ。』
「フィ~♪」

講堂に近づくと緊張が再び走る。
この気配は…

『あら、ジェット。どこに……!!』
なんだ主人か。

主人を見た瞬間プルプル震えだしたので、主人にはそれ以上近寄らないことを伝える。

『近寄ったら噛むから』
『わかってるわよ…リーフィちゃん、慣れたら魔法の適正だけでも調べさせてね。また今度でいいから』
「フィー?!」
ん?魔法という言葉に反応したな。

『魔法適正今調べるか?』
「フィ!」
魔法適正を調べることがしたかったみたいだ。そんな話を主人から聞いていたのかもしれない。

『私近づいてもいいかしら?』
主人が近づこうとすると、プルプル震えるのは止まないが、震えながら歪な丸を作る。絶対に無理をしているではないか。

『…主人、別に主人がいなくとも調べられるだろう。』
『まっ!追い出す気?』
『ああ、そうだ。』

リーフィの子供にはしっかり掴まるようにいい頭を下げて唸る。

『…あんたまで絆されたわけ。』
『ふん、欲まみれの人種やアルトと一緒にしないでもらいたい。』
『わかったわよ。…でも責任者だから、見送らせてもらうからね。リーフィちゃん、近づかないけど属性が何なのかはここの職員として知らないといけないことなの。わかってちょうだい。』

主人が仕事だからと理由をつけたら震えが止まった。様子を伺うと、ぱちくりと不思議そうだ。

『どうした?嫌か?』
「フィー」

嫌かという問いにバツで返される。
更に、俺の背中から自発的におり主人の方に移動した。

『お?』
『あら…』

そして、目の前の主人を見上げ、小さな体でお辞儀をする。

『あらあら。心開いてくれちゃった?』
『案外怖くないってわかったんだろ。』
「フィー」

俺の言葉に対して丸を作った。
『じゃっ、仲直りのハグを…』

それにはバツを作り、俺の背中に素早く戻った。

『……』
『ふん、調子にのるな。』

主人はそう言うところがダメなのだ。そんなことより魔法の適性を調べてしまおう。主人には最低限近づかないようにしてもらって…

「フィー!」
『そうだな、魔法適正を調べような』
『意気投合してんじゃないわよー!』
ふむふむ、こいつとはいいコンビになれそうだ。さて、お前の適正はなんだろうな。

適正を調べるために講堂の奥の泉に向かう。

『ここで調べる。リーフィ、ツルをこの泉に伸ばしてみてくれ。』
「フィ…」
淵に立ち、不思議そうに覗き込む。

『落ちるなよ。』
「フィ!」

そして、リーフィはゆっくりとツルを泉に伸ばし入れた。


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