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第四話 施設送り…?!

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ログインしましたっ。恐怖体験は怖かったですがこのままではレベルが上がりません。なんとかして、脱しないと…

おや?気配がありません。人が私の元から去ってくれたようです!

ですが警戒を怠ってはなりません。状況把握を先にするために少しツルを緩ませ、目だけ出します。

ここどこ?

森じゃないです。

え、何、白い建物の中?
ガラスの…中…?
……………………やだ…

鉄格子じゃいだけマシだけど!日光に直接当たりたいです!日向ぼっこ!実験動物じゃないんだぞっ!!

まさか、私はそんな施設に売り渡されたのか?!自然に返してくれ!

すぐにツルでガラスを叩き割る。割れたことに驚きながらも破片を避けて窓のガラスも割ってゆっくり出る。
見渡すと少し芝生だったのでほっこり。箱から出てさらに箱の中なんてことはなくお空がありました。
あったかいです。
ガラスが落ちてくるかもなので割ったところから少しずれてほっこりします。

先ほどいた場所が騒がしくなりましたけど、私がいないことに気づいたんでしょうね。でも今は日向ぼっこが優先です。自然安心する…

ウトウトと頭の葉っぱを出した状態で他をツルで覆いお昼寝タイム。
ログインしたけどおやすみなさい…


保護ケースのあった部屋では音を聞きつけてやってきた人々が慌ただしく動いていた。

「…居ないぞ?!」
『目が覚めたのね!でもどこへ…』
『…!あそこの窓、あれも割れてます!あそこから出たのでは!』
「まだ近くにいるだろ…て」
悪魔族のプレイヤーがその窓から外を覗くと窓と少しずれた外に小さな魔物を発見。

『何!』
「そこ居たわ」
『え?どこ?』

葉っぱが出た状態で窓のそばの壁に寄りかかりツルに包まっていた。
「寝てる?」
『よく見えないけど…おそらく光合成をしているのね。陽の光が当たらない場所だったから移動したのかもしれないわ。』
『…リーフィは頭に生えた双葉の植物に太陽の光を浴びて体力を回復させる能力があるのです。』
「なるほど」
『でも、外は危ないから誰かお世話がかりつけないといけないわね…』

リーフィという魔物を保護し、メーデルさんという魔物保護協会の幹部にこってり絞られ終わった頃に、脱走劇。
てんこ盛りだわ…ネタ尽きねーな…

『とりあえず更なる移動する前にもう少し安全なところに誘導できればいいんだけど…。…アルトに任せるのもありね。頼んでみましょう』

床に落ちたガラスを掃き掃除しながらふと思った事を聞く。

「なぁ、リーフィて、攻撃防御速さ全部1なんだろ?このガラス割る手段なんてあるのか?」
『『!』』

目の前のNPC2人が驚き固まる。

『そう言えば、そうね…しかも、窓の方はこのガラスより硬いはず。それを割ったということは…1でない線が出てきたわ…』
『ですが、あのリーフィは確かにレベル1ですよ?』
『狩をしなくても、ステータスが上げることはできるわ。』
「へ?」
『魔物をレベルで判断するなというのが冒険者アカデミーで最初に教わることだと話を聞いた?』
「そりゃ聞いたけど…」

『人と魔物は育ち方が違うの。人はレベルが上がらないと経験したとみなされないわ。でも魔物は生きるために動くことだけで経験したとみなされるの。だから魔物同士の争いをしなくても能力が上がったのだと思うわ。』
「……」

最初は浅く穴を掘るだけだった。それがツルを伸ばして動き回って、サーチが届かない深さまで掘り進んでいた。それは育ったから…レベル1でも強い個体に育っているということなのか。

ガラスを片付け終わり、外にいたメーデルさんと子供が2人くらい乗れそうな大きな亀のような魔物と合流。

「その魔物は?」
『私の契約獣アルトよ。草食魔物の担当を任せてるの。…アルト、あの子なんだけど…』
「グァ」
ひと鳴きしてゆっくりと側に近寄るアルト。
大丈夫なのか?まあ強そうだが…


日向ぼっこ中に物音を聞きつけた彼女は目を覚ましながらそちらに集中をし始める。

何かが近づいてくる気配を感じツルを緩ませつつ警戒。

『こんにちは、お嬢さん』
急に声をかけられてびっくりしつつ、目の前の巨体にさらに驚く。

敵?!
大きい、怖い!逃げないと!

ツルを操ってコロコロ転がって離れる。

『おや…』

遠くで人が見え、その人が肩を落としていた。なんかたくさんいる。いつの間に増えたんだ!気配察知のレベルもっと上げないと!

『アルトでもダメ~?』
『ふむ…。』

唸りながらも何か思いついたようで、亀みたいな大きな敵は私に再度近づく。

『大きいのが怖いのだね、ではこれではどうだい?』
目の前には少し小さくなった亀さん。
私と同じくらいとはいかないが、先ほどよりは怖くない…気がする。

『どうかな?』
「フィー…?」
だぁれ?
警戒は緩ませず、聞いてみる。

『…念話を教わらなかったのかい?これは困ったな…言葉は理解できてるようだが…親や兄弟は?』

私はただ鳴いているというだけに聞こえてるらしい。
念話ってなんぞ?言葉はわかるけど親や兄弟なんて周りにいなかったぞ??

鳴いてもわからないだろうから、ツルでバツを作る。

『いない…と?』
それに丸で返答。

『…周りに穴はあったかい?』
穴…そう言えば小さな穴があったのはあった気がする。
なので丸。

『これはまずい…ここで待っていてくれるかい?』
「フィー」
またひと鳴きして日向ぼっこを再開する。
私がツルに覆われたことを確認して亀さんは人の方に移動。
人に向かっていくところを見るとあの人たちは敵ではないのかな。危険察知も反応してないし…いい人達なのかな?
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