【R18】濃ゆいの全部、紗希に飲ませて!〜俺の妹がサキュバスな件

上城ダンケ

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第48話 気をつけろ!

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 翌朝、俺は一人で学校へ向かった。前回喧嘩したときと同じく、紗希は「日直があるから」と咲江さんに伝え朝早く家を出たそうだ。咲江さんは「紗希ちゃん日直多いわね」と少しだけ疑問には感じていたが、それ以上は何も言わなかった。
 学校最寄り駅に着く。今日はちゃんと青木がいた。俺の顔を見るなりものすごい勢いで突進してくる。

「お前さあ、さっき聞いたんだけどさ、彼女出来たんだって?」
「誰から聞いた?」
「そんなのどうでもいいんだよ。違うんだろ? 彼女なんかいないんだろ? 俺と御影、童貞捨てるときは一緒だって誓った仲じゃないか!」
「そんなこと誓ってないぞ。それに……別に童貞捨ててないし」
「誓ったんだよ、俺の中では!」
「は? いつだよ?」
「いつだっていい! なあ、御影、相手はあの巨乳ちゃんだって? 嘘だろ? なあ、嘘だろ? 嘘だって言ってくれ!」

 ああ嘘だ。偽装恋愛だ。ニセカップルだ。そう返事したかった。だが、それはできない。

「……本当だ」

 なんとか声を絞り出す。青木は「マジかよ……」と言ったきり絶句した。よほどショックだったらしい。
 そこへ萌夢ちゃんと姫島さんがやってきた。

「おはよーございまーす、先輩」

 ニコニコ笑顔で手を振る萌夢ちゃん。その後ろにやや複雑な笑顔の姫島さん。

「あ、巨乳ちゃんと図書館の姫!」

 正気を取り戻した青木が二人を指さし、大声で言った。そんな青木を萌夢ちゃんが蔑んだ眼でみた。

「巨乳ちゃん? なにそれ? セクハラなんですけど?」

 聞いたことないような低い声で萌夢ちゃんが青木に抗議する。またもや絶句する青木。そして、青木はそのまま俺の視界からフェードアウト。

「さ、いきましょ、せ・ん・ぱ・い!」

 萌夢ちゃんが俺の腕にしがみついた。ぐいっと大きな胸を俺に押しつけてくる。

「柔らかいでしょ、萌夢のおっぱい」

 俺の耳元で萌夢ちゃんが囁く。

「ちょ、萌夢ちゃん、朝からだな……」
「興奮しちゃう?」

 悪戯っぽく萌夢ちゃんが笑う。姫島さんは顔を真っ赤にしてうつむいている。

「姫島さんが困ってるだろ? 姫島さんの前ではいちゃつかないって約束だろ?」
「もう、先輩は恥ずかしがり屋さんなんだから……あれ? あそこにいるの、先輩の妹さんじゃないですか?」

 萌夢ちゃんが指さしたのは駅前のスタバだった。奥のカウンター席で英単語帳片手に座っているのは確かに紗希だ。俺の目線に気がついたのだろう、一瞬こっちを見た。だが、すぐに目をそらす。姫島さんがやや引きつった笑顔で手を振る。紗希は手を振り返す。笑顔だが目が笑ってない。

 紗希は英単語帳をカバンにしまい、紙カップをダストボックスに捨ててスタバを出てきた。

「……日直じゃないのか?」

 俺の問いかけを無視し、紗希は姫島さんに「おはよー」と声をかけた。紗希が俺を無視したことに姫島さんは戸惑いながらも紗希に「お、おはよ、紗希ちゃん」と返す。

「おはよーございまーす。えーと……」

 萌夢ちゃんが紗希に話しかける。

「紗希。前言ったと思うけど」
「でしたね。おはよー、先輩の妹の紗希さん。兄さんにお世話になってます」

 紗希が俺をチラ見する。

「こちらこそ」

 素っ気なく紗希が返事した。萌夢ちゃんが俺に「この前と雰囲気違うね」と小声で言った。それが聞こえたのか紗希は「チッ」と舌打ちする。

「あ、舌打ちされちゃった」

 聞こえるように萌夢ちゃんが言った。紗希は鬼のような視線で萌夢ちゃんを見たのち、笑顔で姫島さんに話しかけた。

「いこ、雪。2人の邪魔しちゃ悪いし」
「そ、そだね……。あ、でも、私貴樹さんに今日の部活のことで……」
「いいから、いいから」

 紗希が姫島さんの腕を引っ張った。今度は俺をにらみながら。萌夢ちゃんは何も言わずその様子を見ている。

「あ、梅田さんだっけ」

 紗希が振り返っていった。

「はい。そうですけど?」
「兄さんに注意した方がいいよ。エッチだから。ドスケベだから。変態だから。何するかわかんないから」

 最後に俺に「キモ」と吐き捨ててから、紗希は姫島さんを連れて去って行った。

「先輩、妹さんに何したんですかあ?」
「な、何もしてないっ!」
「カフェラテ出す以外に何かしたんでしょ? やらしー」

 萌夢ちゃんがエロチックに笑った。

「バ、バカッ! こんな場所でその話題を……」
「冗談ですよ。先輩、妹さんと喧嘩したんでしょ? ね、そうでしょ?」
「喧嘩? なんで喧嘩するんだ、俺と紗希が? 全然。全然仲良しだ」
「ふーん。仲良し、か」

 萌夢ちゃんが俺をじろじろ見た。

「な、なんだよ」
「彼女が彼氏を見ちゃダメなんですか?」
「……彼女じゃないだろ、本当は」
「まだそんなこと言ってる」

 萌夢ちゃんがため息をついた。

「どうやったら、萌夢、先輩の本当の彼女になれるんですか?」
「……」
「答えてくれないんですね」
「……すまん」
「謝る必要はないんだけどなあ」

 少し悲しそうな横顔。しばらく、無言で俺と萌夢ちゃんは歩く。途中萌夢ちゃんが強く手を握ってきた。

「先輩、結構鈍感ですよね」

 萌夢ちゃんが少しだけ笑った。

「鈍感?」
「そう。鈍感」
「……どの辺が?」
「どこかな? 触って調べてもいい?」
「そ、それは困る」
「なーんて。またもや萌夢の冗談でーす! 先輩はどっちかというと敏感ですよ。とくに……ね! 萌夢のフェロモンにかかればイチコロです!」
「……それ、冗談になってねーから」
「そーなんだー。試してみよっかな?」
「もう試しただろ!?」
「でしたね、フフ」

 萌夢ちゃんの顔に笑いが戻る。俺はほっとした。

「……やっぱりそうなんだ」

 萌夢ちゃんが意味深に笑う。

「なんの話だ?」
「なんでもありませーん」

 萌夢ちゃんが笑ってごまかす。

「色々わかりました。うん、わかった。そっかー」

 学校に着いた。

「じゃ、先輩、また部活で会いましょう」
「お、おう」

 てっきり昼休みも一緒に過ごそうと言われると思っていたので、俺は拍子抜けした。

「ん? 先輩、どうしたんですか? 萌夢とお別れするのが寂しいんですか?」
「まさか」
「もう、素直じゃないんですね、先輩。じゃ放課後に」

 笑いながら萌夢ちゃんが靴を脱ぎ、上履きに履き替え、教室へ去って行った。

 ♡ ♡ ♡

 放課後。部室。いつものように萌夢ちゃんがいた。姫島さんはまだいない。

「先輩こんにちはー」
「ちは」

 萌夢ちゃんはすでにiPadで作業に取りかかっていた。のぞき込むつもりはなかったが、画面を見てしまった。そこには男子高校生同士のとても描写できない、局部の具体的描写、または性行為、または性風俗などの表現が直接的、あるいは過剰に描写されており、未成年に不適切……つまりR18なビジュアルが展開されていた。

「あのー萌夢ちゃん。前にも言ったけど、そーゆー局部とかさ、具体的な性描写はさ、R18なんだ。部誌には載せられないんだ」
「分かってますよ。これは自分のサークル用です」
「サークル? なに、サークルって?」
「同人誌のサークルです。こんど同人イベントで販売するんです」
「同人イベント?」
「ホールとかで、同人誌売るイベントです」
「ああ、コミケとかいうやつだな」
「まさか! 夏コミなんて無理ですよ! 夏コミ当選なんて、夢のまた夢です。まあ、どっちにしても萌夢は15歳なんでサークル代表はママなんですけどねっ! でないとR18作品で参加できませんもん。売り子すら出来ないんですよ、ありえなくないですか? てか、萌夢、ママのゴーストライターみたいな?」

 ごめん。萌夢ちゃん。言ってることのほとんど、理解できない。

 わかったことはひとつ。萌夢ちゃん、思った以上に本格的な創作活動してるんだ。

 とはいえ萌夢ちゃんのiPadの画面。アイドル風の男の子たちが……その……お口が……なんつーか……やはりアレのモデルは弟なんだろうかとか思うと複雑な心境である。

「これも何かのパロディ、じゃなかった、二次創作ってやつなの?」
「いいえ、これは完全オリジナルですよ。『お口学園まうす・ふぉー・うぉー 口は災いのもと!』っていうんです」
「口は災いのもと、ね……」

 まるで、俺じゃないか。自虐的な笑いがこみ上げてきた。

「これ、舞台は男子校だから、出てくるのはみーんな男子高校生なんです」
「へえ」
「お口アイドル養成学校、笛羅フエラ学園。独善的なお口独裁制を敷く生徒会と、お口解放を目指す転校生が繰り広げる、エロチックかつスリリングなお口学園ドラマなんです!」

 目を輝かせ、萌夢ちゃんが説明した。お口アイドル? お口独裁制? なんなんだろう。気になるな。……いや、やっぱり気にならない。

「でね、先輩。この作品の主人公男子高校生なんです」
「さっき聞いたよ」
「萌夢の弟、中学生なんです」
「だったよな」

 俺と萌夢ちゃんの間に不穏な空気が漂いだした。

「中学生のを参考にしたんじゃ、リアリティ出ないんですよ」

 萌夢ちゃんが立ち上がった。目線はしっかり俺の股間へ注がれている。

「あ、あんまり変わらないんじゃないかな、高校生と」
「女子中学生と女子高生の身体はかなり違いますよ? 萌夢、中学の時こんなに胸大きくなかったですもの」

 ぷるん、と萌夢ちゃんが胸を揺らす。

「なるほど、一理ある。そうだ、ネットだ。ネットで画像検索したらいいよ、うん」
「それがダメなんですよー。未成年のあそこって、児童ポルノになっちゃうんです。だから、見つからないんです。あったと思ってもみんなコスプレで」

 なるほど。「JK 無修正」とかで検索してもコスプレ女子高生しか見つからないのと同じ理由だな。……て、納得してどうする。

「えーっと、なんだ、だからだな、その画像検索なり動画検索で出てきた大人のアレと萌夢ちゃんの弟のアレを足して二で割れば、目的の男子高校生のアレがわかるってことでだな」
「やだ、そんなの。萌夢、こう見えてもマンガには妥協しないんですよ。リアリティを追求したいんです。だから、せ・ん・ぱ・い! 見・せ・て!」

 萌夢ちゃんが近づいてきた。

「そんなの、出来るかよっ!」
「だめ?」
「駄目だ!」
「そっか、駄目なんだ」
「あたりまえだろ!?」
「うーん……どーしよっかなー」

 萌夢ちゃんがつぶやく。

「ま、いっか」

 とすん。萌夢ちゃんが再び自分の所定位置に戻った。

「ところで先輩、サキュバス・フェロモンについて、どれくらい知ってるんですか?」
「だいたいのことは知ってる」
「ちゃんと言ってください」
「だから、サキュバス・フェロモンは強制的にボイラーの圧を高め、おびただしい量のカフェラテを提供させるんだろ? 一度マジックにかかったら、サキュバスの唾液で速やかに冷却しつつ、優しくカフェラテを抽出しないとマシンが壊れる。これでいいか?」
「よくできました! ……と言いたいところだけど、残念。90点かな?」

 わざとらしく残念がる萌夢ちゃん。

「あと10点たりないの」
「……10点?」
「そう」

 萌夢ちゃんが立ち上がった。そしてブオンと音がした。萌夢ちゃんのスカートが揺れた。空気の流れが変わる。漂ってくるのは……バニラ・クリームの甘い匂い。サキュバス・フェロモンの香りだ。萌夢ちゃんが俺のマシンに対して行使しないと約束した、あのサキュバスフェロモンだ。

「フェロモン出さないって、言ったじゃないか!」
「ええ言いました」
「じゃ、なんで出すんだ!」

 マシンをおさえながらながら俺は言った。

「ふふん、そんなとこおさえても無駄です。このフェロモン、に向けて出したものじゃありません。先輩の脳みそに向かって出したんだから!」
「俺の……脳みそ? なんでだ?」
「サキュバス・フェロモンはね……性フェロモンでもあるんだよ?」
「なんだと?」
「だから、性フェロモン。人間からは失われた性フェロモンだよ? 特定の行動や生理現象を引き起こすことが可能なんだあ」

 萌夢ちゃんが淫靡に笑った。
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