【R18】濃ゆいの全部、紗希に飲ませて!〜俺の妹がサキュバスな件

上城ダンケ

文字の大きさ
上 下
42 / 53

第42話 夢で逢えたら……ごっくんだよね?

しおりを挟む
「ず、ずるいぞ萌夢ちゃん! フェロモン出すだなんて!」
「え?」

 萌夢ちゃんが上目遣いで俺を見た。

「出してませんよ?」
「出てるって!」

 萌夢ちゃんが鼻をスンスンした。

「……あ」

 萌夢ちゃんの顔が耳まで赤くなる。

「わざとじゃないです! こ、これは、自然に出たんです! 萌夢、オーガニックが飲みたいから、わざとは出さないもん!」

 珍しく萌夢ちゃんが取り乱している。

「でも、現実にバニラの匂いが……」
「先輩のバカバカバカ! 知らない!」

 いきなり萌夢ちゃんが立ち上がる。

「何をそんなに怒っているんだよ」
「べ、別に、先輩のことなんか、好きじゃないんだから!」
「は?」
「先輩の出すカフェラテが美味しそうだから、出ただけだです!」
「何が出たんだ?」
「しらない! 女子にそんなこと聞かないで!」

 確かにクラスの女子に「匂いするけどなんか出した?」とは聞かないし、聞いたら失礼だ。ここは察するべきだろう。

「フェロモンだな」

 察した結果、ストレートに言ってみた。

「そうよ、フェロモンよ! フェロモンで悪い? 全く、先輩ってデリカシーないんだから!」

 否定はしない。

「仕方ないじゃないですか、美味しそうだったから! 先輩のカフェラテが! だから勝手に出たんです! 梅干し見たらつばが出るみたいなものなんだからっ! ……も、もしかして、妹さんに言っちゃう!? 萌夢がサキュバスで先輩見てフェロモン出したなんて、ばらしちゃう?」
「うーん。どうだろ……」

 サキュバス仲間が増えたら嬉しいかな?

「お願いです、先輩! それはやめて!」
「サキュバスなのが恥ずかしいのか?」
「違います。サキュバスなのは、秘密だけどサキュバス同士なら問題ありません。問題は……問題は、フェロモン!!」
「……フェロモン?」
「そう! 先輩見て自然にフェロモン出ちゃったなんて、他のサキュバスに知られたら、萌夢、恥ずかしくて死んじゃう!」

 顔を真っ赤にして萌夢ちゃんが言った。
 どうやら萌夢ちゃんは自分の意思と関係なくフェロモンが出たことが恥ずかしいようだ。紗希はいつだって自分の意思と関係なくフェロンを出すが、こんな風に恥じたりしない。どちらがサキュバスとして普通の反応なのか、俺には分からないが、とりあえずこの状況は萌夢ちゃんにとっては恥ずかしいようだ。
 ふむ。これは取引材料だ。

「わかった。萌夢ちゃん。フェロモンのことは誰にも言わない」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ。その代わり、俺からカフェラテを強奪しないでくれ」
「え、ええーっ!? 萌夢に諦めろって言うんですか? だったらいいもん。フェロモンのことばれてもいい。今ここで搾り取っちゃう!」

 萌夢ちゃんがまるで獲物を狙う熊のような格好で言った。

「慌てるなよ。こうしようじゃないか。俺がうっかり居眠りしたら、淫夢でカフェラテ仕掛けてもかまわない」
「え? いいんですか?」
「ああ。ただし、起きてるときは襲わないで欲しい。フェロモンなんてもってのほかだ。これでおりあわないか?」
「うーん、なんか萌夢に不利な気がする」
「そんなことないさ」
「かなあ」

 首をかしげる萌夢ちゃん。

「もしかして、勝手にフェロモンが出ちゃうのを気にしているのか?」
「出ないもん! 自然にはでないっ!」

 ムキになる萌夢ちゃん。

「ていうか、先輩の方こそ!」

 萌夢ちゃんがすっと手を伸ばし、俺のマシンをさわった。

「もうこんなに熱くなってるくせに……?」
「ちょ! 俺は淫夢でならオッケーって言ったのであってだな……!」

 俺の制止など聞かずに、萌夢ちゃんはさわり続ける。

「大丈夫。ハンドドリップしませんから。今はね」
「今は?」
「そ。先輩、萌夢の隣にいるだけで……ふふ。先輩のアレ……カフェラテしたそうだよ?」

 萌夢ちゃんが抽出口をくいくいつまむ。

「そ、それは……」
「こんなになってるなんて、萌夢にもチャンスがあるってことですよね。へへ。先輩の濃ゆいのは、絶対萌夢のものにしてみせます。ぜったい、先輩の方から萌夢に飲んで、濃ゆいの飲んで、って言わせる。萌夢の魅力にメロメロなんだからっ! これからの部活、覚悟してくださいね? せ・ん・ぱ・い!」

 最後に萌夢ちゃんが手に力を込めた。キュッと握りしめる。ずきん。大きくうずく俺のダブルボイラー。

「あぐっ!」

 そのとき、部室の扉が開いた。

「遅くなりましたー……え? 萌夢ちゃん?」

 俺は思った。見られたと。萌夢ちゃんが握りしめている現場を。だが、幸い、うまいこと長机が萌夢ちゃんの手を隠していたようだ。

「仲……いいね」

 姫島さんの目に映ったのは、ただ隣同士並んで座っている男女の姿であったようだ。姫島さんから見えないのをいいことに萌夢ちゃんはニギニギしてきた。

「びくん、って動きましたよ」

 耳元で萌夢ちゃんがささやく。俺は無言で彼女の手をどけた。

「萌夢ちゃん、昼休み学食で言ったとおり、部活では……姫島さんの前では、あくまで部長と部員だ。並んで座るのもやめておこう。ほら、姫島さんも目のやり場に困っている」
「いえ、私は……」

 戸惑う姫島さん。

「はーい、そうします。ごめんね、雪ちゃん」

 意外にも萌夢ちゃんは聞きわけがよかった。が、再び俺に手を伸ばし、ぎゅっと強く握ってきた。俺は危うく声を上げそうになる。再度萌夢ちゃんの手をどける。

「じゃ、先輩、萌夢はいつもの席に戻りまーす。雪ちゃんはそこにしたらどう?」

 コの字の縦棒に当たる部分の長机を指さし、萌夢ちゃんが言った。

「うん、そうする」

 雪ちゃんが移動。俺は着座した。

「なんか、この席……部長さんみたい」

 言われてみればそうだ。姫島さんの席は教室前方であり、普通教室であれば教卓があるべき場所だ。

「ほんとだね。じゃあ、次期部長は雪ちゃんだね。ね、先輩」

 萌夢ちゃんが笑う。

「気が早いよ。まだ5月だぞ?」

 俺が言ったのを聞いた姫島さんが笑った。つられて萌夢ちゃんも笑った。俺も笑った。

 こうして、文芸部に三人目の部員が誕生した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レンタル彼氏がヤンデレだった件について

名乃坂
恋愛
ネガティブ喪女な女の子がレンタル彼氏をレンタルしたら、相手がヤンデレ男子だったというヤンデレSSです。

何故か超絶美少女に嫌われる日常

やまたけ
青春
K市内一と言われる超絶美少女の高校三年生柊美久。そして同じ高校三年生の武智悠斗は、何故か彼女に絡まれ疎まれる。何をしたのか覚えがないが、とにかく何かと文句を言われる毎日。だが、それでも彼女に歯向かえない事情があるようで……。疋田美里という、主人公がバイト先で知り合った可愛い女子高生。彼女の存在がより一層、この物語を複雑化させていくようで。 しょっぱなヒロインから嫌われるという、ちょっとひねくれた恋愛小説。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

処理中です...