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第39話 萌夢がえっちな女の子ってことになっちゃう
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驚いた俺は再び大声を出してしまった。俺たちに視線が集まる。
「もー、先輩、声大きいったら」
「す、すまん。しかしだなあ……」
「じょーだんですよ、冗談。そんなこと言うわけないじゃないですかあ。普通のJKは校内でえっちなこと、しませんて!」
萌夢ちゃんが言った。
「た、確かに……」
中には口内――おっとまた誤変換、校内だ――でそういうことしてるJK、いるとは思うがな。
「雪ちゃんにそんな風に言ったら、萌夢がえっちな女の子ってことになっちゃうでしょ?」
「まあ、そうなる、かな……」
「なるの。そんなの、萌夢、やだもん。だからー、雪ちゃんに、萌夢は先輩と付き合ってて、いつも部室でいちゃいちゃしてるの、て返事したんです」
俺は言葉に詰まった。確かにあの状況の説明としては適切なことこの上ない。だが、「いつもいちゃいちゃ」は余計だ。そんなことしてない。
「て、いうことで、めでたく萌夢は先輩の彼女になりました!」
「ちょっと待て。それは違うだろ? 俺と萌夢ちゃんが付き合っている、というのは姫島さんに対するいいわけであって、事実じゃない、つまり嘘じゃないか」
「嘘から始まる恋もあるっていいます。どう、先輩? 萌夢の彼氏になろ? 嘘彼氏でいいから。とりあえずカフェラテ頂戴? カフェラテくれたら、萌夢にえっちなことしてもいいよ?」
「俺はそういうのに興味は無い」
「嘘」
もちろん嘘である。興味はある。だが紗希との約束を破るわけにはいかない。
「だって先輩、萌夢が触ったら凄い勢いで起動《おっき》したもん」
「ス、スイッチに触ったからだっ! 常識で考えてスイッチに触れば起動……」
「しーっ!」
俺、三度目の大声。「なんの話? おっき?」「どこ? 触ったの」「もしかして……?」「え!? 校内で?」等々の声が廻りから聞こえてくる。
「もー先輩、さっきから声大きすぎですう。周りのみんなに、私がえっちな女の子認定されたじゃないですか。萌夢、お嫁に行けないです」
「これくらいで嫁に行けなくなるわけないだろ?」
「それって先輩が萌夢を貰ってくれるってことですか?」
「なんでそうなる?」
「そうならないって決まったわけでもないですよ?」
ニコニコ笑顔で萌夢ちゃんが俺の手を握ってきた。
「そ、それはそうだけど……」
「とりあえず、萌夢と先輩が付き合っているってことは、認めるんですね?」
「いや、そうじゃなくてだな……」
「先輩、彼女いるんですか?」
「……いない」
「やっぱり」
なにやら萌夢ちゃんは楽しそうだ。
「先輩だって彼女欲しいでしょ? 私じゃダメなんですか?」
「ダメというか……」
「他に好きな人がいるとか?」
「……」
「あ、いるんだ。もしかして……あの可愛い妹さん?」
「は!? 妹だぞ、ない、ない!」
「ふーん」
「……なんだよ」
意味深な笑顔で萌夢ちゃんが俺を見つめる。
その時。
「あ、雪ちゃんだ。雪ちゃーん」
幸いなことに姫島さんが通りかかり、俺は萌夢ちゃんの質問攻めから解放された。
「あ、萌夢ちゃん……と貴樹さん」
俺と萌夢ちゃんが手を繋いでいることを確認した姫島さんは、微妙な笑顔で手を振りながらこっちへやってきた。
「あ、あの、昨日はごめんなさい。わ、私、全然知らなくて……その……お邪魔しちゃって。ごめんね、萌夢ちゃん」
ぺこりと頭を下げる姫島さん。
「んーん。悪いのは萌夢たちだから。雪ちゃんは悪くないよ。ね、先輩」
「ん? あ、ああ、そ、そうだな、うん。悪いのは俺たちだ。そう、俺たち」
言った後で気がついた。たちってなんだ、たちって。悪いのは萌夢ちゃんであって俺は悪くないだろ?
「もう、先輩が萌夢とキスしたいなんて言うからですよ!」
「は、はい?」
「え、えええーっ!?」
驚きのあまり姫島さんが固まる。
「あ、あのなあ、萌夢ちゃん。いったい、いつ、俺がキスしたいなんて言ったよ!?」
「だから、先輩声大きいですって」
「あ……」
またまた周囲の注目を集めてしまった。だめだ。どんどん墓穴を掘っている。多数の生徒が集まる学食でこのような行為を繰り返していれば、俺と萌夢ちゃんが全校公認カップルになるのも時間の問題だ。
姫島さんは固まったままだ。明らかにショックを受けている。姫島さんが俺のことを好きだというのはやはり事実のようだ。
「あ、あの、えーっと、その……こ、恋人なんだから、そういうことも……あっていいと思うよ、萌夢ちゃん」
やっとのことで姫島さんが言った。
「ありがと、雪ちゃん」
「で、でもね……わ、私の前では……その……えっと……や、やめて欲しいの……。あ、ち、違うよ、嫌とかじゃなくて、えーっと……目のやり場に困るから……」
震える声で姫島さんが言った。
「分かってるよ、雪ちゃん。三人でいるときはそーゆーことしないから。ね、先輩?」
「だから、もともと、何もしてないだろ?」
「もー、先輩、照れちゃって」
だめだ。悔しいが、萌夢ちゃんの方が一枚上手だ。俺が何を言っても、最終的にはノロケに持って行かれてしまう。
「仲いいんだね、萌夢ちゃんと先輩」
「うん」
「そっか。お幸せにね、萌夢ちゃん」
姫島さんが悲しい笑顔で言った。
「あ、あの……貴樹さん」
萌夢ちゃんが俺に話かけた。
「あの……貴樹さんが文芸部の部長さんなんですよね?」
「そうだ」
「私、紗希ちゃんには文芸部入らないって言ったけど、……やっぱり入ります。私、ラノベ好きなんです。プロになりたいんです。なので……さっきも言いましたけど、私の目の前……つまり、部室では……あの……いちゃいちゃは……ご遠慮してください」
悲しい笑顔のまま姫島さんが言った。
「……えっと……なんだ……わかったよ」
としか答えられなかった。
「ありがとうございます。……じゃあ、今日から……部活、行きますね」
予鈴が鳴った。あと5分で授業だ。
「教室に戻りますね」と姫島さん。
「私もー」と萌夢ちゃん。
「じゃあ、放課後部活で」と俺。
駆け足で教室に戻る人混みに、萌夢ちゃんと姫島さんが消えていった。
「もー、先輩、声大きいったら」
「す、すまん。しかしだなあ……」
「じょーだんですよ、冗談。そんなこと言うわけないじゃないですかあ。普通のJKは校内でえっちなこと、しませんて!」
萌夢ちゃんが言った。
「た、確かに……」
中には口内――おっとまた誤変換、校内だ――でそういうことしてるJK、いるとは思うがな。
「雪ちゃんにそんな風に言ったら、萌夢がえっちな女の子ってことになっちゃうでしょ?」
「まあ、そうなる、かな……」
「なるの。そんなの、萌夢、やだもん。だからー、雪ちゃんに、萌夢は先輩と付き合ってて、いつも部室でいちゃいちゃしてるの、て返事したんです」
俺は言葉に詰まった。確かにあの状況の説明としては適切なことこの上ない。だが、「いつもいちゃいちゃ」は余計だ。そんなことしてない。
「て、いうことで、めでたく萌夢は先輩の彼女になりました!」
「ちょっと待て。それは違うだろ? 俺と萌夢ちゃんが付き合っている、というのは姫島さんに対するいいわけであって、事実じゃない、つまり嘘じゃないか」
「嘘から始まる恋もあるっていいます。どう、先輩? 萌夢の彼氏になろ? 嘘彼氏でいいから。とりあえずカフェラテ頂戴? カフェラテくれたら、萌夢にえっちなことしてもいいよ?」
「俺はそういうのに興味は無い」
「嘘」
もちろん嘘である。興味はある。だが紗希との約束を破るわけにはいかない。
「だって先輩、萌夢が触ったら凄い勢いで起動《おっき》したもん」
「ス、スイッチに触ったからだっ! 常識で考えてスイッチに触れば起動……」
「しーっ!」
俺、三度目の大声。「なんの話? おっき?」「どこ? 触ったの」「もしかして……?」「え!? 校内で?」等々の声が廻りから聞こえてくる。
「もー先輩、さっきから声大きすぎですう。周りのみんなに、私がえっちな女の子認定されたじゃないですか。萌夢、お嫁に行けないです」
「これくらいで嫁に行けなくなるわけないだろ?」
「それって先輩が萌夢を貰ってくれるってことですか?」
「なんでそうなる?」
「そうならないって決まったわけでもないですよ?」
ニコニコ笑顔で萌夢ちゃんが俺の手を握ってきた。
「そ、それはそうだけど……」
「とりあえず、萌夢と先輩が付き合っているってことは、認めるんですね?」
「いや、そうじゃなくてだな……」
「先輩、彼女いるんですか?」
「……いない」
「やっぱり」
なにやら萌夢ちゃんは楽しそうだ。
「先輩だって彼女欲しいでしょ? 私じゃダメなんですか?」
「ダメというか……」
「他に好きな人がいるとか?」
「……」
「あ、いるんだ。もしかして……あの可愛い妹さん?」
「は!? 妹だぞ、ない、ない!」
「ふーん」
「……なんだよ」
意味深な笑顔で萌夢ちゃんが俺を見つめる。
その時。
「あ、雪ちゃんだ。雪ちゃーん」
幸いなことに姫島さんが通りかかり、俺は萌夢ちゃんの質問攻めから解放された。
「あ、萌夢ちゃん……と貴樹さん」
俺と萌夢ちゃんが手を繋いでいることを確認した姫島さんは、微妙な笑顔で手を振りながらこっちへやってきた。
「あ、あの、昨日はごめんなさい。わ、私、全然知らなくて……その……お邪魔しちゃって。ごめんね、萌夢ちゃん」
ぺこりと頭を下げる姫島さん。
「んーん。悪いのは萌夢たちだから。雪ちゃんは悪くないよ。ね、先輩」
「ん? あ、ああ、そ、そうだな、うん。悪いのは俺たちだ。そう、俺たち」
言った後で気がついた。たちってなんだ、たちって。悪いのは萌夢ちゃんであって俺は悪くないだろ?
「もう、先輩が萌夢とキスしたいなんて言うからですよ!」
「は、はい?」
「え、えええーっ!?」
驚きのあまり姫島さんが固まる。
「あ、あのなあ、萌夢ちゃん。いったい、いつ、俺がキスしたいなんて言ったよ!?」
「だから、先輩声大きいですって」
「あ……」
またまた周囲の注目を集めてしまった。だめだ。どんどん墓穴を掘っている。多数の生徒が集まる学食でこのような行為を繰り返していれば、俺と萌夢ちゃんが全校公認カップルになるのも時間の問題だ。
姫島さんは固まったままだ。明らかにショックを受けている。姫島さんが俺のことを好きだというのはやはり事実のようだ。
「あ、あの、えーっと、その……こ、恋人なんだから、そういうことも……あっていいと思うよ、萌夢ちゃん」
やっとのことで姫島さんが言った。
「ありがと、雪ちゃん」
「で、でもね……わ、私の前では……その……えっと……や、やめて欲しいの……。あ、ち、違うよ、嫌とかじゃなくて、えーっと……目のやり場に困るから……」
震える声で姫島さんが言った。
「分かってるよ、雪ちゃん。三人でいるときはそーゆーことしないから。ね、先輩?」
「だから、もともと、何もしてないだろ?」
「もー、先輩、照れちゃって」
だめだ。悔しいが、萌夢ちゃんの方が一枚上手だ。俺が何を言っても、最終的にはノロケに持って行かれてしまう。
「仲いいんだね、萌夢ちゃんと先輩」
「うん」
「そっか。お幸せにね、萌夢ちゃん」
姫島さんが悲しい笑顔で言った。
「あ、あの……貴樹さん」
萌夢ちゃんが俺に話かけた。
「あの……貴樹さんが文芸部の部長さんなんですよね?」
「そうだ」
「私、紗希ちゃんには文芸部入らないって言ったけど、……やっぱり入ります。私、ラノベ好きなんです。プロになりたいんです。なので……さっきも言いましたけど、私の目の前……つまり、部室では……あの……いちゃいちゃは……ご遠慮してください」
悲しい笑顔のまま姫島さんが言った。
「……えっと……なんだ……わかったよ」
としか答えられなかった。
「ありがとうございます。……じゃあ、今日から……部活、行きますね」
予鈴が鳴った。あと5分で授業だ。
「教室に戻りますね」と姫島さん。
「私もー」と萌夢ちゃん。
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