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第31話 不純異性交遊は校則違反
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「あれー? 先輩いないんですかあ?」
萌夢ちゃんが部室に入ってきた。
「ん? カバンが2つ? お客さんですか? 先輩、そっちですか?」
萌夢ちゃんがソファのある方へ歩き出した。
まずい。この状況はかなりまずい。まだ抽出口は紗希のカップに突っ込んだまま。部室に女を連れ込み学業に不要なエスプレッソマシンで、あろうことか、カフェラテを抽出していたとバレてしまう。
カフェラテ。それは、校則違反の香り。
校則では登下校中に喫茶店に立ち寄ることは禁止だ。昭和の時代に制定されたブラック校則であり現在事実上停止状態とはいえ、喫茶、カフェ、コーヒーというのは学校という閉鎖空間において、いまだに不純異性交遊の象徴なのである。
そんな不純異性交遊の象徴の一つであるカフェラテを口内——おっと失礼変換ミス——校内で振る舞うとは!
事案発生である。俺と紗希が不純異性交遊、それも兄妹でという誤解を受けてしまう。いや、誤解とは言い切れない部分もあるのだけれども、今はそんな哲学的議論をしている場合ではない。
とりあえず、萌夢ちゃんがここに来る前に紗希をどうにかしないと。最低でも、カップをどけないと。
「あー萌夢ちゃん!? 萌夢ちゃんかなっ!?」
「はい、そうです。先輩、どこですかあ?」
「えーっとね、ソ、ソファーのとこだ」
「何してるんです?」
「い、妹が貧血で倒れてね、今……その……、か、介抱しているんだ」
嘘は言ってない。
「え! 大丈夫ですかあ?」
萌夢ちゃんが鞄をテーブルの上に置く音がした。こっちに来るつもりだ。俺は紗希を見る。紗希は恍惚とした表情でおいしそうにお口のまわりのクレマをペロペロしていた。
「紗希、紗希! 起きろ! 人が来た! お口のまわりを拭け!」
ひそひそ声で紗希に言った。
「……ん?」
「ん? じゃない!」
強引に俺は紗希を引きおこし口のまわりを拭いた。
「ん? 今、ちゅぽん、って栓を抜くような音がしませんでしたか?」
萌夢ちゃんがロッカーの陰から顔を出した。間一髪、俺はエスプレッソマシンを収納することに成功。破滅的情景を目撃されることは回避した。これで校則違反にはならない。
だが、紗希を膝枕させているということには変わりない。普通に考えて高校生の兄妹がする仕草ではない。萌夢ちゃんの動きが固まった。
「あのー……先輩?」
「は、はい?」
「その膝枕している人、……妹さんなんですよね?」
「あ、ああ。そうだ」
「……貧血なんですよね?」
「ああ。だからソファに寝かせたんだよ」
「膝枕で?」
「ああ、それね! うん、あのね、紗希はね、あ、紗希ってのは俺の妹の名前なんだけど、枕がないと余計気分が悪くなるんだよ! でも部室には枕ないだろ、で、膝枕していたんだ!」
「本を枕にするとかだめなんですか?」
「か、固いのは駄目なんだよ、ハハハ。なあ、紗希?」
とろんとしていた紗希が俺を見た。
「か……固いの? 私……固いの好きだよ、兄さん……」
紗希が口をぱくぱくさせながら言った。おい、やめてくれ。色々まずい。
「ははは、紗希ったら俺に気を遣って。こうは言うけど、固いの駄目なんだよ」
「仲いいんですね」
萌夢ちゃんが笑う。
「あれ? 妹さんの口の周り、なんか白いの付いていません?」
ぎく!
「あ!? ああ、こ、これね!? えーと、えーと、そうだ、カルピスだよ、カルピス! さ、さっきだな、購買でペットのカルピスを買ってだな、飲んだんだ。もう、紗希ったら、い、家じゃないんだぞ! カルピスくらい拭こうな!」
「カルピスじゃないよ、兄さん。これは兄さんのミルクたっぷり……」
「あひゃああ!? お、俺の買った牛乳がこぼれたのかああ!? す、すまん、本当にすまんなああ!!」
これ以上紗希にしゃべらせてはダメだ。満たされたことによる恍惚感で何を口走るかわかったもんじゃない。俺は側にあったティッシュで紗希の口の汚れを拭いた。
「えーと、萌夢ちゃん、ゴミ箱こっちにお願いできる?」
「はい」
ティッシュを丸めてゴミ箱に捨てる。
「ごめんな、萌夢ちゃん。妹がこんなんで。こいつさ、俺の前だといっつもこんな感じで甘えちゃうんだよ、タハハハ」
「へー、かわいい妹さんですね」
よかった、誤魔化せたようだ。
「ところで先輩、さっきから、なんか良い匂いしませんか?」
「良い匂い?」
「はい。バニラというか、クリームというか……ケーキ? クッキー? そんな感じの」
萌夢ちゃん、それ、サキュバス・フェロモンの残り香なんだよ。
「そっか? 言われてみればそうかもな」
「えー、結構してますよ?」
萌夢ちゃんがじーっと紗希を見る。
「妹さんからですよね?」
「ふぁ!?」
「なんでそんなに驚くんですかあ?」
萌夢ちゃんが不思議そうに俺を見た。
「それはだな、萌夢ちゃんが、あ、あまりに鼻が良いから驚いたんだ。そ、そうなんだよ、その通りなんだよ。紗希ったらさ、昨日の夜いきなりケーキ焼いちゃって。それも入浴後に。それで髪の毛にバニラとクリームの匂いが付いちゃってさ」
「あーわかりますう! いきなり夜中にお菓子作りしたくなること、ありますよ、私も! そっか、妹さん、私と同類なんだあ。なーるほどー」
そうなのか。女子って、そうなんだ。とっさの言い訳が偶然真実を付いていたようだ。
「じゃ、俺は今日は妹を家まで送るからさ。これで帰るよ」
「もう妹さん大丈夫なんですか?」
「ああ。ちょっと休んだらよくなった。な? 紗希?」
「うん」
ようやく紗希が普通になってきた。
「あれ……ここ……どこ? この人……だれ?」
「ここは文芸部で、この人は後輩だ」
身体を起こした紗希が「はじめまして」と萌夢ちゃんに挨拶した。萌夢ちゃんも「はじめまして」と答えた。
「えー、かわいいじゃないですかあ! 先輩にこんな可愛い妹さんがいたなんて、萌夢、びっくりですう!」
萌夢ちゃんが眼をキラキラさせながら言った。
「あらためて自己紹介します。1年5組、梅田萌夢です。文芸部です!」
「えっと……1年1組、御影紗希です。部活には入ってないです。お兄ちゃ……じゃなかった、兄がお世話になってます」
紗希がぺこりと挨拶した。
「貧血、大丈夫ですか?」
心配そうな顔で萌夢ちゃんが言った。
「貧血? 私が?」
「はい……。違うんですか?」
「うーん、貧血は貧血だけど、普通の貧血と違うていうか」
「だから、ちょっと激しい貧血だろっ?」
俺は眼で「話し合わせろ」と合図した。紗希は眼で「なんで?」と返事。くそ、なんで紗希は腹芸が出来ないんだ。
「とにかく、もう帰るよ。ごめんね、萌夢ちゃん」
「わかりました。実は今日ちょっとお話しがあったんですけど、明日にしますね」
「そうしてくれると助かるよ」
俺は紗希の手を引き、自分と紗希のカバンを持って急いで部室を出た。
萌夢ちゃんが部室に入ってきた。
「ん? カバンが2つ? お客さんですか? 先輩、そっちですか?」
萌夢ちゃんがソファのある方へ歩き出した。
まずい。この状況はかなりまずい。まだ抽出口は紗希のカップに突っ込んだまま。部室に女を連れ込み学業に不要なエスプレッソマシンで、あろうことか、カフェラテを抽出していたとバレてしまう。
カフェラテ。それは、校則違反の香り。
校則では登下校中に喫茶店に立ち寄ることは禁止だ。昭和の時代に制定されたブラック校則であり現在事実上停止状態とはいえ、喫茶、カフェ、コーヒーというのは学校という閉鎖空間において、いまだに不純異性交遊の象徴なのである。
そんな不純異性交遊の象徴の一つであるカフェラテを口内——おっと失礼変換ミス——校内で振る舞うとは!
事案発生である。俺と紗希が不純異性交遊、それも兄妹でという誤解を受けてしまう。いや、誤解とは言い切れない部分もあるのだけれども、今はそんな哲学的議論をしている場合ではない。
とりあえず、萌夢ちゃんがここに来る前に紗希をどうにかしないと。最低でも、カップをどけないと。
「あー萌夢ちゃん!? 萌夢ちゃんかなっ!?」
「はい、そうです。先輩、どこですかあ?」
「えーっとね、ソ、ソファーのとこだ」
「何してるんです?」
「い、妹が貧血で倒れてね、今……その……、か、介抱しているんだ」
嘘は言ってない。
「え! 大丈夫ですかあ?」
萌夢ちゃんが鞄をテーブルの上に置く音がした。こっちに来るつもりだ。俺は紗希を見る。紗希は恍惚とした表情でおいしそうにお口のまわりのクレマをペロペロしていた。
「紗希、紗希! 起きろ! 人が来た! お口のまわりを拭け!」
ひそひそ声で紗希に言った。
「……ん?」
「ん? じゃない!」
強引に俺は紗希を引きおこし口のまわりを拭いた。
「ん? 今、ちゅぽん、って栓を抜くような音がしませんでしたか?」
萌夢ちゃんがロッカーの陰から顔を出した。間一髪、俺はエスプレッソマシンを収納することに成功。破滅的情景を目撃されることは回避した。これで校則違反にはならない。
だが、紗希を膝枕させているということには変わりない。普通に考えて高校生の兄妹がする仕草ではない。萌夢ちゃんの動きが固まった。
「あのー……先輩?」
「は、はい?」
「その膝枕している人、……妹さんなんですよね?」
「あ、ああ。そうだ」
「……貧血なんですよね?」
「ああ。だからソファに寝かせたんだよ」
「膝枕で?」
「ああ、それね! うん、あのね、紗希はね、あ、紗希ってのは俺の妹の名前なんだけど、枕がないと余計気分が悪くなるんだよ! でも部室には枕ないだろ、で、膝枕していたんだ!」
「本を枕にするとかだめなんですか?」
「か、固いのは駄目なんだよ、ハハハ。なあ、紗希?」
とろんとしていた紗希が俺を見た。
「か……固いの? 私……固いの好きだよ、兄さん……」
紗希が口をぱくぱくさせながら言った。おい、やめてくれ。色々まずい。
「ははは、紗希ったら俺に気を遣って。こうは言うけど、固いの駄目なんだよ」
「仲いいんですね」
萌夢ちゃんが笑う。
「あれ? 妹さんの口の周り、なんか白いの付いていません?」
ぎく!
「あ!? ああ、こ、これね!? えーと、えーと、そうだ、カルピスだよ、カルピス! さ、さっきだな、購買でペットのカルピスを買ってだな、飲んだんだ。もう、紗希ったら、い、家じゃないんだぞ! カルピスくらい拭こうな!」
「カルピスじゃないよ、兄さん。これは兄さんのミルクたっぷり……」
「あひゃああ!? お、俺の買った牛乳がこぼれたのかああ!? す、すまん、本当にすまんなああ!!」
これ以上紗希にしゃべらせてはダメだ。満たされたことによる恍惚感で何を口走るかわかったもんじゃない。俺は側にあったティッシュで紗希の口の汚れを拭いた。
「えーと、萌夢ちゃん、ゴミ箱こっちにお願いできる?」
「はい」
ティッシュを丸めてゴミ箱に捨てる。
「ごめんな、萌夢ちゃん。妹がこんなんで。こいつさ、俺の前だといっつもこんな感じで甘えちゃうんだよ、タハハハ」
「へー、かわいい妹さんですね」
よかった、誤魔化せたようだ。
「ところで先輩、さっきから、なんか良い匂いしませんか?」
「良い匂い?」
「はい。バニラというか、クリームというか……ケーキ? クッキー? そんな感じの」
萌夢ちゃん、それ、サキュバス・フェロモンの残り香なんだよ。
「そっか? 言われてみればそうかもな」
「えー、結構してますよ?」
萌夢ちゃんがじーっと紗希を見る。
「妹さんからですよね?」
「ふぁ!?」
「なんでそんなに驚くんですかあ?」
萌夢ちゃんが不思議そうに俺を見た。
「それはだな、萌夢ちゃんが、あ、あまりに鼻が良いから驚いたんだ。そ、そうなんだよ、その通りなんだよ。紗希ったらさ、昨日の夜いきなりケーキ焼いちゃって。それも入浴後に。それで髪の毛にバニラとクリームの匂いが付いちゃってさ」
「あーわかりますう! いきなり夜中にお菓子作りしたくなること、ありますよ、私も! そっか、妹さん、私と同類なんだあ。なーるほどー」
そうなのか。女子って、そうなんだ。とっさの言い訳が偶然真実を付いていたようだ。
「じゃ、俺は今日は妹を家まで送るからさ。これで帰るよ」
「もう妹さん大丈夫なんですか?」
「ああ。ちょっと休んだらよくなった。な? 紗希?」
「うん」
ようやく紗希が普通になってきた。
「あれ……ここ……どこ? この人……だれ?」
「ここは文芸部で、この人は後輩だ」
身体を起こした紗希が「はじめまして」と萌夢ちゃんに挨拶した。萌夢ちゃんも「はじめまして」と答えた。
「えー、かわいいじゃないですかあ! 先輩にこんな可愛い妹さんがいたなんて、萌夢、びっくりですう!」
萌夢ちゃんが眼をキラキラさせながら言った。
「あらためて自己紹介します。1年5組、梅田萌夢です。文芸部です!」
「えっと……1年1組、御影紗希です。部活には入ってないです。お兄ちゃ……じゃなかった、兄がお世話になってます」
紗希がぺこりと挨拶した。
「貧血、大丈夫ですか?」
心配そうな顔で萌夢ちゃんが言った。
「貧血? 私が?」
「はい……。違うんですか?」
「うーん、貧血は貧血だけど、普通の貧血と違うていうか」
「だから、ちょっと激しい貧血だろっ?」
俺は眼で「話し合わせろ」と合図した。紗希は眼で「なんで?」と返事。くそ、なんで紗希は腹芸が出来ないんだ。
「とにかく、もう帰るよ。ごめんね、萌夢ちゃん」
「わかりました。実は今日ちょっとお話しがあったんですけど、明日にしますね」
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