【R18】濃ゆいの全部、紗希に飲ませて!〜俺の妹がサキュバスな件

上城ダンケ

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第23話 お口のまわりに

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 紗希が淫靡な笑みを浮かべた。俺はドキッとした。その表情があまりにも咲江さんに似ていたからだ。

「おい、さすがに今は無理だろ? だって姫島さんがいるんだぞ? だいたい、今だってお茶を用意するって言って外に出てきたんだ。そろそろ戻らないと変だろ?」
「変じゃないよ。美味しいお茶は抽出に時間がかかるんだ」
「は? 意味分からん」
「意味なんてどうでもいいじゃん……私、飲んでみたい……」

 くにくに。紗希がマシンのスイッチを入れた。

「兄さんのだって……こんなんだよ?」
「だからそれは……」
「圧が高まってると思うんだ」

 そりゃ、お前、エスプレッソマシンのスイッチ入れたからな。ボイラーが焚き始めるさ。

「なんでかな……今までは我慢できたのに……昨日カフェラテもらってから、我慢がきかないみたい」

 紗希がマシンの抽出口をゆっくりさする。

「ねえ、兄さん、オーガニックちょうだい……美味しいオーガニックブレンドのカフェラテ、飲ませて……」
「そんなこといっても、ど、どこでだな……」

 姫島さんのぶんは無いんだ。紗希だけにこっそりサービスするにはどうしたらいいんだ?

「あっち」

 紗希が後ろを指差した。

「あっちって、俺の部屋じゃんか!?」
「そう。兄さんの部屋で……カフェラテ出して……ささっとやれば雪にバレないよ……」

 紗希が俺の部屋のドアノブをそっと回した。確かに、俺の部屋なら大丈夫だ。繰り返すが姫島さんに提供するだけの豆はないんだ。本当はあるけど。

「しかし……」
「そのままにしてたら、雪だって気がつくと思うんだ……いいの?」

 紗希が左右二つのボイラーをぎゅっと握ってきた。大丈夫だ紗希。ボイラーの調子に問題は無い。出力に余裕ある。
 続けてポンプもチェック。心配するな。俺のポンプ、持続力にすぐれ、提供数の多い日でも安心なんだ。

 俺は紗希の手をそっとどけるとこう言った。

「……わかった、飲ませてやるよ。なるべく早く……飲めよ」

 紗希が笑顔になった。

「ありがと、兄さん。うん、わかった。なるべく早く飲むね。紗希、がんばる」

 俺たちは部屋に入り、扉を閉めた。

 急速にボイラーの温度が上昇。圧も上がっていく。抽出口すなわちグループヘッド。そのヘッドの部分を紗希が愛おしそうに見つめる。俺はグループヘッドをつかみ、紗希のカップに差し込む。

「ちょっと兄さん、強引……」

 紗希が戸惑う。

「時間がないんだろ?」
「そ、そうだけど……なんかこわいよ、兄さん。……でも、そういうのも……なんかいいかも……」

 紗希の呼吸が荒くなってきた。スチーミングの進行に期待が高まったのだろう。

 じゅぽ、じゅぽ、じゅぽぽ。俺のエスプレッソマシンは手動タイプ。挽いた豆をセットし、抽出まで、すべての行程が手動。紗希の手がまるでマジシャンの如く動く。

 だがバリスタは俺。抽出のタイミングは俺が決める。そして、今がそのタイミングだ。

「……だ、出すぞ、紗希」
「うん。出して。兄さん……」

 抽出が始まる。

「じゃ……いただくからね」

 紗希がいつものように、大きくお口を開けて、カフェラテ。ゆっくり紗希の頭が前後に揺れ、アロマを味わう。クレマで濡れる唇。

 しばらくの間、無言の二人。聞こえるのは……すする音。


 ♡ ♡ ♡

 カップから紗希の口が離れていく。

「……ふう。うん、お母さんの言ったとおりだった。……美味しいね。ありがとう、兄さん。あと……ごめんなさい、無理言って」

 ティッシュで口の周りのクレマを拭きながら紗希が言った。その様子を見ながら、俺は急いでマシンの汚れを拭く。さらに、紗希がパイプ内のコーヒーの汚れを綺麗にする。紗希、ありがとう。俺がバリスタなら紗希はエンジニアだな。

「急ごう。さすがに姫島さん待たせすぎだ」
「そうだね」

 そろーっと音を立てないように、紗希がドアノブを回す。

 ごん。

「ん? なんかぶつかった?」

 ドアを開けると、そこには姫島さんがいた。

「あれ? 雪? なんでそこに?」
「あ、あのね、紗希ちゃんなかなか帰ってこないから、どうしたのかなって気になって見に来たの……。そしたらね、こっちの部屋から物音がしたから、いるのかなって思って……」

 しまった。エスプレッソマシンの音はそれなりに大きい。もしかして……気がつかれたか? 紗希だけに提供したオーガニックなカフェラテ、見られたのか!?
 俺の鼓動が早くなる。さーっと冷や汗が出てきた。ここは冷静に対応を考えるんだ。そう、あくまで冷静に、だ。

 子どもにはカフェラテはまだ早い。欧米では子どもにコーヒーを飲ませないものらしい。姫島さんをはじめ、紗希の友人は紗希をおこちゃまと思っている。そんな紗希が実の兄の濃ゆいカフェラテをドリンクしてるところを見たならば、ショックを受けるに違いない。驚愕と戸惑い、そして羞恥。それらがない交ぜになって表情に出るはずだ。

 俺は姫島さんの表情をうかがった。彼女は見たのか? 見てないのか?

「あ、あの……貴樹さん……私の顔に何か付いていますか?」

 姫島さんの顔がほんのり桜色になった。軽い羞恥心があるようだが、それは男性に顔を見つめられた事に由来するもののようだ。

「いや、何も付いてないよ」

 なんとか俺は平静を装って答えた。

「……何してたの? 紗希ちゃん」

 きょとんとした表情で姫島さんが紗希に聞いた。その表情にはただの疑問しかない。俺は確信した。やはり姫島さんは何も見ていない。ほっとした。

「解答冊子を探していたんだよ」と俺が答えた。

「解答冊子?」

 姫島さんが言った。

「そう。君らが授業で使っている問題集、解答ないだろ?」
「はい」
「あの問題集、俺が去年使っていたのと同じなんだ。あれの解答冊子ね、学年の終わりに全員もらえるんだよ。それがあれば試験勉強捗るだろ?」
「そうなの、兄さん!? そんなの、持ってるの?」

 いまさら驚くなよ紗希。お前と俺はそれを探していたってことになってるんだけど。嘘がばれるぞ……。

「だから、いっしょに探していただろ?」
「探し物とかしてたっけ?」

 俺は紗希を小突き、目で「話し合わせろ」と合図した。紗希は目で「よくわかんない」と返事した。だめだこいつ。

「おもしろいね、紗希ちゃん。自分が何探していたか、知らなかったんだ」

 姫島さんが笑った。

「へへ、そーみたい」

 紗希も笑った。よかった、姫島さんが素直で。紗希が天然で。危機は乗り切った。話題を転換すべきだろう。

「さ、紗希、お茶の準備をしよう。あ、時間的に昼飯だな?」
「うん、兄さん」
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