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第12話 サキュバスのお母さん
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「起きて、兄さん」
紗希の声がした。目を開ける。目の前に紗希がいる。
「もう晩ご飯だよ?」
いつの間にか寝ていたらしい。紗希は長袖Tシャツとショートパンツに着替えていた。時計を見る。7時だ。
「……ありがと」
「下に行っとくね」
「ああ」
またね、と言って紗希が出て行った。うっすら部屋にいい匂いが残っている。香水? いや、違う。女の子の匂いかな。今まで意識したことなかったけど、いい匂いだ。ちょっと生臭いカフェラテの匂いとは違う。
「さて……」
俺は先ほどの映像を再生し直していた。
「乳首の形、見えてたな……」
そう。紗希の乳首の映像だ。
紗希は家ではノーブラである。去年までは胸も小さく、Tシャツ越しだと乳首はそんなに目立っていなかった。目を凝らして見ないと布地の下にある色や形は良くは見えなかった。
だが、あれから1年。紗希の発育は著しい。胸はより豊かになり、乳首の色も形もはっきりしてきた。今ではTシャツの上からでもはっきりその形状が確認できる。時と場合によっては色もわかる。
(……色的にはコーヒー色というよりカフェラテ色……いや紅茶色だな)
カフェラテという単語に俺の脳が反応する。マシンが起動しようとする。だめだ、こんな時間から起動するな。電気代がもったいない。
俺は深呼吸する。抽出したがっている俺のマシン。なんとか沈静化。もう一度深呼吸してから、俺は部屋を出た。
階下のダイニングに着くと、紗希と咲江さんがもう食べはじめていた。俺は紗希の隣、いつもの場所に腰掛ける。
咲江さんは働いているが、必ず食事は作っている。今日のメニューは「うな丼・肝吸い・山芋たんざく・オクラの和え物」だ。
なんだろ。ネバネバしたものが多いような気がするんだが。
……おまけにウナギ。精が付く食べ物ばかりなのでは?
「今日はウナギなんですね」
「そうよ、冷凍物だけどね。たまにはいいでしょ? 元気出るわよ、ウナギは。ふふ」
咲江さんがニコニコと言った。軽くパーマを当てたショートヘア。口元のほくろに分厚い唇。豊満というよりは巨乳という表現が似つかわしい胸。咲江さんはたしか36歳。紗希を生んだのは20歳の時だったらしい。
36歳は十分若いのだが、見た目はそれ以上に若い。肌の色・艶・張り、どう見ても20代後半だ。去年、家族旅行で沖縄に行ったときは超ハイレグビキニの水着で登場。思わず起立してしまったくらいだ。座ったまま。
「……貴樹君、疲れてない?」
心配そうに咲江さんが言った。
「え? ええ、特には……」
そんなに疲れて見えるのだろうか。
「そう。だったらいいのよ。よく寝ていたからちょっと心配になったの。……駄目よ、紗希ちゃん。兄さんにあまり無理させちゃ。ね?」
咲江さんが意味深に笑う。え? 兄さんに無理? どういうことだ?
「大丈夫、無理なんてさせてないから。ね? 兄さん」
「本当に? そうなの、貴樹君」
「あ、ああ、無理は……してないです」
とりあえず同意したが、この場合の「無理」って……。もしかして……あの意味? カフェラテ的な? 量的な?
「紗希から聞いたの。……ありがとうね、貴樹君。助かる。そして……さきから聞いたのよね、私たちがサキュバスってこと」
「えっと……はい」
……やはり咲江さんもサキュバスなんだ。
そして、紗希は喋ったんだ、あのことを。
俺のカフェラテ……ミルクたっぷり……カフェラテを飲んだことを。
紗希の声がした。目を開ける。目の前に紗希がいる。
「もう晩ご飯だよ?」
いつの間にか寝ていたらしい。紗希は長袖Tシャツとショートパンツに着替えていた。時計を見る。7時だ。
「……ありがと」
「下に行っとくね」
「ああ」
またね、と言って紗希が出て行った。うっすら部屋にいい匂いが残っている。香水? いや、違う。女の子の匂いかな。今まで意識したことなかったけど、いい匂いだ。ちょっと生臭いカフェラテの匂いとは違う。
「さて……」
俺は先ほどの映像を再生し直していた。
「乳首の形、見えてたな……」
そう。紗希の乳首の映像だ。
紗希は家ではノーブラである。去年までは胸も小さく、Tシャツ越しだと乳首はそんなに目立っていなかった。目を凝らして見ないと布地の下にある色や形は良くは見えなかった。
だが、あれから1年。紗希の発育は著しい。胸はより豊かになり、乳首の色も形もはっきりしてきた。今ではTシャツの上からでもはっきりその形状が確認できる。時と場合によっては色もわかる。
(……色的にはコーヒー色というよりカフェラテ色……いや紅茶色だな)
カフェラテという単語に俺の脳が反応する。マシンが起動しようとする。だめだ、こんな時間から起動するな。電気代がもったいない。
俺は深呼吸する。抽出したがっている俺のマシン。なんとか沈静化。もう一度深呼吸してから、俺は部屋を出た。
階下のダイニングに着くと、紗希と咲江さんがもう食べはじめていた。俺は紗希の隣、いつもの場所に腰掛ける。
咲江さんは働いているが、必ず食事は作っている。今日のメニューは「うな丼・肝吸い・山芋たんざく・オクラの和え物」だ。
なんだろ。ネバネバしたものが多いような気がするんだが。
……おまけにウナギ。精が付く食べ物ばかりなのでは?
「今日はウナギなんですね」
「そうよ、冷凍物だけどね。たまにはいいでしょ? 元気出るわよ、ウナギは。ふふ」
咲江さんがニコニコと言った。軽くパーマを当てたショートヘア。口元のほくろに分厚い唇。豊満というよりは巨乳という表現が似つかわしい胸。咲江さんはたしか36歳。紗希を生んだのは20歳の時だったらしい。
36歳は十分若いのだが、見た目はそれ以上に若い。肌の色・艶・張り、どう見ても20代後半だ。去年、家族旅行で沖縄に行ったときは超ハイレグビキニの水着で登場。思わず起立してしまったくらいだ。座ったまま。
「……貴樹君、疲れてない?」
心配そうに咲江さんが言った。
「え? ええ、特には……」
そんなに疲れて見えるのだろうか。
「そう。だったらいいのよ。よく寝ていたからちょっと心配になったの。……駄目よ、紗希ちゃん。兄さんにあまり無理させちゃ。ね?」
咲江さんが意味深に笑う。え? 兄さんに無理? どういうことだ?
「大丈夫、無理なんてさせてないから。ね? 兄さん」
「本当に? そうなの、貴樹君」
「あ、ああ、無理は……してないです」
とりあえず同意したが、この場合の「無理」って……。もしかして……あの意味? カフェラテ的な? 量的な?
「紗希から聞いたの。……ありがとうね、貴樹君。助かる。そして……さきから聞いたのよね、私たちがサキュバスってこと」
「えっと……はい」
……やはり咲江さんもサキュバスなんだ。
そして、紗希は喋ったんだ、あのことを。
俺のカフェラテ……ミルクたっぷり……カフェラテを飲んだことを。
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