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第3話 直接じゃないから
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「い、いつから……気がついてた? えっと……その……私がサキュバスだって……」
アイスカフェラテを飲み干した紗希が、もじもじしながら俺の顔を見る。
「そうだな……」
淫夢。唐突にその単語が脳裏に浮かんだ。
いつだろう。秋ぐらいだろうか。いきなり、紗希が夢——それも淫らな夢に出てくるようになったのだ。
「紗希の……その、紗希の出てくる夢を見るようになったのは、秋だったかな」
「どんな夢?」
「そ、それは……」
かーっと顔が熱くなった。紗希、この場で内容を……具体的な内容を言えというのか?
「まあ、なんだ……その、お前と……なんというか……そういう、す、する夢だ」
「……内容覚えているんだ」
「あ、ああ」
「えっと……あの……ど、どんな感じだった? き、気持ちよかった?」
上目遣いに俺を見ながら、恥ずかしそうに紗希が聞く。
「あ、ああ。そーだなー、き、気持ちよかったぞ」
「……出た?」
「も、もちろん」
「朝、汚れてなくておかしいな、とか思った?」
確かに、出たはずなのになにもなかった。
「……淫夢ってわかる?」
恥じらいながら紗希が言った。
「ああ。えっちな夢だろ?」
「サキュバスは、淫夢を見せることが出来るんだ」
「お、おう」
「でさ、夢見たら、……出ちゃうよね?」
「ああ」
「それをね……私が……もらうんだ」
なんだ、そうだったのか。紗希があれを回収していたのか。
「だから汚れもせず、何も残ってなかった……って、え、ええええ!?」
思わず大声を出してしまった。周囲の目が集まる。
「兄さん、声大きい」
「す、すまん。ちょっと驚いてしまって」
もらったって……え? どういうことだ? まさか……。
「紗希、あの、もらったって、具体的には、その、えーと……」
まさか……その口で……!?
「直接じゃないから」
「直接じゃない!?」
「そう」
「じゃあ、どうやって」
「こそっと脱がせて……」
いいかけて紗希がやめた。
「……言うの? ここで?」
紗希がぐるっと周囲を見渡す。そう、ここは駅前のスタバ。公衆の面前。
「……私はいいけど」
「あ、ああ、ごめん、悪かった」
駄目だ、俺って。なんて無神経なんだ。15歳の女子高生にスタバで何を言わせようとしたんだ、俺。
「ううん。別に……」
紗希がアイスカフェラテを飲もうとする。空っぽなのに気がつき、なかの氷を口に入れた。口の中で氷を転がす。ほっぺに浮かぶ、氷の形。
「聞いてもいいかな」
「何を?」
「いつから、サ……サキュバスなんだ?」
紗希の動きが止まった。その数秒後、紗希が氷を噛み砕いて、ごっくんと飲み込んだ。
「15歳になったときから。15歳の誕生日、サキュバスは目覚めるの。私の誕生日10月10日だったでしょ。あの日から……サキュバス」
「へ、へえ」
「あの日以来、兄さんのをもらわないと駄目な身体になったんだ」
「そ、そうか」
去年の秋以降、俺の部屋で、使用済みのをあさったり、出たヤツをこっそり回収したりしていたってことか。
……てことは、何度も見られて、触られていたってことか!?
「そりゃ大変だな」
「まあね。でも、もらわないと……血がなくなっちゃうからさ」
「血?」
「うん。造血と関係あるらしいんだ」
アイスカフェラテを飲み干した紗希が、もじもじしながら俺の顔を見る。
「そうだな……」
淫夢。唐突にその単語が脳裏に浮かんだ。
いつだろう。秋ぐらいだろうか。いきなり、紗希が夢——それも淫らな夢に出てくるようになったのだ。
「紗希の……その、紗希の出てくる夢を見るようになったのは、秋だったかな」
「どんな夢?」
「そ、それは……」
かーっと顔が熱くなった。紗希、この場で内容を……具体的な内容を言えというのか?
「まあ、なんだ……その、お前と……なんというか……そういう、す、する夢だ」
「……内容覚えているんだ」
「あ、ああ」
「えっと……あの……ど、どんな感じだった? き、気持ちよかった?」
上目遣いに俺を見ながら、恥ずかしそうに紗希が聞く。
「あ、ああ。そーだなー、き、気持ちよかったぞ」
「……出た?」
「も、もちろん」
「朝、汚れてなくておかしいな、とか思った?」
確かに、出たはずなのになにもなかった。
「……淫夢ってわかる?」
恥じらいながら紗希が言った。
「ああ。えっちな夢だろ?」
「サキュバスは、淫夢を見せることが出来るんだ」
「お、おう」
「でさ、夢見たら、……出ちゃうよね?」
「ああ」
「それをね……私が……もらうんだ」
なんだ、そうだったのか。紗希があれを回収していたのか。
「だから汚れもせず、何も残ってなかった……って、え、ええええ!?」
思わず大声を出してしまった。周囲の目が集まる。
「兄さん、声大きい」
「す、すまん。ちょっと驚いてしまって」
もらったって……え? どういうことだ? まさか……。
「紗希、あの、もらったって、具体的には、その、えーと……」
まさか……その口で……!?
「直接じゃないから」
「直接じゃない!?」
「そう」
「じゃあ、どうやって」
「こそっと脱がせて……」
いいかけて紗希がやめた。
「……言うの? ここで?」
紗希がぐるっと周囲を見渡す。そう、ここは駅前のスタバ。公衆の面前。
「……私はいいけど」
「あ、ああ、ごめん、悪かった」
駄目だ、俺って。なんて無神経なんだ。15歳の女子高生にスタバで何を言わせようとしたんだ、俺。
「ううん。別に……」
紗希がアイスカフェラテを飲もうとする。空っぽなのに気がつき、なかの氷を口に入れた。口の中で氷を転がす。ほっぺに浮かぶ、氷の形。
「聞いてもいいかな」
「何を?」
「いつから、サ……サキュバスなんだ?」
紗希の動きが止まった。その数秒後、紗希が氷を噛み砕いて、ごっくんと飲み込んだ。
「15歳になったときから。15歳の誕生日、サキュバスは目覚めるの。私の誕生日10月10日だったでしょ。あの日から……サキュバス」
「へ、へえ」
「あの日以来、兄さんのをもらわないと駄目な身体になったんだ」
「そ、そうか」
去年の秋以降、俺の部屋で、使用済みのをあさったり、出たヤツをこっそり回収したりしていたってことか。
……てことは、何度も見られて、触られていたってことか!?
「そりゃ大変だな」
「まあね。でも、もらわないと……血がなくなっちゃうからさ」
「血?」
「うん。造血と関係あるらしいんだ」
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