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第1話 妹はサキュバス
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一学期中間考査初日放課後。俺と妹の紗希はアイスカフェラテを飲んでいた。
紗希がどうしても告白したいことがある、とのことだったので、俺たちは駅前のスタバに寄ったのだった。
「あのね、兄さん……私さ」
紗希が俺の顔をじっと見つめてからうつむいた。そして小さな声で
「……サキュバスなんだ」
と、言った。
俺は「知ってたよ」と答える。
「……やっぱり知ってたんだ」
「まあな。夜中に俺の部屋に忍び込んで……その、アレだ、ゴミ箱からティッシュあさってさ……」
「言わないで!」
顔を真っ赤にした紗希が俺を止めた。
「それ以上……言わないで」
恥ずかしそうに俺から目をそらす。
「……み、見てたんだ、兄さん」
「まあ……そうだな。見てた」
紗希の顔が真っ赤になった。
「だって……私たちサキュバスは……の、飲まないと、死んじゃうんだもん……」
紗希がつぶやいた。俺は紗希の唇を見た。
今まさに声が発せられている唇。なるほど。あれで。
「義妹がサキュバスなの、イヤかなぁ……?」
目に涙を溜めて紗希が俺を見た。
「嫌じゃないさ。だって……」
だって。それって。アレだろ。サキュバスなんだろ? 分かるさ。
ちゅぱちゅぱ、ごっくん。そういうことだよな?
「紗希は俺の妹じゃないか。血が繋がっていなくても、俺の妹なんだ。嫌いになるわけがない」
「……本当に?」
「ああ、本当さ」
「あ、ありがと、兄さん。そっか、イヤじゃないんだ。嬉しいな……へへ」
紗希が笑顔でアイスカフェラテを一気に飲み干した。一気に、ちゅーって。
いい飲みっぷりだ。
きっと、あんな感じなんだろう。
あとがき
ぜひお気に入りに入れてください!
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「……本当に?」
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