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41自分から、しちゃった
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「実は、ずっとエースに黙っていたことがある」
クレソンさんは、沈痛な面持ちだった。彼はとても真っ直ぐな人だから、私に隠し事をしていたことがよぼど辛いのだろう。
「知ってますよ」
「え」
「ハーヴィー王国第一王子、クレソン・ハーヴィー様」
私は、彼の足元に跪いた。西部の街でしたように、恭しく頭を垂れる。でもあの時と違うのは、私と彼の間に横たわる埋めようのない身分の差。
いつか、この時が来るとは思っていた。そしたら全ての気持ちに蓋をして、ただ彼に改めての忠誠を誓おう。そう決めていたはずなのに、いざとなると声が出ない。誓ってしまったら、きっともう元には戻れない。所詮異世界から落ちてきた一介の新人騎士、しかも男装している身で彼を求めることはできるはずもないのだ。
「エース、そんなことをしてほしいわけじゃなかったんだ」
クレソンさんは自身もしゃがみ込むと、その手で私の両手を包み込む。
「エース、僕を見て」
嫌だ。今見たら、涙が出ちゃう。
「エース、僕は王子だ。でも、今はそうじゃない」
クレソンさんは、彼が王子ではなくなった経緯を説明してくれた。ますます宰相が憎くてたまらなくなった。
「僕も彼を憎んでた。でも、心のどこかでほっとしている自分もいた。その時点で王子失格だったのかもしれない」
彼は自嘲気味に笑う。
「宰相は王家をバラバラにし、国政を一手に牛耳るという暴挙に出ているけど、それで国を五年に渡って回してきたという手腕は確かだ。もし彼がいなかったら、廃人になってしまった父に代わって僕があそこまで立ち回れたとは、とても思えない。だから感謝しなくてはならないのかもしれない」
「でも、クレソンさんを王籍から外していい理由にはなりません」
「そうだね。同時に僕も、宰相の暗躍を見てみぬふりをして、ここまで何もせず、のうのうと生きていい理由はどこにもなかったはず」
クレソンさんの手に、力がこもる。
「エース、僕は王になる」
私は、ようやく顔を上げた。クレソンさんの紺色の瞳が私を真正面から見据えていた。
「もう、逃げるのはやめる。このままでは、この国は少しずつ宰相によって蝕まれ、腐ってしまう。そして、滅んでしまうだろう。それを止められるのは、王家の血筋を受け継ぐ僕だけだ。そして不甲斐ない僕に、気づきを与えてくれたのはエース、君だよ。エース、ありがとう」
「いえ、私は何も……」
クレソンさん、そんなことを考えていたなんて。
「僕は強くなりたい。剣などの武力という意味ではなく、人として、この国でなくてはならない存在になりたい。そして、君を守りたい。ついでに、この国や、この世界も」
「ついでが、大きすぎますよ」
私は、クレソンさんに手を取られて立ち上がる。彼は私をぎゅっと抱きしめた。後ろから抱きつかれることは、最近よくある。でも、こうして正面からするのは久しぶりだ。クレソンさんの匂いがする。彼が私だけの騎士に見えてくる。でも今ぐらいいいよね。今だけでもいいから、私のクレソンさんでいてほしい。彼の胸元に頬を擦りつけていると、なぜかすごくほっとしてしまって、涙が出てきた。あ、いけない。クレソンさんの騎士服が汚れちゃう。慌てて顔を離すと、また彼と目があった。
「エース、僕のこと応援してくれる?」
「はい。誰よりも応援したいです」
「じゃ、応援の気持ちが欲しいな」
クレソンさんの指が、私の唇に触れた。え、そういうこと?
「姫乃にしてもらったら、がんばれそう」
そこまで言われたら、もう断れなくなっちゃう。
「目、つむってください」
そう答えるだけで、私の頭は沸騰寸前だ。私なんかが、自分から王子様にキスしちゃっていいのかな? でも、クレソンさんに求められたのが嬉しすぎて、普通の感覚なんて吹き飛んでしまった。
つま先立ちで背伸びする。クレソンさんは背が高いので、まだ僅かに届かない。それに気づいた彼は少し背中を丸めて私に近づいてくれた。閉じられた彼の長いまつ毛にドキドキする。私もそっと目を閉じた。クレソンさんの頬に唇を押し付ける。その瞬間。
「こっちがいい」
今度は唇と唇が重なる。輝く星空の下、私はクレソンさんのことがもっともっと好きになった。
◇
クレソンさんが夜会に戻り、私は広場にやってきた。もう一般人は城外に出てしまったし、夜会に参加している貴族や他国からの来賓は全員お城に泊まるそうなので、私達騎士も今夜は仕事がおしまいだ。
「エース、すごかったな!」
オレガノ隊長とコリアンダー副隊長がやってきた。
「お疲れ様です。無事に成功して本当に良かったです。夜会に参加されていた方々の反応も良いといいのですが」
「それについては上々らしいぞ。チャンウェル団長が、さっき『よくやった!』とわざわざ言いに来たぐらいだからな」
チャンウェル団長は、夜会の警備に駆り出されていたのだ。彼が貴族の長男ということもある。オレガノ隊長やコリアンダー副隊長も貴族らしいけれど、「あんなところ、金を貰っても行くものか」だそうだ。夜会って、いろんな駆け引きがありそうだし、マナーも厳しそうだものね。怖い、怖い。ま、私は一生縁が無い世界だからどうでもいいけれど。
ふと見渡すと、今回のショーに協力してくれた先輩方も集まってきていた。じゃ、私からちょっとまとめの挨拶しておかなくては。
「皆さん、どうもありがとうございました! 無事に、『第八騎士団第六部隊プレゼンス、ハーヴィエル王国のマジカルナイト』は大成功しました。私一人では絶対にできなかったことです。魔術の練習も大変だったのに、業務調整してまでご協力くださり、本当にありがとうございました」
私が頭を下げると同時に拍手が巻き起こる。気づいたら先輩方に担ぎ上げられていた。え? 胴上げ? 空中を飛ぶのって怖いよ。嬉しいけど、早く下ろしてください!
そんな私を温かめな目で見守っていたオレガノ隊長の横で、コリアンダー副隊長は、ムスッとした顔でこう告げた。
「エース、今から打ち上げだ。何か美味いものを作ってくれ」
いつも真面目なコリアンダー副隊長がこんなことを言うなんて。私以外の皆もびっくりしている。よっぽどお腹が空いているのか、私のご飯が気に入っているかのどちらかだな。
「よーし、お前ら自分の部屋から酒持って来い。半時間後に、騎士寮一階会議室で集合な!」
オレガノ隊長の声に、全員がおう!と返事している。
仕方ないな。もう一肌脱いで、美味しい異世界飯をお見舞いしちゃうぞ!
あ、でもさすがに三十分で全員のご飯作るのは無理。ここは、ディル班長を扱き使って最善を尽くすしかないな。
◇
翌朝、目を開けると頭痛がした。昨夜、オレガノ隊長が「十六歳過ぎたら酒飲むのは当たり前だ」とか言い出したお陰で、お酒にチャレンジしたのだ。で、初めて口にしたお酒、エールは温くて苦くて、ちょっと舌がヒリヒリした。つまり、不味い。それが顔に出たらしく、「エースは贅沢だな。これでも飲んどけ」とディル班長に言われて飲ませてもらったのは、口当たりの良い甘めのワイン。正直、これを飲んだ辺りから記憶が曖昧になっている。
確か、体がふわふわして熱くなってきたので、クレソンさんに寄りかかって、その後はクレソンさんにおぶさって部屋に帰ってきた。そこからは、自分でお風呂に入って着替えてベッドに入ったと思う。
式典関係で最近は大忙しで疲れていたし、たぶん元々私はお酒が弱いのだろう。この気分の悪さは俗に言う二日酔いだろうか。それにしても、身体があったかいなぁ。まだ本格的に酔ってるのかも。
と思った瞬間、正気に戻った。
あれ、なんでここに人の腕があるの?
私は、誰かの腕を抱き枕のようにして眠っていたらしいのだ。もしかして……
ゆっくりと寝返りをうつ。
「おはよう」
「おはようございます」
あ、クレソンさんだ。
「よく眠れましたか?」
といつもの癖で尋ねて初めて気づいた。ここ、私のベッドじゃない! そういえば、夜中におしっこ行きたくなって途中で起きたのだ。それから自分のベッドに戻ったつもりが、なぜかクレソンさんのベッドに入ってたなんて。しかもクレソンさん、昨夜も服着ないで寝てたっぽい。視界の大半が鼻血ものの肉体美で埋め尽くされてるんですけど、これ。
「朝方からは一睡もできてないかな」
「あ、あの、えっと……!?」
「エース、可愛い寝間着で寝てるんだね」
ふと自分の胸元を見ると、以前ミントさんから貰った女の子用寝間着を着ているではないか。しかも、その下に下着はつけていない。
私は、何度か瞬きをした後、我に返ったように思いっきり叫んだ。
その直後、もっと「ぎゃー!」なお話が待っていたのだけれど、私はクレソンさんから目の毒だから早く着替えてと言われるまで、必死で彼に謝り倒すのに忙しくなるのであった。
クレソンさんは、沈痛な面持ちだった。彼はとても真っ直ぐな人だから、私に隠し事をしていたことがよぼど辛いのだろう。
「知ってますよ」
「え」
「ハーヴィー王国第一王子、クレソン・ハーヴィー様」
私は、彼の足元に跪いた。西部の街でしたように、恭しく頭を垂れる。でもあの時と違うのは、私と彼の間に横たわる埋めようのない身分の差。
いつか、この時が来るとは思っていた。そしたら全ての気持ちに蓋をして、ただ彼に改めての忠誠を誓おう。そう決めていたはずなのに、いざとなると声が出ない。誓ってしまったら、きっともう元には戻れない。所詮異世界から落ちてきた一介の新人騎士、しかも男装している身で彼を求めることはできるはずもないのだ。
「エース、そんなことをしてほしいわけじゃなかったんだ」
クレソンさんは自身もしゃがみ込むと、その手で私の両手を包み込む。
「エース、僕を見て」
嫌だ。今見たら、涙が出ちゃう。
「エース、僕は王子だ。でも、今はそうじゃない」
クレソンさんは、彼が王子ではなくなった経緯を説明してくれた。ますます宰相が憎くてたまらなくなった。
「僕も彼を憎んでた。でも、心のどこかでほっとしている自分もいた。その時点で王子失格だったのかもしれない」
彼は自嘲気味に笑う。
「宰相は王家をバラバラにし、国政を一手に牛耳るという暴挙に出ているけど、それで国を五年に渡って回してきたという手腕は確かだ。もし彼がいなかったら、廃人になってしまった父に代わって僕があそこまで立ち回れたとは、とても思えない。だから感謝しなくてはならないのかもしれない」
「でも、クレソンさんを王籍から外していい理由にはなりません」
「そうだね。同時に僕も、宰相の暗躍を見てみぬふりをして、ここまで何もせず、のうのうと生きていい理由はどこにもなかったはず」
クレソンさんの手に、力がこもる。
「エース、僕は王になる」
私は、ようやく顔を上げた。クレソンさんの紺色の瞳が私を真正面から見据えていた。
「もう、逃げるのはやめる。このままでは、この国は少しずつ宰相によって蝕まれ、腐ってしまう。そして、滅んでしまうだろう。それを止められるのは、王家の血筋を受け継ぐ僕だけだ。そして不甲斐ない僕に、気づきを与えてくれたのはエース、君だよ。エース、ありがとう」
「いえ、私は何も……」
クレソンさん、そんなことを考えていたなんて。
「僕は強くなりたい。剣などの武力という意味ではなく、人として、この国でなくてはならない存在になりたい。そして、君を守りたい。ついでに、この国や、この世界も」
「ついでが、大きすぎますよ」
私は、クレソンさんに手を取られて立ち上がる。彼は私をぎゅっと抱きしめた。後ろから抱きつかれることは、最近よくある。でも、こうして正面からするのは久しぶりだ。クレソンさんの匂いがする。彼が私だけの騎士に見えてくる。でも今ぐらいいいよね。今だけでもいいから、私のクレソンさんでいてほしい。彼の胸元に頬を擦りつけていると、なぜかすごくほっとしてしまって、涙が出てきた。あ、いけない。クレソンさんの騎士服が汚れちゃう。慌てて顔を離すと、また彼と目があった。
「エース、僕のこと応援してくれる?」
「はい。誰よりも応援したいです」
「じゃ、応援の気持ちが欲しいな」
クレソンさんの指が、私の唇に触れた。え、そういうこと?
「姫乃にしてもらったら、がんばれそう」
そこまで言われたら、もう断れなくなっちゃう。
「目、つむってください」
そう答えるだけで、私の頭は沸騰寸前だ。私なんかが、自分から王子様にキスしちゃっていいのかな? でも、クレソンさんに求められたのが嬉しすぎて、普通の感覚なんて吹き飛んでしまった。
つま先立ちで背伸びする。クレソンさんは背が高いので、まだ僅かに届かない。それに気づいた彼は少し背中を丸めて私に近づいてくれた。閉じられた彼の長いまつ毛にドキドキする。私もそっと目を閉じた。クレソンさんの頬に唇を押し付ける。その瞬間。
「こっちがいい」
今度は唇と唇が重なる。輝く星空の下、私はクレソンさんのことがもっともっと好きになった。
◇
クレソンさんが夜会に戻り、私は広場にやってきた。もう一般人は城外に出てしまったし、夜会に参加している貴族や他国からの来賓は全員お城に泊まるそうなので、私達騎士も今夜は仕事がおしまいだ。
「エース、すごかったな!」
オレガノ隊長とコリアンダー副隊長がやってきた。
「お疲れ様です。無事に成功して本当に良かったです。夜会に参加されていた方々の反応も良いといいのですが」
「それについては上々らしいぞ。チャンウェル団長が、さっき『よくやった!』とわざわざ言いに来たぐらいだからな」
チャンウェル団長は、夜会の警備に駆り出されていたのだ。彼が貴族の長男ということもある。オレガノ隊長やコリアンダー副隊長も貴族らしいけれど、「あんなところ、金を貰っても行くものか」だそうだ。夜会って、いろんな駆け引きがありそうだし、マナーも厳しそうだものね。怖い、怖い。ま、私は一生縁が無い世界だからどうでもいいけれど。
ふと見渡すと、今回のショーに協力してくれた先輩方も集まってきていた。じゃ、私からちょっとまとめの挨拶しておかなくては。
「皆さん、どうもありがとうございました! 無事に、『第八騎士団第六部隊プレゼンス、ハーヴィエル王国のマジカルナイト』は大成功しました。私一人では絶対にできなかったことです。魔術の練習も大変だったのに、業務調整してまでご協力くださり、本当にありがとうございました」
私が頭を下げると同時に拍手が巻き起こる。気づいたら先輩方に担ぎ上げられていた。え? 胴上げ? 空中を飛ぶのって怖いよ。嬉しいけど、早く下ろしてください!
そんな私を温かめな目で見守っていたオレガノ隊長の横で、コリアンダー副隊長は、ムスッとした顔でこう告げた。
「エース、今から打ち上げだ。何か美味いものを作ってくれ」
いつも真面目なコリアンダー副隊長がこんなことを言うなんて。私以外の皆もびっくりしている。よっぽどお腹が空いているのか、私のご飯が気に入っているかのどちらかだな。
「よーし、お前ら自分の部屋から酒持って来い。半時間後に、騎士寮一階会議室で集合な!」
オレガノ隊長の声に、全員がおう!と返事している。
仕方ないな。もう一肌脱いで、美味しい異世界飯をお見舞いしちゃうぞ!
あ、でもさすがに三十分で全員のご飯作るのは無理。ここは、ディル班長を扱き使って最善を尽くすしかないな。
◇
翌朝、目を開けると頭痛がした。昨夜、オレガノ隊長が「十六歳過ぎたら酒飲むのは当たり前だ」とか言い出したお陰で、お酒にチャレンジしたのだ。で、初めて口にしたお酒、エールは温くて苦くて、ちょっと舌がヒリヒリした。つまり、不味い。それが顔に出たらしく、「エースは贅沢だな。これでも飲んどけ」とディル班長に言われて飲ませてもらったのは、口当たりの良い甘めのワイン。正直、これを飲んだ辺りから記憶が曖昧になっている。
確か、体がふわふわして熱くなってきたので、クレソンさんに寄りかかって、その後はクレソンさんにおぶさって部屋に帰ってきた。そこからは、自分でお風呂に入って着替えてベッドに入ったと思う。
式典関係で最近は大忙しで疲れていたし、たぶん元々私はお酒が弱いのだろう。この気分の悪さは俗に言う二日酔いだろうか。それにしても、身体があったかいなぁ。まだ本格的に酔ってるのかも。
と思った瞬間、正気に戻った。
あれ、なんでここに人の腕があるの?
私は、誰かの腕を抱き枕のようにして眠っていたらしいのだ。もしかして……
ゆっくりと寝返りをうつ。
「おはよう」
「おはようございます」
あ、クレソンさんだ。
「よく眠れましたか?」
といつもの癖で尋ねて初めて気づいた。ここ、私のベッドじゃない! そういえば、夜中におしっこ行きたくなって途中で起きたのだ。それから自分のベッドに戻ったつもりが、なぜかクレソンさんのベッドに入ってたなんて。しかもクレソンさん、昨夜も服着ないで寝てたっぽい。視界の大半が鼻血ものの肉体美で埋め尽くされてるんですけど、これ。
「朝方からは一睡もできてないかな」
「あ、あの、えっと……!?」
「エース、可愛い寝間着で寝てるんだね」
ふと自分の胸元を見ると、以前ミントさんから貰った女の子用寝間着を着ているではないか。しかも、その下に下着はつけていない。
私は、何度か瞬きをした後、我に返ったように思いっきり叫んだ。
その直後、もっと「ぎゃー!」なお話が待っていたのだけれど、私はクレソンさんから目の毒だから早く着替えてと言われるまで、必死で彼に謝り倒すのに忙しくなるのであった。
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