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第一章 砂羅万編
第4話 目的
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「流星……なの?」
「どうしたの? あ……」
杜夜世(とよせ)はその場から飛び退いて、流星に背を向けた。流星も、慌てて下に敷いてあった杜夜世のマントを身体に巻きつける。
「私の薬に、こんな効き目はないはずよ」
「ごめん。戻るなんて、すっごく久しぶりで。油断してた」
「戻る?」
流星は、へらっと笑った。
「僕はね、元々人間だったんだ」
流星は、杜夜世に話し始めた。
10年前、流星は、父親が国に不利益な事をしたとして、家族と一緒に国の魔術師団に捕らえられてしまった。そして、魔術で羽馬に変えられると、砂羅万(さらまん)の羽馬公団に入れられたのだった。もちろん、客車を引く羽馬として。
杜夜世は、自分の10年前に思いを馳せた。
10年前のある日、杜夜世は、根治苦症になった。その時は、世界の全てが自分の敵だと思った。なぜ根治苦症にかかったのかも、分からない。自分の未来が真っ黒に塗りつぶされたように感じた。
幸い、家族に理解があったため、杜夜世は、自らの命を絶つ程にまで追い詰められることはなかった。母親が薬師だったので、根治苦症の発作を抑えるための薬が簡単に手に入ったこともある。
「根治苦症よりも、非道い目に遭っていた人がいるだなんて、知らなかった」
「こういうのは、比べても仕方がないよ。大切なのは、きっとなんとかなるって、信じることだ」
杜夜世は、流星が、ただ適当な性格なのではなく、つらい過去に裏付けられたら信念を持っていることを知った。
「なんとかできる、じゃなくて?」
「全部自分でどうにかできたら良いけれど、運任せ、縁任せなところも大きいから」
「そうかもしれないね。……ねぇ、また羽馬になっちゃうの? どうして、人間に戻れたの?」
流星は、自分の隣に来るよう、杜夜世に向かって手招きした。杜夜世は、素直に流星に近づいた。
「そのうち、羽馬になるだろうね。基本的に、羽馬だから。でも、また杜夜世が優しくしてくれたら、人間に戻れる」
「私、何もしてない」
「ううん、そんなことない。杜夜世といると、ほっこりするもん」
杜夜世は、流星の方がほっこりする人だと思った。今朝も澄んだ青い瞳がキラキラしていて、見つめると、心が洗われるような心地になる。
「杜夜世に買ってもらえて、本当に良かった。ありがとう」
流星は、杜夜世をそっと抱きしめると、その唇にキスをした。
突然のことに、一瞬ポカンとしていた杜夜世は、すぐに我に返った。
「流星……?!」
杜夜世は逃げ出そうとしたが、流星は杜夜世を捕まえたまま。
「人前じゃないから、いいでしょ?」
「そんな問題?!」
「杜夜世も、キスしてくれたよ」
「あ、あれは、羽馬だったから……」
「羽馬でも、人間でも、僕は僕だよ」
杜夜世は、顔を赤くしたり、青くしたりを繰り返しながら、何か言おうと口をパクパクしていた。
「もっと、していいの?」
「違うよ!」
「僕のご主人は、怒っても可愛いね。もう離れないから、安心してね」
杜夜世は、流星にいろいろと突っ込みたいと思っていたが、全て吹き飛んでしまった。離れない……? 根治苦症の杜夜世は、突き放されることこそあれ、離れないなんて言われたことは、これまで一度もなかった。
両親や白雪ですら、旅立ちの時もハグしてくれなかったのだ。最後に人肌に触れたのはいつだったか、もう思い出せない。それぐらい昔のこと。
杜夜世は、胸から熱いものが込み上げてくるのを感じた。まさか、発作かと思ったが、違った。この気持ちの名前は、まだ分からない。ただ、杜夜世の目からは、つうっと二筋、涙が流れた。
「杜夜世……大丈夫?」
流星は、杜夜世の涙を指ですくった。
「ご主人っていうのは、やめて。私、人買いみたいじゃない?」
話し合いの結果、流星は杜夜世を『トヨ』と呼ぶことになった。
「呼び名はどうあれ、僕を買ったお金はなんとかしないといけないね。いくらなの?」
杜夜世は、キャリーバッグのポケットから、くしゃくしゃになった紙を取り出した。
「……やっぱり高いわね。流星、けっこう働き者だったんでしょ?」
流星は、肩をすくめた。流星の売値は、100万通宝(つうほう)。砂羅万では、中流家庭の稼ぎ頭が3か月間必死に働いて得られるかどうかといった金額だ。
杜夜世は、薬師。医学が広まっていないこの国では、立地の良い場所に店さえ出すことができれば、かなり稼げることは見込める。ただし、杜夜世は根治苦症だ。場所を借したり、杜夜世の薬を買ったりするような奇特な人物は、そうそう現れないだろう。
「どうしよう……。それでなくても、お金が必要なのに」
杜夜世は、身体の重心を流星に預けたまま、空の遠くに目をやった。
「そういえば、トヨって、どうして砂羅万に来たの?」
「……流星。初めはね、あなたのこと、野生に放とうかと思ってたの」
「放っても、僕はトヨのところに戻ってくる」
「うん、そうだと思ったから、もう諦めたわ。だから……私と一緒に、来てくれない?」
杜夜世にとっては、勇気の要る言葉だった。普通の人は、誰も自分に寄り付かないことを知っている。根治苦症であることを知られていない時であれば、美少女だとか、優秀な薬師だとか言われたことも多い。けれど、一度その正体を知れば、手のひらを返したように態度が激変してしまうのだ。
流星は、自分から『離れない』と言った。しかし、本当に離れずにいてくれるのかどうか、杜夜世は不安で仕方なかった。それが確認できない限り、大切な話はすることができない。
「うん。トヨと、一緒にいるよ」
杜夜世は、ゴクリと唾を飲み込んだ。流星の笑顔は、朝方の晴れ渡った空よりも爽やかだった。
「じゃぁ、私の旅の目的、聞いてくれる?」
根治苦症の杜夜世は、発作を気にすることなく、人並みに動けるようになって、人並みに人々と触れ合って、ひっそりと生活できるようになりたかった。そんな人並みの強さが、心の奥底から欲しかった。しかし、自分の力では、どうにもならなかった。薬師であるにも関わらず、根治苦症の特効薬は作れなかったのだ。なぜなら、そんなもの、存在しなかったから。
そんな折、杜夜世は、ある日父親が読んでいた新聞のコラムで、繋蔓多(けいまんた)の山のことを知る。この山の頂上には、万病に効くという伝説の果実がなる木があるというのだ。
杜夜世は、1つの野望を抱くようになった。伝説の果実を食べて、人並みに強い身体を手に入れる。そして、その果実を分析して、根治苦症の特効薬を作り出したいと。
繋蔓多の山は、国の軍隊が常に守っているため、簡単に近づくことはできない。しかし、杜夜世は覚悟を決めていた。国を敵にまわしてもいい。多少汚い手を使ってもいい。弱者であっても、どうにかして道を切り開く。そしていつか、薬師として、根治苦症患者を救い出すのだ。
そのためには、なんだって我慢してみせる。がんばってみせる。やり切ってみせる。
そのためには、繋蔓多の山に向かう資金と、軍隊に入り込むツテが必要だ。ツテを探るにも、やはり資金が要る。とにかく稼がなければならない。
「なんで出会ったばかりなのに、ここまで話しちゃったんだろう」
「これは杜夜世と僕の秘密。誰にも言わない」
「ありがとう。たぶんね、家族以外の人にこんなに優しくされたの、初めてだったから……」
「僕もね、羽馬なのに、こんなに優しくしてもらったの初めて。一緒だね」
杜夜世は、ようやく微笑むことができた。
「トヨ、可愛い。すっごく可愛い。」
流星は、再び杜夜世にぎゅっと抱きついて、髪の匂いをくんくん嗅いだ。杜夜世は、そんな動物的なところは、さすが羽馬だと思った。そして、くすぐったいけれど嬉しいだなんて、絶対にバレたくなかったので、表情を崩さないように必死になるのだった。
「流星、私を別の街まで運んでくれる? もう砂羅万では、私のこと知れ渡ってしまったから、ここでは商売できないわ」
「でも、西部では、砂羅万が1番大きな街だよ? 他に行ってもあまり稼げないと思う。だから、変装したらどうかな?」
「……髪、染めようかしら」
流星は、杜夜世の美しい銀髪を一束、手に取った。
「こんなに綺麗だから、残念だけどね」
杜夜世の国では、銀髪は、珍しい髪色だ。
「仕方ないわ。目的のためには、なんだってするって決めたんだもの」
「なんだって、なんて言わないで。僕もいるから」
「でも、羽馬でしょ? また、羽馬に戻っちゃうんでしょ?」
「杜夜世に協力してもらったら、後半日ぐらいは人間でいられると思う」
流星は、ニヤリとした。そして……
「……?!」
杜夜世は、自分の口元を手で抑えて、瞬(まばた)き繰り返した。流星は、杜夜世のキャリーバッグを勝手に開けると、中から服などを取り出している。
「これ、借りるね。染髪剤買ってくるよ。ここで待ってて」
「着替えるなら、向こうに行って!!」
流星は、最後にマントを羽織ってフードをかぶると、街の方へと走っていった。
杜夜世は、呆気にとられて流星の後ろ姿を見守った。どう見ても、自分の服のサイズは流星に合っていないので、ちゃんと着られたのだろうかと心配しながら。
杜夜世の傍らには、流星の馬具が残されていた。それが、必ず流星が戻ってくる証のように思えて、杜夜世は口元を緩めた。
「どうしたの? あ……」
杜夜世(とよせ)はその場から飛び退いて、流星に背を向けた。流星も、慌てて下に敷いてあった杜夜世のマントを身体に巻きつける。
「私の薬に、こんな効き目はないはずよ」
「ごめん。戻るなんて、すっごく久しぶりで。油断してた」
「戻る?」
流星は、へらっと笑った。
「僕はね、元々人間だったんだ」
流星は、杜夜世に話し始めた。
10年前、流星は、父親が国に不利益な事をしたとして、家族と一緒に国の魔術師団に捕らえられてしまった。そして、魔術で羽馬に変えられると、砂羅万(さらまん)の羽馬公団に入れられたのだった。もちろん、客車を引く羽馬として。
杜夜世は、自分の10年前に思いを馳せた。
10年前のある日、杜夜世は、根治苦症になった。その時は、世界の全てが自分の敵だと思った。なぜ根治苦症にかかったのかも、分からない。自分の未来が真っ黒に塗りつぶされたように感じた。
幸い、家族に理解があったため、杜夜世は、自らの命を絶つ程にまで追い詰められることはなかった。母親が薬師だったので、根治苦症の発作を抑えるための薬が簡単に手に入ったこともある。
「根治苦症よりも、非道い目に遭っていた人がいるだなんて、知らなかった」
「こういうのは、比べても仕方がないよ。大切なのは、きっとなんとかなるって、信じることだ」
杜夜世は、流星が、ただ適当な性格なのではなく、つらい過去に裏付けられたら信念を持っていることを知った。
「なんとかできる、じゃなくて?」
「全部自分でどうにかできたら良いけれど、運任せ、縁任せなところも大きいから」
「そうかもしれないね。……ねぇ、また羽馬になっちゃうの? どうして、人間に戻れたの?」
流星は、自分の隣に来るよう、杜夜世に向かって手招きした。杜夜世は、素直に流星に近づいた。
「そのうち、羽馬になるだろうね。基本的に、羽馬だから。でも、また杜夜世が優しくしてくれたら、人間に戻れる」
「私、何もしてない」
「ううん、そんなことない。杜夜世といると、ほっこりするもん」
杜夜世は、流星の方がほっこりする人だと思った。今朝も澄んだ青い瞳がキラキラしていて、見つめると、心が洗われるような心地になる。
「杜夜世に買ってもらえて、本当に良かった。ありがとう」
流星は、杜夜世をそっと抱きしめると、その唇にキスをした。
突然のことに、一瞬ポカンとしていた杜夜世は、すぐに我に返った。
「流星……?!」
杜夜世は逃げ出そうとしたが、流星は杜夜世を捕まえたまま。
「人前じゃないから、いいでしょ?」
「そんな問題?!」
「杜夜世も、キスしてくれたよ」
「あ、あれは、羽馬だったから……」
「羽馬でも、人間でも、僕は僕だよ」
杜夜世は、顔を赤くしたり、青くしたりを繰り返しながら、何か言おうと口をパクパクしていた。
「もっと、していいの?」
「違うよ!」
「僕のご主人は、怒っても可愛いね。もう離れないから、安心してね」
杜夜世は、流星にいろいろと突っ込みたいと思っていたが、全て吹き飛んでしまった。離れない……? 根治苦症の杜夜世は、突き放されることこそあれ、離れないなんて言われたことは、これまで一度もなかった。
両親や白雪ですら、旅立ちの時もハグしてくれなかったのだ。最後に人肌に触れたのはいつだったか、もう思い出せない。それぐらい昔のこと。
杜夜世は、胸から熱いものが込み上げてくるのを感じた。まさか、発作かと思ったが、違った。この気持ちの名前は、まだ分からない。ただ、杜夜世の目からは、つうっと二筋、涙が流れた。
「杜夜世……大丈夫?」
流星は、杜夜世の涙を指ですくった。
「ご主人っていうのは、やめて。私、人買いみたいじゃない?」
話し合いの結果、流星は杜夜世を『トヨ』と呼ぶことになった。
「呼び名はどうあれ、僕を買ったお金はなんとかしないといけないね。いくらなの?」
杜夜世は、キャリーバッグのポケットから、くしゃくしゃになった紙を取り出した。
「……やっぱり高いわね。流星、けっこう働き者だったんでしょ?」
流星は、肩をすくめた。流星の売値は、100万通宝(つうほう)。砂羅万では、中流家庭の稼ぎ頭が3か月間必死に働いて得られるかどうかといった金額だ。
杜夜世は、薬師。医学が広まっていないこの国では、立地の良い場所に店さえ出すことができれば、かなり稼げることは見込める。ただし、杜夜世は根治苦症だ。場所を借したり、杜夜世の薬を買ったりするような奇特な人物は、そうそう現れないだろう。
「どうしよう……。それでなくても、お金が必要なのに」
杜夜世は、身体の重心を流星に預けたまま、空の遠くに目をやった。
「そういえば、トヨって、どうして砂羅万に来たの?」
「……流星。初めはね、あなたのこと、野生に放とうかと思ってたの」
「放っても、僕はトヨのところに戻ってくる」
「うん、そうだと思ったから、もう諦めたわ。だから……私と一緒に、来てくれない?」
杜夜世にとっては、勇気の要る言葉だった。普通の人は、誰も自分に寄り付かないことを知っている。根治苦症であることを知られていない時であれば、美少女だとか、優秀な薬師だとか言われたことも多い。けれど、一度その正体を知れば、手のひらを返したように態度が激変してしまうのだ。
流星は、自分から『離れない』と言った。しかし、本当に離れずにいてくれるのかどうか、杜夜世は不安で仕方なかった。それが確認できない限り、大切な話はすることができない。
「うん。トヨと、一緒にいるよ」
杜夜世は、ゴクリと唾を飲み込んだ。流星の笑顔は、朝方の晴れ渡った空よりも爽やかだった。
「じゃぁ、私の旅の目的、聞いてくれる?」
根治苦症の杜夜世は、発作を気にすることなく、人並みに動けるようになって、人並みに人々と触れ合って、ひっそりと生活できるようになりたかった。そんな人並みの強さが、心の奥底から欲しかった。しかし、自分の力では、どうにもならなかった。薬師であるにも関わらず、根治苦症の特効薬は作れなかったのだ。なぜなら、そんなもの、存在しなかったから。
そんな折、杜夜世は、ある日父親が読んでいた新聞のコラムで、繋蔓多(けいまんた)の山のことを知る。この山の頂上には、万病に効くという伝説の果実がなる木があるというのだ。
杜夜世は、1つの野望を抱くようになった。伝説の果実を食べて、人並みに強い身体を手に入れる。そして、その果実を分析して、根治苦症の特効薬を作り出したいと。
繋蔓多の山は、国の軍隊が常に守っているため、簡単に近づくことはできない。しかし、杜夜世は覚悟を決めていた。国を敵にまわしてもいい。多少汚い手を使ってもいい。弱者であっても、どうにかして道を切り開く。そしていつか、薬師として、根治苦症患者を救い出すのだ。
そのためには、なんだって我慢してみせる。がんばってみせる。やり切ってみせる。
そのためには、繋蔓多の山に向かう資金と、軍隊に入り込むツテが必要だ。ツテを探るにも、やはり資金が要る。とにかく稼がなければならない。
「なんで出会ったばかりなのに、ここまで話しちゃったんだろう」
「これは杜夜世と僕の秘密。誰にも言わない」
「ありがとう。たぶんね、家族以外の人にこんなに優しくされたの、初めてだったから……」
「僕もね、羽馬なのに、こんなに優しくしてもらったの初めて。一緒だね」
杜夜世は、ようやく微笑むことができた。
「トヨ、可愛い。すっごく可愛い。」
流星は、再び杜夜世にぎゅっと抱きついて、髪の匂いをくんくん嗅いだ。杜夜世は、そんな動物的なところは、さすが羽馬だと思った。そして、くすぐったいけれど嬉しいだなんて、絶対にバレたくなかったので、表情を崩さないように必死になるのだった。
「流星、私を別の街まで運んでくれる? もう砂羅万では、私のこと知れ渡ってしまったから、ここでは商売できないわ」
「でも、西部では、砂羅万が1番大きな街だよ? 他に行ってもあまり稼げないと思う。だから、変装したらどうかな?」
「……髪、染めようかしら」
流星は、杜夜世の美しい銀髪を一束、手に取った。
「こんなに綺麗だから、残念だけどね」
杜夜世の国では、銀髪は、珍しい髪色だ。
「仕方ないわ。目的のためには、なんだってするって決めたんだもの」
「なんだって、なんて言わないで。僕もいるから」
「でも、羽馬でしょ? また、羽馬に戻っちゃうんでしょ?」
「杜夜世に協力してもらったら、後半日ぐらいは人間でいられると思う」
流星は、ニヤリとした。そして……
「……?!」
杜夜世は、自分の口元を手で抑えて、瞬(まばた)き繰り返した。流星は、杜夜世のキャリーバッグを勝手に開けると、中から服などを取り出している。
「これ、借りるね。染髪剤買ってくるよ。ここで待ってて」
「着替えるなら、向こうに行って!!」
流星は、最後にマントを羽織ってフードをかぶると、街の方へと走っていった。
杜夜世は、呆気にとられて流星の後ろ姿を見守った。どう見ても、自分の服のサイズは流星に合っていないので、ちゃんと着られたのだろうかと心配しながら。
杜夜世の傍らには、流星の馬具が残されていた。それが、必ず流星が戻ってくる証のように思えて、杜夜世は口元を緩めた。
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