169 / 214
168新国建ちて
しおりを挟む
そうして残った、ただただ広い灰の海。王宮の跡地。民の多くが達成感と開放感に満たされる中、ミズキは、クレナ国の滅亡と新国「紫」の建国を宣言したのである。
途端に、死にかけていた街が蘇り始める。人々が上を向き、明るい声を出し、笑顔も見える。まだ建国を宣言しただけの段階だが、何かが始まり、動き出そうとするのが肌感覚で伝染し、誰しもが気持ちを昂ぶらせている。新時代への期待が高まっていく。
そんな民の顔を横目に、カケルは、紫の本部を置く屋敷へ移動していた。卓を挟んで、ユカリと向き合っている。
「あの炎は、特別なものだったんです」
彼女もまた、あの男に翻弄され、苦しめられた一人だ。
国の終わりと始まりという節目。混乱に乗じて良からぬ事を考える者を取り締まるため、ユカリは紫の幹部として指揮を振るっていたため、残念ながら元王の処刑には立ち会えなかった。故に、カケルがその時のことを語りにやってきたのである。
「なるほど。カケル様が、単なる焼身自殺をさせるだけで納得するはずがないと思っていましたが、やはり」
「はい。あの炎には、民の恨みや辛みが込められているのです。社の火を特別に頂戴し、そこへ神具を使ってクレナ中の民の心を映し出し、怨念とも呼べる代物をそこに灯すことができました。殺された罪なき者達からの呪いの言葉などが、あの男を究極に追い詰めたはずです」
「カケル様の恨みの言葉も含まれてそうね」
「それはもちろん。ちなみに、精神的な攻撃だけではありません。あの男に対しては、少しずつ身を蝕んで、できるだけ長く地獄を味あわせられるような祝詞を書きましたから」
カケルは、清々しいくらいに良い笑顔を見せる。ユカリは、せいせいするというよりも、一つの物事が片付いてほっとした気分になった。
炎が強すぎたせいか、王も正妃も、楽士達も、骨は残らなかったらしい。故に、未だに死んだと実感が湧きにくかったユカリだが、カケルの顔を見ると、自然と「終わった」ことが理解できるのである。
カケル自身も、悔いの残らぬよう復讐を完遂できたのであれば、尚の事良かったと言えるだろう。
「では、もうソラにお戻りになるのですか?」
「どうしようかな。少しだけヨロズ屋へも寄って行きます。クジャクには野暮用を頼んでるし、ずっとチヒロ様に店番押し付けるのも、さすがに悪いので」
「彼女も今や、王の姉ですものね」
「そうなんです。私も、強く出づらくなってしまいました」
コトリや、実力を認めた近しい者以外、他の女には全く興味がないカケルは、以前からチヒロの扱いが雑なのだ。ユカリは苦笑しつつ、紫の風呂敷で包んだ木箱を出してきた。
「これは?」
「しばらく前に、私の元侍女を通じて正妃様から届けられていたものです」
「中は」
「クレナ王家に伝わる鏡。それと、楽士団首席の証だそうです」
カケルは、持ち帰ってコトリやサヨに見せることを約束した。
◇
カケルは、懐かしのヨロズ屋、店主の部屋にいた。目の前にいるのはクジャク。少々、憔悴した様子である。
「無理を言って悪かったな」
「別にいいです。神具があれば、多少の炎も大丈夫ですし、今はゴスの親方もソラですからね」
ゴスは、未だにソラで帝国の武器の分析に打ち込んでいるのだ。
「それで、正妃様は?」
実はカケル、どさくさに紛れて、クジャクに特殊な任務を与えていた。
絶体絶命で阿鼻叫喚の地獄絵図の中、笑みすら浮かべて静かに佇んでいた正妃。そのまま、夫である王もろとも命を散らすはずが、突然青と緑という派手な髪色の男に担ぎあげられ、拉致されるとは青天の霹靂だっただろう。
「今は、ここの地下でお休みになられています。他の楽士達は見殺しにしましたが、本当に良かったのですか?」
「もちろん。正妃様は、コトリのお母上、アヤネ様を知る数少ない人物。紫への貢献度と言い、コトリを裏から手助けしていたことも判明している。元から罪など無いのだ」
「一方、あの女楽士達は、コトリ様に手を下した張本人ですからね」
「それだけじゃない。都中に悪しき奏でを垂れ流して、人々を狂わせ、病まで蔓延させようとしていた。処刑は必然」
カケルは、絶対にコトリには見せることのない悪人面で言い切る。
「それにしても、正妃様の今後の処遇はいかほどに?」
「詳しくは追って指示するが、クレナ王家の生き字引としても期待しているんだ」
「と言いますと?」
クジャクが身を乗り出す。まさか、神具絡みかと期待しているようだが、そうではない。
「ソラでも、王家の女に口伝で引き継がれている話というものがある。俺は妃を得るのが遅かったから、生前、母上からこっそり教えられているんだがな」
「それ、もう女とか関係ないじゃないですか」
「気にするな。いつなん時も特例というものはあるものだ。で、その話というのが、国の礎の石に関係しているんだ。というのが、最近になって気がついた」
カケルが知っているのは、詩歌の一節。その一部は、ソラの礎の石の礎の中にも文字として浮かび上がっている。
おそらくは、その対となる詩歌があるはずで、一部はクレナの紅い礎の石の中にあるが、全体像までは分からない。そこを正妃から教わりたいということなのだ。
「コトリによると、『あまのいわたて』を元通りにすることがルリ神の望み。おそらく、それは何らかの岩だと思う。岩と言えば、一番近しいものは、国の礎の石だ。あれは大きすぎるから、岩と呼ばれてもおかしくない」
「そうなんですね」
クジャクは、王族ではないので見たことがないため、曖昧に相槌をうつことしかできない。だが、そこからカケルの考えを推測することはできる。
「ですが、岩ともなれば、物理的に大きすぎますし、二つの礎の石は離れすぎている。普通に運んで、隣り合わせに置いたところで、それが神の思し召し通りかどうかも分からない、というところですか」
「その通り。でも、この二つの詩歌が完全に揃えば、上手く行く気がするんだ」
ルリ神は、コトリとカケルの結びつきを後押ししているということなので、コトリがクレナの詩歌を、カケルがソラの詩歌を詠めば、何かが起きると考えているのである。
「古代、神具が無かった時代は、人の話す言葉自体に神気が絡んで、数多の奇跡を起こしていたという」
「言霊ってやつですね」
クジャクも、このあたりの知識は持っていた。ゴスの弟子は総じて優秀なのだ。カケルは確信めいた口調で続ける。
「その通り。言霊を使えば、二国の石が一つになり、『あまのいわたて』とやらが出現するはず。何しろ、礎の石はただの石じゃない。削り取れば神具になる。神気の塊とも言える。そして神気は、人々の可能性や潜在能力のひとつの形でもあると、コトリから教わった」
つまり礎の石は、それ自体が人の理からかけ離れた神がかった存在であり、手に触れることができながら、本来は無形の概念的な存在だということである。それであれば、方法さえ誤らなければ、距離も重さも関係なく一つにすることができそうだと踏んでいるのだ。
「それにしても、クジャク」
カケルは、いかにも、ふと思い出した風を装って話しかける。
「ラピスのこと、気づいていたか?」
カケル自身、ラピスがいつ寝返ったのか、未だに分からないままなのだ。
「いえ、全く」
クジャクは、一寸たりとも表情を変えずに答える。そこからは、何も読み取れない。
「そうか」
カケルは短く返事すると、そのまま一人部屋を出ていった。クジャクは、その寂しそうな背中を見送り、溜息をつく。頭の中では、ラピスがカケルとコトリの捜索へ旅立つ際に残した言葉を振り返っていた。
『親方には、絶対勝たせてみせるから。だから何が起きても、クジャク兄貴は親方を支えてやってよ?』
「ラピス。お前、何考えてるんだ」
クジャクは、薄く埃の積もった卓の上に、指を一本滑らせる。舞いあがった塵が、薄明かりの中をふわりと広がっていく。その流れを目で追っていると、窓の外から様々な色の神気が薄っすらと流れ込んでくるのに気がついた。
「シェンシャン?」
どこか懐かしい音色だった。
途端に、死にかけていた街が蘇り始める。人々が上を向き、明るい声を出し、笑顔も見える。まだ建国を宣言しただけの段階だが、何かが始まり、動き出そうとするのが肌感覚で伝染し、誰しもが気持ちを昂ぶらせている。新時代への期待が高まっていく。
そんな民の顔を横目に、カケルは、紫の本部を置く屋敷へ移動していた。卓を挟んで、ユカリと向き合っている。
「あの炎は、特別なものだったんです」
彼女もまた、あの男に翻弄され、苦しめられた一人だ。
国の終わりと始まりという節目。混乱に乗じて良からぬ事を考える者を取り締まるため、ユカリは紫の幹部として指揮を振るっていたため、残念ながら元王の処刑には立ち会えなかった。故に、カケルがその時のことを語りにやってきたのである。
「なるほど。カケル様が、単なる焼身自殺をさせるだけで納得するはずがないと思っていましたが、やはり」
「はい。あの炎には、民の恨みや辛みが込められているのです。社の火を特別に頂戴し、そこへ神具を使ってクレナ中の民の心を映し出し、怨念とも呼べる代物をそこに灯すことができました。殺された罪なき者達からの呪いの言葉などが、あの男を究極に追い詰めたはずです」
「カケル様の恨みの言葉も含まれてそうね」
「それはもちろん。ちなみに、精神的な攻撃だけではありません。あの男に対しては、少しずつ身を蝕んで、できるだけ長く地獄を味あわせられるような祝詞を書きましたから」
カケルは、清々しいくらいに良い笑顔を見せる。ユカリは、せいせいするというよりも、一つの物事が片付いてほっとした気分になった。
炎が強すぎたせいか、王も正妃も、楽士達も、骨は残らなかったらしい。故に、未だに死んだと実感が湧きにくかったユカリだが、カケルの顔を見ると、自然と「終わった」ことが理解できるのである。
カケル自身も、悔いの残らぬよう復讐を完遂できたのであれば、尚の事良かったと言えるだろう。
「では、もうソラにお戻りになるのですか?」
「どうしようかな。少しだけヨロズ屋へも寄って行きます。クジャクには野暮用を頼んでるし、ずっとチヒロ様に店番押し付けるのも、さすがに悪いので」
「彼女も今や、王の姉ですものね」
「そうなんです。私も、強く出づらくなってしまいました」
コトリや、実力を認めた近しい者以外、他の女には全く興味がないカケルは、以前からチヒロの扱いが雑なのだ。ユカリは苦笑しつつ、紫の風呂敷で包んだ木箱を出してきた。
「これは?」
「しばらく前に、私の元侍女を通じて正妃様から届けられていたものです」
「中は」
「クレナ王家に伝わる鏡。それと、楽士団首席の証だそうです」
カケルは、持ち帰ってコトリやサヨに見せることを約束した。
◇
カケルは、懐かしのヨロズ屋、店主の部屋にいた。目の前にいるのはクジャク。少々、憔悴した様子である。
「無理を言って悪かったな」
「別にいいです。神具があれば、多少の炎も大丈夫ですし、今はゴスの親方もソラですからね」
ゴスは、未だにソラで帝国の武器の分析に打ち込んでいるのだ。
「それで、正妃様は?」
実はカケル、どさくさに紛れて、クジャクに特殊な任務を与えていた。
絶体絶命で阿鼻叫喚の地獄絵図の中、笑みすら浮かべて静かに佇んでいた正妃。そのまま、夫である王もろとも命を散らすはずが、突然青と緑という派手な髪色の男に担ぎあげられ、拉致されるとは青天の霹靂だっただろう。
「今は、ここの地下でお休みになられています。他の楽士達は見殺しにしましたが、本当に良かったのですか?」
「もちろん。正妃様は、コトリのお母上、アヤネ様を知る数少ない人物。紫への貢献度と言い、コトリを裏から手助けしていたことも判明している。元から罪など無いのだ」
「一方、あの女楽士達は、コトリ様に手を下した張本人ですからね」
「それだけじゃない。都中に悪しき奏でを垂れ流して、人々を狂わせ、病まで蔓延させようとしていた。処刑は必然」
カケルは、絶対にコトリには見せることのない悪人面で言い切る。
「それにしても、正妃様の今後の処遇はいかほどに?」
「詳しくは追って指示するが、クレナ王家の生き字引としても期待しているんだ」
「と言いますと?」
クジャクが身を乗り出す。まさか、神具絡みかと期待しているようだが、そうではない。
「ソラでも、王家の女に口伝で引き継がれている話というものがある。俺は妃を得るのが遅かったから、生前、母上からこっそり教えられているんだがな」
「それ、もう女とか関係ないじゃないですか」
「気にするな。いつなん時も特例というものはあるものだ。で、その話というのが、国の礎の石に関係しているんだ。というのが、最近になって気がついた」
カケルが知っているのは、詩歌の一節。その一部は、ソラの礎の石の礎の中にも文字として浮かび上がっている。
おそらくは、その対となる詩歌があるはずで、一部はクレナの紅い礎の石の中にあるが、全体像までは分からない。そこを正妃から教わりたいということなのだ。
「コトリによると、『あまのいわたて』を元通りにすることがルリ神の望み。おそらく、それは何らかの岩だと思う。岩と言えば、一番近しいものは、国の礎の石だ。あれは大きすぎるから、岩と呼ばれてもおかしくない」
「そうなんですね」
クジャクは、王族ではないので見たことがないため、曖昧に相槌をうつことしかできない。だが、そこからカケルの考えを推測することはできる。
「ですが、岩ともなれば、物理的に大きすぎますし、二つの礎の石は離れすぎている。普通に運んで、隣り合わせに置いたところで、それが神の思し召し通りかどうかも分からない、というところですか」
「その通り。でも、この二つの詩歌が完全に揃えば、上手く行く気がするんだ」
ルリ神は、コトリとカケルの結びつきを後押ししているということなので、コトリがクレナの詩歌を、カケルがソラの詩歌を詠めば、何かが起きると考えているのである。
「古代、神具が無かった時代は、人の話す言葉自体に神気が絡んで、数多の奇跡を起こしていたという」
「言霊ってやつですね」
クジャクも、このあたりの知識は持っていた。ゴスの弟子は総じて優秀なのだ。カケルは確信めいた口調で続ける。
「その通り。言霊を使えば、二国の石が一つになり、『あまのいわたて』とやらが出現するはず。何しろ、礎の石はただの石じゃない。削り取れば神具になる。神気の塊とも言える。そして神気は、人々の可能性や潜在能力のひとつの形でもあると、コトリから教わった」
つまり礎の石は、それ自体が人の理からかけ離れた神がかった存在であり、手に触れることができながら、本来は無形の概念的な存在だということである。それであれば、方法さえ誤らなければ、距離も重さも関係なく一つにすることができそうだと踏んでいるのだ。
「それにしても、クジャク」
カケルは、いかにも、ふと思い出した風を装って話しかける。
「ラピスのこと、気づいていたか?」
カケル自身、ラピスがいつ寝返ったのか、未だに分からないままなのだ。
「いえ、全く」
クジャクは、一寸たりとも表情を変えずに答える。そこからは、何も読み取れない。
「そうか」
カケルは短く返事すると、そのまま一人部屋を出ていった。クジャクは、その寂しそうな背中を見送り、溜息をつく。頭の中では、ラピスがカケルとコトリの捜索へ旅立つ際に残した言葉を振り返っていた。
『親方には、絶対勝たせてみせるから。だから何が起きても、クジャク兄貴は親方を支えてやってよ?』
「ラピス。お前、何考えてるんだ」
クジャクは、薄く埃の積もった卓の上に、指を一本滑らせる。舞いあがった塵が、薄明かりの中をふわりと広がっていく。その流れを目で追っていると、窓の外から様々な色の神気が薄っすらと流れ込んでくるのに気がついた。
「シェンシャン?」
どこか懐かしい音色だった。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
御機嫌ようそしてさようなら ~王太子妃の選んだ最悪の結末
Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。
生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。
全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。
ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。
時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。
ゆるふわ設定の短編です。
完結済みなので予約投稿しています。
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる