Cat And Magic Ⅰ 王国振動

ヒヨコネコ(MT)

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4章

第40話 飛翔

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王都おうと/王城都市おうじょうとしアクトゼリシア
六芒星ろくぼうせいの間
王室参謀府参与おうしつさんぼうふさんよ六老賢ろくろうけん
定例秘密会議

六老賢C「これで学院の一連の事件は解決か・・・・・・」
六老賢A「このような事態になるとはのう」
六老賢E「新人教員になりすました秘密結社構成員か」
六老賢F「狂気の殺人鬼が1年前から潜入していたとは・・・・・・」
六老賢B「加害者生徒・・・・・・ステファニー・リュー・アクハーストはどうなった?」
六老賢D「今だ目を覚まさないが、意識を取り戻し次第、魔導法廷まどうほうていに送られるだろう」
六老賢B「被害生徒・・・・・・キャロル・C・ライシアン・・・・・・の方から、減刑の嘆願書たんがんしょが出ているが?」
六老賢C「考慮されるだろう・・・・・・なにせ洗脳され、犯行に及んだ可能性も否定できない」
六老賢E「生体検診で洗脳魔法がかけられていた痕跡こんせきも見つかっている」
六老賢A「恐ろしいことじゃ・・・・・・その生徒も被害者じゃの」
六老賢D「だが、同級生を殺害したことは事実」「しかるべき判決が下されるだろう・・・・・・」
六老賢F「その日になってはじめてこの事件の解決といえるな」
六老賢D「凍結睡眠中の生徒・・・・・・セリア・ラウ・ウォルトンが受けた呪毒の解毒方法が、一刻も早く見つかるよう支援すべきだ」
六老賢A「そうじゃ、それも忘れてはならないのう」
六老賢C「本日はそれぐらいか・・・・・・」
六老賢F「・・・・・・ウム、閉会としよう」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
廊下

キャロルとすれ違うシンディ。
以前と比べものならない魔力圧を放つキャロル。
シンディ『どういうこと・・・・・・・・』
理解不能の事態に震えがくるシンディ。
シンディ『こんな・・・・・・・・こんなことがある訳ない!!!』『あんなの・・・・・・別人じゃない?!!!』
動揺し、前方不注意で誰かにぶつかる。
シンディ「あ、・・・・・・・・」
ライル教頭がシンディを見つめていた。
ライル「シンディ、少しいいかな?」
シンディ「は、はい、お父さま・・・・・・・・」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
教頭室

教頭室兼応接室に入るシンディ。
教頭卓の前に対面のソファーが2つ置かれている。
その1個に女子生徒が座っている。
シンディ「な、なんで、あんたがここに!?」
ミーシャ「フッフ~ン」
意味深いみしんな表情でシンディを見つめてくる。
シンディ「ど、どういうことですか?お父さま・・・・・・」

ライル「シンディ・・・・・・・・これはとても重要な話だ」
シンディ「は?」
ミーシャ「これが何かわかるかにゃ?」
ペンダントを出し中身を見せるミーシャ。
シンディ「こ、この文様は?!!」「どうしてあんたがこれを!!!?」
ミーシャ「それは秘密にゃ~」
シンディ「クッ・・・・・・」
ライル「シンディ・・・・・・」
シンディ「お父さま、これはいったい?!」
ライル「シンディ、ここでのことは全て機密事項きみつじこう・・・・・・他言無用だ」
シンディが見たこともないほど怖い顔するライル。
ライル『何?!どういう事?!!この女に弱みでもにぎられたの?お父さま?!!』
恐怖するシンディ。

ミーシャ「シンディちゃん・・・・・・」
シンディ「ひぃ!」
ミーシャ「シンディちゃん、キャロルちゃんにずいぶん好き放題言ってたよね?」
シンディ『キャロル?!どうして今キャロルが出てくるの?!?』
「そ、そんなこと、ないわ・・・・・・」
すると、さらに近寄ってきてシンディに耳打ちするミーシャ。
シンディが今までキャロルに言った言葉が一言一句つぶやかれる。
シンディ『・・・・・・』
絶句するシンディ。震えが止まらない。状況が理解できない。

ミーシャ「もう一度、聞くよ~」
シンディ「へ・・・・・・」
ミーシャ「キャロルちゃんに~、好き放題、言ってた、よ・ね??」
シンディ「・・・・・・は、・・・・・・」
過呼吸かこきゅうになるシンディ。
ライルに視線で助けを求める。
ライル「ミーシャさんの話を聴きなさい・・・・・・」
シンディ『・・・・・・』『お父さまよりこの女の方が偉いということ??!』『バックに誰がいるの?!』
ミーシャ「キャロルちゃんに~~」
シンディ「はい」「そうです」「言いました」
従順じゅうじゅんになるシンディ。
ミーシャ「正直に言えて、えらいね~、シンディちゃん」
シンディの頭をぐりぐりと撫でるミーシャ。
全身に悪寒が走るシンディ。

ミーシャ「ということだにゃ~、ライル・W・レームクール教頭先生・・・・・・」
ライル「どうか・・・・・・軽微な処分でお願いします」
ミーシャに頭を下げるライル。
シンディ「おとう、さ、ま・・・・・・」
「ピシッ」
チャームポイントの片めがねにヒビが入る。
シンディ『わたしのせいでお父さまがおどされている??!』

ミーシャ「もちろん配慮するにゃ~」
シンディを見つめ、詰め寄るミーシャ。
シンディ「いやっ・・・・・・・こないで・・・・・・!」
後ずさりするシンディ。
ミーシャ「大丈夫にゃ~、とっても簡単なことにゃ~~~」
シンディ『いやぁーーーーーーーーーーーーーーー!!!!』

しばらくして、ひとり教頭室から出てくるシンディ。
「ガッチャンー」
扉が重々しく閉まる。
その顔には作り笑顔が張り付く。
誰もいない廊下には真昼のまぶしい光が差す。
その真ん中を歩き、何事も無かったように立ち去るシンディ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
剣術闘技場

第2回実践剣術大会トーナメント
女子ブロック準決勝
カーリンVSキャロル

カーリン『キャロル・・・・・・半年でここまで成長するなんて』『友達としても誇り高いわっ!』

カーリンとキャロルの試合を見つめるノア。
激しくぶつかり合う2人。
ノア『騎士の真の力ナイトフォーム・・・・・・確かにあの時、キャロルの瞳に剣の文様が浮かぶのが見えた・・・・・・』
キャロルがミースの腕を切り落とした時のことを思い出すノア。
ノア『あれがきっかけで、キャロルの潜在的な魔力が解放されたのか・・・・・・?』
確信にはいたらないノア。
ノア「不思議なこともあるもんだな・・・・・・」
頬杖ほおづえを突きながらひとりつぶやく。

そこにやってくるミック。
ミック「すげえなキャロル!」「じゃが猫じゃがねこ弱猫よわねこドジ猫ドジねこ負け猫まけねこゴミ猫ゴミねこ陰口かげぐちされていたキャロルが!!」
※元の言葉:じゃ〇りこ、よわむし、ドジっ子、負け犬、ゴミ箱
ノア『ひどい陰口だな・・・・・・』

ミック「そのキャロルがあのカーリンと張り合ってるぞ!!」「なあノア!?」
ノア「ああ」
ミック「なんだ?あんまり嬉しそうじゃないな?」「応援してたんじゃないのか?!」
ノア「・・・・・・」
ミック「あっ、わかったぞ~ノアく~ん~」
得意げな顔で、肩を組んでくるミック。
ミック「あんまりキャロルちゃんに強くなられると~、ノア君が護ってあげられないからね~~」「そうでしょっ!」
ノア「・・・・・・」「そんなんじゃねぇよ・・・・・・」
ミック「え゛~?ほんとかな~~??」
ノア「・・・・・・」『うざいなこいつ』
ミック「そうなんだろぅ~~~?素直になれって~!」
ノア「うるさい、あっちいけ」
ミック「冷たいねぇ~」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

寮室で手紙を書くキャロル。
キャロル『お父さん、お母さん、私はまだキャットナイトになる夢を諦めていません』

農工都市アマテルーシア北部/ルーシア中原
キャロルの実家

ソファーに座り、難しい顔でキャロルからの手紙に目を通す父ポティート。
イリーナ「よかったじゃない」
洗濯物を抱え、後ろからのぞく母イリーナ。
ポティート「むぅ~・・・・・・」
ミケーレ「姉ちゃん、なんだってー?」
ごろ寝で成体ヒヨコにえさをやりながら問うミケーレ。
内容だけ聞きたい。
イリーナ「元気だって」
ミケーレ「・・・・・・え、それ適当すぎじゃない?」「意味ある?この会話??」
イリーナ「自分で読んでみれば~」
ミケーレ「・・・・・・じゃ、いいっかな~」「忘れる」
イリーナ「あなたもたいがいね~」

『追伸:お父さんへ。猫じゃが農家には絶対ならないから!』
ポティート「・・・・・・」

マーク「大丈夫・・・・・・私は信じているよ」
一旦マークの手にまり、また飛び立つ精霊。
マーク「君ならできるはずだ」
見えない銀河をつめながらつぶやくマーク。

キャロル「キャットナイトに私はなる!!!」
今日もキャロルは剣を振るう。
剣は心の中にあった。

4章 END    
第1巻 王国振動 完
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