上 下
21 / 40
3章

第21話 親友

しおりを挟む
王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
地下空室

セリア「・・・・・・」
ほほから出血するセリア。
ステファニー「か、ッー!」
袈裟けさ状に出血して床に倒れ込むステファニー。

ステファニー『実践剣術大会トーナメントの時より全然速い・・・・・・』『どうして・・・!?』
周囲の床に血だまりが広がってゆく。

キャロル「・・・・・・セリアちゃん・・・!!」
体勢を起こし、キャロルの方を振り向くセリア
セリア「キャロルちゃん!」
キャロルに走り寄り、肩を貸すセリア。

セリア「ボロボロね・・・・・・キャロルちゃん」
キャロル「ありがとう、セリアちゃん・・・・・・」「セリアちゃんが来てくれなかったら私・・・・・・」

ケイ「君たち!!」
キアラ「ここで何を!!」
異常を感知し、駆け付けた教員。
その後ろにセリアが廊下ですれ違ったライの姿。
心配そうにこっちを見る。

倒れているステファニーとジェマ、サキナ。ボロボロのキャロルを見て状況を認識するケイとキアラ。

ケイ「キアラ先生!」「治療医のマリー先生とライル教頭を呼んで来てください!」
キアラ「分かりました!」
全力で階段を駆け上がるキアラ。

ケイ「ライに言われて、来てみれば・・・・・・」「何があったんだセリア、キャロル?!」
セリア「これを」
記録球をケイ先生に渡すセリア。

ケイ「これは・・・・・・!?」
セリア「ステファニー/ジェマ/サキナがキャロルちゃんをリンチにしていたので助けました」
「証拠の音声はその中にあります」
ケイ「なっ!!」「なんてことだ!」

その後、セリアとキャロルは全ての事情を教員に話した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
保険治療室

保険室のベットで休むキャロル。背中は起こし、椅子に座るセリアと話す。
セリア「良かった~、命に別条なくて~」
キャロル「いや、だいぶ危なかったと思う」「殺されるかと思った・・・・・・ほんとありがと」
セリア「いいえ~」「じゃあ、しばらくは安静にね・・・・・・」
授業のため、席を立つセリア。
キャロル「うん」「またね!」

「バタッ」
2、3歩進み、突然キャロルの目の前で倒れるセリア。
キャロル『え?』
動かないセリア。

キャロル「セリアちゃん!?」
ベットから出てセリアを抱えて起こすキャロル。
キャロル「セリアちゃん!しっかりして・・・・・・」
その時、セリアの頬の切り傷が黒く禍々しくうずいているのに気付くキャロル。

キャロル「これは・・・・・・!!」
ステファニーが剣に何かをかけていたことを思い出すキャロル。
キャロル『これは・・・・・・まさか・・・・・・』『毒?!』

マリー「どうしましたかっ!!」
大声を聞いて駆け付けるマリー。

キャロル「セリアちゃんが・・・・・・!!」
ほほの傷に気付くマリー。
マリー「この傷は?!」
キャロル「ステファニーに切られた傷です!」
マリー「すぐ調べます」「解析に長けたキアラ先生を呼んで来るから少し待っててね!!」
そう言って、走り去るマリー治療医。

キャロル「セリアちゃん!しっかりして!セリアちゃん!!」
懸命に呼ぶも返事がない。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

次の日
王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
職員会議室
定例職員会議

マーガレット「セリアさんの容態ようだいは?」

キアラ「かんばしくありません」「強力な呪毒じゅどくおかされています」

マリー「もってあと、1週間かと・・・・・・」

ケイ「そんな!!」「何とかならないんですかキアラ先生!」

キアラ「手を尽くしていますが・・・・・・」
「私も見たことのない古代魔法が含まれており、解析が困難を極めます」

ケイ「アニエルカ先生も何か分かりませんか?」「詳しそうですが?」

アニエルカ「私も現代魔法しか・・・・・・力になれず、すみません・・・・・・」

ケイ「くッ・・・・・・」

ダニエル「ライル教頭が検体を持ち込んで、高等研究所で調べて貰ってますが・・・・・・やはり、難しいみたいですね」

アーミン「ステファニーは一体どこでそんな危険な毒を手に入れたんだ?」

ダニエル「本人に聞きたいところですが、意識が戻っていません」
「命に別条は無いですが・・・・・・」

エリザール「ジェマとサキナをこっぴどく絞りあげたが、何も知らんようじゃった」
「あいつらは退学でよい!」

マーガレット「まあまあ、ジェマ・サキナの処遇を決めたのはニャータ先生ですから・・・・・・」

エリザール「甘いわ!」

アーミン「しかし、ここで話をしていても埒が明きません」「キアラ先生の解析時間を奪ってしまう」
「会議はこの辺で終わりにしてできることをしましょう」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
保険治療室

ベットに横たわり、治療を受けるセリア。
皮膚に黒いあざが広がり確実にセリアの命をむしばんでいるのが分かる。
セリアの手を握るキャロル。

セリア「キャロルちゃん・・・・・・傷はもう・・・・・・良くなった?」
キャロル「全然、大丈夫だよっ」「セリアちゃんは自分の心配だけして!」
泣きそうになるキャロル。

セリア「・・・・・・」
しばし沈黙する。

セリア「キャロルちゃん・・・・・・私・・・・・・もう、駄目みたい・・・・・・」
キャロル「そんな!・・・・・・諦めちゃダメだよ、セリアちゃん・・・・・・」
「いつも、私に諦めるなって言ってるでしょっ!!」
涙がこぼれるキャロル。

セリア「自分の身体のことだから・・・・・・分かるの・・・・・・」
「本当は・・・・・・もっと早く死んでも・・・・・・おかしくない・・・・・・呪毒なんだって」
キャロル「・・・・・・」
セリア「私の身体が・・・・・・頑張って抵抗して・・・・・・時間を作ってくれたのは」
「キャロルちゃんと・・・・・・お話する・・・・・・ためだね・・・・・・」

キャロル「な、何言ってるのセリアちゃん!これからも一杯いっぱいお話しよっ!」
涙があふれて止まらないキャロル。

セリア「夢を叶えて・・・・・・キャロルちゃん・・・・・・」
「キャロルちゃんは・・・・・・絶対・・・・・・騎士になれる・・・・・・」
「みんなを護って・・・・・・キャロルちゃん」
キャロル「セリアちゃんの方がー、騎士に相応ふさわしいよぅ・・・・・・」「わたしなんかより~ずっとぉ・・・・・・」
泣きながら喋るキャロル。
首をわずかに振るセリア。

セリア「私には観えるの・・・・・・あなたの未来が・・・・・・」
「きっとこの国を・・・・・・救ってくれる」「あなたは英雄・・・・・・」
キャロル「ぜんぜん、信じられないよーぉ」「ダメダメなんだよーわたしぃー~!」
「知っているでしょーぉ!!」
わ~と泣き出すキャロル。

キャロルの頭を震える手ででるセリア。
セリア「私は・・・・・・キャロルちゃんが大好き・・・・・・」
「ドジだけど・・・・・・真っ直ぐなキャロルちゃん・・・・・・」
「きっと・・・・・・これは運命・・・・・・」
「まだ、強くない・・・・・・キャロルちゃんを・・・・・・護るため・・・・・・私は生まれてきた」
「役目は・・・・・・果たしたの」

キャロル「まだ、い゛っしょに、い゛でぐださいーー!!!」
「まだ、役目はおわっでまぜんーー!!」
喋るのやっとのキャロル。涙は止まらない。

セリア「そんなに・・・・・・泣かれたら・・・・・・」
「私も・・・・・・泣きたくなっちゃう・・・・・・わ・・・・・・」
キャロル「ごべんね~、セリアち゛ゃん~~」
永遠に泣き続けるキャロル。

ドアの隙間から覗いていたノアとカーリンは
そっと扉を閉じた。
しおりを挟む

処理中です...