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2章

第16話 助言

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王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
剣術闘技場
見学席

テル「決勝戦お疲れ~、グレイン!」「いい試合だったよ~」
グレイン「いやいや、ノアの圧勝だよ」「俺のこと稽古してくれたのさ」
テル「そんな~、謙遜けんそんだよ~」
グレイン「ま、ちょっとは強くなったかもな・・・・・・」
少し照れるグレイン。
テル「うんうん!」
ミック「けっ・・・・・・」
仏頂面ぶっちょうづらのミック。

???「やあノア君」
灰色シルバーグレー短髪、そして黄色と青の金銀妖瞳オッドアイ。どう見ても普通じゃない生徒がノアに話しかける。

グレイン「あ、あいつは!」
ミック「ん?知ってるのか?」
グレイン「A組のコナーだ」
ミック「コナー?」
テル「A組のエース、コナー・ユーバンク・フェア・エンジェル」「今度行われるA組のクラス主席決定戦で勝てば、学年主席決定戦に出てくる可能性もあるよ」
ミック「そんな強いのか・・・・・・」「でもなんで浮いているんだ?」「背中になんか光る羽付いてるし」
グレイン「神話時代からの一族フェアの末裔なんだとよ」
テル「その一族だけが操ることのできる神霊魔法しんれいまほう・・・・・・」「それを得意としているのがコナー君だ」
ミック「ふ~ん、神霊魔法ねぇ・・・・・・この学院の授業にもないな」「それやべぇ奴なんじゃないの?」
テル「学年主席最有力候補だよ」
ミック「へぇ~、完全にノアのライバルだ」

コナー「決勝戦進出おめでとう!」
肘を肩の高さにまであげて、わざとらしい拍手をする。
ノア「ん?だれだっけ?お前・・・・・・」
ガクッと体制を崩すコナー。
コナー「先週自己紹介しただろう!」
ノア「すまん、名前を覚えるのが苦手なんだ・・・・・・」
コナー「まあいい、僕のクラス主席決定戦の出場が決まった」
「君も次がクラス主席決定戦だろ?」
ノア「・・・・・・そうだ」
コナー「僕としては、是非、君に学年主席決定戦に出てきてもらいたい」
「そこで、君にアドバイスをしに来た訳さ」
前髪を手で払い格好つけるコナー。
ノア「アドバイス?」
そうだと言って、ニヤリとするコナー。
コナー「・・・・・・君は、精霊魔法せいれいまほうを使いこなしていないよね?」
ピクっとするノア。
コナー「そんな状態で僕に勝てるのかな?」
ノア「余計なお世話だ・・・・・・」
コナー「まあ、君が精霊魔法を使いこなそうと関係ない」
「神霊魔法の完成度には遠く及ばない!」「この学院も分かってないんだよ」
うんざりするポーズをする。
コナー「精霊魔法など下賤げせん下々しもじもの者が使う粗野そやな魔法に過ぎないのさ」

「シャキッ」
ナイトソードをコナーの首元に突きつけるノア。
ノア「訂正しろ」「精霊魔法は伝統と格式のある血のかよった魔法だ」「粗野そやな魔法なんかじゃない」
コナー「そういう割には使いこなせてないよね~?」
陰湿な笑みを浮かべるコナー。
コナー「神霊魔法こそが最も原初の魔法に近いのさ」「僕のように限られたキャットシーのみが使える高品位こうひんいな魔法」
「それに生半可なまはんかな精霊魔法でどう対抗できるのかな~」

ミック「あれ、助言アドバイスじゃなくて、喧嘩けんか売りに来ただけじゃないの~?」
少し離れた場所でひそひそと話すミックたち。
テル「そうだね・・・・・・」
グレイン「それ以外ないだろ」

ノア「精霊魔法だけがオレの十八番おはこだと思ったら大間違いだ」
視野狭窄しやきょうさくな奴ほど敗北に近付く・・・・・・十分注意するんだな」
コナー「いいねぇ、その気迫」「当日が楽しみだよ~」
満足したのか、身をひるがえしノアから離れるコナー。

コナー「!」「これはこれは・・・・・・」
帰りがけカーリンを見つけたコナー。ふわりと舞い、カーリンの前に降り立つ。
コナー「カーリン・リー・フランツィスカ・ローゼンフェルド様ですね」
「私はコナー・ユーバンク・フェア・エンジェル。以後お見知りおきを」
そう言って、カーリンの手を取り、甲にキスをする。
カーリン「・・・・・・」
ざわめく周囲。
グレイン「おいコナー!!」「カーリンに触るな!!」
コナーとカーリンの間に割って入るグレイン。
グレイン「カーリンもこんな奴に安易に身を預けるな!」
コナー「誰だお前?」「僕は下々には興味ない、下がれ」
グレイン「嫌だ、俺はお前が気に食わない!」
突然笑い出すコナー。
コナー「気に食わないだと?下々のお前が?ククク、笑わせる!」
グレイン「・・・・・・」
コナーを睨みつけるグレイン。

コナー「ひれ伏せ・・・・・・下民げみん
グレインの前に手をかざす。
「バシーン!!!!」
物凄い重力が発生しグレインが地面に叩き付けられる。
グレイン「グッ!!!!」
ミック「な!?」『神霊魔法か?!』
テル「グレイン君っ!」

「ゴゴゴゴゴゴーーーーー!!!」
グレイン「ぐぉぉおぉ!!」『なんだこれはーーー?!!』『凄まじい力だ!・・・・・・全くあらがえない!!』
カーリン「止めてコナー!!」
ノア「今すぐやめろコナー!」
目にもとまらぬ速さで動き、コナーの背に剣を突き立てるノア。

手を引っ込めるコナー。
コナー「フン、身の程を教えてあげただけさっ、本気にするなって」
重力から解放されるグレイン。
コナー「あと・・・・・・」「やっと僕の名前を覚えてくれたみたいだね、ノア君」
ゼエゼエと息を切らすグレインを一瞥して立ち去るコナー。
ノア「大丈夫かグレイン」
グレイン「・・・・・・す、すまねぇな」「想像以上にやべぇ奴だった・・・・・・」
カーリン「大丈夫グレイン?!」
グレイン「へ、全然、格好かっこう付かないな・・・・・・」
カーリン「いいえ、ありがとうグレイン」「嬉しかったわ」
赤くなるグレイン。
ミック「は~あ、どうなることかと~」
ほっとするC組の生徒たち。

グレイン「勝てそうかノア?・・・・・・あいつに」
ノア「勝つ・・・・・・」「勝って、”地に足のついた”猫になるよう改心させる」
グレイン「はっ、それはいい考えだ!」
笑い合うノアとグレイン。
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