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2章

第12話 格差

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午前
王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
剣術闘技場

剣術学/体術学の授業

いつものケイ先生の他にもう1人。
ケイ「こちらはアーミン先生だ」「自己紹介よろしく」

アーミン「私はアーミン・デーク・ツェアフェルト」「主に2年生の魔法剣術学の授業を担当している」
「数年、騎士団に所属していたが、お世話になったケイ先生に誘われてこの学院に赴任した」
整った顔立ち、男だが長髪の若手教師アーミン。
アーミン「今日は補助で来た。説明はいつも通りケイ先生が行ってくれる」

ケイ「ということだ・・・・・・C組の諸君」「では、後日行なわれる実践剣術大会トーナメントについて説明する」
「このトーナメントは男女別にブロック分けをし優勝者を決める。最後優勝者同士でクラス主席決定戦を行うという形だ」
「A・B・C組のクラス主席が出そろった段階で、学年主席決定戦を行う」
「あと、知っているとは思うがこの実践剣術大会トーナメントの成績で騎士推薦状の枠が決まる」
「騎士志望者は奮起するように」
「騎士団に配属されるためには最低1枚の推薦状が必要になるからな」
「説明としてはこんなもんか・・・・・・、何か質問あるやついるかー?」
生徒一同「・・・・・・」
ケイ「なさそうだな、じゃあ、対戦相手をくじで決める」「くじを引き、その番号を俺に伝えてくれ」
全員一列に並び、ケイが用意したくじを引く。

ケイ「よーし、発表するぞ」
表を見てざわつく生徒。
ケイ「表を確認し終わった奴から、倉庫にある模擬剣を取りに行け~」

キャロル『な、初戦があのシンディ・・・・・・』『よりにもよって・・・・・・』
シンディ「こんにちは、じゃが猫さん?」
キャロル『早速来た・・・・・・』
シンディ「残念ねぇ、初戦でこのわたしと当たるなんて」
さらにキャロルに一歩近付き耳元で囁く。
シンディ「初戦で負ければ、騎士推薦は絶望的、フフフ」
そんなことは分かっている。
どうしてこんな残酷な組み合わせにしたのか、神を恨みたくなるキャロル。
キャロル「・・・・・・」
シンディ「フフ、返す言葉もないようね」「当日が楽しみね~」
言いたいことだけ言って離れていくシンディ。

キャロル『どうしよう・・・・・・』
セリア「キャロルちゃん、頑張って、諦めちゃだめだよ!」
キャロル「セリアちゃん・・・・・・」『そうよキャロル!なに戦う前から負けた気になっているの!』
自分に言い聞かせる。
セリア「シンディちゃんに勝てるように練習しよっ!」
キャロル「ありがとう、セリアちゃん!」「頑張る!!」
少し気持ちを持ち直すキャロル。

ジェマ「あれ~、初戦敗退”確定”の負け猫さんじゃん~」
キャロル『次から次へと・・・・・・』
サキナ「初戦敗退予定と言ってあげないと可哀想よ~、ジェマさん」
ジェマ「あ、ごっめ~ん、確度が高すぎてつい~」
キャハハハハハと笑うジェマ&サキナ。
セリア「あんたたち・・・・・・」
?????「こんにちは、セリアさん」
キャロル『誰?』
ジェマ&サキナの後ろにもうひとり。
キャロル『新しい仲間?』
黒髪長髪ロングストレート、黒紫色の瞳。端正な美少女といった感じの女子生徒。
セリア「2回戦目であたるステファニーちゃん」
キャロル「そいうことね・・・・・・」

ステファニー「あなた”たち”が勝ちあがることは絶対ないわ」「わたしが同一ブロックにいる限りね」
セリア「ずいぶんな自信ね」
ステファニー「常々、哀れだと思っているわ~、才能も無いのにこんな所まで来ちゃって♪」
「わたしのように選ばれた人間だけが価値があるの」
自分の胸に手を当て、見下すような視線を送るステファニー。
セリア「考え方が相当歪んでいるようね」
睨み付けるセリア。

ステファニー「2人ともさっさと退学するといいわ~、その方が”死亡者しぼうしゃ”も減って学院も助かると思うの」
キャロル「わたしは兎も角ともかく、セリアちゃんにまで!!」「失礼ね!!」
セリア「マーナちゃんのことも冒涜しているように聞こえるわ」
ステファニー「そうだけどなにか?」「マーナは弱いから死んだの♪」「自業自得よ、ハハハハ♪」
セリア「あなた・・・・・・おかしいんじゃない?」
ステファニー「行くわよジェマ、サキナ」
立ち去るステファニー。ジェマ&サキナという舎弟を連れて。

セリア「とんでもない猫ね・・・・・・」
キャロル「力に恵まれているから性格がねじ曲がったのか、元々ねじ曲がっているかのどっちかね・・・・・・」
セリア「私が死んだら、ステファニーに才能を与えた神様を地の果てまで追い回して懺悔ざんげさせるわ」
キャロル「・・・・・・」
それはそれで怖いと思うキャロル。
セリア「とにかく、一緒に頑張りましょっ、キャロルちゃん!!」
キャロル「あんな奴らの鼻をへし折ってあげるわ!!」
セリア「その意気よ、キャロルちゃん!!」

ケイ「全員、模擬剣は持ったか~」「試合の形式について説明する」
キャロル「あ、ヤバい、取りに行ってなかった!」
ひとり慌てて倉庫に走るキャロル。
セリア「キャロルちゃん・・・・・・」

ケイ「しっかりしろ~、キャロルー」
クスクスと笑い声が広がる。
ミック「ボーっとしてたのか、あいつ?」
ノア「・・・・・・」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

午後
王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
大講義室

精霊言語学/魔法学
初回授業

マーク「こんにちわ。私が精霊言語学と精霊魔法学を担当するマーク・グリフィン・マクマーシェンだ」
顔上半を覆う仮面を被っている白髪長髪の男性教師。床に引きずるぐらいの長いローブをまとっている。
マーク「私は子ども頃事故にあい両目を失明した。だから皆さんのことは視覚的には見えていない」
緑と紫、銀色の模様が塗装されたL字型の杖を突きながら語る。
「代わりにこの木精もくせいたちが私の知覚の補助をしてくれている」「読み書きも可能だ」
そんなことができるのかと感心する生徒たち。

マーク「早速授業に入っていくが、皆さんは通常の魔法と精霊魔法の違いはわかるかな?」
生徒一同「・・・・・・」
マーク「間違っててもいい、誰か・・・・・・」
ミック「は~い、精霊を使うか使わないかじゃないですか~」
マーク「そうだね、けどそれだと、まだ十分な説明とはいえないね」「ありがとうミックくん」

マーク「通常の魔法は大気中の魔素を取り込んで、自身が魔力に変換する方法」
「一方、精霊魔法は精霊と協力し魔力を集め、術の構築も一部精霊に任せる高度な方法だ」
「自分が使いたい術に合わせた精霊との対話が必要という制約もある・・・・・・」
「その代わり、自身が扱える魔力の数倍の力を発揮したり、術発動までの時間を短縮できるメリットがある」

マーク「精霊魔法をつかうために学ぶのが精霊言語という訳だ」
「精霊言語の習得には時間がかかる」
「・・・・・・が、精霊・妖精を祖とする我々キャットシーにとっては精霊言語は第二言語と言えるだろう」
「是非、習得に努めて欲しい」
「ちなみに一番話やすいのはこの木精もくせいだ」「普遍的にいるし・・・・・・基本言語で十分対話できる」
「従って、この木精の精霊言語の学習を進めつつ、精霊魔法の体系を解説していく予定だ」

ノア「風精ふうせいについては扱わないですか?」
マーク「いや、2年以降の授業で扱う」「君は・・・・・・”見覚え”のある雰囲気だ」「名前は?」
ノア「ノア、ノア・フォン・クリューゼです」
マーク「そうか・・・・・・なるほど・・・・・・」
嚙み締めるように頷くマーク。
マーク「君の家系の祖は風精ふうせいの大家だね」
「もし、授業が退屈になるようであれば君に合わせた課題も用意しよう」
ノア「ありがとうございます」
マーク「他に何か質問はあるかな」「なんでもかまわないよ」
生徒一同「・・・・・・」
マーク「3年間はあっという間だ」「少しでも君たちが有意義な時間を過ごせるよう私は協力を惜しまない」
「なにかあれば何時でも、私の研究室に相談しにくるといい」

キャロル「やっぱ凄いなー、ノアくんはー」「常に一歩先・・・・・・」
セリア「惚れ直した?」
キャロル「う~ん・・・・・・」「は??!」
赤面するキャロル。
キャロル「え、どうして?」『なんでセリアちゃんが私の内心を!??』
セリア「隠せてないよ~」
キャロル「そうですか・・・・・・」
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