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木曜日のクラブ活動
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木曜日
飛び込んだクラブ活動の教室の先では、順調な学園生活とやらはなくなっていた。
唯一のクラブ活動に許婚が見学にきている。
「きゃあぁぁ!な、何でここに!?」
「前からクラリベルのクラブ活動を見てみたかったんだよ。大勢で押しかけて迷惑だったかい?」
ランチ会の恐怖が尾をひいて、淑女らしからぬ悲鳴がでてしまった。叱られた子犬のようなエリオットの後ろでは、先ほど知らなくていい情報まで知ってしまったヒロインと、攻略対象たちもこぞってやってきている。
穏やかな木曜日が!何もない安全なはずの木曜日の放課後が集中砲火後になっている!!
グルグルする思考の中でそろそろ放課後のイベントスチル回収時期だったことを思い出した。
確かヒロインたちが色んなクラブを回って結局自分たちでクラブを立ち上げる。
というイベントだった。
私の入っているクラブは野鳥観察クラブだ。
鷹狩りでも役にたつこのクラブは、ゲームには名前すら挙がらなかったはず!!
野鳥観察クラブなんて、ド.マイナーなものにまで何故きたの?!
ゲーム関係者がいないだけでなく、いかに身を潜めるかや観察眼が磨かれるから選んだのに、これをエリオットに学ばれたら彼に使えなくなってしまう。
考えごとの間にいきなり事態が悪化して、あれよあれよという間に、静かな野鳥の写真交換の場が醜いヒロイン争奪戦にかわっていた。
「やめて私の為に争わないで!」
この世界でも信じられないセリフを高らかに叫ぶヒロインたちともみくちゃにされる。
さっきのランチ会で精神攻撃を受けた後に、クラブ活動で物理攻撃受けるなんて思ってなかった!
挙句には、仲裁に入ったクラブメンバーと私が近衛団長の息子である脳筋に突き飛ばされて壁に激突。
「木曜日は厄日よ!」
痛みに呻いて起き上がろうとしたら許婚に助け起こされた。ヒロインに駆け寄らずに、介抱してくれるエリオットの姿にときめいてしまった。
破廉恥よ、しっかり私!
彼の腕の中でヒロインたちをみたら、どさくさに紛れて何故かヒロインも泣いている。
「クランベリー様にいじめられた…」
とんでもないことを言い出したから地獄絵図。
多分、私のことだろうなー。否定していいかわからず黙って成り行きを見守った。名前が違うから犯人なんて見つかりっこない。
「誰なんだ、でてこい!」
私たちに悪びれずに脳筋が喚いているけど、名乗りあげたり訂正なんかしない…。しないったらしない!
茶番を白けた顔で見ていたクラブメンバーたちと目線で会話して、丁重にお帰り頂こうとした。背中を押されて厄介な団体が退場していく。
「クランベリー様??クラリベル様ではなく…? 」
宰相の息子が振り向きながら余計なことを聞いていた。
わ、こっち見ないで!
エリオットの腕の中で縮こまった。
「え…?いいえクランベリー様です。クランベリー様にいじわるされました…」
ヒロインは首を振って存在しない人物を加害者にしている。まだ動けない私を加害者扱いするのかと思ったけれど、どうも違うようだ。
エリオットを置いて嵐が去っていく。なあなあにもみくちゃ事件が終わってしまった。
何もしてないのに言いがかりつけてくるなら、やっぱり断罪イベントは回避できないのかも知れない。
近づく破滅の気配に、…首を傾げた。
もう情報戦で断罪イベント回避できるけど、どうしよう?
悪役の名前が、違うなぁ…?
私の記憶違いかしら…?そもそもヒロインは私を認識していなかったような…?
エリオットが彼らの無礼を謝罪して、荒らされた教室を片付けるのを手伝ってくれた。
そのまま流れで何故かエリオットがクラブ掛け持ちで野鳥観察クラブに参加することになっていた。
「これで狩りが少し上達したら良いなぁ」
「エリオットならすぐにできるようになりますわ。」
困ったように笑う彼の言葉には納得するしかなかった。彼は相変わらず、たまに私と談笑していた狩り仲間を射掛ける失敗をしている。何回か一緒に狩りをしていてわかるが、狙いも当たりも良いので腕が良いはずなのに、不思議な弱点だ。
のほほんとしていたけれど、ついに学園内で許婚との接点ができてしまった。もう学園内で逃げきれないかもしれない、新しい方法を探さないと!
しかも週に5日は顔合わせしてることになってしまった。
「これでクラリベルといつでも会えて嬉しいよ。」
「私もエリオットのことが色々わかって嬉しいわ!」
おっとり笑う彼に合わせて自棄気味に喜んでおこう。
やったわ!
…何でよ!?どうしてこうなったの?!木曜日は厄日よ!
断罪イベントを回避したかっただけなのに、こんなに許婚と交流することになるなんて…
許婚への友人としての好意が変わりつつあるのに、もしゲーム通りになったらどうしたら良いの?!生き残っても問題山積みじゃない!!
いっそ悪い組織にでも習い事を受けに行こうかしら??絶対に彼に会わないでしょ?自分の屋敷すらエリオットと遭遇する可能性が捨てきれないから、どこか1人になれる場所で気持ちの整理をつけたいわ!
そういえばこの日から、度々「クランベリーさんに〇〇された」を聞くようになったんだけれど、木曜日の腹黒女子会では失笑のネタになった。他の令嬢たちの名前も間違えて覚えられているらしい。
聞くに耐えないクランベリーと他の令嬢たちの悪行に私も笑いがこぼれてしまった。
なんて酷いことするのよ、クランベリー!!
誰なのよ、クランベリー!
他の令嬢も微妙に間違えた名前の状態で加害者扱いされているせいで、最近笑いをこらえるのが辛いそうです。私もお腹が痛い。
ヒロインをいじめた犯人探しは難航しているのだとか。
飛び込んだクラブ活動の教室の先では、順調な学園生活とやらはなくなっていた。
唯一のクラブ活動に許婚が見学にきている。
「きゃあぁぁ!な、何でここに!?」
「前からクラリベルのクラブ活動を見てみたかったんだよ。大勢で押しかけて迷惑だったかい?」
ランチ会の恐怖が尾をひいて、淑女らしからぬ悲鳴がでてしまった。叱られた子犬のようなエリオットの後ろでは、先ほど知らなくていい情報まで知ってしまったヒロインと、攻略対象たちもこぞってやってきている。
穏やかな木曜日が!何もない安全なはずの木曜日の放課後が集中砲火後になっている!!
グルグルする思考の中でそろそろ放課後のイベントスチル回収時期だったことを思い出した。
確かヒロインたちが色んなクラブを回って結局自分たちでクラブを立ち上げる。
というイベントだった。
私の入っているクラブは野鳥観察クラブだ。
鷹狩りでも役にたつこのクラブは、ゲームには名前すら挙がらなかったはず!!
野鳥観察クラブなんて、ド.マイナーなものにまで何故きたの?!
ゲーム関係者がいないだけでなく、いかに身を潜めるかや観察眼が磨かれるから選んだのに、これをエリオットに学ばれたら彼に使えなくなってしまう。
考えごとの間にいきなり事態が悪化して、あれよあれよという間に、静かな野鳥の写真交換の場が醜いヒロイン争奪戦にかわっていた。
「やめて私の為に争わないで!」
この世界でも信じられないセリフを高らかに叫ぶヒロインたちともみくちゃにされる。
さっきのランチ会で精神攻撃を受けた後に、クラブ活動で物理攻撃受けるなんて思ってなかった!
挙句には、仲裁に入ったクラブメンバーと私が近衛団長の息子である脳筋に突き飛ばされて壁に激突。
「木曜日は厄日よ!」
痛みに呻いて起き上がろうとしたら許婚に助け起こされた。ヒロインに駆け寄らずに、介抱してくれるエリオットの姿にときめいてしまった。
破廉恥よ、しっかり私!
彼の腕の中でヒロインたちをみたら、どさくさに紛れて何故かヒロインも泣いている。
「クランベリー様にいじめられた…」
とんでもないことを言い出したから地獄絵図。
多分、私のことだろうなー。否定していいかわからず黙って成り行きを見守った。名前が違うから犯人なんて見つかりっこない。
「誰なんだ、でてこい!」
私たちに悪びれずに脳筋が喚いているけど、名乗りあげたり訂正なんかしない…。しないったらしない!
茶番を白けた顔で見ていたクラブメンバーたちと目線で会話して、丁重にお帰り頂こうとした。背中を押されて厄介な団体が退場していく。
「クランベリー様??クラリベル様ではなく…? 」
宰相の息子が振り向きながら余計なことを聞いていた。
わ、こっち見ないで!
エリオットの腕の中で縮こまった。
「え…?いいえクランベリー様です。クランベリー様にいじわるされました…」
ヒロインは首を振って存在しない人物を加害者にしている。まだ動けない私を加害者扱いするのかと思ったけれど、どうも違うようだ。
エリオットを置いて嵐が去っていく。なあなあにもみくちゃ事件が終わってしまった。
何もしてないのに言いがかりつけてくるなら、やっぱり断罪イベントは回避できないのかも知れない。
近づく破滅の気配に、…首を傾げた。
もう情報戦で断罪イベント回避できるけど、どうしよう?
悪役の名前が、違うなぁ…?
私の記憶違いかしら…?そもそもヒロインは私を認識していなかったような…?
エリオットが彼らの無礼を謝罪して、荒らされた教室を片付けるのを手伝ってくれた。
そのまま流れで何故かエリオットがクラブ掛け持ちで野鳥観察クラブに参加することになっていた。
「これで狩りが少し上達したら良いなぁ」
「エリオットならすぐにできるようになりますわ。」
困ったように笑う彼の言葉には納得するしかなかった。彼は相変わらず、たまに私と談笑していた狩り仲間を射掛ける失敗をしている。何回か一緒に狩りをしていてわかるが、狙いも当たりも良いので腕が良いはずなのに、不思議な弱点だ。
のほほんとしていたけれど、ついに学園内で許婚との接点ができてしまった。もう学園内で逃げきれないかもしれない、新しい方法を探さないと!
しかも週に5日は顔合わせしてることになってしまった。
「これでクラリベルといつでも会えて嬉しいよ。」
「私もエリオットのことが色々わかって嬉しいわ!」
おっとり笑う彼に合わせて自棄気味に喜んでおこう。
やったわ!
…何でよ!?どうしてこうなったの?!木曜日は厄日よ!
断罪イベントを回避したかっただけなのに、こんなに許婚と交流することになるなんて…
許婚への友人としての好意が変わりつつあるのに、もしゲーム通りになったらどうしたら良いの?!生き残っても問題山積みじゃない!!
いっそ悪い組織にでも習い事を受けに行こうかしら??絶対に彼に会わないでしょ?自分の屋敷すらエリオットと遭遇する可能性が捨てきれないから、どこか1人になれる場所で気持ちの整理をつけたいわ!
そういえばこの日から、度々「クランベリーさんに〇〇された」を聞くようになったんだけれど、木曜日の腹黒女子会では失笑のネタになった。他の令嬢たちの名前も間違えて覚えられているらしい。
聞くに耐えないクランベリーと他の令嬢たちの悪行に私も笑いがこぼれてしまった。
なんて酷いことするのよ、クランベリー!!
誰なのよ、クランベリー!
他の令嬢も微妙に間違えた名前の状態で加害者扱いされているせいで、最近笑いをこらえるのが辛いそうです。私もお腹が痛い。
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